汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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乱文じみた話になったけど、投下。


新天地

魔法の学び舎カダイン。

 

 

白き賢者ガトーを中心として創設された大陸の魔道士の都市。

 

 

 

「⋯どうする?」

 

「私がやろう。

仮にもカダインの指導者だったのだから。」

 

 

ミロアの魔法を合図として、カダインの魔道士達は自らの学び舎を魔法で破壊した。

 

 

例えカダインが過去のものとなろうとも、そこで過ごし学んだ事は各々の中に息づいている。

 

 

カダインをそのまま残すべき、との話もあったが

 

 

「気持ちは理解出来なくもない。

が、そのカダインに人を残さぬとなれば賊などに利用されるやも知れぬぞ?」

 

そのガーネフの言葉に誰もがカダインの破却を受け入れる。

何せ、カダインが賊の根城となる事など到底許せる筈もなかったのだから。

 

 

そしてカダインの跡地にガトーは置き土産を残すこととした。

 

 

幻影魔法。

もし仮に、この地に価値を見出す者が居たとしても、その者は絶望の中で終わりを迎える。

 

ある一定のラインを越えなければ、カダインの実態は見えぬ魔法だった。

 

 

「複雑ではあるが、これもまた致し方ない事か。」

 

 

 

カダインに集い、魔法を高めんとした者達はそれぞれの道を選び、歩む事となる。

 

 

 

 

なお、後日ガーネフの手によりひとつの細工が施された。

 

 

モーゼスがかつてガトーを捕らえた際、利用した魔竜族達による魔力阻害。

その術式を幻影魔法の内側に仕込んたのである。

 

つまり、幻影魔法に気が付き転移の魔法をその場で使おうとしても、幻影魔法の効果を受ける範囲から離脱しなければ無効化される。と言うもの

 

 

勿論、こんな悪辣な事を考えたのはガーネフではなく

 

 

 

他者(ひと)が作ったものを利用しようとするんです。

なら、それなりの対価は支払って貰っても良いのでは?」

 

 

と敵対者には情け容赦のない人物からの提案によるものだったが。

 

 

カダインは砂漠の中にある拠点。そして幻影魔法によりカダインの姿は破壊前のものとなっている。

 

カダインにこれから寄せて来る者達は好ましからざる考えを持つ者達となろう。

カダインに近い、アリティアやグラには既にカダインからの魔道士が多数流れており、その意味を両国トップは理解している。

 

 

故にカダイン跡地に来る者達に情けをかける理由などあろう筈もなく、またガトーも含めた者達はこの事を知らされていない。

知らせるつもりもなかった。

 

 

 

「さらば、我等が学びの場よ。」

 

ガーネフはそう言い残すと、魔竜族の者達と共に帰るべき場所へと戻った。

 

 

 

----

 

 

 

そんなガーネフ達と違い、カダイン跡から北へ向かう巨大な複数の影があった。

 

彼等はメディウス、モーゼスを経由してゲレタから『とある頼み事』をされ、引き受けた者達。

 

 

 

 

アカネイアを始めとした大陸各国。

 

彼等は大陸の中部から南部にかけて、その生存域を拡げている。

だが、一方でカダインから北部についての詳細な情報を各国は持ち得ない。

 

 

それも無理はないだろう。

 

アリティア北方には広大な砂漠地帯があり、ヒトの侵入を阻んでいたのだから。

 

 

カダインの魔道士とて、カダインから離れるとしても北部ではなく南部。つまりアカネイアを始めとした大陸各国のある方に向かう。

 

 

特にカダインの魔道士はカダインの外の環境が如何に厳しいものであり、それを越える為にしっかりとした準備が必要であるのか?それを身近に知っているのだから。

 

 

大陸北東部であれば、氷竜神殿などがあり竜人族達が隠れ住んでいた。

その為、魔竜族や魔力の使い方に長けたものはガーネフの使う転移(ワープ)の魔法を会得。彼等は大陸北東部の詳しい地図作成に取り掛かっている。

 

その一方で大陸北西部については、過酷すぎる砂漠地帯の存在から竜人族達も避けていた。

だが、ドルーアという彼等にとっての故郷があり、尚且つ生存が脅かされない場所と満足な食糧があれば

 

 

 

『ふむ、見渡す限りの砂漠地帯か。』

 

『全域の確認は急がずとも良い。

焦る理由はないとあの者も言っておったであろう?』

 

『ムシャムシャ。』

 

三頭の竜は高度を高めに取りながら、ゆっくりと北上していく。

 

 

 

『地図も描かねばならぬ。』

 

『では、この位にしておくか。』

 

『⋯むう、噛み応えはあるが味が長続きせぬのが難点か。』

 

 

 

 

 

 

「ところで、さっきから気になっていたのだが」

 

「それよ。

何を食べておるのだ、おぬしは?」

 

砂漠に降り立ち、竜化を解いた二人は問いかける。

 

 

「⋯ふむ、これくらいか?

