汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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いつも誤字訂正ありがとうございます

一部情報が矛盾するところがありますが、問題ありません(アカネイア・クオリティ発動)


 戦う意味

「…サムトー、少し良いかしら?」

 

「ん?アンナさんじゃないか

どうしたんだよ」

サムトーは声をかけられた事に少しばかり嫌な予感がした

 

「実は少し護衛してほしいんだけど」

 

「…護衛と言っても、またマケドニアに行くんだろ?

正直戦いにもならないと思うけどな、俺は」

 

 

あれは元々マトモに戦う気のない

…しかし、自分達の名誉も何もかもを捨てる覚悟のある者しか取れない方法だろう

そうサムトーは思っている

 

 

騎士だけではない

名誉を重んじるのは傭兵とてそうだ

 

如何に強い者だとしても、雇う側にも都合(事情)がある

 

 

余りにも汚いやり方をすれば、倦厭されるのが傭兵なのだ

 

 

本来傭兵国家とも言えるマケドニアにおいて、あんな事をすれば傭兵としての価値を投げ捨てる様なもの

更に

 

 

(…分かってんのか?アンタらがこっちに居るって事がどれだけマケドニア(傭兵国家)の信用を損ねているのか)

とサムトーは思っている

 

正直、ゲレタが治療の為にマケドニアの王女2人を連れて行ったのすら理解に苦しむ

 

残酷な話ではあるが、国を裏切ったのだ

あのまま死なせてやった方が良かったのではないか?

とすらサムトーは思っている程

 

 

 

紅の傭兵(ナバール)の名を騙っていた自分だからこそ分かる

 

名声とは時にトラブルを招くものであり、その名声が落ちるという事がどれだけ恐ろしく

また取り返しのつかない事であるのかを

 

 

 

----

 

 

 

「…そういう事なら俺はその話を受けないぜ」

私は耳を疑った

 

「どうしてかしら?貴方だって彼等の強さは知っていると思うのだけど」

 

「…あのなぁ。もしあの人達が名誉とかが欲しいんなら、あんな所で燻っている訳がないだろ?」

 

「それは、そうだろうけど」

私が目を逸らしていた事をサムトーは口にする

 

「それに、アンタも理解し(分かっ)ているはずだ

あれだけ戦える人達を返すつもりがない連中がいる事くらい」

 

「…そうね」

それを言われてしまうと、弱い

 

 

 

多分

…いえ、ほぼ確実にあの2人は彼等が功績を挙げれば逃がさないだろう

 

…それこそ、誰かを人質としたとしても

 

 

 

もちろん、馬鹿正直に人質とは言わないだろう

何らかの名分で誰かをアカネイアに留め置くのだ

 

そうすれば、彼は逆らえなくなるでしょうね

 

 

考えていない訳ではなかったわ

…でも、目を逸らしていた

 

 

「…ごめんなさい

私の考えが甘かったわね」

 

「……ただ、マルス王子達に一応話はしておくべきかもな」

 

「そうね」

私を気遣ったのか、サムトーはそう私に言ってくれたわ

 

 

…その気遣いが逆に痛いのだけどね?

 

 

 

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「………ゲレタさんを?」

 

「いや、まぁ

そんな選択肢もあるじゃないかって話ですよ」

サムトーとアンナはその話をマルス達アリティア軍の上層部(うえ)に持っていったのだが、その選択を後悔する事となる

 

何せその事を伝えた瞬間、マルス王子の目つきが鋭くなったのだから

 

 

「…マルス王子、献策してくれた者に対しその様な顔をすべきではないだろう

勿論、王子の気持ちも理解出来ない訳ではないが」

 

「…すまない、サムトーにアンナ

少し感情的になり過ぎた。それとありがとうハーディン」

ハーディンの言葉にマルスは一度目を閉じて、落ち着いたのだろう

いつもの温和な表情で2人とハーディンに詫びた

 

「マルス様

2人にはまだ話しておられないのでしたら、ミネルバ王女達も含めて話した方がよいのではないかと」

 

「そうだね、ジェイガン

…クリスも聞いておいてほしい。勿論他言は無用にしてもらいたい」

 

「分かりました」

マルス達としては、この件を余り広めたくはないが今回の事から周知徹底すべきと思い直し、その場を設ける事とした

 

