汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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設問

国を失い、奴隷に落とされた人物がいます
その人物が命と尊厳を守られ、二度と会えないと思っていた家族に会えた時の心情を答えよ


蒼き姫と獅子の憂鬱

「····ふぅ」

アリティア王国王女エリスは深いため息をついた

 

 

 

「駄目ね、これでは」

直ぐに気持ちを立て直そうとしたのだが、それでも沈む気持ちは止められなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エリスはこうして祖国に帰ってくる事が出来た

 

 

しかし、エリス本人は勿論の事

マルスやジェイガン達アリティア勢の誰一人とて、それが自分達の奮闘の結果などとは思っていない

 

 

「······ゲレタさん」

思わずエリスの口からその人の名前が出てしまう

 

 

 

その姿はまるで

 

まるで届かぬ誰かを想っているかの様だった

 

 

 

 

 

 

蒼き姫の憂鬱

 

 

 

 

 

 

----

 

 

 

 

「申し上げます!」

 

部屋に駆け込んできた兵士が涙交じりの声を張り上げる

 

「···良く戻りました

ですが、見たところ深手を負っている様ですね

傷の手当てを」

 

母リーザはそう口にしました

 

 

「コーネリアス様率いる我が軍は

っっ!グラの卑劣な裏切りにより壊滅

何卒速やかに準備を」

 

母の言葉が聞こえていない筈はありませんでした

しかし、その兵士は私達に全ての報告をし

 

「申し訳、ございません」

 

そのまま息絶えたのです

 

 

 

 

 

そしてお母様は私とマルスを友好関係にあるタリスに避難させる事を決め、マルスは先にジェイガン達をつけて落としました

 

 

·····ですが、あの時の私は素直にお母様の指示に従えませんでした

何せ、お母様は死ぬつもりであると分かってしまったのですから

 

 

 

 

でも、今思えばあの時の私は何も分かっていませんでした

 

 

 

マルス達をタリスへと逃がし、お母様と私はアリティアに残る決断をしました

 

 

その結果、ただでさえ少ない戦力を分ける事となってしまうなんて

想像もしていませんでした

 

 

 

 

 

 

 

 

アリティアの街が朱に染まっていた

 

 

 

人の流した鮮血

 

それらがアリティアを染め上げた

 

 

 

 

 

 

 

そんなアリティアの城下を私は逃げていました

 

 

 

 

 

 

 

そしてグラの兵士に捕えられた私はグラで商人に売られる事となります

 

 

逃げられない様に足を潰され、声もあげられない様に魔道具を付けられ、私は売り物となったのです

 

 

 

 

 

 

 

----

 

 

 

 

私をグラの兵士から買い取った商人は悩みました

 

 

 

何せ私がアリティアの王女であると知ったのは私の足を潰した後

私をマルスに引き渡したとしても、当の私が話をすれば嘘をついたところで無駄にしかなりません

 

 

かと言って奴隷として私を持ち続けても良い事はないのでしょう

殺すのも私の純潔を奪うのも論外

 

 

 

しかし、折角高く売れると思って私を買ったのです

持ち続けても危険。でも奴隷として私を買い取った以上どうしようもなかったみたいです

 

 

 

そんなある日、商人は何時もの様に私を売りに出しました

 

 

持ち続けてしまったせいでそれなりの値段をつけなくては売る事も出来なかった様です

 

ですが、その結果値段がつり上がる事となりますます売れる可能性はなくなっていったのです

 

 

 

 

 

そんな時、ゲレタさんとリンダさんが私の前に現れました

 

 

 

 

 

 

 

その時私の値段はかなりのものになっていました

しかし、ゲレタさんは交渉する事もなく即決したのです

 

恐らく商人は、ならばもう少し値を吊り上げられる(絞り取れる)

そう思ったのではないでしょうか?

 

それをゲレタさんがどう思うのかすら考える事なく

 

 

 

 

 

ゲレタさんは自分を山賊で決して認められる人ではないと思っていた様に思える

 

口数の多い人ではなかった

 

 

 

でも、私の体調を気遣ってくれたり、マルスの元に私を戻そうとしてくれた

 

ゲレタさんでなければ、私がマルスに再会できたともアリティアに戻れたとも思えない

 

 

 

そして、そんなあの人に私が淡い思いを抱くのは許して欲しい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私をゲレタさんはマルスの元に送り届けてくれた

 

 

嬉しかった

そして厚かましいのは分かっていたが、それでも出来るならば、ゲレタさんとリンダさんに協力して欲しかった

 

 

 

私は何も分かっていなかったのだと

直ぐに思い知らされる事となるのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲレタさんのいた山賊団は他ならぬマルス達の手によって壊滅させられていた

 

それを知った時、私の頭の中は真っ白になった

 

 

 

 

なら貴方はどうして私を助けたのですか?

