汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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守ったら負ける!
攻めろ


という事です


 暗澹たるもの

突然だが、アカネイア大陸における国家や軍の主な情報伝達手段は伝令などによるものだ

 

伝馬制

つまり拠点を各地に作り、そこに伝令兵などを常駐させ他の拠点から来た情報を速やかに伝令兵がまた別の拠点に伝える

ある意味では伝言ゲームともいえるシステムは大陸には存在しない

 

 

各地に拠点となる城があり、そこの拠点主が各自の判断で伝令を出す事はあるだろうが、明確にその様な概念や制度は存在していないのだ

 

 

仮にパレスにおいて、変事があった際パレスから各地に対して伝令を送るのだが、この伝令は状況次第では幾つもの拠点を回る必要も偶に出てくる

 

 

伝令と言えば大した事はないと思われるかも知れないが、それは全くの誤解。敵に狙われる事もあるだろうし、単騎となれば山賊なども牙を剥く事もあり得る

 

その為、伝令兵というのは単騎である程度の実力を持たねばならない

しかも、騎乗している騎馬の疲労も考慮せねばならない事や秘匿情報であったりするとその伝令兵のみしか知らされない

知られてはならない様な内容である事も

 

 

そして、山地や森林などを無視できる飛行兵とも言える天馬騎士や竜騎士はほぼマケドニア所属

 

他の国家は騎士を派遣しても、各地の地形条件に左右されたり軍団相手となると、その居場所の特定は決して容易ではない

 

 

 

その為

 

 

「この状況でドルーアが再度侵攻するか!」

 

マルス達アリティア軍をグラへの援軍として出しているアカネイア軍は危機的状況に立たされる事となった

 

 

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アカネイア貴族達はマルス達を出来るだけアカネイアから遠ざけたかった

と言うのも、ニーナ(神輿)を此処まで連れて来た事で彼女はどうしてもマルスを頼ろうとする可能性が高い

 

実際、彼女の周囲は廷臣が固めており、彼等は常にアカネイアの状況を彼女へと伝えていた

言うまでもなく、自分達にとって都合の良い情報か否かを取捨選択した上で、だ

 

 

しかし、どうにも廷臣達はニーナがマルスを頼りにしていると朧げながらに理解していた

彼等としても、まだ若く(政治的な面において)未熟なマルスであればニーナの夫として迎えるのは諸手を挙げて賛同しよう

 

なんなら、アリティアをアカネイア最大の同盟国として優遇する事も選択肢に入る位だ

 

 

シーダ達に対するアカネイア貴族達による縁談

これは勿論、ほぼ不可能であると理解していたが万が一にも成功すれば良しと考えていたのだ

 

最大の目標はシーダ

彼女とアカネイア貴族による婚姻はアカネイア(中央)と比較的疎遠であるタリス王国との関係強化に繋がり、それと同時にマルスの婚約者という縛りがなくなる事によりニーナとの婚姻も話として進めやすくなる

そう考えたが故の事

 

 

幸いにもアリティアの王族にはマルスの姉であるエリスがいるのだ

であれば、アリティアの次期国王がマルスである理由はそこまでない。年齢的な事を考えれば、エリスの伴侶がアリティア国王になるか、或いは女王として即位したエリスを王配として支えれば良い

 

とも考えていたのだ

 

 

 

まことにもって、アカネイアにとって都合の良い考え方であろう。しかし、少なくともドルーア帝国によるアカネイアの衰退(滅亡とはアカネイア貴族達は絶対に認めない為)前はこの傲慢極まるやり方が罷り通っていたのも事実なのだ

 

 

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グラ救援に向かわせたマルス達であったが、グラ救援の為にマルス率いるアリティア軍全てを動員する必要はないのでは?と新設された(再建中)アカネイア軍の将軍はマルス達に働きかけ、元アカネイア軍の人間についてはアカネイアに残す事を認めさせた

 

本来ならば、アリティア軍の中でも前線に出ない者達をアカネイアに残させたかったが、流石にそれはマルスも認めない

 

 

再建中であるが故に、アカネイア軍の練度はお寒い限りであり、また兵達の士気も低いまま

何せ、アカネイア国民にとってドルーアの支配から解放してくれたのは、マルス達アリティア軍。我先にと逃げ出したアカネイア貴族や事情はどうあれ潜伏していたジョルジュ、パレス内に捕まっていたミディア達に対して好意的とはいえなかった事もある

 

 

仮にアカネイア王家や貴族、軍が国民を守る為に戦い、壊滅したのならば国民もその再建に力を貸すだろう

 

だが、実際には王家や貴族達(市民目線から見るとそう見えた)の為に戦い、そして敗れドルーアの圧政(と言うよりも、メディウスやガーネフとしては興味がなかった為)に抗わなかった

ならば

 

 

なんで俺達が命をかけなきゃならん?

