汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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出来ちゃった


なので何も考えず投下する


 道の途中

「…むう、どうしてもですか?」

 

「どうしても、だ」

チキとゲレタは互いに主張を譲る気はなかった

 

 

たとえ親の様に慕っている相手だとしても

たとえ自分を親の様に慕っている者だとしても

 

 

これは譲れない

譲ってはならない

 

「なら」

 

「やむを得ないな」

2人はお互いを見据え

 

 

「2人とも、ご飯が出来たからそれくらいにしておきなさいよ?」

 

 

「飯の時間だ、チキ」

 

ノーサイド(次回に持ち越し)、ですね」

 

リンダの声にゲレタとチキは笑い合うと手を繋いでリンダの元へ向かった

 

 

 

此処は以前ゲレタとリンダが山賊を討伐した事で家を貰った山奥の村

 

 

グラの事で面倒事を嫌った3人は家族として仲良く生活していたのである

 

 

 

 

----

 

 

 

予定ならば、チキを連れて大陸中を旅しようと思っていたのだが

立ち寄った街で

 

「グラ王国軍がドルーア軍を撃破した」

との噂を耳にした

 

グラ王国軍云々はどうでも良かったが、問題は再度のグラ侵攻を可能な限り遅らせる為にはこの情報を秘匿する必要がある筈

 

 

何せこの時代における国家の面子とは非常に重要視されるものであり、ましてや大陸全土征服を目指している(と思われているのだが)ドルーア帝国にとってはたかが小国程度の軍備しか持たないグラに敗北したとなると問題になるだろう事は間違いなかった

 

となれば、間違いなくドルーアは再度の兵を起こすだろう

 

 

そして気になるのがマルス達アリティア軍の動きがまだ見られない事だ。何せアカネイア解放の立役者

如何にマルス達が隠そうとしても、間違いなくその動きは大陸中を駆け巡る事になる

 

 

何せ大衆というのは勝手に期待し、勝手に絶望するわ

歓喜の声を挙げて受け入れたとしても、あっさり掌を返して被害者ヅラをするのが常

 

常に個ではなく、集団の中の1人となる事で自身の身を守る

 

 

これもまた処世術なのだろう

 

 

 

従って、マスメディアの発達が見られないこのアカネイア大陸においても意外と情報の伝達速度は早い

 

古来より伝わる口コミもそうだが、一部の層

特に商人などは如何にして正確な情報を集めるのか?に腐心するものだ

 

 

そして一部の者は、自身の力を誇示せんとそれらの情報を拡散させる

 

 

 

その辺りを考えると、明らかにマルス達はアカネイアから動いていないのだろう

 

…いや、別に良いんだけどさ?

アリティア(祖国)解放せんでよろしいので?

 

と思わなくもない

 

 

…まぁ、エリスは結果的に助けた(なお彼女の購入資金についてはマルス王子から支払われている)訳だが、それで良いのだろうか?

と思ってしまう

 

 

……いかんな

余計な事に気を回すのは俺の悪い癖だ

 

 

 

 

村の人達は突然戻った俺達を歓迎してくれた

チキについても、俺とリンダの子供という扱いに落ち着いたのだが

 

 

髪の色全然違うやん!

と思った俺は悪くないと思う

 

俺は黒

リンダは栗色

で、チキは緑

 

見事にバラバラ

 

…まぁ彼等なりの歓迎なのは分かるのだが

 

 

「…お父さん?」

俺を見て

 

「…お母さん?」

リンダを見て

そう不安そうに言うチキの姿を見て、それを否定出来るはずもない

 

 

 

出来ると言う者がいるなら出てくると良い

多分あの時の精神状態ならば、マムクートの1人や2人程度なら俺1人でも殺せるだろう

 

そう思える程度にはチキを守ろうと思った

 

 

なので

 

 

「…血は繋がらなくとも親子にはなれるもんだ」

 

「ふふっ、そうね

なら私はチキのお母さんかしら?」

と俺とリンダが言うのはごく自然な事だろう

 

 

「……っ!

お父さん!お母さん!」

俺達の答えを待っていたのだろう

不安だったのだと分かる程に表情を暗くしていたチキは俺達の言葉に感極まったのか涙を浮かべて飛びついて来た

 

 

 

「…若いのう」

 

「血は繋がらなくとも家族、か

そうだよな」

 

「これでこの村もまた1人住人が増えたって訳だ

良い事じゃねぇか」

 

 

あのなぁ

聞こえてるっての

 

そう俺は苦笑しながら、涙を浮かべながらも笑顔の娘を抱きしめた

 

 

 

----

 

 

 

 

夢の様だった

初めて会った時、抱きしめてもらえた

 

それだけでも夢心地だった

 

 

…でも、違う

 

 

「…しっかし、村長が言うには山賊はまだ居るらしいな

全く同じ山賊として恥ずかしいもんだ」

 

「本当に減らないわね

…また討伐した方が良いのかな?」

 

