汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
投下しますのよ!
出来については保証外ですのよ!
雑兵はこんらんしている!
「急げ!まだ遠くに行ってねぇ筈だ!」
山賊の頭領はそう部下達を急かす
偶々だった
動きの鈍い天馬騎士が自分達の縄張りの上を飛んでいたのを見つけたのは
ペガサスナイト
それは天馬、ペガサスを駆り天を駆ける騎士
その多くはマケドニア出身であり、ペガサスに騎乗できるのは女だけ
マケドニア以外で殆ど見られないペガサスにそれを操る騎士
金にならない訳がなかった
男はすぐに弓に長けた者を呼び、ほぼ同時に撃ち落とさせた
片方ずつ撃ち落とすのが最も安全ではあったが、その場合無事な方が逃げる可能性もあると考えたから
そして、遠目に見えた女騎士は上玉に見えた
彼等山賊とて、ただ略奪して過ごす訳ではない
大抵その山賊が奪った戦利品を買い取る者がいる
当然おおよそ真っ当な人間ではなく、そんな人間のしている商売が真っ当な筈もなかった
余談となるが、この様な山賊と結びついている商人を辿ると、大抵国の貴族にぶち当たる
彼等は奴隷を欲し、商人達は自分の立場の安全を望み、山賊達は武器や食糧を求める
何とも嫌な関係であるが、この手の事は特にアカネイアでは横行していたりする
貴族やその私兵がやると大問題となるが、間に商人を挟む事で自分達の安全を確保しつつ我欲を満たす
控え目に言っても畜生の所業であった
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そして、大陸最大の国家であるアカネイアは奴隷について放置している。放置するという事は黙認に等しく、故に大陸各地では戦闘により敗走した兵士達を狙う民もいる
苦しさから逃れる為に他者を犠牲にする
悍ましい話であるが、それが大陸の現実なのだ
カシムの様に心優しい者を騙すかの様な行為は悪徳とは言えない
そうせねば生きていけない程に困窮している民が多いのだから
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その点で言えばタリス王国は唯一無二の例外であると言えるだろう
まだ国として若いタリス王国
現国王が初代国王であり、彼は自ら武器を手に周辺の部族を従えタリス王国を建国した傑物である
その為、タリスの国の中枢にある者も民に近い価値観を持っている
故に国民が苦しめば即座に対処に向かうだけの身軽さがある
奴隷なんて出る幕はないのだ
逆に貧富の差が途方もなく大きい我らが(腐敗した)アカネイア
貴族の腐敗は官僚組織の腐敗へも及び、まるで三國志の後漢もビックリなレベルでの腐り具合
しかし、無駄に国が大きく曲がりなりにも大陸の中心的な存在故に幹が傾いても他の
…その自覚があるかは甚だ疑問ではあるが
唯一の取り柄はこのアカネイア大陸にある国家の祖ともいえる事くらいだろう
…それも正しい歴史を知らないが故の事であるのだが
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とは言え、流石に2人とも奴隷とするのは勿体無いとも山賊の頭領は考えている
1人は売り払い、1人は使う
そしてペガサスは二頭とも売り払えばかなりの額になるだろう
南の山にある村
出来るならば、あの村を襲い様々なものを調達したいと思っている
そしていつか
この付近全てを支配する山賊団の頭領として君臨したいとも
その為には
「何ぐずぐずしてやがる!
間違いなく深手を負っている筈だ、探せ!」
まずはアレらを手に入れねばならない
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「全く、なってない奴らだ」
「お父さん、凄い」
ゲレタは相変わらずの手際で捜索していた山賊を少しずつ刈り取っていた
そんな事をしているゲレタの事を目を輝かせてチキは見ている
「凄かねぇっての
こんな外道に憧れるとかお父さんチキの将来が心配なんだが」
そう苦笑いしながらも、チキの頭を撫でるゲレタ
「んで、その天馬騎士はあっちか?」
「うん。緑色の髪のお姉さんの怪我が酷いみたいで、青色の髪のお姉さんがペガサス2人を連れているよ」
その
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んん?
緑と青の髪でペガサスぅ?
…え、まさかとは思うけどあの2人なん?
待て待て待て待て
もしそうだとしたら、なんで此処に居るん!?
パオラさんとカチュアさんや
パオラ、カチュア
そしていつも登場が遅くてやきもきする末妹のエスト
シリーズ恒例とのちになった
因みにSFCの聖戦の系譜ではまさかの敵ユニット専用として猛威を振るう事になる
割と単体でも倒しづらいのに、3人まとめてかかってくるんじゃない!
なお個人的には終章におけるファルコンナイト三姉妹はとても、ヤバかったので許さない
移動力をレッグリングで強化して、聖戦のシステムは戦闘後に余った移動力で離脱も出来る。ヒットアンドアウェイをするんじゃない!
しかも武器は大地の剣(光魔法であるリザイアの効果持ち)の上に必殺スキル持ちとかさぁ
しかも手こずっていると、
十二魔将よりも、その前のイシュタル率いる部隊の方が強かったやんけぇ!
と個人的には思う次第
余程ユリアの成長をさせていなければナーガ(光魔法の神器的なもの)によるゴリ押しで勝てる(なお勝てない場合は地獄の様な難易度になる模様)
話を戻そう
パオラ達3人は成長率も高い事とゲームでは稀少な飛行ユニットである事から使用したプレイヤーも多いのではないだろうか?
上振れれば、ステータスの2つくらいは限界値まで成長する彼女達
しかし、確か一部での加入時期はミネルバよりも遅かった様な?
ん?
もう朧げな記憶しかないけど、確かグラで仲間になった様な?
