汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
少し前から山賊が増えた様に感じる
少なくとも、こちらの脅威を分かりやすく示す為にそれなりの方法で何人か山賊を殺している
何せ山賊はそれなりの頻度で現れているのだ
索敵範囲と攻撃範囲が多少広い程度では対処しきれない可能性がある
更に獣による獣害も気にせねばならないとなれば、山賊の早急な発見と処理は前提条件となる
パオラかチキに頼めば何とかなりそうではあるのだが、流石に褒められた方法ではないだろう
ペガサスに乗れるのは女性だけと聞く
流石に野郎である俺を乗せるとなれば、要らぬストレスを与えかねない
チキに頼むのもありと言えば、ありなのだろうが
流石に視界的にも厳しい
周辺の被害を考慮しないならば、火竜石のブレスで焼き払って貰えば良いのだが
焼き畑農業は延焼のリスクもあるだろうから今のところやる予定はない
ただチキもまだ俺達の娘となってから日が浅い
そんな中でクライネとカタリナ、更にレイまでいるとなるとやはり不満はあるのだろう
風呂やベッドで甘えてくる回数が増えている
チキは精神的に幼い部分があるとはいえ、他人の感情に疎くない
寧ろ聡い方だと思う
…娘にこんな思いをさせる時点で父親失格なのかも知れないが、村の防衛は決して手を抜く事が出来ない事だ
男衆達も鍛練に余念がないとはいえ、訓練と実戦ではやはり異なるのも事実
村としても、今の状況を維持し続けるのでは先細るのは目に見えている。…現在俺達という確たる護符があるうちに村の生産量や次代を確保し、必ず訪れるであろう自分達の死後も村が存続する様にしなければならない
今と未来に責任を持つ
それが村長が俺に語った言葉だ
「その為にゲレタさん達を利用する事になる
…責めてくれても良い。じゃが、これしか儂には思いつかなんだ」
そう頭を下げられて、どうして責められようか
村長とは村の今後の事などの話を聞く事が多いのでよく話をするのだが、彼の妻や息子夫婦に先立たれているそうだ
息子は次期村長として、山賊達と戦う事を選び
奥方や息子さんの嫁さんは出産後に
何せ産後適切な処置を知る者は村の中にはいないのだ
文字通り命懸けなのだろう
だが、教会を作ってほしいとは思わないそうだ
何せ教会は下手な領主よりも危険な事もあるとの事
勿論良い人物も多いらしいが、この村の様に領主からも半ば見捨てられている様な村となると教会の人間も欲をかく
何かにつけて村ではあまり意味をなさない、しかし商人との取り引きには必要なお金を持って行く可能性はあるだろうから、その懸念は理解出来る
お金は原則として村の共有財産であり、村長が纏めて管理しているのが実情らしい
…それで不満が出ないなら言うべき事はないだろうから、口を出す事はないが
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話は少し変わるが
先のパレス防衛戦を見るに、予想よりもアカネイア軍の再建は進んでいない様だ
となれば、アカネイアの混乱が収まるにはまだ時間がかかるだろうし、アカネイアの混乱はそのまま大陸の混乱にも繋がるという
村長が言うには、アンナが来た後に既に数人商人が来ているそうだ
勿論、村長はアンナと取引した事は口にしていないので、良くあるギリギリの生活をしている農村として見られているだろうが
…面倒ごとにならなければ良いと本気で思う
既に知識の大半が役立たずとなりつつあるが、仮に原作通りに進むとなれば大陸全土の治安が安定するまでには相当かかるだろう
山賊だけではない。祖国を失った騎士なども畜生道に落ちる事もあるだろう
しかし非情な話となるだろうが、この村の安全だけは守らなくてはならない
…その為にレイやクライネ、カタリナまでも手を血に染めさせる事にはやはり心が痛む
……それでもやらなければならない
生きる為に
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「…レイ
ゲレタさんの言う事は聞いているか?」
「聞いてるって」
レイは父親と話をしていた
父親と言うが、実のところレイの父親は村を守る為に山賊と戦い
…そして命を落とした
夫を失ったレイの母親は拠り所を失い、それを支えたのが今の父親だ
レイとしては、母を支えてくれた事には感謝している。しかし、山賊と戦う事を選んだ『強い男』であった実父と違い、養父は腕っ節はからきりであり村の農作物を育てる事に長けていた
勿論それも必要な事だとレイも理解しているのだが、やはり何処かで納得しきれていない部分がある
そんな複雑なレイの心境を養父も知っているからこそゲレタに息子の事を頼んだのだ
本来、戦闘の心得のあるクライネやカタリナ。それにゲレタやリンダと共に戦っていたであろうチキ
彼女達と違い、息子は完全な素人
村人達からは
「1人で山賊退治をしてくれているゲレタさんに更なる負担を押し付けるのか?」
「親の言う事すら聞かないレイが素直に言う事を聞くのか?」
と言った声が出るのは仕方のない事だった
村人達も山賊の相手が出来なくはないが、まず間違いなく数が多ければ被害を受ける