 

 

----

 

 

 

 

 

「みんな忙しいと思う時にすまないと思っている

ただ、ある人達の事をキチンと知っておいてもらった方が良いと思って集まってもらった」

 

この場にはマルス、ジェイガン、クリス、ハーディン、オグマ、ナバール、ジュリアンにレナとラディ

ミネルバとカチュアにアンナとサムトー。そしてサムソンが揃っていた

 

「知っているとは思うがアリティアは一度ドルーアによって滅ぼされている

先の戦いで皆の尽力によりアリティアを解放できた事、改めて礼を言わせてもらいたい」

とジェイガンが話をマルスから引き継いだ

 

「アリティアに残してきたエリス様

彼女は自力で我等のもとにたどり着いた訳ではないのだ」

 

その言葉にカチュア、アンナ、サムトー、サムソンは驚きの表情を浮かべた

 

 

 

 

 

「…なるほど

ゲレタ殿とは会う機会がなかったが、その様な人物だったのですな」

サムソンはそう寧ろ納得した様な表情をする

 

「サムソン

その言い方だと、ゲレタ殿の事を知っている様に聞こえるが」

マルス、ジュリアン、レナ、ラディの話を聞き終えたサムソンの言葉にオグマは疑問を口にする

 

「人伝ではあるが、話は聞いている

我々グラの者達にとっては、決して無体に扱えぬ人物だ」

サムソンの言葉に皆が驚愕の表情を浮かべる

 

 

 

 

 

 

 

 

「…更に腕を上げたか」

 

「いよいよゲレタ

人間辞めてないか?」

ナバールとジュリアンはそう感想をそれぞれ口にする

 

 

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「…ならばあの縦横無尽の活躍も頷けるというものか」

ハーディンもまたゲレタの戦い方を知っている為に寧ろグラへと侵攻したドルーア軍を哀れにすら思ってしまう

 

先の戦いで無双の如き活躍をしたゲレタであったが、今の話を聞く限りではかの人物の得意とする戦い方ではなかったのだろう

 

騎士道とは相反する戦い方と言えるが、寧ろハーディンからすれば更にゲレタに対する評価は上がるばかり

些か立場に対する自覚が薄いところはある様にも思えてならないが、必要となれば民を守る為にその力を振るう事を躊躇わない

 

 

それはある意味で騎士の理想の1つの形でもあったのだから

 

 

 

パレス防衛戦におけるゲレタの戦いについて、ハーディンは部下達に喋る事を禁じた上でマルスとジェイガンにのみ打ち明けている

 

そしてハーディンはゲレタと交わした少ない言葉からゲレタの本心をある程度察していた

 

…だが、それも良いと思っている

 

 

かの者は騎士でも傭兵でもないのだ

ならば、そう言った『身近な者達を守る』と言うのも選ぶべき道の1つなのだろう

 

 

勿論、先の防衛戦のように轡を並べて戦えるならば

 

 

それは何よりの誇りとなるだろうが

 

 

 

----

 

 

 

 

カチュアは頭の痛みにひたすら耐えていた

 

 

つまり、アンナはあの人を戦場に連れ出そうとしたのだろう

話を聞いている最中、アンナがバツの悪そうな表情を時々浮かべていた事をカチュアは見ていたからそう判断する

 

 

あの人のやり方はとことん効率を突き詰めたものだ

相手の事情や誇り、名誉など一切考慮しない

 

 

それがドルーア軍に振るわれたと言うのだ

 

 

 

恐らく

…いや、確実にあの人の心は傷ついているだろう

 

 

アリティア軍の者達は一般的な騎士と比べれば、まだその辺について理解がある方だ

 

 

…しかし

 

カチュアはミネルバの方を見ると

 

 

やっぱりこうなるのね

 

明らかに内心の不満を必死に押し隠している主君の姿があった

 

 

 

…でも良かったわ

ギリギリとは言え止められたのだから

 

 

そうカチュアは自分に言い聞かせるしかなかったのである

 

 

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「…ジュリアン(・・・・・)

 

「何だよ」

 

「あまり意識してないようだから言っておく

これから先、今までの様にはいかないだろう

…以前お前は俺に言ったな?

