汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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今更ではありますが、一部キャラに対してかなり当たりの強い内容となっております

悪しからずご了承下さい


 泥に塗れても

ボアはアカネイア貴族や有力者に話をして、徐々にだがハーディン受け入れの体制を整えつつあった

 

 

それと同時にオレルアン公に対する工作も行なっていた

 

 

ハーディンの兄であるオレルアン公はアカネイアの内情に詳しくない …いや、寧ろ疎いと言うべきだろう

見た目を取り繕えない様ではアカネイア貴族として恥となり得るのだ。アカネイアの内情を他国の者に悟らせない程度の事は誰にでも出来るのだから

 

故に公の知るハーディンとニーナはオレルアンにいた時の姿となるのは仕方のない事

 

 

 

当然、現在のそれとはかけ離れているだろう

…しかし、ボアがオレルアン公に出した使者。教会の関係者だが

 

この人物はそうと知りながらも、それを指摘する事も正す事もしなかったのだ

 

 

その上で、アカネイアの再建にハーディンの力添えが必要である事を力強く説いた

元々ニーナに対して許されざる想いを弟が抱いていた事を知っていた公はハーディンの為にも、アカネイアの為にもなると考える

 

結果、使者の考えに賛同した

 

 

 

 

この時代において、婚姻とは双方の感情ではなく家の考え

主に家長の判断によって行なわれるのが常であった

 

その為、オレルアン公が賛同した事によりハーディンは断るという選択肢を奪われたも同然となってしまう

 

 

 

 

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なお、シスターレナの様に自国の国王からの婚約話を断る。などと言うのはあってはならない事であり、本来ならば絶縁を言い渡されてもおかしくはない

ミシェイルとしては、マケドニアの有力者の娘であるレナを娶る事で有力者の取り込みを図りたかった。レナの両親もそれを知っていたからこそ、彼女のした事は自家の存続にすら関わる事として重く受け止めた

 

結果、ガルダの港町という辺境に彼女を送り出し、更に世継ぎであるマチスをマケドニアの遠征軍に加えねばならなくなる

 

 

本来、家の不始末に対する贖罪であるマチスの従軍

それが事もあろうに兄妹揃って敵方であるアリティアに与した。それを知ったレナの両親がどうなったのか

 

…語るまでもないだろう

 

 

 

 

 

 

アカネイアにおいても、騎士ミディアが傭兵であったアストリアと恋仲になった事で、彼女は実家から離縁されている

 

 

それだけ結婚において、家長や家の意見や方針というのは大きな意味を持つと言えるだろう

 

 

 

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だが、このボアの勇み足とも言える行動に対して不快感を持つ者も多かった

 

 

そもそも、一介の司祭であるボアが王家に口を出す

 

それは余りにも出過ぎた事であると考えたから

 

 

「司祭は儀礼を取り仕切るだけで良い

何を坊主風情が思い上がっておるのか?」

 

 

教会勢力はアカネイアにおいて、ドルーア侵攻による有力貴族や王家の壊滅によりその勢いを著しく減じていた

 

今は亡きニーナの姉達は教会の教えを受けており、有力貴族の息女らも少なからず教会の影響を受けていた

その為、当時の王国では教会勢力に対して一定の配慮をしなければならなかったのである

 

 

教会とは、民心に寄り添い民を癒すもの

 

 

などと教義には書かれているが、少なくともアカネイア貴族達は建前でしかない事を知っている

 

 

彼等もまたカダインと同じ様に知識や人材を独占し、各国に司祭やシスターを派遣する事で影響力を持っているのだ

 

…特に村や街などに教会の設置を求めてくるのに、その教会に対する介入は一切許さない

という

 

不介入特権

とでも言うものを彼等は声高に主張している

 

 

これにより、戦闘が近隣で起きた場合にも教会は安全な場所として機能出来る

…と言うのが教会側の主張だ

 

理解出来なくはない

…しかし、その場合戦闘により発生した負傷者に対する手当は出来ない

 

 

どちらかに肩入れ出来ない

との理由からだ

 

 

何よりも貴族達にとって不愉快なのが

 

 

 

