汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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カダイン放棄

 

 

それは近隣の国家であるアリティアとグラにとっては驚くべき事であった。

 

 

特にカダインの創設者のひとりである大賢者ガトー。かの人物によって国祖アンリを導かれたアリティアにとっては驚くと共に惜しむべき事だ。

 

 

カダインの魔道士達はそれぞれマケドニア、グラへ。アリティアにはウェンデルとその弟子エルレーン、そしてウェンデルに師事する事を望んだ若者マリクが向かった。

 

 

オレルアンはアカネイアに物理的にも心理的にも近い。

グルニアは逆に遠過ぎる。

 

マケドニアはグルニア以上に遠いものの、ガトーやミロア、そしてドルーアの要人となったガーネフならば転移の魔法を使える。

その為、距離の問題は解決出来ると言えよう。

 

 

本来、一番近いアリティアにこそカダインの魔道士が多く移住する事を望みそうなもの。

しかし、アリティアは国祖アンリの遺命からかアカネイアに対して好意的。 

 

となれば、アリティアを頼るのは憚られた。

ウェンデルがアリティアに移住を決めたのはアリティアの少年マリクの存在があったからであり、そうでなければウェンデルはマケドニアを選んだであろう。

ウェンデルの弟子エルレーンは師に従う事を選ぶのは不思議ではない。

 

が、逆にそこまでの理由がなければアリティアを選ぶ理由はないと言える。

 

 

故に人数で考えれば、マケドニア、グラ、アリティアの順になった。

 

 

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更にアリティアに移住したウェンデルとエルレーンの二人はあくまでもマリクに対する教導はするが、それ以上の事をするつもりはなく、ましてやアリティア王家に仕える選択肢はなかった。

確かにカダインを離れはしたが、二人はカダインの魔道士であり、他国へ移り住んだ仲間を売るつもりも敵対するつもりもなかったのだから。

 

 

マリクの親友であり、アリティア王子マルスの真摯な願いにより後にアリティアの防衛については力を振るう事を二人は了承したが。

 

 

グラに移り住んだ者達もグラを守る事については協力するとしたものの、他国への侵攻については手を貸したくない。と意思を示し、グラ王ジオルはこれを許した。

 

 

 

ジオルからすれば、貴重な魔道士を自国に置いたからと言ってそれだけでそこまでの変化とは言えないと見做していた。

 

魔道士と言えど、単騎運用が出来る程ではなく、侵攻時においては移動力もそこまで無く、その上体力も余り期待出来ない。

であれば、防衛の切り札とすべきであり、態々表に出す理由はなかった。

 

 

 

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コーネリアスはどう思うか知らないが、既にジオルはアカネイアを見放している。

 

今もアカネイアとの国交を維持しているのは、状況が許さないからに他ならぬ。

 

 

アリティアとは同盟を結んでいる。既にグラはアリティアの動きを牽制する為に兵を動かしていた。

 

コーネリアスもまたそれを警戒し、現在両国は同盟関係にありながら奇妙な緊張状態にある。

娘がやかましいが、ジオルからすれば取るに足らぬ事。

 

 

そもそもジオルは娘であるシーマに武器を持ってグラの為に戦って欲しいなどと願ってはいない。

と言うよりも、今のグラに倒すべき敵など居らず、いるとしても国内の賊程度のもの。

 

蝶よ花よ、などとは言わないが戦う為の力を求めるより、民を豊かにする為の政務能力(ちから)こそを求めて欲しいと願う。

 

 

何やら最近傭兵の男と交流しているらしいが、それをジオルは咎めるつもりはない。

 

 

アリティアとの関係を悪化させない限り、グラは安泰だ。

念の為に海沿いに砦を建設し、防衛力は強化している。

娘がどの様な人物を選ぶとしても、グラが安定している状態で引き継がせるつもりなのだから。

 

 

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正直なところ、アカネイアが騒がねば大陸は安寧を享受出来よう。しかも、各国の負担となっていたマケドニアへの支援も停止しているのだ。

 

まぁアカネイアの連中が一部を横領していただろうから、その者達は頭を抱えているだろうが、知った事ではない。

 

 

寧ろ、そう言った者達がマケドニア征伐を後押ししているのだろう。

何せ、自分達の懐が痛んでいるのだ。

必死にもなるだろう。

 

心底どうでも良い話ではあるが。

 

 

 

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同時刻、マケドニアの沿岸にゲレタとチキにモーゼス。マリアとレナの姿があった。

 

移動については、チキとゲレタの護衛を影からしている竜人族がその背中を貸す事で解決している。

 

 

言うまでもなく、チキはゲレタをその背に乗せ、マリアとレナについては竜人族の背に乗る事となった。

 

 

突如として始まった竜人族による真剣勝負。

竜人族達が己の握りしめた拳に何かを込め、そして振り下ろした。

 

 

 

「じゃんけん、ぽん!」

 

 

そう、ゲレタは平和的な解決法として、じゃんけんの概念をこの世界に持ち込んだのである。

 

何せ、彼等は強火のヲタクじみたところが見られ、それこそ何かあれば即殴り合いを始めてしまう。

 

しかも、竜化した上で。

 

 

 

ゲレタかチキが言葉で止めるか

或いはモーゼスが実力で制圧するかしないと中々に大変な事になる。

 

しかも彼等は魔力の扱いに長けている為、自身ならば回復する事が出来る。⋯正確には自然治癒能力を魔力でブーストする事であっさり回復しているのだが。

 

 

 

----

 

 

流石に竜化した竜人族による戦い(手加減あり)を毎日見るのはゲレタの精神的にも、チキの教育にも悪い。

 

そこでじゃんけんを導入し、平和的な解決を目指したと言える。

 

 

まぁ彼等は仮にもトーナメントを勝ち抜いた精鋭揃いだ。

理性的であり、尚且つ気遣いも出来る。

 

 

偶に暴走する事もあるが、まぁ愛嬌と受け止めるべきなのだろう。

 

 

火竜族と氷竜族の者は最近、チキに役割を取られた事から互いの威力を調節したブレスを合わせる事で水を発生させる特技を生み出したり、海に潜って大きな(竜化した竜人族基準)魚。

⋯魚かな?

