汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
本作では新旧、リメイクの設定を採用しております
ご了承ください
少し時は遡り、マルス達がドルーア軍のいないアリティアを解放していた頃
ドルーアは何をしていたか?
それは
『大賢者?笑わせる
所詮我等にもヒトにも馴染もうとせぬ半端者が!』
『ナーガ様から受けた恩を忘れ!ヒトとして生きる事も出来ず!
挙句ヒトの世を乱す事しか出来ない愚か者め!』
『半端者如きに動かせるものなどないと知れ!』
「…ぐっ」
ドルーア皇帝
…いや、地竜族の長たるメディウスに協力している竜族、竜人族が
彼等にとって大罪人アドラと並んで見つけ出し次第八つ裂きにしてもなおその怒りが収まる事のない者
その名をガトー
世間では『大賢者』などと言われている者であった
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大賢者ガトー
かのカダインを創設した人物であり、カダインの長であったミロアと現在のドルーア帝国を実質的に支配している(と思われている)魔王ガーネフの師
彼は元々神竜族の1人であり、ヒトと共に生きる事を選んだ者
元々魔法の才があった為か、はてまた竜族としての気質か
魔法を教えるという立場にありながら、弟子であるガーネフの心の闇を指摘はしても、それを解決しようとしなかった
光の魔法オーラをミロアに授けた事により、ガーネフは自身の闇の導くままに深淵へと堕ちた
そして、ガトーの持つマフーの魔導書を盗み
それを以てミロアを殺害。ミロア亡きカダインを手中に収め、メディウスの封印を解き放った
本来師であるならば、弟子の不始末
ましてや己が渡した魔導書をめぐる諍いならば、動いてもおかしくない筈。更にガーネフを魔王たらしめているマフーはガトーの所有物だ
にも関わらず、ガトーは一向に何も手段を講じなかった
更にガトーは氷竜神殿ことラーマン神殿にナーガの娘であるチキを封印していた
ナーガの従者であったバヌトゥはそのあまりの仕打ちに情が湧き、チキを外へと連れ出している
なお、バヌトゥがチキを外に連れ出して既に10年が経過しているのだが、ガトーはその間何をやっていたのだろうか?
ガトーの主張するところでは、まだ理性をうまく制御出来ないチキでは力を暴走させかねないとして封印しているそうだが、その割にはバヌトゥとチキを見つけた訳でも
弟子を導いた訳でもない
どちらも中途半端なのだ
神竜族の長ナーガはヒトと竜の共存の為に旧き世において、同胞である地竜族と戦い封じた
その事を知りながら、ヒトの世を乱さんとするガトーの行ないは裏切りにしか見えなかったのだ
故に見つけ次第、殺す
ガトー程の者ならば、アカネイアの不義を批判したとなれば何らかの行動くらいは起こさせる事が出来たかも知れないのに
そういった意味においても、ガトーは許してはならぬ者だった
ガトーの能力は高い
…高いのだが、やはり彼も賢者である以上そこまで耐久力がある訳ではない
1人や2人ならばさしたる問題にもならないのだが、今回ばかりは相手が悪い
魔竜王バジリスクの異名を持つモーゼスが配下の魔竜達と共にガトーを滅ぼさんとしているのだ
彼等はメディウスに従っている訳ではなく、あくまでも竜族の世界の為に共闘しているに過ぎない
だが、それ故に殺すと決めた相手には一切の容赦も慈悲もない
「…このままでは、まずいか」
ガトーはそう呟くと転移魔法でその場を後にした
この様な事情があり、ドルーアは動かなかったのである
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難を逃れたガトーであったが、流石に何の手がかりも掴めないチキを探すのは不可能と判断し、メディウスと戦おうとしているアンリの末裔に道を示そうと考えたのだ
…本来、自分で片付けていればここまで戦火は広がる事はなかったのだが、そんな事を気にするガトーではなかった
そしてアリティアへ赴いた訳だが、当然通される筈もない
何せ、アリティアの街ならば自由だがアリティア城とは軍事拠点であると同時に政庁としての役目も担っているのだ
先触れがあって然るべきであり、間違っても突然の来訪など認められる筈がないのだ
…それが仮に他国の王族であろうとも
『良くもそんな大きな顔が出来るものよな』
とモーゼス達が今のガトーを見れば言うだろうが、彼は気にしない
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そして、マルス達がアリティアに戻るとガトーは改めてマルスとの謁見を希望する
「…其方がアンリの末裔か
確かにあの者の面影がある」
ガトーの言葉に一部の者は内心顔を顰めた
現在のマルスは便宜上王子となっているが、実際には国王であり公的な立場を持たぬガトーはそれなりの態度で接するのが礼儀なのだ
ましてや、マルスから望んだものではなく、向こうが押しかけてきただけなのだから
そして、ガトーは語る
メディウスを倒さんと欲するならば、ファルシオンが必要でありファルシオンはカダインにいるガーネフが持っている、と