「何度も何度も潰すのは面倒だ

村の人達の負担も馬鹿にならん。…が、やらにゃならんか」

 

お父さんとお母さんは難しい顔をして話をしている

私はお父さんの膝の上に座って話を聞く

 

 

話に加わらなくても、こうしてお父さんの温もりを感じられる

 

…あの時とも、バヌトゥと一緒に生活していた時とも違う

 

 

心が弾む

つい笑顔が溢れる

お父さんは時々、私の頭を撫でてくれる

 

 

撫でにくいと思い、私はいつもしている装飾品を外す

 

 

お父さんは元山賊と言うが、山賊のイメージとはまるで違うとお母さんは笑う

 

斧を振り回す訳でもない(得意ではないだけで使えなくはない。…薪割りは出来る)し、どちらかと言うとお母さんみたい(というよりも普通に魔道士である)

魔力はそこまでないと言っているけど、その使い方はカダイン?と言う場所で魔法を学んだお母さんでも初めの頃は唖然としていたらしい

 

 

??

 

お母さんにお父さんと同じ事は出来ないのって聞いたら

 

「…無理かな

あれはゲレタ専用の戦い方と言って間違いないわ

と言うよりも、あんな戦い方をされたら私達の様な魔道士以外常に命の危険に晒されるわ」

と言っていた

 

 

つまりお父さんは凄い!

そういう事だ

 

 

 

私はお父さんが凄い人だって喜んだ

 

 

 

 

----

 

 

 

 

 

「…ペガサスが?」

 

「うむ

村の者が北の山に落ちたと言っておった」

 

 

 

ゲレタはある日、村長に話があると呼ばれていた

 

この村においてゲレタの立ち位置は山賊のアジトへの対処や狼や猪などの野生動物の狩りである

特にゲレタのやり方ならば、獲物に必要以上の傷を負わせる事がない為村人達からも好評だ

 

何せ狩りをしていた者達は命の危険があったし、彼等は狩りが本業ではない

 

 

その為、村の守備は今まで通り村の若者達とリンダが

村の外に関してはゲレタとチキが

 

それぞれ担当している

 

 

ゲレタとしては愛娘であるチキを連れて行くのはどうかと思ったのだが、単純な戦闘能力を考えれば彼女は適任と言える

 

そして何よりも、本人が一緒に行きたいと主張していたのだから

 

 

 

 

「…しかし一騎ではなく二騎とは」

 

「ゲレタ君達がこの村を出てしばらくして、北の山の方にそれなりの規模の山賊達が住み着いたらしいのだ」

 

「…面倒な事になりますね」

 

「うむ」

 

村長の話を聞いたゲレタはすぐに北の山へと向かう事となる

 

 

 

 

----

 

 

 

 

 

「…カチュア、無事、かしら?」

 

「なんとか」

 

北の山で撃ち落とされたのはマケドニア白騎士団のパオラとカチュア

 

 

彼女達はミネルバがディール要塞でアリティアに降った事を聞き、彼女に合流するべくマケドニアを飛び出した

 

 

が、国王であるミシェイルはこれ以上の離脱者を出す事はドルーアを刺激するものとして2人に対して追撃命令を出すしかない

 

(せめて、子飼いの部下くらいは連れて行ってやれなかったのか?

…あの愚か者が)

 

ミシェイルとしては最悪、ミネルバとマリアがアリティアのマルスに降った事でマケドニアの血が絶える事は無くなったと安堵もしていた

 

 

ミシェイルとしては形ばかりの追撃にとどめる様に指示したのだが、今なおマケドニアの為に必死になっているミシェイルを裏切る行動に対して追撃部隊の者達は激怒

命こそ奪わなかったが、2人に手傷を負わせている

 

 

何せミネルバの元へ行くというならば、それは明確な裏切りである

 

 

甘さなどその道を征くならば捨ててしまえ

 

というある種の助言でもあった

 

 

 

そして、何とか2人は追撃を振り切りアカネイアへと向かう事としたのだ

しかし、2人の負った傷は決して軽微なものとは言えず、更にミネルバや逸れてしまった末妹エストの事が気掛かり

 

その油断を山賊に突かれ、撃ち落とされたのである

 

 

幸いにも、彼女達の愛馬は怪我を負ったものの何とか命は無事だった。

しかし、パオラは追手との戦闘で深手を負ったところに、落下によるダメージも加わり重傷、カチュアもまた決して軽くない傷を受けていた

 

 

だが、彼女達は急いでこの場を離れねばならない

 

先程の攻撃は間違いなく自分達を狙った攻撃だった

ならば当然その者達は自分達を狙ってやってくるのだから

 

 

「…姉さん、立てる?」

 

「ええ、何とか

…急ぎましょう」

2人の愛馬も直ぐに飛び立てるだけの余力はない

 

カチュアとパオラは愛馬を連れてその場を離れた

 

 

 




という訳でペガサス三姉妹(1人欠員)のエントリーだ!


何で出したのかって?


私が好きだからです!

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