汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
カダインの魔道士リンダ。
彼女にとって、このマケドニアは未知だらけだった。
カダインではまず見る事のないマム⋯いや、竜人族。マケドニアの民は彼等とさも当たり前の様に同じ場所で作業をし、共に飯を食べ、時には竜化した竜人族がマケドニアの子供達と戯れる。
仮にも竜人族がヒトによって迫害されていたとは思えない様な長閑さだった。
「困惑するのは理解出来ぬでもない。
⋯だが、よく考えてみよ。お主らに竜人族が何かしたというのか?
カダインの創設者のひとり、我が師ガトーは元は竜人族だったのだぞ?」
ガーネフの言葉にリンダも含めた者達は唖然とする。
「実害を与えられたならばともかく、先入観のみで相手を判断する。
それが本当に正しいのか?」
しかし、カダインで陰を背負っていた頃とはまるで違うガーネフの言葉に誰も否定の声を上げる事は出来なかった。
ともあれ、マケドニアの現状を見て判断すべき。
との判断に皆落ち着く事となる。
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マケドニア国王ミシェイルとその右腕ある大臣ゲレタ。
二人はカダインから移住してきた魔道士達の戸惑いに理解を示す。
だが、その一方でゲレタは
「彼等を誘致した部分はありますので、暫くは働く事なく慣れるべきとは存じます。大陸と此方ではまるで違う部分は多くあります故。
なれど、いつまでもそれではマケドニアの民やマケドニアの地を開発している竜人族達に示しがつきませぬ。期限を定め、それでも受け入れぬのであれば別の地を選ばせるべきかと。」
と主張し、ミシェイルもその判断を是とした。
とは言え、環境的に恵まれているとは言えないカダインの者達。
多少カダインとやり方は違えど、それこそ一日で少しずつ変わりゆくマケドニアの大地と生活に順応していく事となる。
特に食事情については、カダインよりも多彩なものであり、魔道士達は食事の楽しみを覚えてしまう事となった。
特にマケドニアの山岳地帯や森林地域から狩猟され、供給される獣肉。
半島故に豊富な海産物。
そのどちらも砂漠のド真ん中にあるカダインでは滅多に食べられないもの。
仮に食べられたとしても、新鮮なものなど望むべくもない。
それらをふんだんに使った鍋や豪快に焼いたものを見て
「⋯本当にマケドニアは貧しかったのか?」
と複雑な思いを抱く事となったそうな。
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更に温泉などというカダインでは絶対に許されない贅沢。
それがマケドニア国内に点在しているとなると、魔道士達はマケドニアの民や竜人族が口を揃えて少し前まではなかった。と聞き、マケドニアの前途は明るいものであると確信した。
なお、場所によっては温泉自体が火竜族と氷竜族による連携、つまり炎のブレスと氷のブレスにより造られたものとの話をされ、頭の中を疑問符が乱舞したのは仕方のない事であったそうな。
因みにその温泉の管理人に立候補した者も出てきており、彼等は温泉に浸かりながらファイアーの魔法で温度調整をすると言う褒めるべきか、改めさせるべきか悩むやり方を編み出す事になる。
偶に風魔法で温泉内に波を作り、子供達を楽しませる者もいたとか何とか。
料理に目覚めた者も少なからずおり、彼等は自分達の魔法を使って楽しそうにしたという。
魔法の鍛錬と共に自分のしたい事を両立させる
ガーネフは、さもありなん。と納得顔だった。
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意外に思うだろうが、カダインの魔道士と竜人族は『魔力を使い貢献する』点においては共通していたが、衝突する事は一切なかった。
なにせ、竜人族達は海に出て漁に出る事も、山を切り拓く事も出来るのだ。
魔力を使う仕事を魔道士に取られたとて、別の形で貢献し国を更に発展させる事が自身の幸せにも通ずる事と知っていたのだから。
なお、理性を失った地竜を食べるべく竜人族の一部は頭を悩ませる事となり、地竜族の長であるメディウスは
「⋯気持ちは理解出来ぬ訳では無いが、もう少し考えよ。」
と怒れば良いのか、呆れるべきか悩んだそうな。
結論として、ヒトの前では決してやらない事を定めたらしい。
何せ
「理性を失って死ぬくらいならば、ヒトの血肉になった方が遥かに良いのではないか?」
という中々に狂った考えが一部であったくらいなのだから。
それに対して
「⋯いや、流石にそれは精神的にキツイと思うので勘弁してくれませんかね。」
とゲレタがとりなした事で収まっている。
この辺りは価値観の相違が如実に現れた形と言えるのかも知れない。
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なお、海産物の開拓即ち可食物の拡大に継いて、最近では竜人族が率先して行っており、万一の事態が起きない様に魔力の扱いに長けた竜人族による回復役を控えさせている。
