汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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フォルセティ激詰め回


素直なところ、これは何処かでやりたかった。


なお、感想の意見も参考にさせて貰ってます。
悪しからず。


風を灼く焔

「⋯ゲレタ、少し時間を貰えるか?」

 

珍しい事にモーゼスからゲレタにその様な声がかかった。

 

 

 

妙な事だ、そうゲレタは思う。

確かにチキと共に過ごす様になってから、モーゼスは出来る限り此方に居る様にしていた。

 

が、それは護衛やメディウスへの橋渡しの意味が強く、話を聞く事はあってもこの様に働きかける事は殆どない。

 

となると

 

「⋯何か変事が?」

 

どの様な意味で必要とされているのかは定かではない。しかし、必要と判断されるだけの出来事が起きたのは間違いないのだろう。

 

それ自体に異はない。⋯⋯無いのだが

 

 

 

「⋯私も行く。」

 

明らかに機嫌を悪くしたお姫様が居る訳で

 

 

「ゲレタさん。私はレナと此処に居た方が良いよね?」

 

マリアは家に残ると言う。

 

 

「姫なれば他人事ではあるまいて。」

 

その言葉に碌でもない予感がひしひしと強まる。

 

 

何せ神竜族の姫であるチキの話ならば、最初からそう言うだろう。⋯少し前の彼女と違い、今の彼女は向き合い乗り越えようとする強さを持とうとしているのだから。

 

 

 

「直ぐに行きましょう。」

 

問題は早目に解決すべきだ。後回しにして、その問題が大火に繋がらないとは言い切れない。

 

 

『ゲレタさん、乗って。』

 

⋯⋯⋯竜化したチキが俺を促す。

 

 

「行ってくる。

⋯二人を頼みます。」

 

チキに乗り、モーゼスの後を追った。

 

 

 

----

 

 

 

「宜しくお願いします。」

 

マリアとレナはゲレタ達を見送ると家の外にそう声をかけて、家の中に戻った。

 

 

 

 

 

「流石よな。我等への気遣いも忘れぬとは。」

 

「最近、姫が我等のブレスを使いこなそうとしておるからな。

⋯いや、それは好ましい変化なのだろうが。」

 

「それは我等も同じよ。火竜の」

 

 

ゲレタの家より少し離れた所に潜む影はそれぞれ思う事を口にする。

 

彼等は苛烈な選抜をくぐり抜けて、この任を勝ち取った者達だ。

 

 

チキの劇的な成長こそ目にした者は1人しかいなかったが、マケドニアの姫と共にゲレタと楽しく暮らす姿を見れば意気軒昂となるのは避けられない事。

なお、あのトーナメントという名のデスマッチを勝ち抜き、ゲレタとチキを引き続き守る任についた竜人族(ナーガやメディウスとも既知の間柄)は

 

 

「羨ましかろう?

牙や爪を振るう事はなくとも、鍛錬を怠る若い者には負けぬよ。」

と年甲斐もなく、マウントを取っていたとか何とか。

 

 

 

なお、彼等の中に火竜族と氷竜族がおり、料理の際には手伝っていた。

これまでは。

 

 

だが、ゲレタを意識し変わる事を受け容れたチキたっての願いによりブレスの調整技術を磨き上げつつあった。

 

 

彼女のいじらしい努力とゲレタへの献身に彼等は改めて新たな時代の訪れを確信。

その中心となるチキとゲレタ。マリアとその従者を護る事を固く誓っている。

 

 

----

 

 

 

ふむ、姫は本当に強くなった。⋯やはりゲレタの存在は大きなものなのだな。

 

 

竜化してドルーア城に向かう途上、モーゼスは隣を飛ぶチキとそれに乗るゲレタの姿を視界の端に捉え満足そうに口元を緩める。

 

 

マケドニアの飛竜を駆る竜騎士(ドラゴンナイト)

だが、モーゼスからすれば今のゲレタこそが真なるドラゴンナイトに見える。

 

 

メディウスとマケドニア王の目指す未来。

それもあるのやも知れぬな。

 

 

勿論、この話についてもゲレタと諮らねばならないだろうが。

 

 

焦る事はない。我等は独りでもない。

言葉を交わし、苦労を共にし、笑い合える者がいるのだから。 

 

 

 

 

----

 

 

 

 

ドルーア城の最奥、メディウスの座す間に見慣れぬ姿があった。

 

 

とは言え、ゲレタとて竜人族その全てを把握している訳でもないが。

気になるのは、その人物が明らかに驚いた様な目でチキと自分を凝視している事。

 

 

ニコッ

 

チキに視線をやると、柔らかい笑みを浮かべ繋いでいた手の力を少しだけ強める。

 

 

異常はないな、ヨシッ!