 

と考えるのも已むを得ない話ではないだろうか?

 

 

 

加えて、アカネイアの財政は火の車であり軍の再建における費用は貴族達の資金によるもの

 

…さて、自分達の為に金を使う事は惜しまないが王家の為に金を出す事すら厭う彼等アカネイア貴族達

 

 

彼等が果たして徴用した平民達に充分な給金を支払うだろうか?

勿論、否

 

彼等からすれば平民など幾らでも使い捨てて構わない存在でしかない

 

 

 

 

それ故に徴用された兵士達の士気が上がるはずもなかったのだ

 

 

 

 

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現在のアカネイア軍において、騎士つまり騎馬に騎乗するソシアルナイトを統率出来るのはミディアのみ

しかし、彼女はドルーアにより捕まってマルス達がパレス解放戦の最中に助けられている

 

故にその実力は疑問視されていた

 

 

弓兵隊を率いるジョルジュ

彼は大陸一の弓使いと名高い人物であるが、彼が率いていた弓兵隊はドルーア侵攻時に壊滅

相手の弱点や急所を狙う事で効果的な運用が出来る弓兵。それ故にその練成にも相応の時間を必要とする

 

しかも、彼はアカネイア軍再建の為にラングらと協力しながらニーナの立場をより高めねばならないとして、ニーナを軽視する貴族達への対策も講じねばならなかった

結果、自身の部下となる者達に対する教導の時間がなかなか取れず、ミディアと共に捕らえられていたトーマスも努力したが、彼の率いる弓兵隊の練度は微妙となってしまう

 

 

 

トムスとミシェランがまとめていた重騎士隊もやはり変わらない

1番戦力となるであろうラングはアカネイア軍の再建や各方面との折衝。これに加えてマルス達アリティア軍に対してのアカネイア貴族達による圧力に対する防波堤となっていた

その為、調練に参加する事はまず不可能である

 

 

 

 

ゲームにおいては、能力値(ステータス)は上昇する事はあっても、減少する事はない

 

しかし、現実問題として実戦から遠ざかり鍛錬を怠ってしまえば当然その者の実力は低下する

所謂実戦経験というものが重視されるのは、どうしても命をかけた戦いとなれば生存本能を刺激する為に、訓練よりも高いパフォーマンスを発揮しやすいからだ

 

 

某元人斬りも

 

「生きる意志は何よりも強い」

と言っている

 

 

とは言え、それには死に逃げないだけの精神力が伴わねばならないのもまた事実なのだが

 

 

 

 

 

 

その様な事もあり、ドルーアによる再度のアカネイア侵攻

これは文字通り、安寧を貪ろうとしていたアカネイア貴族達に再度の決断を迫るものとなった

 

 

 

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「…マルス王子達に知らせた。……が、間に合うまいな」

 

「そうだな。何せ伝令役を確実に遂行出来るだけの騎士がいない」

ラングとジョルジュは何とか時間を捻出して話し合いの場を設けていた

 

 

何せ、アカネイア軍の再建には賛成するものの

 

 

「金を出させるならば、口も出させろ」

 

と喚く貴族達が多すぎた

言っている事は正論だが、彼等が求めているのは軍の指揮権或いは自身の親族や一族などの息のかかった者達を騎士に取り立てて、それなりの地位に就けろ

というものなのだから、到底受け入れる訳にはいかなかった

 

 

アカネイア軍屈指の練度を誇っていたジョルジュの弓兵隊は彼がそれなりの地位にある事も手伝って、その辺の横槍を防げたからこそ意識の高い兵士を集められた

という背景もある

 

 

それでもラングやジョルジュはそれらの事を跳ね除けるだけの地位や立場、実績を持っていた。ラングの場合はそれに加えて、彼に味方する者もいた

 

 

ニーナ派とも言うべきジョルジュやミディア

2人は兵士達からは慕われているが、その反面貴族達からのウケは良くない

 

特にまだ政治や駆け引きに対して悪感情を持っているミディアはその傾向が強かった

 

 

 

その為、貴族達からのミディアに対する反発もまたかなりのものがあったのである

 

 

 

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そこには何もない

 

 

焦土となった大地を彼等は征く

 

 

 

邪魔する者全てを悉く灰塵と

全てを凍り付かせ、そして踏み砕き

ただ、全てを蹂躙せん

 

 

 

 

刮目せよ

 

 

罪深きヒトよ

 

 

我等は竜

この大陸の旧きものにして

 

 

大陸の支配者也

 

 

 

 

 

 

 

脅威が、迫る

 

 

 

 

 

 

 

 




貴重なアカネイアパート

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