汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
マルス達はガトーが訪れてから一週間後カダインの地を踏む事となる
カダインは魔道士の国であり、そこを抑えられている限りカダインマージと呼ばれるカダインの魔道士達との衝突は避けられなかった
と言うのが、建前
マルス達アリティア軍の魔道士であるウェンデルとマリク
この2人はカダインでの師弟であり、マリクとエリスは恋仲
マルスとマリクは親友といえる間柄でもある事からカダインの問題は放置出来ないとしたのである
…そう自分を納得させねばマルスはカダイン攻略に前向きな思いを抱けなかった、と言う方が正確だろう
幸いと言うべきか、タリス王とグラのシーマ女王がアリティア防衛の為の戦力を出してくれた事もマルスがカダイン攻略に取り掛かる事になった要因の1つと言えるかも知れない
「砂漠の向こうにカダインがあるんだね」
「しかし、砂漠となれば騎馬は足を取られてしまい機動力を失うでしょうな。今までと少し戦い方を変えねばなりませんぞ」
「それにこの様な環境となれば、騎馬の消耗も激しくなる。持ち込んだ物資のみで賄えるかどうかは厳しいかも知れんな」
マルス達は目の前の広大な砂漠を前に各員の状況とこれからの事について話し合い事となった
ガトーはやる事があるらしく、しばし陣を離れるとの事
ハーディンなどは
「幾ら『大賢者』と持て囃されていようとも、かの人物が今回の戦乱において何もしておらんだろう
…少なくとも、寡聞にして私は聞いた事がない
カダインの者には失礼かも知れぬが、活躍したのならばそれを喧伝するくらいの事はやるであろう?
それが無いと言うならば、そういう事ではないか?」
とガトーを気遣う者達に言い放った
それは
勿論、ハーディン自身がああいった者を好まないのも理由であるが
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ゲームならばソシアルナイトやホースメン、パラディンは自由自在に下馬出来ていたが、勿論現実問題それは難しい
何せ訓練している軍馬とは言え、馬とは本来臆病な生物なのだ
そして過酷な環境に晒し続けられて耐えられる程に馬は鈍くも環境への順応性が高いわけでは無い
更に言えば、カダインについて殆どの者が名前こそ知っていたが周辺環境に無知であった事がマルス達にとって不利に働く
大賢者(笑)は頓着していない様であったが、馬や天馬、飛竜は維持コストのかかるものであり、少しでも扱いを間違えれば容易く命を落とす事になる生き物なのだ
そしてマルス達はカダイン付近での戦闘を考えて来ている
その為多くの騎士は
寒暖差が激しいのが砂漠地帯の特徴である以上、根本的な対策を講じねばならないのは当然の事
そして、対策を講じるのにも費用がかかる
今回のカダイン攻略はアカネイアの命を受けての事ではない
言ってしまえば『一個人』の提案によるもの
作戦にかかる費用をアレが気にするはずも無く、マルス達は戦わずして既に頭痛と戦わねばならなくなっていたのである
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ガーネフはカダインの砂漠南部に転移してきたマルス達の報告を聞いて
マルス達の正気をまず疑った
え、アレに唆されてきたの?
マジ?死ぬ気なの?
と言ったところだ
何せ転移魔法で来たという事は彼等に拠点も補給線も存在しない
言うなれば、飛び地へと侵攻してきたという事
アレの手駒になるとか、苦労するなぁ
と思わずガーネフは目頭を押さえてしまう
若い時から望んでして良い苦労でもなかろうに
そう思ったガーネフはとりあえず、彼等が視認出来る所へと転移する事とした
ガーネフは確かに現在の大陸の体制に不満を持っている
…だが、あの老害の走狗と戦うつもりはない
戦うならば、戦う理由をしっかりと持って欲しい
そう思っているから
そして転移した彼が見たものは
明らかに砂漠に対応していないと思われるマルス達であった
カダイン出身の魔道士達がマントや法衣を纏っているのには理由がある。勿論、単純な趣味という部分もあるが
砂漠という気候に対して適応する為のものなのだ
何も障害物のない砂漠では風が強く吹き、絶え間なく照りつける太陽は体力を奪っていく
しかし、陽が落ちれば今度は極寒の地となってしまう
正直なところ、何故こんな頭のおかしい所に拠点を作ったのか?