 

 

何故かこんな言葉が聞こえた様な気がした。

 

 

 

 

----

 

 

 

 

メディウスの前に引き立てられたフォルセティ。

 

彼はモーゼスの連れてきた二人の人物を見て驚いた。

 

 

 

何と若々しく、そして強い光か。

 

 

まずそう感じた。

彼は晩年のナーガの姿を知っている。目の前にいるチキの姿と彼の中にあるチキ。ナーガの姿とは確かに似ている所はある。

 

だが、内包している光は段違い。

 

 

 

 

フォルセティも含め、竜人族にはどこか諦観、厭世的な部分がある。

それが、彼女からは感じられない。

 

 

 

 

 

そして、チキと手を繋ぎ此方に胡乱げな視線を向けている男。

 

 

⋯何だ、この男は

 

 

魔力が感じられない。⋯少なくともフォルセティの目からするとそれは異常以外のなにものでもなかった。

 

 

 

何故この男に笑いかけているのか?

モーゼスとメディウスは何故この場に呼んだのか?

 

 

分からない事だらけだった。

 

 

 

----

 

 

 

「ゲレタ、よく来た。

コレがフォルセティよ。」

 

メディウスの言葉に

 

「⋯ああ、神器という理不尽極まる威力を与えるに留まらず、加護と称して人の身に余る能力(ちから)を授けた方々の一人でしたか。」

 

「はじめまして、フォルセティ殿。

ユグドラルの親族同士の殺し合いを見ても、聖戦と称せる方とお会い出来るとは思いませなんだ。

私はゲレタ。異界より紛れ込んだ者です。」

 

と言葉を発する。

 

 

 

「異界の者?魔力すらないと言うのに、どうやって此処まで来たと言うのか。」

 

「気がつけばマケドニアの山中にいた。

そんな事はどうでもよろしい。

フォルセティ殿、ひとつお聞きしたい。

 

何故、セリスとユリア(ロプトウスの血を継ぐ者)を殺さなかったので?

 

フォルセティの目が見開かれた。

 

 

 

----

 

 

 

「暗黒神ロプトウス。

此方ではメディウス殿に従う地竜族のひとりと聞きますが、神を名乗るとは随分と大きく出たものですね。」

 

「ロプトウスはユグドラル大陸にて暴威を振るいました。

子供狩り、つまり希望の象徴たる子供を殺し合わせ、生き延びた者はロプトの信徒とする。

実に悍ましく、効率的なやり方だろう。」

 

ゲレタの言葉に場の空気が凍る。

だが、メディウスやモーゼスにガーネフは動揺する事なく、チキはゲレタの手を握り横顔を見つめるだけ。

 

「⋯効率的と言われるか。

余り好ましい言い方とは思えぬが。」

 

メディウスとガーネフによりこの場に呼ぼれていたガトーは口を開く。

 

「子供とは未来を生きる希望そのもの。

それが闇に堕とされるとなれば、抵抗するしかない。

抵抗すると言うことは、ロプトウスの支配を受け入れぬ。反逆者に他ならない。

不穏分子を炙り出し、未来への希望を摘み取る。

実に合理的で、情のないやり方だと思いますが?」

 

ゲレタの鋭い視線はフォルセティに向けられていた。

 

「聖騎士マイラ。

ロプト帝国の皇族にして、帝国に反逆し処刑された『十三番目の聖戦士』

ロプトウスが打倒され、帝国の残滓たるロプト教団も崩壊。その生き残りはロプト狩りという残党狩りに遭う中、唯一その存在を許された。それが十二聖戦士よりも早くに反帝国運動をしたマイラの末裔に対して行なわれた事。」

 

「何を」

 

呻く様に声を漏らすフォルセティにゲレタは何も言わない。

 

