汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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カダインを解放したマルス達アリティア軍


大賢者ガトーは言う

「今のお主達にガーネフは倒せぬ
星と光を集めよ。2つはカシミアのラーマン神殿にある」



ガーネフを倒さねばドルーア帝国は倒せない
マルス達はガトーの導きのまま、カシミアへと足を踏み入れる事となる


 誰が為に

グルニア王国黒騎士団

 

大陸最強の呼び声も高い彼等であったが、既にその内情はボロボロであった

国王は黒騎士カミュを信頼していたが、ある噂が民衆の中に広がる事により彼に対する評価が割れる事となる

 

 

アカネイアのニーナ王女を逃したのはマケドニアのミネルバとグルニアのカミュである

というもの

 

これは紛れもない事実であり、実直な人物であるカミュはそれを否定する事はなかった

 

 

 

しかし、先のアカネイア軍によるグルニア侵攻を挫いたグルニアだ

今更アカネイアに与する選択が取れるはずもない

 

 

更にオレルアンやワーレン、レフカンディなどにおいてグルニア軍はアカネイア復興を目指すアリティア軍と幾度も戦闘を行ない、犠牲を出している

 

グルニアは事情はどうあれ、ドルーアに従う選択をしたのだ

にも関わらず、グルニアの騎士として名高い黒騎士カミュがその様な裏切りを働いたのだ

 

 

これに対し、カミュ配下とも言える黒騎士団の中からもカミュに対する反発や不信感が生まれたのは仕方のない事だろう

何せ現在のグルニアはドルーアからもそのあり方を疑問視されており、ドルーア側からの援軍は一切ない

マケドニアからの援護や援軍もないのだ

 

グルニアは国際的に孤立しつつあったと言える

 

 

その原因の1つとなったカミュに対して不満が出るのは致し方ない事であっただろう

 

…ところがカミュ子飼いの部下であるベルフ、ロベルト、ライデンはカミュのした事を騎士道として非難される事はなく、寧ろ正しい事である

 

 

そう主張したのだ

 

勿論、それもある面からすれば当然の主張だったのかも知れない

 

 

 

しかし、その結果グルニアは良くなったのか?

では、その為にオレルアン、ワーレン、レフカンディなどにおいて死んだのだと

死んだ兵士達の家族にそう説明出来るのか?

 

という反発が強まる事となる

 

 

騎士道と言えば聞こえは良いが、究極的には自己満足でしかない

騎士道を貫き通せば、民や国を守れるのか?

 

 

騎士とは何を守る為の存在なのか?

誇りを守る為?

国を守る為?

民を守る為?

 

 

騎士達はその問題を改めて突きつけられる事となった

 

 

 

 

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グルニア騎士にとって黒騎士カミュは誇りであり、また目指すべき理想のひとつ

 

武功で言えばロレンスもカミュと同格か、寧ろそれ以上なのだがカミュには人を惹きつけるものがあったのだろう

 

 

故に、尊敬が失われると大きな反発を生む

 

 

特にカミュの様に国王からの信任のある者ともならば尚更

 

 

 

 

 

国王やロレンスがカミュを擁護する事は出来ない

それをした場合、最悪民の反乱を招きかねないのだから

 

 

 

人はストレスに弱い生き物だ

良い事は何も考えず享受するが、悪い事になると原因を探し求め

そして叩こうとする

 

 

それは立場ある者などになればなるほど強烈な反発となるのだ

 

 

 

民衆からの反発はそのまま騎士達にとってのストレスとなり

そのストレスは民衆の反発を招いたカミュへと向かう

カミュを擁護する3人の騎士の行ないは多くの騎士達の反感を買う事となり、カミュの元で戦う事を良しとしない者達が急速に増える事となったのだ

 

 

 

 

これがマケドニアならば問題にならない

マケドニアのミシェイル王は必要ならば、妹であろうが人質に出したり国内の賊退治に自ら乗り出すのだから

 

 

 

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そして軍組織としての崩壊を防ぐ為、カミュに反感を持つ者達はグルニア本国ではなく各地へ分散配備される事となったのだ

 

 

 

 

当然派遣される事になった騎士達からすれば不本意かつ不愉快な事でしかなく、決定を是としたグルニア王家に対する不信感を高める事となってしまう

 

 

 

しかし、彼等とてグルニアの騎士

敵であるアリティア軍との戦闘に迷いを持ち込む事はない

 

 

 

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マルスは悩んでいた

 

先のカダインでの戦闘

幸いにも味方に犠牲が出る事はなかった。…だが、本来倒すべきガーネフに逃げられ、ガーネフについていた魔道士を倒したものの戦後処理は何ひとつ行なう時間もなくアリティアへと戻されたのだ

 

 

光と星を探せ

 

などと言われたが、マルスからすればもっとやるべき事がある様に思えてならない

 

 

 

詳しく話をするでもなく、ただ戦えと

 

 

それで良いのか?とマルスは思う

戦う理由は人それぞれだ。仮に相手の話を一切聞かなければ、マルスは自分達が此処まで来れたと思えない

 

母の病気を治す為に戦うカシム

シスターを助けようと山賊から足を洗ったジュリアン

苦しむ村人達のために山賊を説得しようとしたレナ

シーダの説得に応じてくれたナバール

妹の説得に応じて味方になり

…そして妹を守る為に死んだマチス

 

誰しも事情を抱えて戦っている

 

 

大賢者と言うのだから、彼の言う事が正しいのかも知れない

……だが、マルスはどうしてもかの人物を信じられないのだ

 

 

 

そんな悩みを抱えながら、マルス達はラーマン神殿へと向かう

 

 

 

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ラーマン神殿へと到達したマルス達を待っていたのは

 

 

『何用か?』

竜人族の群れだった

 

 

ラーマン神殿とは本来神竜族の長であるナーガの為の神殿であり、謂わばナーガを信仰する者達にとっての聖地

光と星のオーブが安置されているのも、竜人族の者がヒトの手から取り戻したものである

 

 

そして、彼等はメディウスに従っている訳ではない

…が、ヒトに対して好意的である筈もない

 

彼等もまたアドラ(薄汚い盗賊)のした事を知っているのだから

 

 

バヌトゥは何も言わない

…いや、正確には何も言えない

 

彼がどう考えたとしても、チキ(ナーガ様の娘)を連れ出したのは事実なのだ

 

 

 

「…私はアリティア王国のマルスと言います

大賢者ガトーから此処に光と星のオーブがある。…そう聞きました」

 

『アリティア

…ああ、あの愚か者に利用された挙句英雄として祭り上げられた者の国であったか

……ヒトは相変わらず学ばぬものよ』

 

マルスの言葉に竜は不愉快そうに吐き捨てる

 

『…帰るが良い。此処はヒトが足を踏み入れて良い場所ではない

あの愚か者がお主らを此処へ導いたのは、我等の目の前に現れる覚悟がないからよ』

 

「…それはどういう」

 

マルスの様子を見て

 

『何も知らぬのか?

哀れにも程があろう

……まぁ良い。マルスとやら』

 

「はい」

 

竜はマルスの顔を見つめると

 

『歴史を知る覚悟はあるか?』

 

そう告げた

 

 

竜の言葉にマルスは力強く頷いた

 

…それがマルス達の価値観を根底から覆す事になるとも知らないで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秘されし歴史

 

語られぬ真実

彼等はヒトの姿をそこに見るだろう

 

 

 

 

 

 

 




と言う訳で次回旧き竜による暴露タイムとなります


これにより、マルスは更に苦しむ事になるのですが
重き荷を背負ってこその英雄なので仕方ないね

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