確かにそうかも知れないが、そもそもこの人物がマフーをガーネフに奪われた事やガーネフの闇を理解しておきながら、師として何の手段も講じなかった事こそが原因であろう
にも関わらず、自分はあくまでも傍観者の様なやり方をする
これこそが彼が同族であった者達から忌み嫌われる理由なのだが、本人はまるで意に解するつもりはないときた
「…時にそなた達はマムクートの娘を知っておるか?」
「いえ。心当たりはありません
…お力になれず」
「……そうか
カダインまでは私が魔法で送るとしよう
準備が出来たら呼ぶと良い」
マルスは目の前の人物を信用する気にはならなかった為、敢えてゲレタ達の情報を隠す事とした
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「…どう思われる?」
「大賢者ガトー
どうにも信用するには難しいかも知れませんな」
ガトーが去った後、マルス達はかの人物について意見を述べる場を設けた
何せメディウスを倒す事もガーネフを倒すのも必要なのは理解している。…理解しているのだが、まだまだ復興の進まないアリティアを放置してするべき事なのか?という疑問があった
更に言えばかの人物は自分の言う通りにする事がさも当然であるかの様な物言いをするのもジェイガンやハーディンとしては受け入れ難い
優先順位はあるだろう
…だが、こちらの都合を一つとて考慮しない様なやり方にはやはり正論だとしても反感が募るもの
あの言い方ではカダインに行くのは既定路線であるらしいが
「…仮にカダインへ行ったとして、それが終われば全てが解決する訳ではない
先のパレスに対する攻撃の例もある
後方を完全にガラ空きとするのはどうかと思うのだが」
マルス達がこれまで(比較的)自由に動けたのは確たる拠点
言い換えれば守らねばならない拠点が存在しなかったからでもある
ニーナはアリティア軍に同行していたし、パレス解放後はアカネイア軍(なお信頼性は皆無の模様)が一応存在している
そして、やっとマルス達は祖国アリティアを取り戻した
しかしこれは、今後マルス達アリティア軍はアリティアを守りながらドルーアやマケドニア、グルニアと戦わねばならないという事にもなるだろう
戦力的な不利があったのは間違いないが、アリティアは一度ドルーアとグラによりその国土を焼かれているのだ
であればこそ、マルス達の帰還を民は喜んで受け入れている
なればこそ、もう二度とアリティアを焼かれてはならないのだ
仮にドルーアとの戦争に明け暮れて、ドルーアを滅ぼしたとしてもアリティアが焼かれてしまえばアリティアの民はマルス達を認めるだろうか?
認めはしまい
民が望むのは平和であり、大陸の平和を守る事に対して必ずしも思いを寄せている訳ではないのだから
姉であるエリスをアリティアに残しているし、新しく加わったアランや各地に立っていたアリティア騎士団の者も少しずつだが集まっている
いるのだが、それで先のパレス侵攻の様な大軍を止められるか?と聞かれたならばマルスやジェイガンは止められると断言出来ない
しかし、兵力を分散した状態でドルーアやマケドニア、グルニアに勝てると思う程にマルス達は楽観的になれなかった
マルスの脳裏に1人の人物が浮かび上がる
「…いやダメだ
それはいくら何でも都合が良過ぎる」
しかし、それをマルスは必死に振り払う
…それにガトーは明らかにゲレタの娘を探している様に思えた
会わせたとなれば、碌な事にならないだろう
ガトーの態度からマルスはそう考えた
「村長、お呼びと聞きましたが」
「おお、ゲレタさん
実は貴方にお渡ししたいものがあるのです」
マルス達が苦悩している頃、ゲレタは村長宅へ来ていた
なにやら渡すものがある
との事らしいので、行ってみると
「…また随分と危ない雰囲気の武器ですね」
「実は昨日納屋を整理しておったのじゃが、コレが出てきてのぅ
数年前に商人が代金の代わりに置いて行ったものなのじゃよ」
村長がテーブルの上に置いた斧を見て、ゲレタは目を細めた
「…デビルアクス
そう商人は言っておった。ゲレタさんならばと思ったのじゃが」
「…使えるとは思います
しかし、宜しいので?」
ゲレタは確かに斧も使える
切り札となり得るコレはあると助かるだろう
…まぁ運次第で自傷する事になるとは思うが、そこは運が悪かったと素直に諦めて良いだろう
可愛い妻と娘
綺麗な同居人に必死で学ぼうとする教え子
これ以上の贅沢はないと思っているから
「何も出来ませんからな
せめてもの気持ちですじゃ」
「では、有り難く」
この日、ゲレタが手に入れたもの
これが後にあんな事を引き起こす事になるとは
ゲレタ以外考えもしなかった
ガトーとマルス達
そして少し変化のあったゲレタでした
ifルート(18禁バージョン)いる?それだけ独立して投稿するものとする
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いる
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いらない