アカンやん!グラにマルス達行ってないよね!?
え?て事はシーダとミネルバしかおらんの?
ヤバくね?
ゲレタは思いの外マルス達がヤバいのではないか?
と思い内心冷や汗をかく事になる
何せ魔力砲となるリンダ
お助けキャラとなるチキはこちらにいる
…まぁ今更離せと言われても離すつもりはないが
一応エリスはマルス達と合流しているので、マリクのやる気は上がっていると思いたいが
これに加えてパオラとカチュアも此処にいるとなると
マケドニアとの戦闘かなり不利じゃなかろうか?
と思ってしまう
「お父さん?」
そんな取り止めもない思考を娘の言葉が断ち切った
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カチュアは圧倒的不利な自分達の状況にも何とか抗おうと必死だった
姉であるパオラは意識こそあるが、戦闘など出来る状態ではない
となれば、自分が姉を守らねばならない
だが、しかし自分と姉を同時に撃ち落としたのだから相手は最低でも2人
しかも相手は弓を使うだろう
そして、それは自分達にとっては最高の話でありこの様な山奥で2人が偶々自分達を見つけて、それを撃ち落とした
などと考えるのは流石に都合が良すぎるだろう
ほぼ間違いなく、相手は複数人いる
そして、捕らえられればきっと碌な目に遭わないだろう
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マケドニアの主要産業とも言える傭兵業
だが、経験の浅い天馬騎士は傭兵として国外に出る事を禁じられている
これは現在の国王であるミシェイルがまだ王子であった頃に父へと進言し、なんとか定めたもの
元々ペガサスの個体数はそこまで多くない上に、ペガサスと心を通わせペガサスナイトとして活躍できる者も少ない
騎竜の場合はある程度ではあるが戦力化するやり方が確立しているが、ペガサスについてはペガサス自体が臆病な性格もあり難航しているのが実情だ
更にペガサスと心を通わせられるのは女性
ほぼ年頃の娘である事もあり、傭兵として実績を上げる前に戦場などで命などを失う事が多い
マケドニアの王であるミシェイルのみが知っている事であるが、傭兵として大陸全土で活躍しているペガサスナイトのうち、少なくない者が奴隷となっている
依頼主がその美しさと気高さに執着し、おおよそ真っ当とは言えない手段で堕とされるのだ
故にこそ、ミシェイルはペガサスナイトを他国へ派遣するのを好ましく思っていない
今回のパオラとカチュアについては、2人はミネルバの元で白騎士団として活躍している実績があるから放逐する事としたのであって、未熟ならば本人達の意思など関係なくマケドニアに連れ戻しただろう
ミネルバについてはミシェイルはそうなったとしても、己の責任であるとして心は痛めるだろうが受け入れる事を覚悟している
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そして
「いたぞ!」
「へっ、綺麗な姉ちゃんじゃねぇか」
「囲め囲め!」
カチュアはついに山賊達に見つかってしまう
…そう、カチュアだけ
「姉さんは此処にいて
私が何とかするから」
「だ、駄目よカチュア
私を置いて、逃げて」
カチュアは姉を見捨てるつもりはない
自分やエストをいつも見守り、助けてくれた優しい姉
天馬騎士を目指す自分やエスト
最初は物凄く反対されたが、最後には協力してくれた
そんな姉を見捨てて逃げるなんて、カチュアには無理なのだ
「…あなた達も姉さんと一緒にいて」
カチュアは姉の愛馬と自身の愛馬を優しく撫でると
「姉さん、お願い
生きて」
そうパオラ達を洞窟の中に残して、山の中を駆けた
「カチュア、どうして」
姉の悲しそうな声を聞こえないふりをしながら
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そして、洞窟からそれなりに離れた場所で対峙する
仮にも天馬騎士として活躍したのだ
例え愛馬がいなくとも、姉や妹が居なくともっ!
そう槍を構えた
だが、彼女は知らなかった
彼女のしているものと、目の前の男達のしている事は
同じ様で決定的に違うものだという事を
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「カチュア、どうして?」
洞窟に自身の愛馬と妹の愛馬と共に残されたパオラは何度も立ちあがろうとした
だが
「っっ!」
激しい全身の痛みがそれを許さない
彼女は落下する時、このままでは自身の愛馬の命はないと思い
わざと木にぶつける事でその衝撃を弱めたのだ
その代償に自身の身体を強く打ち付けてしまい、こうして身動きの取れない事になっている
情けなかった
愛する妹を守れない自分が
苦しかった
何故自分がカチュアの代わりとなれないのか
意識の混濁する彼女に
「…マジかよ
重傷じゃねぇか。…チキ、傷薬を!」
そんな声が聞こえた
「…お願いします
妹を……カチュアを
……助けて」
なんとも情けない事だろう
自分を助けてくれようとしている人に妹を助けて欲しいなどと懇願するなど
…だが、もう時間はないのだ
涙まじりの震える声でパオラは目の前の人物に何とか意識を繋ぎ止めながら頼み込む
「……私は、どうなっても構わない
…だから、妹だけは」
こんな自分で良ければ幾らでも差し出そう
命をかけて報いろと言うならばこの人生全てを差し出そう
だから、妹を
「…はぁ
チキ、応急処置は出来るな?」
「うん、お母さんに習った!」
薄れゆく意識の中で
「まぁ後で色々あるとは思うが任せておけ」
そんな声が聞こえた気がした
という訳で次回に続きます
なお、目の病気(緑内障、白内障と難病)が発覚したので次回更新についてはいつになるか不明となります
いやぁ、キツいっすわ