「⋯そこまでして食べたいのか?」
とショーゼンは口にしたが
「食べられる物は多い方が良いに決まっておろうが。
選択肢が多ければ多い程、食の楽しみも増えると言うものだ。」
と言われ
「⋯⋯⋯確かに。」
と納得したそうな。
因みにゲレタの生国では毒のある魚ですら、代を重ね食べられる様になった。それどころか、その魚は一般人でも食べられる様になったと聞き
「その食に対する拘りは貴様を見れば良くわかるな。」
とショーゼンは納得している。
なおショーゼンは見てくれこそ悪いが、歯応えのある妙な生物を焼いて食べるのが密かな楽しみらしい。
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「皆それぞれ道を歩み始めた。」
「結構な事ではないか。
カダインは外界と隔離された場所であった。故にこそ、魔法の鍛錬に皆が励んでいたのだろう。
⋯でなくば、教会にああもあっさりと取り込まれるものか。」
移住した魔道士達のまとめ役を担うミロアと窓口であるガーネフ。二人は同胞達の事について話をしていた。
と言っても、魔道士達はマケドニアとドルーアのやり方に順応しつつあり、その表情は明るいもの。
カダインが魔道士の土地となったのは、その特異な立地にある。
そうガーネフは思う様になっていた。
何せカダインは他国との繋がりを殆ど持たず、その立地から外へ出るのは容易ではない。
となれば、カダインの価値観のみに縛られる事となり、結果魔法の腕こそが自らの存在証明となりつつあった。
カダイン以外ではアカネイアの価値観も影響を及ぼしていたが、その世界は広いものとはお世辞にも言えないだろう。
魔法があれば出来る事は格段に増える。
と言うのに、魔道士達はそれにすら思い至らなかった。
ある意味、力はあれど世界を知らず
だからこそ、教会に入った者は多くの誘惑に抗えず、魔法の技術を流出させた。
カダインの教えに背く事でありながら。
「カダインのやり方は確かに有効であったのだろう。
が、道はひとつではない。そんな当たり前の事すら目に映らなくなった。
それでは駄目なのだと。そう思えてならんのだ。」
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ガーネフはカダインでミロアと共に師ガトーの元で魔法を学んでいた。
ある時、ガーネフは師がミロアをカダインの指導者と定めている事を知った。
その時のガーネフは己がミロアに劣っていると思えず、であればこのままカダインで学び続けたとしても、己の心は決して良い方向へ向かわぬだろう。そう判断し、カダインを去った。
己の進んだ道、それにより手に入れた
道を間違え、魔道に堕ちれば其れ等は意味を無くすのではないか?
それが何よりも恐ろしく、そして耐え難かったのだ。
今となっては、その判断は間違いではなかったと
進むべき道は無数にあり、それを定めるのは己の意思なのだと確信しているが。
ドルーアでメディウスの補佐をする様になっても、心は晴れなかった。
満たされる事はなく、乾き切った心は何かを求め続けていた。
だが、マケドニア国王ミシェイルの腹心ゲレタ。
彼の者の在り方をまざまざと見せつけられて、何がが見えた気がしたのだ。
今となっては、竜人族と共に民の為に魔法を如何に活用出来るか?
共に意見を出し合い、充実した日々を送れる様になっている。
目を開き、世界を拡げるのも
目を閉じ、世界を閉じすのも
それはその者の意識次第なのだと
ガーネフはカダインの同胞達にも知って欲しいと願うのだ。
「⋯それがお主のこの地で得たものなのか。」
ガーネフの言葉と目の輝きを見たミロアは感慨深そうに呟いた。
⋯どうやら、この地で自分達は新たな学びを得るのだろう。
そう思い
「⋯⋯ああ、楽しみだ。」
ミロアは笑った。
閉鎖的で過去に縋るアカネイア
開放的で未来に向けて歩むマケドニアとドルーア。
ミロアの目にはどう見えるのだろうか。
ハーメルンの表示設定をいつの間にか変えたらしく、難儀しております。
まさかポケットに入れて買い物を済ませたらこうなるなんて
というわけで筆が遅くなる上に、クオリティが今まで以上に下がるやも知れません
エリスルート完結記念の外伝
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いる
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いらない
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そろそろリンダルート書いて、どうぞ?
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そんなことよりチキを出せ
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その他