汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
ラング編
「⋅⋅⋅なに、それは間違いないのか?」
「はっ
ハーディン公よりの急使が参りましたので間違いないかと」
マルスがマケドニア王国国王ミシェイルを討った事は速やかにアカネイア本国のラングの元へ知らされた
ハーディンは自身の考えとして、
マケドニア国内への滞在は可能な限り避けるべきであり、またマケドニアが降伏の意思を示した以上過度なマケドニアへの圧力は好ましからざる禍根を残しかねない。とした上で、アカネイアへの帰国が望ましいのではないか?
と結んでいる
ラングとしても、概ね同意できる話ではあるのだが
「⋅⋅⋅その場合、公の立場が固まりきらぬ事を理解して
⋅⋅⋅⋅⋅おるのだろうな
それでも尚、その道を選ばれる、か」
ラングは頭を抱えたくなった
しかも、公の部下からはアカネイア騎士(とは名ばかりの戯けども)が公に対して意見したと言うではないか
仮にもアカネイア騎士としての自覚があるならば、遠征軍指揮官たる公に直言するなどあり得ない
1騎士と指揮官では考えるべきものが桁外れに違うのだから
「⋅⋅⋅⋅これで公を本当に支えられるというのか」
少なくとも今回の遠征軍を編成させた際、ラングは遠征の意味と何故他国の者である公を指揮官としたのか?
についてうるさい程に周知させた筈
にも関わらず、この体たらく
未だにあの老人の側に立って
頭が痛い事に、取り分け若い貴族子弟などにその傾向が強いときた
自分はこの戦乱が終われば、グルニア総督としてグルニアへ赴く
一応ミニディ、ディール両侯爵ならばある程度までは上手く図ってくれるとは思うが、不安は残る
あの老人⋅⋅⋅いや、教会の者達とて復権の為に何らかの強硬手段に打ってでる可能性とて皆無ではない
可能な限りは対策しているが、事態とは流動的なもの
現在正しい事であろうとも、それがどの様な局面においても機能する事はないだろう
それにしても
「⋅⋅⋅⋅流石はマケドニア王と言ったところか
此方の手を尽く潰してくれるものだ」
ラングはそう苦々しく呟いた
----
アカネイア復興に大功のあるアリティアやオレルアン
そのアリティアの後援者たるタリス
事情はどうあれ、ドルーアからアカネイアへと鞍替えしたグラ
勿論同列に扱うことなどあり得ないが、少なくとも現在のアカネイアにおいては必要な存在と言えるだろう
それに対して、降伏の機会を逸したグルニアやその時点では降伏していなかったマケドニア
この2か国は『敵国』として存続して貰う事がアカネイアにとっては都合が良かった
何せ、腐敗の温床とも言えるアカネイア
その腐敗を一気に取り除くとなると、冗談抜きにアカネイアが崩壊してしまう
しかし、このまま放置して良いわけでは決してない
そこで初めて
降伏と言っても幾つかの種類があるだろう
今回グルニアが行なった降伏は抵抗するだけの軍事力を喪失したが故のものとさして変わらない
故に降伏した相手、則ちアカネイアの要求をはね除ける事は難しいし、させるつもりはない
が、マケドニアの場合は少々異なる
確かに反アカネイアを前面に打ち出してドルーアに与したミシェイルは死んだ。死は疑いの余地もなく、ミシェイル王の近衛たる騎士団も壊滅
その上、アリティアの象徴にしてドルーア皇帝メディウスに対する切り札とも言えるファルシオン
これをマルス王子に渡したと
加えて、パレス解放にはマケドニアのミネルバ、マリア両王女も貢献しているのだ
にも関わらず、これ等全てを無視してマケドニアに対して苛烈な対応をするとなれば、グラやタリスから要らぬ不信感を持たれかねない
馬鹿な連中はマケドニアへの侵攻を主張しているらしいが、それは認められない
対外的な意味もあるが、マケドニアはアカネイアに対して降伏の意思を示している
これをアカネイアが黙殺した上にマケドニアへの侵攻を行なえば、二度とマケドニアはアカネイアに従う事はないだろう
そうなれば、先のアリティア軍に行なわれた作戦がアカネイア本国に対して行なわれない等と言い切れる筈もなかった
それだけの兵力をマケドニアは未だに有しており、加えてアカネイアで唯一マケドニアの飛行部隊に対抗し得る弓兵隊。これは未だに再建の目処すらたっていない
カダインの魔道士部隊の動員をしようにも、報告によればマケドニア軍は弓すら届かぬ高高度からそれを行なう事が出来るらしいのだ
はっきり言って、マケドニアの降伏を受け入れないとなれば展開速度に勝るマケドニア軍に弱体化著しいアカネイア軍は満足な抵抗すら不可能だろう
しかし、そうなると国内の腐敗した連中の不満の捌け口がグルニアに全て圧しかかる
「⋅⋅⋅⋅となれば、やはりミネルバ王女をマケドニアの国王に据えるしかなかろうな」
余力のあるマケドニアはアカネイアにとって害悪でしかない
アカネイアの軍備再建を進めたとしても、マケドニアは同じ時間を無為に過ごす訳あるまい
加えて、マケドニアの場合は軍から離れたとしても有事の際には復員する事が比較的容易に出来てしまう
これはマケドニアの基幹産業が傭兵業であるからこそ出来る芸当
現状、量と質共にマケドニアが勝っているとなれば、その差を埋めるのは尋常ならざる方法を取らねばならない
幸い
⋅⋅⋅⋅いや、マケドニアの者達やミシェイル王からすれば不幸だろうが、マケドニアには決して埋める事の出来ない大きな溝があるとラングは判断していた
それを十全に利用させて貰うとしよう
己はアカネイアの人間
マケドニアの事はマケドニアに任せるのが道理なのだから
彼は確かに国を建て直そうとしている
しかし、それは必ずしも他国にとっての利益とはなり得ない
彼はアカネイアの人間なのだから
別キャラルート ヒロイン
-
パオラ
-
エリス
-
ミネルバ
-
シーマ
-
ニーナ
-
ミディア
-
マリア
-
クライネ
-
カタリナ
-
その他