汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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帰還報告を兼ねた投稿

なお端末が変わった為、利便性は低下した模様



箸休め程度ですが、どうぞ


 外伝 慕情

命を助けられた事はあるだろうか?

 

 

そんな問いかけをされたとして、現代日本において頷ける者はそう多くはないだろう

 

…しかし、戦争による混乱は飢餓や人心を容易く荒廃させ、余裕を奪い去り、ヒトの持つ善性を簡単に奪い去る

のだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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騎士という者は貴族に比べ、高潔な者と言われる事が多い

事実意識はしていなかったものの、パオラ自身も少なからぬアカネイア貴族などへの反発はあった

 

 

 

 

しかし、私達は気付かなかった

 

私達が貴族やミシェイル王に不満を持つ様に、私達に対しても不満を持つ者がいるという事を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

汚泥の中で  外伝 慕情

 

 

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パオラは主君であるミネルバに対して『暇を乞うた』

つまり、マケドニアの騎士としての自分を捨てるという道を選んだ

 

末の妹であるエストの事が気にならないとは言わない

 

 

…しかし、自分はあの時に間違いなく死んだのだ

 

今も自分がこうして生きているのは、ゲレタさんやチキさんが居たからである。…その上妹カチュアの命と尊厳を守って貰った。そう自覚している

……本来ならば、村にとって負担にしかならない愛馬(ペガサス)すら助けるのも難しいだった筈なのに

 

 

そんな事に気付くことすら、私には出来なかったのだ

 

 

 

 

 

 

マケドニア王国では確かに自身の愛馬の調子を整えるのは騎士の役目

…しかし、私達も四六時中そればかりをする訳ではない

 

必ず世話をする者がいたのだ

 

 

私達はそれに慣れきってしまっている

勿論、従軍中ならば自分でして当たり前の事ではあるが、それとて万全なものではない

 

 

ミネルバ様も私やカチュアもエストも他国で傭兵として活動した経験はない

うろ覚えとなっているが、先王から実権を得たミシェイル様が推進した方策の1つだったと記憶している

 

 

 

マケドニア王国軍において、ベテランと新人の境目の1つが『他国で傭兵として戦った事があるか否か』であると聞いた事がある

その点に於いて、私達を含めた白騎士団は元よりミネルバ様も新兵扱いされるのも仕方のない話なのだろうか?

 

 

ミネルバ様やミシェイル王の父、先王の時代にはその様な風潮が確かにあったと

 

 

 

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「騎士なんて言ってるから、少しは出来るかと思ったんだけどねぇ」

村のある人から言われた事がある

 

畑での収穫の時、私は何をして良いのかすら分からなかった

手を出そうにも

 

「邪魔」

 

「····そっちはまだいいんだよ」

 

と言われてしまい、私はどうすれば良いのか途方に暮れる事となってしまう

 

 

あれはミネルバ様とマリア様が来る前の事だった

 

 

 

今ならば理解出来る

 

あの時の私は足手まとい以外の何者でもなかったのだという事が

 

 

 

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ゲレタさんとリンダさんとチキさんがこの村に来て腰を落ち着ける事になってから村の役割が大きく変わったと聞いた

 

元々山賊や獣相手の戦闘は常に村の者達に被害を出す事となり、少なくない数の者が命を落としたという

しかも、防衛にあたれるとなると動ける人間

 

…つまり、村にとって必要不可欠な男手が戦闘により消耗していったそうだ

 

 

近くにあった村もそうやって少しずつ

だが、確実に村の未来が閉ざされていったらしい

 

 

 

そんな中でゲレタさんとリンダさんが2人で旅をしていた時にこの村に立ち寄ったそうだ

 

リンダさんは

 

 

「こんな世の中だもの。幾らでも汚い事に手を染める人はいるのよ

パオラさん。貴女は宿屋に泊まった事はある?」

と話を聞いた私に訊ねてきた

苦い顔で

 

 

「…いえ、私達は砦や城で生活する事が多いので」

どうしても天馬や飛竜が特殊である事からか、マケドニア騎士は村などへの滞在を原則認められていない

当時は疑問に思っていたのだが

 