妹は守る、と」

あの時のマチスの様子は普段とは違った

船を降りて準備を整えていた俺に話しかけてきたのだ

 

 

決してレナさんと(盗賊)の事を認めようとしなかった人が、だ

 

そんな人物が話しかけてきた事

それがどれだけおかしい事か、俺はもう少し考えるべきだったのだろうか?

 

「…ああ」

 

「その言葉、嘘にするなよ」

 

「お、おい!」

それだけを言い残して、アイツは死んだんだ

 

 

レナさんを守って

 

 

「愛する者を離すなよ?きっと後悔するぜ」

 

…アイツに言われた事が思い返される

 

 

 

 

「…重いな、くそっ」

それでも俺は

 

 

 

 

----

 

 

 

 

「…今更慌てたところでどうしようもない

ジョルジュ殿。………我等は子供を相手にしている訳ではない

行動や発言全てに責任を持たねばならんのだ

……それすら出来ていない者がこの国には多い。しかも其奴らは国の中枢にいるのだからどうしようもないのだ」

 

「…返す言葉もない」

ミディアとアストリアの訪問の後、ジョルジュは人目を忍んでラングのもとへと来ていた

が、今までの浅慮を詫びたジョルジュに対してラングの反応は冷淡そのものである

 

「貴殿らが忌み嫌っている腐敗した貴族

…私とてその1人だろう。嫌い嫌い抜いた結果、貴殿は事態に対応出来なくなった

当然であろうな。自分達を公然と非難する様なものを受け入れられる器があるなら、此処までアカネイアはおかしくなっておらぬわ」

ラングは手元の書類などを確認しながら、口は動かす

 

「その2人だが、私の所には来ておらぬ。その様な先触れもない」

 

「…やはりそうなるのか」

 

「此処まで余裕がないと言うのに、寧ろ感心するものよ

一体誰を頼ろうと言うのか?」

 

「言うまでもないが、ディール侯爵は一切手を貸さぬ

余りにもあの娘はやり過ぎた。…たとえ離縁しているとしても、アレが侯爵の娘である事には変わりない」

 

「貴殿もそうであろう?

ミニディ侯爵からは何も言われておるまい」

 

「…確かに」

 

「本来蟄居を命じられている筈の者がこうやって私の所へ来る事自体不可能なのだ

……もう既に貴殿も見放されておるのだよ」

 

「……やはりそうなのか」

 

「覚悟はしておったのだろう?

いずれパルティアも取り上げられて、パレスにいる事すら許されなくなろう」

ラングの言葉にジョルジュの表情も曇る

 

「若い者に良くありがちな事ではある

が、大抵の者は周囲や親族から止められるか説得されてギリギリの所で踏みとどまる

…心配はいらぬ。貴殿らが追放されるのはニーナ様とハーディン公の結婚後の事となろう

あの老いぼれ共々な」

 

「……」

ジョルジュは言葉を紡ぐ事すら出来ない

 

「覚悟しておくのだ

貴殿が思う程に民は我等の事を理解しても、受け入れてもおらぬ

残された時間の中で、せめて身の振り方は考えておく事を勧めておくとしよう」

 

「……分かった

今後の事をしかと考えておく」

そう告げるとジョルジュはラングの元を後にした

 

 

 

「………」

ラングは考える

どうするのが1番良いのかを

 

 

 

 

 

----

 

 

 

 

「マルス王子は今どこにいるのですか?」

 

「…は、現在アリティアにおいて軍の再編中と聞いております」

 

「…そう、ですか

……ではハーディンは?」

 

「公も現在アリティア軍に同道しております

準備が終わり次第、グルニア遠征に取り掛かると」

 

 

籠の鳥(ニーナ)は何も知らず、ただ夢を見る

誰かが用意した虚な夢を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処がアリティアか

…さて、アンリの子孫。どの様な人物か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰もが明日を求め、剣を握る

そして血を流せばより良い明日を迎えられると信じている

 

 

そうでなければ




という訳でサムトーによるインターセプトでアンナの暴挙は阻止されました

流石にゲレタを呼ぶと収拾つかなくなりますからね(なお現時点でも割とヤバい事は考慮しない事とする)


そろそろ出さないといけないでしょうね

ある意味ではこの戦乱を引き起こした要因の一つを

ifルート(18禁バージョン)いる?それだけ独立して投稿するものとする

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