お布施の存在

 

 

 

 

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教会において、弱者の救済という建前が存在する

 

 

村や街において病傷人が出た場合は大抵教会へと連れて行き、そこで治療を受けるのが一般的だ

 

多くの教会では無償での治療は行なわない

しかし、治療の対価として金銭をもらう事は賎なる行為と定義されている

 

そこで、治療を頼む者達は『お布施』という形で教会に料金を支払うのだ

 

 

それは忌々しく思うが納得しよう

 

 

問題は

 

そのお布施の額は明確に規定されていないが故に、時として税として徴収出来るはずのものを教会が持って行く

という事だ

 

 

教会と言っても、彼等組織としての教会内部にも上下関係というものが存在しており、村よりも街にある教会が

街にある教会よりも王都にある教会が

それよりも総本山が

 

より立場で言えば上なのだ

 

 

では、その教会内での地位を上げる為の方法は何か?

と言えば

 

 

当然のように総本山に対する貢献

…即ち上納金の多さで決まる

 

 

故に上を目指す者はお布施の額を引き上げようとするし

逆に民に寄り添おうとする者はそれこそお布施を形式的なものとして扱っている

 

各地域に存在する教会

それぞれが思い思いのやり方をしている為に統治する側の負担も相応に増えているのだ

 

 

 

貴族の中にはこれを機に教会との在り方を考え直すべきではないか?との意見もあった

 

皮肉な事にニーナに対して反発する貴族の中にもこう言った理由から立場を定めている者もいる

 

 

 

その様な者達にとって、ボアのしている事は正しく教会の勢力拡大であり、アカネイアという国を喰らわんとしている寄生虫にも見えた

 

そのボアに迎合している様に見えるジョルジュ、ミディア、アストリア

…そして、ラング

 

彼らへの不満は深いところで蓄積していく事となる

 

 

 

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マルス達は祖国アリティアの地へと戻ってきた

 

 

…だが

 

「これは?」

 

「…ひどい」

 

そこでマルスやエリスの見たものは

 

 

かつての賑わいも、活気も無くなった集落の跡や山賊などが跋扈する無法地帯

 

 

ドルーアとしては、忌々しいアンリの末裔たる者達の血を絶やさんとアリティアに対して攻撃をかけただけ

…言ってしまえば、アリティアの王族の族滅とファルシオンの回収がアリティア攻めの理由

 

グラ(手駒)に余裕があるならば治めさせる程度の事はしたであろうが、そうでないならアリティアの地にドルーアが関わる必要などなかった

 

そもそも、純軍事的に考えてもドルーア本国からアリティアまでは距離がある

そこを防衛するとなると、どうしても無理が出てくる

 

 

ドルーアの皇帝メディウス

そして、メディウスの代理人として動くガーネフ

 

どちらも統治能力においては、疑問の残る人物と言えるだろう

 

 

 

故に彼等はアリティアを攻略した後、兵を退いた

殺すべきアンリの血の継承者は殺しているのだ

 

 

更にアリティアの騎士達の亡骸も処理する事なく、放置したまま

 

僅かに残った村は門を閉ざし、街は破壊されている

 

 

 

人は余裕がない時、その本性が表に出てくる

 

 

 

それにより、アリティアという国は根底から崩れ去ろうとしていた

 

 

 

 

 

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「…………」

誰も声を発する事すら出来なかった

 

マルス達はアリティア城を占拠した山賊達を討伐。ジェイガン、ハーディン、オグマがそれぞれ部隊を率いてアリティア国内の賊などの討伐にあたり

マルス、エリス、シーダが中心となりアリティア城付近の死体などを片づける事とした

 

シスターであるレナとマリアは死者の魂を慰め、マリクとウェンデルは集められた死体を焼く事で供養とする

 

 

そんなマルス達の姿を見たのか、少しずつだが領民達もマルス達に協力し始めアリティア王都付近が清められる事となった

 

 

 

マルスはドルーアとの戦いを続けるとしながらも、アリティアの安定を優先する事をアカネイアに対して使者を出し説明

 

理解を求める事となる

 

 

 

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アリティアの安定の為に賊や獣を退治して回っていたジェイガン

