汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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ようやく暗黒戦争の終わりが見えてきた


長かった


捧げるもの

マケドニア国王ミシェイルは部下からの報告を受けて

 

 

「⋅⋅⋅⋅やはり、こうなるか」

 

 

そう呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

捧げるもの

 

 

 

 

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彼が受けた報告は『グルニア王国、アカネイアに降伏』というもの

 

 

彼の中にこうなる可能性は常にあった

 

 

何せグルニアはマケドニア程に危険ではない

 

 

 

マケドニアはその立地からドルーアとの対決姿勢を打ち出したが最後

まず間違いなく、マケドニアの地はドルーアにより踏み荒らされるだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

それ自体はどうでも良い

 

 

 

 

戦争なのだ。勝ちがあれば負けもあろう

当然死ぬ事もまた有り得るのだ

 

 

ましてマケドニアは傭兵業を主要産業としている

 

 

 

戦争になって死なない、などと言うのは寝言にも等しい

 

 

が、それによりマケドニアの民がドルーアの奴隷が如き扱いを受ける可能性があるならば話は変わってこよう

 

 

 

 

故にミシェイルは死ねないし、選択を誤る訳にもいかないのだ

 

 

 

 

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ミシェイルは事情はどうあれ、父を手にかけている

 

であるならば、いつまでも己がマケドニアの国王であるべきではないのだ

 

 

 

父殺しとは、それだけ重い事なのだから

 

 

 

 

己がマケドニア国王から退くとなれば、己に子が居らぬ以上は妹であるミネルバかマリアが即位する事となるだろう

 

 

些か以上に不安はある

 

 

ミネルバは何を血迷ったのか、竜騎士になっている

マリアはそもそも己とミネルバがいるが故に政治に関わらせるつもりはない

 

 

ならばミネルバには前線で活躍させる事で兵達の信頼を勝ち取って貰おう

 

そうすれば、兵や民からアレは慕われる事となり己の跡を立派に継げるだろう

 

 

 

 

そう考えた

 

が、無駄に真っ直ぐなアレに言ったとすれば良い顔をしないのは分かりきっている

 

 

 

それでも愚直とも言えるアレならば

 

そう思っていたのだが

 

 

 

「儘ならんものだ」

 

全てが裏目に出てしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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有力者の娘との婚約の話とて、ミシェイルからすれば未来のマケドニアの為に必要であると思った為に是としたまで

 

 

断られたとしても、ミシェイルは気にするつもりなど欠片もなかった

 

⋅⋅⋅⋅まさか何の根回しもせずに断ってくるのは予想外にも程があったが

 

 

 

ミシェイルとて、マケドニアの全てを掌握している訳ではない

 

己を支持している者だからとて、その行動の一切を掌握出来るなどと思い上がったつもりもあろう筈もなかった

 

 

 

が、己の予想以上にアレやマリア

そして件の家に対する反発は酷かった

 

これはミシェイルが如何に優秀だとしても、理解するのが難しい問題である

 

 

 

 

 

 

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誰しも経験があるのではないだろうか?

 

 

正論を言ったとしても、それが受け入れられなかった事

と言うものは

 

 

 

人は理性を持ちながらも、本質的には感情の生き物である

 

 

皆がやっている

皆が言っている

 

 

その様な理屈を捏ねて(言い訳して)、己を衆の中に埋没させる

 

 

 

そうすれば、間違った時も自分だけではないのだから

 

 

 

アカネイアもそうだろう

高い理想(建国者が建国者なのでとてもではないが、そうは思えないが)を掲げながらも、いつしか緩やかに

だが、確実に国や組織は腐っていったのではないだろうか?

 

少しずつ

だが、確実に人は悪い方へ流れてしまう

 

 

それはまるで高いところから低いところへ水が流れるが如く

 

 

それを押し留めるのが、人としての倫理観や理性

 

 

 

 

だが、人は個の時に比べて集団になるとタガが外れやすくなるもの

 

 

 

基本、理性的に努めようとするミシェイルにそれが理解出来なくとも仕方のない話であろう

 

 

 

 

 

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「⋅⋅⋅⋅⋅間違いなくアカネイアは我等を屈服させねばならん。

となれば、持ち得る全ての戦力を動かす他に道はなかろうな

⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅父を殺してまでこの国を守ろうとしたが、やはり俺もまた愚か者だったか」

 

 

 

ミシェイルの弱音は誰も居ない部屋の中、虚しく響いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「勝つ為ではなく、未来の為か」

 

「予想通り、ミニディ侯とディール侯の元に殆どの貴族は集まった

ついでにあの老人も、な」

 

「⋅⋅⋅⋅やはり気が進まんな

アカネイア軍とグルニア軍を潰すのには異論はない

⋅⋅⋅⋅⋅が」

 

「言ってくれるな

こうでもせねば、国内は纏まるまい

他国からアカネイアの都合で来てもらうのに、当の我等が座して待っている

などと笑い話にもならん」

 

「⋅⋅⋅⋅⋅此度の遠征を主導した事で被害を受けた者達の受け皿となり、その責をとってグルニア総督になる、か」

 

「甘い事は出来ぬ

が、それをすればマルス王子達の不審も買おう

グルニアには犠牲になってもらう」

 

「決意は固い、か

⋅⋅⋅⋅⋅ならば我等も責を果たさねばならんな」

 

「やれやれ

自分の代で家を潰す事になろうとは」

 

 

 

男達はそう話し合うと別れた

 

 




国に
未来に
民に


この首を捧げよう


願わくば、贄を以て明るい未来を

別キャラルート ヒロイン

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