⋯⋯ああ、姫とあの者から貰った試供品とやらを少々な。」

 

 

「「なんだと!?」」

 

 

 

直後、2vs1という変則マッチが開始する事になった。

 

 

 

----

 

 

 

 

ゲレタはアカネイアと積極的に(・・・・)戦うつもりはない。

 

 

だが、アカネイアに対して何もしないつもりは毛頭なかった。

 

 

軍事力を行使しての戦争。

これは無用と考える。

 

 

 

しかし、その一方

アカネイアを追い詰める事について、手を抜くつもりはない。

 

 

その方法のひとつ

それが

 

 

正確な地図の作成だ。

 

 

----

 

 

 

地図とは、地形などを図面にしたもの。

 

 

地形とは国家機密の塊であり、特にこの大陸においては何よりも秘さねばならぬものだ。

 

そして、地形を把握するにはかなりの手間と時間がかかるもの。

 

 

 

 

----

 

 

日本においては江戸時代、伊能忠敬が中心となって『伊能図』或いは『伊能大図』と呼ばれる実測の日本地図が作られた。

しかし、これは21年もの年月をかけて製作されたものの、海岸部と主要街道に限定されたものであったとされる。

 

余談となるが、伊能図の正式名称は『大日本沿海輿地全図(だいにほんえんがんよちぜんず)』と呼ばれており、当時江戸幕府は日本近海に異国船が度々出没している事態を重く受け止めていた。

 

その為、伊能らの測量について幕府は許可を出すという異例の判断をする。そればかりか、各藩に対して伊能らへ協力すべし。と命じている。

 

 

完成された伊能図は幕府に献上され、その詳細さから江戸城紅葉山文庫(もみじやまぶんこ)に納められ、機密文書として扱われた。

伊能図の流出は国防上、危険であると判断された為である。

 

 

だが、伊能図は忠敬の天文学の師である高橋至時(よしとき)の子であり、忠敬の死後(忠敬は完成を待たずして死去している)仕上げ作業を監督した高橋景保(たかはしかげやす)。彼がオランダの医師シーボルトに寄贈。当時紅葉山文庫の管理をする書物奉行の地位にあった事からこの様な事態が起きてしまう。

 

これに対し、幕府は景保を逮捕。獄に繋ぎ、シーボルトに対しても国外退去を命じている。

 

 

この様に詳細な地図とは、国防上の問題となるのだ。

 

 

 

----

 

 

 

ゲレタは高い知性と魔力。それらを併せ持つ竜人族に対して、測量の概念や度量衡について知らせた。

興味を持った者に対して、転移の魔法を習得した者などを同行させ、大陸各国の影響の及ばない地域。

 

それらの言わば『大陸の空白地』とも言える場所の測量を任せる事とした。

 

 

 

 

そして、測量に慣れてもらい

最終的には

 

 

高高度からでも地図が作成できる技術を獲得してもらうのだ。

 

 

----

 

 

 

大陸各国は自国内についてならば、地理に明るく

また地図を有していたとしても不思議ではない。

 

だが、他国相手ともなるとそうはいかない。

 

例外があるとすれば、アリティアから独立したグラと独立されたアリティアくらいであろうか?

 

 

それとて、開発が進めばどれ程当てになるのやら。

 

 

 

----

 

 

 

地図とは開発の、世界の移り変わりを示すものにもなり得る。

 

 

軍事面でも、政務面においても、地形の把握は必要不可欠。

 

 

 

⋯グルニアにでも、完成した大陸地図を送りつけてやれば、その脅威の程は理解出来るだろう。

 

ロレンスは勿論、カミュとて多少情に傾くところがあるとは言え優秀である事は疑いようもない。

 

 

⋯まぁ、やりようによっては大陸各国と関係を深めねばならなくなる事もあるだろうが。

 

今はまだ時期尚早だ。

 

 

 

 

アカネイアは己と並び立つ存在がないからこそ、その地位に安堵し、その立場を守ろうとする。

 

 

武力を使わない戦い方。

経済力や文化による圧力。

 

 

 

ゲレタは戦争(血を流す行為)を好まない。

出来る限り、それを避けようと努力する。

 

 

だが、それは抵抗しないという意味では決してない。

 

 

 

 

アカネイアが混乱している時にも、アカネイアを詰み切る為に全てを動かそう。

 

 

まだ見ぬ未来(しんてんち)へと至る為に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エリスルート完結記念の外伝

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