その様な事のないゲレタは今や村にとって生命線となっているのだ
美人を侍らせていようが、美少女を弟子としていようが
とすら思っている
元山賊との事だが、そうとは思えない程に理性的で
にも関わらず、山賊相手には容赦も慈悲のかけらもない
だからこそ、頼りになるのだ
下手に傭兵を雇うよりも、村の事を考えて獣を狩ってきたりと出来るゲレタの方が遥かに信頼出来る
そして、ゲレタ側も村を頼る事を躊躇わない
故にこそ、村も安心出来るのだ
ゲレタ達は村の中での立場を望んでいない
役割は欲していても、村を支配しようとか自分達のやりたい様に変えよう
とはしていない
だから村の者達はゲレタ達を頼る事が出来る
変化とは常に良い事ばかりではない
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中世日本
江戸時代において、千歯扱きと呼ばれる農具が生まれた
これにより、農家は人手や時間を必要としていた脱穀作業が非常に円滑に行なわれる事となる
しかし、この千歯扱き
異称も存在する
それは
後家倒しといった
後家、つまり夫を亡くした未亡人を指す当時の言葉だが
彼女達は生活をする為に農作業において脱穀作業を手伝い生活の糧としていたらしい
しかし、千歯扱きの登場により人手はそこまで必要とされなくなってしまう
その為、彼女達の仕事を奪ってしまう事からこう呼ばれる事もあるらしい
効率化はそれまで必要としていた人員の減少を促す
それでも出来る事があるならば問題ないが、山奥にあるこの村において出来る作業と言うものには限界がある
無論、村を拡大するというやり方もあるだろう
その場合、木々を切り倒し耕作から始めねばならない
加えて、木々のない所と言うのは少し離れた所からも目についてしまう
この村は確かに他の村や街。主要な街道からは遥かに離れている
だが、山賊などもあてもなく彷徨っている訳ではない
人の歩けそうな道や痕跡。高台などから見渡してある程度見当をつけて動くのだ
故に山賊などから見つかる危険性も跳ね上がる
加えて獣害を防ぐ為に柵などを用意せねばならない
これも一定の強度を持たせねばならない為に数を揃えるとなると早晩出来るものでもないだろう
その上、村人達の生活圏を中心に広がる事になる為ゲレタ達の負担も増加する
勿論これは一例に過ぎないが、変化とは常に良いものばかりでない事を村長は知っているし、村人達も急速な変化は望んでいない
村に馴染もうとする
村に貢献しようとする
これは同じ様に見えて、違うところがある
それを理解した行動を取ったからこそ、村人達はゲレタ達を受け入れたのだ
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「…では、此処に置いておきますね」
「すまんね、パオラちゃん
ウチの旦那は今訓練中でさ」
パオラは川から汲んできた水桶を2つ言われた所に置いている
パオラはミネルバとマリア。そしてカチュアが村から去った後、ゲレタから話を聞いた
「村に馴染む努力はした方が良い」
そんな話だった
確かに自分は多少動ける様になってもゲレタさんの家から出る事はなかった
村の人達との関わりは皆無に近い
それでは受け入れられるはずも無い
そう考えたパオラはリンダやチキと共に料理を教わる事にした
いきなり言っても難しいので、とっかかりが必要だとリンダから言われた為だ
そして、少しずつ話をする様になると自分が未亡人であると誤解を受けていた事が分かってしまう
…まだ恋人も居ない自分にそんな噂が立ってしまった事にはショックを隠せなかったが、結果的にそれで村の女衆の人達と仲良くなれたのは喜んで良いのか悲しんで良いのやら
身体が鈍らない様に基礎鍛練は怠らない様にしているが、最近クライネが興味深そうに見ている
…ゲレタさんに話をして、もし良かったら少し手伝ってみようかしら?
と思ってもいる
料理についてはリンダさんに及ばないし、伸び方を考えるとチキさんにもそのうち負けそうな気がして正直気が気でない
木彫り細工については
………合う合わないというものはあるのだと痛感させられた
ゲレタさんは基本朝早くから、夕刻まで村に戻る事は殆どない
どうにもこれから更に山賊が増えるだろうと予想しているそうだ
その対策として、少しでも早くクライネとカタリナを鍛えねばならないとの事
2人はまだ良いとしても、私としてはレイについて鍛えるべきでは無いと思っているのだけど
そんな事を思いながら、私は平和な日々を享受していた
大陸で何が起きているか
なんて事を知る由もなく
なおペガサス的には
…あ、その人乗せるんですね
ええ勿論構いません…………ヒイッ!
だ、ダメです!
やっぱり男の人は乗せられませんよ!
となる模様
理由は察してあげてください
ifルート(18禁バージョン)いる?それだけ独立して投稿するものとする
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いる
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いらない