ガーネフには理解し難かった
恐らくだが、魔法の秘匿の為にも周辺を見渡せる環境が必要だったのと、不心得者が脱走するとしても発見が容易になる様にしたのではないか?と思うが
…それよりもガーネフは思う
カダインの魔道士、使いづらい
と
先のパレス侵攻に数名動員したのだが、何というか
実戦的では無い様に思えてならない
遠距離魔法で一方的にやるならば問題ないのだが
それはシューターでも同じ事
何というか無駄に意識が高いのだ
プライドが
ガーネフとしては
「もう要らぬわ」
と匙を投げたくなっていたので、寧ろこれを機にカダインを手放すべきでは無いか?と考えている
何せ、カダインマージの働きの悪さはメディウスの機嫌を急激に悪化させるのだ
更に言えば、ガーネフは寧ろ
「何故こんな連中を纏める立場が欲しかったのだ?」
と思う様になった
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ガーネフはドルーア帝国におけるヒト側の最高指揮権を持つ
その為、多種多様な仕事が彼に舞い込む事となった
最初は高揚感があった
何もかもが自分に平伏すのだと
…ところがそうではなかった
メディウスは勿論、ゼムセル、モーゼスにショーゼンと言った者達もまるで自分の意見など聞こうとしない
寧ろ虫ケラの様な視線を向けられるのだ
まぁ無理もない
今のガーネフは闇のオーブの影響を少なからず受けている
言ってしまえば
自身の感情すら抑えられない
様な状態にあるのだ
そりゃあ、侮蔑されても仕方ないだろう
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人の原初の感情にして、最も強いであろう生存欲
ガーネフはそれを常に刺激され続けているのだ
故にいつしか闇のオーブのそれよりも、生物としての本能からくる生存欲が上回る様になっていた
いつも生存本能が限界まで酷使されているのだ。無理もない
闇のオーブが
「…あるぇ?」
となっていたかどうかは定かではないが
そしてカダインの連中がそこまで役に立っていない事もあり、ガーネフは闇のオーブの影響から徐々に脱していったのである
何せメディウスからも
「…お前、死ぬか?」(超意訳)
などと言われているのだ
マフーがある限り大丈夫だと思っていても、流石に怖い
丸呑みされてしまえばどうにもならない可能性があるのだから
因みにグラやパレスに派遣したカダインマージ達が活躍していない。などと言うのを問題視するのは少しばかり酷であろう
グラにおいては、ゲレタによる襲撃を真っ先に受け
パレスにおいては、魔道士の存在に気づいたラングの指揮により最優先目標として狙われ、残った者達は落ちる竜人族の下敷きになっていたのだ
故に目立った活躍のないカダインマージ
そして、それらを統括する立場にあるガーネフの立場は確実に悪化していた訳だが
「…ふむ、潮時か」
ガーネフにとってカダインとはあの傲岸不遜の権化たる男の権威の証でもあり、ミロアの強さと正しさの証とも言えた
カダインが各勢力から独立した立場を持っていたのは魔道士の優位から
などとガーネフは思っていない
カダインの外で活動する事の多いガーネフは思うのだ
と
無駄にプライドは高いし、実践的とも思えない
しかも魔法偏重主義の為に協調性にも難あり
そして、何よりも
(面倒じゃ)
ガーネフは内心愚痴る
何せ、あの老いぼれがいつまでも死んでいないせいでミロアや自分の影響力は低いのだ
…いやまぁ、死ねというのはどうかと思わなくもないが、せめて隠棲して欲しいとは思う
事あるごとに存在を示されたとあっては、いつまでもカダインの次世代が育ちづらいと思えてならない
…そんな考えをアレがしているとガーネフは露ほどにも思っていないが
「…暫くあやつらを見ておくか」
そう言ってガーネフはマルス達を観察する事にした
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マルス達の接近の報を受けたカダインの魔道士達はマルス達との対決を覚悟した
ガーネフの手先として活動していたのは事実であり、反対していたエルレーン等を牢に繋いでいたのだ
退く事は出来なかったから
ガーネフがカダインを支配した際、カダイン魔道士達は選択を迫られた
ガーネフに従い、ドルーアに与するか?
ガーネフと戦い、ドルーアによって滅ぼされるか?
そんな究極の2択を迫られて、抗える者はそこまで多くない
加えて、カダインでも高名なウェンデルは戻って来ず(というか、オレルアン城に捕らえられていた)、大賢者ガトーも行方が知れない
カダインの魔道士の中には
「せめて、自分達ガーネフに従う事を選んだ者は敵として筋を変える事なく討たれるべきだ」
と考える者もそれなりに居た
何せカダインの魔道士もマケドニアと同じ様に各国や各勢力に雇われる事が多い
マケドニアの様に傭兵ではないが、間違いなくこの戦争でカダインの魔道士の信用は地に堕ちた
となれば、自分達ガーネフに従った者がいつまでも生きていたのではカダインの信頼回復は不可能だろう
一部の風見鶏は何を言ったところで無駄だと諦めている
彼等はカダインの誇りと未来の為に死ぬ事を選ぶ
そして、マルス達の前に彼等は死んだのだ
…誰1人として降伏する事なく
その姿を見届けたガーネフはその場を後にした
彼が何を思ったのか、誰も知る事なく
カダインで教えを受けたマリクやカダインで教えを授けていたウェンデルにとっては辛い戦いとなってしまった
無理もないだろう
顔見知りもいたと言うのに、彼等は2人の言葉に耳を貸さなかったのだから
倒すべき相手であるガーネフを逃してしまったマルス達の前にガトーは現れこう口にする
「星と光を集めよ」
と
そしてマルス達をアリティアへと送り返した
些かガーネフのキャラがブレている気がしてならない
とりあえず、このまま書くと思うけど
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