「そのマイラの末裔がひとり、シギュン。

彼女は村の掟を破り、外の世界で一人の人物と結ばれ、子供をもうけた。

夫の名はヴィクトル。息子の名はアルヴィス。

シギュンはある男と過ちをする。

グランベル王国皇子、クルトと。」

 

ガトーは怪訝そうな顔をし、メディウスとモーゼス、ガーネフは真剣な表情を崩さない。

チキはゲレタに体を寄せ、その横顔だけを見つめる。

 

「不幸な事にシギュンはクルトとの間に子を宿した。

ヴィクトルの妻でありながら、不貞をはたらいた彼女がヴィクトルの側に居れる筈もなく、彼女は故郷へと戻る事を選んだ。

だが、村の禁を犯した彼女に村での居場所もあろう筈もなく、娘を産み、その後命を絶った。

娘の名は」

 

「やめろ!」

 

フォルセティは声を荒げる。

 

 

 

----

 

 

 

「何が言いたい。

それを何故知っている?」

 

「そんな事はどうでもよろしい。

フォルセティ殿、貴方は大陸を後にした。ロプトウスは倒されたからと。

⋯⋯おかしな事を仰られるな。

ヘイム達十二聖戦士により、一度ロプトウスは倒された。

しかし、現実にロプトウスは舞い戻っている。

⋯その血を絶やさねば、またロプトウスが復活せぬと何故考えられないのか?」

 

「⋯その言い方では復活する恐れがあると?」

 

ガトーの言葉に

 

「ありますとも。

マイラの血を引いた者はフォルセティ殿の言うところの聖戦。その勝者に名を連ねております故に。」

 

 

ゲレタの言葉にフォルセティの表情が歪む。

 

 

「続けましょうか。

娘の名はディアドラ。後にロプトウスを打倒する解放軍の旗手たるセリスの母親。」

 

「そして、ロプトウスの依り代となったユリウス。魔道書ナーガの継承者ユリアの母親でもありますな。」

 

 

 

----

 

 

 

「改めて言葉にされると、実に度し難い話だな。ゲレタよ。」

 

メディウスの言葉に

 

「全くです。

とは言え、これだけ壮大な計画を練り、それを実行出来たのであれば、別方向に向ければ素晴らしい世界を創れたやも知れませんのに。」

 

と苦笑する。

 

「つまりそなたはセリスとユリアの子供達の選択次第で、またロプトウスが戻る。

それを危惧しておられるのだな。」

 

「それはあり得ない。」

 

ガトーはゲレタの言葉に納得するが、フォルセティはそれを否定する。

 

「ご冗談を。

ヒトの感情の機微に疎い貴方がそれを言い切ったところで、確かな前例があるでしょうに。

シギュンは掟を破り、クルトは立場を弁えず、アルヴィスは非情に徹しきれず、終いには兄妹殺しをさせた貴方が何を吠える?

レヴィン殿にも家族が居たでしょうに、その者達の感情に貴方は誠実に向き合えたとでも?」

 

「⋯⋯それは。」

 

「国王が失踪し、残された民の事は?

父がいなくなり、その姿を求めた子の気持ちは?

貴方はロプトウスの復活を防ぐと言いながら、その力を振るう事はなかった。

それで良くもまぁ、ヒトを知った気でいられるもの。」

 

「フォルセティ。

別に私もチキも貴方の意見など必要としていない。

貴方がヒトを知る気がないのであれば、それも良い。置物の様に何処かに籠り朽ち果てるが宜しかろう。

貴方に現実(いま)が必要なくとも、我等マケドニアとドルーアの者達には必要なのだから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フォルセティは去った。

誰もその後を追う事はなく、彼が何処へ行こうともどうでも良かった。

 

 

「力の意味、か。

我等も真剣に考えねばならぬな。」

 

「耳の痛い事だが。」

 

 




私見となりますが、聖戦の後始末。セリス達が生きている間は良いとしても、遠からずユグドラルはボロボロになる様な気がしております。


何せ、たった100年程度前の悲劇をあっさり引き起こした訳ですし、第二のクルト(〇〇やろう)みたいなのは出て来るのでは?

エリスルート完結記念の外伝

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  • いらない
  • そろそろリンダルート書いて、どうぞ?
  • そんなことよりチキを出せ
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