汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
雑兵にセンスを求めてはいけない(n敗)
マケドニア王国王女ミネルバとマリアの2人は元山賊であるゲレタとその妻リンダ。その2人の娘であるチキの案内のもと、パオラとカチュアの療養している山奥への村へと急いでいた
アンナとサムトーとはパレス最寄りの街で別れているが、さしてゲレタ達は気にしていない
正直、ゲレタはともかくとしてリンダとチキはアンナを好ましく思っていないし、ゲレタはサムトーに対してあまり良い感情を抱いていないからだ
更に言えば、リンダはミネルバの事をどちらかと言えば理解したくない人物と見ていたし、ミネルバは自身の飛竜が明らかにチキとゲレタを恐れている様子に内心首を傾げていた
勿論、ミネルバもゲレタの話は聞いているのだが違和感は拭えない
因みにミネルバの飛竜の内心はこうなっている
…いやホントやめて下さい。死にますから
確かに貴女の飛竜ですよ、私は。でもね?出来る事と出来ない事があるってご存知ない?飛竜がマジモンの竜に勝てるとお思いで?まだ飛竜の群れに突っ込めと言われる方がマシなんですよ。…あとそこのフードを被った男
どう見てもヤバい雰囲気纏っているってお分かりでない?………魔道士じゃないなら分からないかー。妹様なら、お分かりに
………なられないかぁー
というか、ドラゴンの娘さんこっちを見てニッコリ笑うのやめてくれませんか?飛竜だって心はあるんですよ!
こんな感じである
余談となるが、パオラとカチュアのペガサスに会って情報交換をしていた時に漸く何故ドラゴンの娘があんな態度を取ったのか理解した彼女は
盛大にキレた
それはもう余計な事をしてくれやがったペガサスを食い殺してやらんばかりに
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まぁ彼女の心境はさておいて、その様な理由から張り詰めた空気が5人の間に流れていた
「…あの、ゲレタさん
パオラとカチュアを助けてくれてありがとう」
そんな空気を変えようと
そして、素直にお礼を言いたかったマリアはやっとそれを口に出来た
「とは言ってもなぁ。あれだけ重傷を負っていたら、流石に山賊相手でも勝てなかっただろうし
お礼は寧ろ、それを知らせてくれた村の人達に言うべきだと思うんだが」
とゲレタは苦笑する
公的な場であったり、人目を気にする時ならばそれなりの態度を取るのだがゲレタ自身、そういう事を好んでする人物ではないのだ
「…しかし、かなり歩いたと思うのだが山賊に出くわす事はないな」
「飛竜を連れている貴女がいるのに、仕掛けてくる程彼等も抜けてはいませんよ
勿論、貴女方が重傷を負っていたりすれば話は変わりますが」
ミネルバの疑問にゲレタは笑って答える
「…そう言えば、あなたとまだ出会ったばかりの時は良く狙われたわね」
「お父さんとお母さんを狙うとか、新手の自殺志願者ですか?」
リンダが少し懐かしそうに呟くとチキは呆れた様に息を吐く
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山賊や盗賊といった者達は行き場を無くした者達の行き着く先の1つ
彼等は生きる為に奪う事を決めた無法者の集まりなのだ
故に彼等は騎士や強そうな相手には襲いかからない。自分達が死ぬ可能性が高いからだ
気を付けねばならないのは、山賊と海賊ではその危険度が全く異なる事だ
山賊は小さな集団が多い
しかし、海賊はそれなりの規模の集団を形成する事が多い
何せ海賊ともなれば、船が必要となる上に襲撃するにも人手が必要となるし、略奪するにも時間をかけられないから人手がいる
船の整備なども考えると山賊程、気軽に出来るものでは無いのだ
それ故に危険性も高く、正規軍を投入せねば討伐出来ない事も起きる
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「2人が狙われたのは希少価値の高いペガサスナイトであった事や落下による負傷が酷いと見られたからでしょうね
何せ奴隷市場がアカネイアにある位ですから、どうなるかは言わずともお分かりかと」
「…それで兄上はペガサスナイトの国外派遣を良しとしなかったのか」
ミネルバはゲレタの話を聞いて、漸く兄の真意の1つを知る事が出来た。…妹であるマリアにはあまり聞かせたくは無い話だが、知らなければならないのだろう
「妻のリンダも何度となく人攫いに遭いそうになりました
残念ではありますが、世情はこんなものですよ
長く続く戦乱により、経済は元より人々の心は疲れ果てていますからね」
「…そう、なんだ」
ゲレタの言葉にショックを受けるマリア
彼女達はマケドニアの王族だ
ミシェイルとて、必要ならば切り捨てねばならぬと覚悟しているがそうでなければ血の繋がった兄妹なのだ
どうして、粗忽に扱えようか
そして、彼女達の属しているマルス王子のアリティア軍