どうして仇である筈のマルス達と話が出来るのですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

何故

貴方は笑わないのですか?

 

 

 

 

あの人の復讐は終わった

リンダさんが涙ながらに制止したから

 

羨ましかった

ゲレタさんの道を変えられるだけの絆のある貴女が

 

 

 

 

涙を流してあの人にしがみついたリンダさん

 

その光景を見て私の胸の奥がズキリと痛んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

----

 

 

 

蒼き獅子の憂鬱

 

 

 

 

マルスはアリティアへの帰途に着きながら考え込んでいた

 

 

アカネイアに対して不信感を隠そうともしなかった神殿を護っていたマムクート

不満を抱きながらも此処まで共に来てくれたバヌトゥ

 

マルス自身もアカネイアに対しての疑念は強まるばかり

 

 

 

何が正しいのかさえも見失いつつあったと言えるだろう

 

 

 

 

 

そんなマルスに来訪者があった

 

その人物は

 

 

「タリス王!?」

 

マルス達を匿い、そして今はアリティアの復興に力を貸してくれる頼もしい義理の父

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「突然の来訪すまぬと思う

が、マルス王子が苦悩しておると娘から聞いては放ってはおけなんだ」

 

「···シーダが」

 

マルスは自分の婚約者にまで心配をかけていた事に表情を曇らせる

 

「そう自分を責めるものではないぞ、マルス王子

既にそなたは一国の主となったのだ

状況が落ち着くまで戴冠はせぬと思うが、それでもこれからは様々な問題が降りかかってこよう」

 

「はい」

 

「まして我等の様に中央と疎遠でない以上は巻き込まれる事もあるだろう

それでも譲ってはならぬものを見つけねばなるまいて」

 

「迷う事もあろう

苦しむ事もあるだろうな

それでも我等は何の為にいるのか?

常にそれを心掛けてみるのも悪くはなかろう」

 

「···ありがとう、ございます」

 

「マルス殿

御主は独りではない

頼るべき仲間や心を預けられる婚約者がおる筈

孤独になる事はない

御主は覇道ではなく、王道を歩むべきではなかろうかな?」

 

「心配する事はない

我等タリスはいつでもアリティアの力となろう」

 

タリス王はマルスと暫く歓談した後、帰国の途についた

 

 

マルスとしては此のような陣地ではなくキチンとした場に招きたかったが

 

「気持ちだけ受け取っておこう

どうにも形式に縛られた場と言うのは苦手でな」

 

そう笑った

 

 

 

 

 

 

 

「あれがタリス王

噂とは斯くもあてにならぬものですな」

ハーディンはタリス王の在り方に感心する

 

 

一国の国王ともあろうものが早々国を空ける事など出来る筈もないだろうに

それでも友邦の

 

いや、年若き悩める義息子(むすこ)の為にああして動いたのだろう

 

 

 

辺境の蛮族の王

 

そうタリス王の事をハーディンは聞いていた

しかし、現実はどうだ?

 

 

アカネイア(恩知らずの国)よりも

いや、比べるまでもなく

 

遥かに広い視野を持っているとしか思えない

 

 

 

この出会いは後に大きな意味を持つ事になるが、今はまだ誰も知る筈もなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なに?赤い外套(マント)を着た老人?」

 

「ああ、どうする師匠

村長は任せるって」

 

「···クライネ、カタリナ」

 

「はい」

 

「何でしょうか、師匠」

 

「チェイニーから片時も目を離すな」

 

「パオラ

バヌトゥ殿を呼んできてくれ」

 

「はい、分かりました」

 

「リンダ、チキを護れ

例え相手を殺したとしても、な」

 

 

 

 

「ええ」

 

「お父さん?」

 

 

そしてゲレタは遂に対峙する事となる

 

 

 

 

 

次回

 

責任

 




と言う訳で隠しヒロインのエントリーだ!(なお切ない片想いに終わる模様)


タリス王の有能回にしたかった
いや普通に優秀でしょう、タリス王






さて、お待ちかね(待っているかどうかは不明)の腐れマムクートとの対話の時間だぁ!(殺意MAX)

別キャラルート ヒロイン

  • パオラ
  • エリス
  • ミネルバ
  • シーマ
  • ニーナ
  • ミディア
  • マリア
  • クライネ
  • カタリナ
  • その他
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