「なら知らなくても無理はないかも知れないわ。……宿も時として奴隷になる最短ルートなのよ?」

 

 

リンダさんの言葉を聞いたその時、私は初めて世の中に恐怖を感じる事となる

 

 

 

 

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「宿で、ですか」

俄かには信じられない話だった

 

リンダさんの表情や纏う空気から嘘を言っているとは思えない

しかし、容易に信じられない。……いや、信じたくないという方が正しいだろう。何せそれは余りにも悍まし過ぎる話だから

 

 

だが実際リンダさんとゲレタさんはその被害に遭いそうになったと言うならば、本当にその様な事はあるのだろう

 

…どれだけ自分達が恵まれた立場にあったのか、今更ながらに理解する事となる

 

 

 

 

 

 

 

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ある日、村に行商人がやって来た

 

どうにも昔この近くにあった村を訪れたらしいが、その村は既に無く途方に暮れていた所この村を見つけたそうだ

 

しかし、既に村の備蓄に余裕はそこまでなかった

 

 

村長は不審なものを感じたのか、ゲレタさんに声をかけて同席してもらう様に頼んだのだが、私には不思議でならなかったのを今でも良く憶えている

 

 

 

「…リンダ」

 

「ええ」

たったこれだけのやり取りをしてゲレタさんは村長の家に向かう

 

そして

「チキ、パオラ、クライネにカタリナ

警戒して

チキはレイに声をかけて村の近くを

パオラはクライネとカタリナと一緒に村の中を見回って

私は食料倉庫で」

そうリンダさんは私達に指示を出すとそのまま家の外へと出ていった

 

 

 

 

何の事か分からないままに私はクライネとカタリナを連れて村の中に異常がないか見て回る事とした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ゲレタさんとリンダさんの懸念はあたっていた

 

悪い意味で

 

 

 

 

 

商人と名乗っていた人物は村の者達を油断させる為の囮

 

 

村の周辺に凡そ似つかわしくない存在、武装した山賊が少数ではあったが、潜んでいたのだ

 

 

 

 

彼等にとっての不運

私達にとっての幸運は村の周辺を見回ったのが元々村で監視などを少なからず任されていたレイが居たことと

 

文字通り反則レベルの存在であるチキが対処にあたった事だろう

 

 

 

 

 

とは言え、あの時凌げたのは僥倖だったと思えてならない

 

ゲレタさんが言うには「生きる為に必死になっているのは何も騎士や市民達(陽の下で生きる者達)だけじゃねぇってこったな。····寧ろ道を外れた者の方がより性質(たち)の悪い事になる」

 

との事

 

 

 

 

 

 

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人を騙し、人を陥れ

時に自らの安全の為に他者を贄とする

 

人心が荒廃するってのは恐ろしいもんだぜ?

しかも、仮に戦争が終わったとしても歪みきったものを正すのは不可能に近い

 

 

はっきり言えば、国同士の争いなんてその国の騎士や貴族、王族だけでしてもらいたいもんだ

 

 

なぁにも良い事なんざありゃしねぇよ

 

 

 

パオラには悪いがな?

あの姫さんがその辺の事を理解しているたぁ、俺には思えんのよ

 

 

 

 

 

 

その言葉に私は何も言い返す事が出来なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ゲレタさんは元山賊と言うには余りにも考え方が違いすぎる

 

リンダさんは

「それも含めてのゲレタよ。理解してほしいとは思うけれど、万人受けする男性(ひと)ではないかな?

その方が私的には有り難くは有るのだけどね?」

 

 

と悪戯っぽく笑っていた

 

 

 

 

 

 

 

そんなリンダさんの表情を見ると、胸の奥が少し傷んだ

 

 

 

 

 

 

 




と言うわけで、新しい端末(GEOで5000円)と大正義Wi-Fi君頼みでのろのろ書いていこうと思います


かれこれ3ヶ月位前なので忘れられてそう




またよろしければお付き合い下さると幸いです

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