彼はある人物の姿を認めると、そちらへと馬を走らせた

 

 

 

「マクリル殿!」

 

「ジェイガン殿か、久しいな」

かつてジェイガンと共にアリティア騎士団を支えていた人物だった

 

 

 

 

 

 

「…そうか

マルス様とエリス様はご無事であられたか」

 

既に騎士として戦うには衰えすぎたとして、騎士団を去ったマクリルだが、その国を思う心は何ひとつ変わる事はない

 

「…我等が不甲斐ないばかりに王子やエリス様に負担をかけてしまった。情けない限りだ」

ジェイガンはアリティア軍において相談役としての立場もある

 

その為、心情を吐露する事は中々出来ない

 

 

しかし、信頼出来る元同僚でもあるマクリル相手ならばジェイガンも気兼ねなく話が出来る

 

 

そこへ

 

 

「おじいさま!」

と青い髪の少年が駆けつけた

その手には剣が握られており、微かに匂う血の匂いからジェイガンは少年もまた剣を握り戦っているのだと理解する

 

 

「戻ったか、クリス」

少年、クリスの姿を認めたマクリルは表情を緩ませる

 

 

 

 

 

 

 

「クリス殿を?

…良いのか?マクリル」

 

「私ももう歳だからな

…だが、今のアリティアをそのままにして良いとは思わぬ

孫のクリスには私の出来る事を託してある。…きっと王子を支える力になってくれるだろう

…良いな?クリス」

ジェイガンの言葉にマクリルは少しだけ寂しそうな表情を浮かべたが、クリスをジェイガンに託す事とした

 

「はい」

 

「私もまだ山賊程度ならば相手出来る

…アリティアを

マルス王子達を頼むぞ、ジェイガン」

 

「…任されよ」

 

そして老騎士は若い力を連れマルスの元へ戻っていく

 

 

 

 

 

 

 

 

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マルスよりの使者を迎えたアカネイアでは問題が起きていた

 

 

グルニア遠征軍の壊滅により、アカネイア軍はその少なかった戦力を更に失ってしまった

これにより、グルニア征伐やマケドニア攻略を主張していた者達の声も小さくなるだろう

 

 

…などと思うならば、残念ながらアカネイアという国に対する理解度が不足していると言わざるを得ない

 

 

機動戦力である騎士隊を喪失した事により、アカネイア軍は積極的に外征が行えなくなった

 

…であるならば、出せる所から戦力を出させれば良い

そう考えるのがアカネイア・クオリティ

 

 

故にアカネイアの貴族

…特にハーディンをニーナの夫として迎える事に賛成している者達

はアリティアの復興などよりグルニアやマケドニア。カダインの征伐をさせるべきと主張する

 

 

彼等からすれば、アリティアのマルス王子がニーナの夫になるのが1番問題なかった。なのに、アリティアの都合(・・・・・・・・)によりそれは叶わなかった

ならば、その分だけアカネイアの為に働かねばならない

 

という何ともふざけた話

 

更にニーナの夫となる栄誉を受けるならば、ハーディンは何を置いてもアカネイアの為に戦って当然

と考えていたからだ

 

 

彼等の目にはアリティアの事など見えていない

…いや、アカネイア以外の事などどうでも良い。そう言った考えが染み付いていたのだから

 

 

 

 

 

 

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グルニア遠征軍の敗退はラングにとってみれば当たり前の事であり、アカネイアの今後を考えれば必要な犠牲だった

 

故に貴族達の息のかかった者達以外は動員していないし、志願してきても無視した

 

 

「…これで少しは頭を冷えよう

ニーナ様も老人も少しは現実が見えてくれれば良いのだが」

アカネイアの空気は既にハーディンをニーナの夫として迎え入れ、アカネイアを立て直す

というものになりつつあった

 

 

しかし、ラングからすれば情けない事この上ない話にしか思えない

 

 

ハーディンを迎え入れねば立て直せないのは何故か?

何故ニーナ様を支持しようとしないのか?

