汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
ミネルバとしては、あまり村に長居する訳にはいかなかった
何せ彼女は今アリティア軍の一員なのだ
マルス王子は口にこそ出さないものの、祖国アリティアを一刻も早く解放したいと思っているのは彼女にも分かる
幸いと言うべきか悩むところだが、現在マケドニアは不気味な沈黙を保っている
その理由をミネルバは分かりかねていたが、今ならば理解できた
マケドニアの主力は
これは男性の場合、膂力でドラゴンを従わせる事が出来るのに対して、多くの女性は難しいからという事情もある
加えて、ペガサス自体との相性の問題もあり女性はペガサス、男性はドラゴンと住み分けが出来ている。勿論ドラゴンを御し切れるならば女性であってもドラゴンナイトになれるのだが
ドラゴンナイトは堅牢な守りに定評があり、ペガサスナイトは高い魔力への耐性がある
故にドラゴンナイトのみ
或いはペガサスナイトのみの国外への派兵は兄ミシェイルの代となってから基本的に認められていない
当然だろう
死ぬならば納得出来ても、人としての尊厳も何もかも失いかねない様な所へと部下を送り出せる筈もないのだから
そして、パオラはその事実に打ちのめされたのだろう
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「…ゲレタ殿
厚かましい話ではあると理解している。……その上で頼みたい
パオラの事を」
「此処に残るってんならそれなりの扱いになる
残念だが、マケドニアの騎士パオラは此処で死に、ただの村の一員として生きてもらう事になると思うが?」
ミネルバの言葉にゲレタは怪訝な顔をしながら応える
「…それでも、構いません
私は貴方に私と妹の全てを救って貰いました
…ゲレタさん。貴方の側で貴方の役に立ちたいのです」
「…良いじゃない、ゲレタ
彼女の気持ちは私にも分かるもの。最初は貴方に恩を返したくてついて来たのよ?」
そうリンダも苦笑いしながらゲレタを説得する
…だからこそ、パオラが少しリンダとしては怖い存在となりそうではあるのが気がかりだったりするのだが
「それにクライネとカタリナを育てるなら、パオラの手を借りた方が良いと思わない?」
「…思いはするが、野郎成分が足らん
…レイを巻き込むか?」
「ダメです!お父さんはレイに甘いんですから
お父さんの娘は私ですよ!」
ゲレタの呟きにチキは全身で反対の意思を示す
「…ゲレタさん
助けてもらっておきながら、こう言うのはどうかと思うのですが
…パオラ姉さんを宜しくお願いします。末の妹と再会したら、必ず一度挨拶に来ますから」
「嫁入りじゃねぇだろうが」
カチュアの言葉にゲレタは呆れた風にため息をつく
「………」
なお、ゲレタの言葉にパオラは顔を真っ赤に染めていたりする
そんなパオラの姿を見て、ミネルバは
(そうなのだろうとは思っていた。だが、パオラ
それは茨の道だぞ?)
と内心頭を抱えたくなった
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そして、パオラが村に残る事となり、ミネルバは妹のマリアを自分の飛竜に乗せカチュアと共に村を後にする事となる
ミネルバとマリアは少ないながらにお金を置いて行ったのだが
「そもそも
とゲレタと村長は顔を見合わせて苦笑いしていたそうな
なお
[私だけ残るの!?
何で!?ねぇ、どうして!?]