ドルーアの支配に抗おうとする者達にとってはアカネイアよりもアリティア軍の方が遥かに希望を持てる対象なのだ
何としてでも、マルス達に勝ってもらうべくギリギリのところまで支援を惜しむ事はない
マリアはディール要塞に捕らえられていたものの、その扱いは賓客の様なものだった
ディール要塞防衛隊司令官であるジューコフは下手にマリアを扱えばマケドニアが敵に回る可能性は決して低くないと見ていたからだ
故にこそ、ミネルバに対して『自身の責務を果たしてはどうか?』と発言したのだが、その真意が伝わる事はないだろう
つまり、この2人は貧しいという事に理解が及んでいなかった訳だ
立場上仕方のない話ではあるのだが
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「ミネルバ様!」
「カチュア。それにパオラ
…良く無事で」
「申し訳ありません。本来ならば直ぐに駆けつけて力になるべきだったのに」
村に着いたゲレタはミネルバを2人に引き合わせると村長の所へ向かった
何せ2人について頼んでいたのだから
「村長、面倒をおかけしました」
「そう言わんでくれ。儂等に出来る事は余りにも少ないのじゃ
少しでも役に立てばと思っておるよ」
頭を下げるゲレタに苦笑する村長
「…しかし、また増えますね」
「……増えるかの」
ゲレタの言葉に村長の表情は曇る
「アカネイアへと出向いた際、パレス近郊でドルーアとアカネイアの大規模な戦闘がありました」
そしてゲレタはその時の事を語る
勿論、自分達の活躍にはなるべく触れない様にして
「…いつになったら終わるのかのう
ドルーアとアカネイアの戦争が始まってからというもの、この辺にも山賊が増えてしもうた
幸い若い衆やゲレタさん達がおるからどうにかなってはいるが」
村長は村の皆のまとめ役であり、村の安全を確保せねばならない
畑などを荒らされる事はないが、商人の質も明らかに下がっている様に感じていた
何せ大陸全土を巻き込む戦乱となれば、何処も物資不足に悩むものだ
立身出世を望む者達からすればまたとない機会なのだろうが、日々を生きるのに必死な者達からすれば良い迷惑だ
特にアンナの様な行商人の中には、この戦乱を利用して成り上がろうとする者がいる
…それ自体は村長もゲレタも否定しないし、好きにすれば良いとすら思っているのだが
問題はその行商人が売る物をどうやって大量に確保するのか?
という事
言葉巧みに値段を下げて買い叩くなら、まだマシで
下手をすれば傭兵を連れてきて、力で強引に奪っていく様な者もいるのだ
「この村の近くにも、儂が幼い頃には村があったんじゃがなぁ」
「…維持出来ませんでしたか」
ゲレタの言葉に
「そうじゃ。この村は近くにあったいくつかの村の住民が逃げてきておるのじゃよ
今となっては見る影もないじゃろうが」
山奥である為に、マトモな治安維持活動が国や領主から行なわれる事もなく、住民達で山賊や獣の脅威を退けねばならなかった
不慣れであるが為に犠牲は出てしまうし、畑があったとしても手入れする人間が居なければ数年もしないうちに荒れ果ててしまう
そうやって村長は近くにあった村が消えていくのを見ていたのだ
元々此処はアカネイアであるが、何一つとして村長はアカネイアに期待もしていないし、興味もない
村長個人としては、ゲレタが関わっていなければパオラとカチュアが何処かでのたれ死んだとしても構わないとすら思っている
穀潰しに居場所などないのだから
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「どうかな?
多分治ったと思うけど」
「…はい、ありがとうございます」
マリアの
しかし、彼女の表情は暗いまま
「…姉さん?」
カチュアは姉の様子がおかしい事に気がつき声をかける
「…ミネルバ様
私はどうしたら良いのでしょうか?」
そう顔を俯かせたまま、パオラはそう声を絞り出した
ミネルバとマリアが顔を見合わせた時
「こら、何してる!」
と外から声が聞こえた
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声を聞いて村長とゲレタ
そしてミネルバ達にリンダとチキも駆けつけた
そこに居たのは金髪の少女と薄紫の髪をした少女だった
長き戦乱は人の心を疲弊させ、荒んだ心はさらなる悲劇を呼び起こす
…それでも人は明日を夢見るのだろうか?
という訳で、ゲレタsideはこの時代の闇と相対してもらう事になります
近日中にアンケートを実施したいと思うので、宜しければ協力して下さいな
ifルート(18禁バージョン)いる?それだけ独立して投稿するものとする
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いる
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いらない