貴族の反発が強い理由を老人やジョルジュ達は考えていない

 

さりとて、その貴族達を説得しようとも除こうともしない

 

 

 

これではハーディンを迎え入れたとしても、延命にしかならない。根本的な問題は何ひとつ解決しないのだ

 

 

 

 

更に頭の痛いのがジョルジュとミディアの立ち位置

 

 

ジョルジュはミニディ侯爵家の

ミディアはディール侯爵家の

それぞれ息子と娘

 

 

しかし、実家との折り合いは悪くジョルジュとミディアのそれはアカネイア貴族達の中で有名だ

 

 

ジョルジュは今回の自身に対する過度な称賛をミニディ侯爵ノアから受け入れる様に言われた事で更に親子間の確執は深まった

ミディアはそもそも騎士となる事やディール侯爵シャロンの持って来た縁談の話を全て蹴って傭兵であるアストリアと恋人となっている

既にシャロンはミディアを自家の人間としておらず、当然ながらディール侯爵家に対して行動が出来るはずもない

 

 

 

…そして、貴族社会において親や家の意向に背く事は倦厭される事

貴族社会において、内実はともかくとして体裁を取り繕うのは大切な事である

 

それすら放棄した2人に対して

そしてその2人が支持するニーナに対して

 

貴族の多くが良い感情を持てるはずがないだろう

 

 

 

更に言えば、パルティアはあくまでも『ミニディ侯爵家のジョルジュ』に与えられたものであり、間違ってもジョルジュ個人に与えられた物ではない

 

本人にその自覚があるとは思えないが

 

 

ミニディ侯爵ノアはあくまでも、不肖の息子であるジョルジュに利用価値があるからパルティアの所持を認めているだけ

家に対して不満を言うならば、それ(パルティア)を使うべきではないのだ

 

 

彼は意識していないだろうが、責務を果たす事なく不平不満を大声で叫ぶ

という何処かで聞いた事のある様な事をしているのだ

 

 

故に比較的マトモな貴族もジョルジュを信用しない

 

 

この辺の事は貴族社会に人脈を作っていれば容易に知る事が出来る

…だが、2人は貴族を嫌悪しているから輪に入らない

だから知る事が出来ない

 

 

加えて言えば、ジョルジュもミディアもあくまでも侯爵家の人物であるからこそ、それぞれスナイパーと聖騎士になれたのだ

 

 

 

本来、充分な技量を身につけねば国を支える騎士として不適格とされていた

…ところが、貴族は先にも述べた様に体裁を気にせねばならない

 

 

故に箔づけの為に有力貴族の子弟や一門に対しては叙勲のハードルが下がるのだ

…例えそれがまだ練成途上であろうとも

 

 

アドリア伯であるラングにも軍から話は来ていたが、ラングは自身をもっと鍛えてから叙勲すべきであるとし、その話を受け入れていない

叙勲に伴い使われるアイテムは高価なものだ

 

であれば、それを使うに値する実力を身につけねばならない

とラングは思っている

 

 

はっきり言えば、ジョルジュもミディアも貴族としての特権は享受しているのだ

にも関わらず、多くの貴族を敵に回しかねない事をしている

 

 

 

故にハーディンを受け入れる事に賛同している貴族達は自分やボアに話をする事はあっても、2人に話をする事はない

 

 

なお、勇者として名高いアストリアについてもミディア(ディール侯爵縁者)に対する配慮があったのをミディアは知っているだろうか?

 

 

 

アカネイア軍の中で上級へと叙勲出来ている者の多くは貴族、或いはその縁者

 

はっきり言おう

 

 

個人で上級職へ叙勲すると言うのはほぼ不可能に近い

伝手と儀式の為のアイテム

そのどちらも個人で用意出来るものではないのだから

 

 

 

「理想に傾倒するのは構わぬが、汚れる事も出来ねばならぬ

汚れてならぬのは担ぎ上げる者だけなのだがな」

 

ラングは大きなため息を吐き、今後の事について思考を巡らせる

 

 




という訳でフライング気味ですが、クリスが参戦します


アカネイアは相変わらず地獄ですが、まだ入り口なのでセーフ(?)

ifルート(18禁バージョン)いる?それだけ独立して投稿するものとする

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