[…強く生きるのよ](なお、ゲレタに威嚇した本人もとい本馬)
[……お前の事、忘れないからな]
と何とも心温まるやり取りが3頭の間でされていた事は、誰も知らなかった
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マケドニア王ミシェイルは悩んでいた
と言うのも、ドルーアから再三アカネイアに対する攻撃を要請されているのだから
しかし、ミシェイルは軽々に動けない
何せアカネイア側の最大戦力であるアリティア軍の動きが判然としないのだ
制空権を確保しているならば、熟練兵を数名飛ばしてパレス付近を強行偵察させるべきだ
…しかし、ドルーア軍のマムクートを撃退したと言うアカネイア軍の弓使い
恐らくアカネイア特有の誇張表現が多分に含まれているだろうとは思っているが、そんなあやふやな情報の為にマケドニアの兵を失う事はミシェイルにとって許容できない事
しかも、妹ミネルバとその配下の騎士達は決して侮る事の出来ない実力を持っているのだ
余計に迂闊な行動は出来ない
そもそも目立った産業のないマケドニアにおいて、何よりも大切にしなければならないのが人的資源なのだ
「…ルーメル
部隊の状況はどうなっている?」
「は
ドラゴン、ペガサス両騎士団共に練成に努めております
御命令あれば、直ぐにでも」
「…焦るな
我等の目的はアカネイアの殲滅ではない
我等マケドニアの民が安心して暮らせる世を創らねばならんのだ
…リュッケ、地上部隊はどうか?」
「問題なく
民の中には敵が攻め寄せて来るならば、槍を取って戦おうとする者もおりますが」
リュッケの言葉に
「ならん
戦争は我等のすべき事だ。…如何なる結果になろうとも、マケドニアの民には生きる選択をして貰わねばならんのだ」
マケドニアはアカネイアの奴隷であったアイオテが野生の飛竜と心を通わせ、戦いに従事した
その功績からマケドニアの地をアイオテが与えられ、後に国家として認められたという
故にマケドニアはアカネイアに従属している形となっていた
…その為、ありとあらゆる物をアカネイアはマケドニアから搾取してきたのだ
結果、マケドニアに残されたものはマトモな産業ひとつ育っていない、傭兵業を生業とする極めて歪な産業構造だった
アカネイアとしては、マケドニアに産業を持たせない事でアカネイアに依存させようとしたのだろう。そうミシェイルは思っている
その為、マケドニアにおいて主要産業である傭兵業という極めて危険の多いものを国家として推奨せねばならなかった
おかしいではないか?
血を流して国を富まそうとしている者達が沢山いるというのに、何一つ父の代にマケドニアは変わらなかった
…変わる筈もないのだ
国を支える人というものをまるで焚き火に焚べる薪の様に消費していくのだから
…しかも、他国では殆ど戦場に出ない女もペガサスナイトとして傭兵業に就かせている
これでどうやったら、国が良い方向へと変わると言うのか?
故にミシェイルはドルーアの誘いに乗り、父を排してマケドニアを守ろうとしている
…妹達にはどうやら違う未来が見えているのだろうが、それはそれで構うまい
目指す未来は1つなれど、その道は無数にあるのだから
「ルーメル、リュッケ
この先どの様な事があろうとも、貴様達はマケドニアの明日の為に生きろ」
父を殺してでも、自分はこの道を歩むと決めたのだから
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アカネイアではグルニア遠征が決まった事で様々な事が動き出していた
遠征軍の指揮は騎士隊長が
だが、その遠征軍を動かすとなると武器や食糧などの物資が必要となる
ラングは騎士隊長がグルニア遠征を口にする様に各方面へと根回しを行なった
その結果、騎士隊長の後ろ盾となっていた貴族達に遠征にかかる諸経費の捻出を求める事が出来たのである
彼等は
「ならば我々の一門などを従軍させろ」
と主張してきた
ラングは初めこそ難色を示したが、最終的には彼等の言い分を飲む事になる
その代わり、それらの物資などの供出は貴族達に任せる事を交換条件とした
元より、ラングにとっての今回の遠征は生贄でしかない
貴族達の勢力を削ぎ落とし、騎士とはなんたるかすらも分からない慮外者を除く為の方便
更にラングは遠征軍の敗退後、自身の手の者に命じてある噂を流させる用意を始めた
『ラングはドルーアに通じている』と
最早マトモな手段でアカネイアを立て直す事が不可能であると判断したラング
彼は血に染まる道を歩む事を選んだのである
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マルス達はパレスのラングより
『此度の不始末、誠に申し訳なく
王子達は我等の状況にこだわる事なく、祖国の解放に全力を傾けられよ
グラのシーマ女王には此方から要請を出しておく
…祖国の地を取り戻せる事、このラング
アカネイアの地より願っております』
との書状を受け取った
更に少ないながらも、ラングから物資や武器に道具が贈られる事となり、更にマルス達のいる街の商会への紹介状も同封されていた
アンナが用意した食糧だけでは到底足りない事もあり、マルス達は内心胸を撫で下ろす
そして、ミネルバとマリアにミネルバの部下であるカチュアを新たに加えたマルス達は祖国アリティア解放の為に兵を動かす事となる
「…あの娘はいったい何処へ行ったのだ
早く見つけ出して神殿に戻さねば」
ある人物はそう呟いた
という訳で、チキを出した以上コレも出さざるを得ないよね(ため息)
ifルート(18禁バージョン)いる?それだけ独立して投稿するものとする
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いる
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いらない