汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
「········」
「す、凄いね」
ヴァイス·スレイブの総責任者であるアルフォンスに呼ばれたエクラは彼の執務室を訪ねた
そこで彼女が目にしたのは
うず高く積み上げられたオーブの山
最近エンブラで不穏な動きが起きている、との話をエクラも聞いており戦力増強は急務となっている事を考えればこれだけの物資は素直にありがたい
ありがたい筈なのに、何故かアルフォンスは浮かない顔
「アルフォンス?」
「あ、ああ
エクラ来てくれていたんだね。ありがとう」
怪訝に思ったエクラが再度声をかけると漸くアルフォンスは再起動(マテ)したらしく、エクラを見て小さく笑った
「えっと、つまり」
「そうなんだ」
うず高く積み上げられたオーブを背景にアルフォンスの話を聞くエクラ
それによると、ヴァイス·ブレイブからアスク王国農政部門に引き抜かれたゲレタとチキの父娘
チキが強いのは分かっていたのだが
「そんなに強かったんだ」
問題はゲレタの強さが明らかに出鱈目だった
そういう事だ
「パントやカナス
ハーディンやヴァルハルトにアシュナードとかが凄く楽しそうに模擬戦しているらしくて、ね?」
「一線メンバーばっかりじゃないですか、それ」
エクラも呆然としてしまう
彼等は口にしていないが、ゲレタとの模擬戦ではゲレタは1人に対して彼等は5人
つまりフルメンバーで挑む事が多い
因みに少し前に漸くヴァルハルト、アシュナード、ゼフィール、ハーディンにゼルギウスで勝利した
その結果、難易度が1つ上がる事となり、ゲレタ側にチキが加わる事となっている(ゲレタ、チキ相互支援効果)
余談となるが、チキ(異聞)がそれを不服としてチキとの模擬戦を希望
チキもそれを満面の笑みで快諾
第一回『お父さんの1番は私』が開催される事となったそうな
戦いは終始チキ(異聞)が優位に立ち回ったのだが、最後の最後でチキが此方に来てからゲレタに教えて貰った攻撃で勝利している
更に余談となるのだが、チキ(異聞)もゲレタの家に住む事としたのだが、いつもゲレタと一緒の布団で寝ると2人はじゃれあう(ゲレタ視点)らしい
「巫女のアレをじゃれあうと言うのか」
「コイツ実は竜族じゃないのか?」
と話を聞いて戦慄した銀髪美少女系邪竜と赤髪美少年系暗黒神がいたとかなんとか
----
アルフォンスとしては
「そこまで強いなら戦って欲しかったなぁ」
と思ってしまうのだ
勿論、後方を固めてくれた事には感謝しかないのだが
最近ではシグルド、エルトシャン、キュアンを始めとした聖戦やトラキア勢が空いた時間を利用してゲレタ達の所で修行しているとも聞く
更に向上心の高い教師であるベレス、ベトラもゲレタに興味があるらしく最近外出許可がこれまでと比べるとかなりの数となっている
アスク王国としてもヴァイス·ブレイブの強化は好ましい事ではある
更にゲレタは農業や狩猟、更に農地開拓も積極的に推進すべきとの話から集まった者達と共にそれらを行なっているとも
何より頭が痛いのは、比較的気難しい者が多い竜関係者はゲレタの元で色々手伝っていたり、森を切り拓いたりしているらしいではないか
アルフォンスとしてはゲレタのしている事を否定するつもりなど毛頭ない
寧ろ積極的に後援すべきとも考えているのだが、王国農政担当者達はゲレタを手放すつもりはないらしいのだ
「気持ちは分かるのだけど、予備戦力としても教導役としても欲しいのよねぇ」
とはアンナの言葉だ
全くもって同意せざるを得ない
シャロンもゲレタと話をしてみたいらしいのだが、中々難しい
----
「と言う訳なんだ」
「えっと」
アルフォンスの愚痴を聞き終えたエクラは苦笑いするしかなかった
因みにエクラは知らない事だが、ゲレタとエクラの世界はかなり似通ったものである。その為、エクラの溜め込んだものを吐き出す事の出来る数少ない人物だったりする
「とりあえず召喚するけど、良いの?」
「ああ。どうやらある程度の道筋は出来たみたいでね?」
エクラの問いかけにアルフォンスは力強く頷く
エクラは召喚式を起動した
(あれ?)
彼女はどこか違和感を感じる
何故か1つのオーブが気になるのだ
そして彼女はそれに触れ
「私はリンダ
名も無き魔道士の妻で可愛い娘を持つ母でもあるわ
よろしくね」
そう柔らかい笑みを浮かべた人物が召喚された
弱者の意地→護るべき者の為に
味方にリンダ(異伝)、チキ(異伝)、チキ(異聞)のいる場合のみ限定進化
確定先制、味方全ての攻撃力、守備力ともに+2の補正
ゲレタ
チキ(異伝)、チキ(異聞)、リンダ(異伝)、クライネ(異伝)、カタリナ(異伝)の何れかが所属している時のみ召喚可能