 

を偶に素手で捕獲して火竜のブレスでこんがり焼いたり

と実にエンジョイしている。

 

 

「⋯野生化した地竜ならば、いけるか?」

 

と割とシャレにならない事を企んている者もいるが、概ね平和と言えよう。

 

 

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さて、そんなゲレタ達と愉快な竜人族がマケドニア海岸に来たのは勿論理由がある。

 

 

マケドニアの海岸の多くは切り立った崖であり、砂浜はそうなかった。

そこで、ゲレタは干潮つまり潮の満ち引きがあるのか確認し、マケドニアの国土の拡張が可能かどうかを見極めたいと願ったのである。

 

 

つまり、干拓事業の実効性の確認。

それが今回の目的である。

 

 

別に埋め立てるのであれば、マケドニア国内開発用の土砂を流用すれば良いのだが、それでは海洋汚染に繋がる恐れがあった。

仮に干潮があるのならば、堤防の働きを持つものを作るなりして囲う事で干拓地が確保出来よう。

 

干拓地においては、魚なども居るだろうからそれは食料として利用する。その上で土砂を投入、竜人族有志を募り地固めを行なう。

今のところ机上の空論でしかないが、これが実現出来るとなれば色々と役に立つ筈だ。

 

 

因みに、この大陸において海水浴の概念はなく、当然水着なども存在しないらしい。

 

 

泳ぎの下手なゲレタは内心安堵した。

 

 

覚醒の時代には水着があるとされていたが(DLC参照)、まっっっったくもって興味がない。

 

 

 

そんな事より海辺でバーベキューしたい

と思うのがゲレタという人間なのだから。

 

 

 

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マケドニア、ドルーア両国において生活に少しずつ余裕が生まれつつあった。

 

勿論、両国の民は現状に満足する事なく更に生活を豊かにするべく働き、両国の首脳部はその道筋を提示していた。

 

 

「自国の民を満たす事も出来ない国に何が出来ましょうか?

他国に活路を求め、満たせたとしてもそれは一時的なもの。自らの地盤を築かねばいつかその体制は崩壊しましょう。」

 

故にマケドニア、ドルーア両国はひとつの共同体として自給自足出来る体制を求めた。

カダインからの人員が流れてきた事により、魔法技術も産業に組み込まれる事となる。

 

 

魔道士に比べ竜人族が魔力の扱いに長じていると言う訳ではない。

が、(竜人族に比べて)少ない魔力を効率的に、効果的に使おうと魔法を追求した結果、魔道書や杖が生まれた。

 

 

----

 

 

 

魔力とは、それ単体では意味をなさない。

そこに方向性を持たせて初めてその効果を発揮するものなのだ。

 

 

しかし、竜族や竜人族に比べると魔力の少ないヒトとなると、その方向性を定める事にまで魔力を振り分ける事は難しい。

出来なくはないが、そうなると生まれ持った素養の話となり、魔力の少ない者では魔道士となれない事になる。

 

 

それは好ましい事と思えない。それでは魔道士の数が増える事なく、魔法自体が失われる可能性が高いのだから。

故に指向性を持たせた魔道書や杖が整備され、術者はそれに魔力を流す事で望む効果を発現出来た。

 

 

魔道士の求める技量とは、魔道書や杖に魔力を流しその効果を発現させるものとなった。

 

 

魔道書、杖共に高位のものとなればなる程にその効果は高いものとなる。

それは周囲に与える影響が増す事でもある為、レベルの高い魔道書や杖には相応のプロテクトとも言えるものが組み込まれた。

 

 

これはユグドラルの魔法と決定的に違うものであり、如何に良い血筋であろうとも、技量が伴わねば高位の魔法を行使する事は叶わない。

オーラなどの使い手を選ぶ魔法は、厳重に管理される事によりその力を無闇矢鱈に振り回す事の無い様にされている。

 

 

 

----

 

 

 

またカダインという魔法を学ぶ場があるからこそ、魔法の使い方は固定概念に縛られ、カダインの魔道士。という自負が魔法の使い方に制限をかける。

 

 

故に

 

 

「ものを温める?」

 

「温泉?」

 

 

カダインからマケドニアに移住してきたカダインの魔道士達はその魔法の使い方に困惑を隠せなかった。

 

 

 

 

カダインの魔道士リンダ。

彼女は父親であるミロアに連れられてマケドニアの地を踏む事となる。

 

 

周囲が砂漠に囲まれ、他所の地域との関わりの少ないカダイン出身の彼女にとって、マケドニアは驚く事ばかりだった。

 

 

----

 

 

 

マケドニアに入国して、リンダ達は最初にカダインより離れていたガーネフによる教育を受けた。

 

リンダや魔道士達は困惑したが

 

 

「此処は大陸の常識が通じぬところがある。

移住していきなり居場所を失いたくはあるまい?」

 

との事だった。

 

 

 

そして彼女達は知る事となる。

 

アカネイアの(つくられた)歴史

その真実を

 

 

 

 

エリスルート完結記念の外伝

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  • いらない
  • そろそろリンダルート書いて、どうぞ?
  • そんなことよりチキを出せ
  • その他
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