汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
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マケドニア王国の降伏
これにより、アカネイアに敵対するのはドルーア帝国のみとなり、遂にドルーア征伐が始まり
そして漸く長い戦乱が終わるだろう
と、(アカネイアの)民衆は歓喜した
などという事はなかった
直接刃を交えて死んだ者より、各国の政情不安定や経済の混乱による死者の方が圧倒的に多いのだ
殆どの者は
やっと終わるのか
と安堵と共に、いつまでも戦争をしている国に対する不満や不信感を高めていた
例外としては、その地理的要因からドルーア軍の侵攻を受けなかったタリス。そして比較的早くドルーアの脅威を除くことの出来たオレルアンくらいであろう
それとて、オレルアンは国内の再建に注力しているとはいえ、主力となる狼騎士団とハーディンがアカネイアに属する
となれば、オレルアンの軍備の再編は急務であり、それに対する民からの不満などは避けられないものとなった
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軍備の再編を行なっているグラ王国
とは言え、グラの信用は決して高いものではなく物資の調達に難渋していたし、ドルーア軍を撃退する為とはいえどもグラの市街地に対して決して少なくない被害を出していた
ドルーアを撃退した当初こそ、民もそれらの被害を是としていたが
喉元過ぎれば熱さを忘れる
との言葉がある様に、民の中からこの被害について不満があがる様になっていく
これは速やかな生活再建が出来なかったが故に起きた事ではあるが、それを以て女王シーマを批判するのは早計に過ぎるだろう
何せグラ王国は国内の再建と同時にアリティアへの軍事、経済両面での少ないながらの支援
更にアカネイアへの物資供出も行なわねばならなかった
その上で国内に跋扈する山賊への対策も手抜かりなく行なわねばならなく、ドルーアに対する備えもせねばならないのだから
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カダインもまた難しい舵取りを迫られていた
ドルーアに与した彼等であったが、アリティア軍との戦闘により親ドルーアの魔道士達は軒並み戦死
それ自体はカダインの独立性を守ろうとする者達にとっては朗報だったのだが、人的資源の枯渇にも繋がってしまう
加えて、傭兵としての魔道士派遣を行なってきたカダインである
元々立地としては決して好ましいものではなく、それでも影響力を有し得たのは魔道士を各国に派遣できる体制ありきの話
それらが無くなった以上、嘗てのカダインに戻る事は出来ない
それは誰しもが理解している
が、納得出来るかどうかはまた別の話
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アカネイア再興の立役者であるアリティア
ところが、その大きすぎる功績にアカネイアが報いたとは到底言えなかった
ニーナがファイアーエムブレムを託した。それでアリティアに対する対価となる
等と嘯くアカネイア貴族もまだ根強い
物資、人的支援などについてアカネイアからアリティアに行なわれる事は殆どなく、あったのはアドリア伯ラングやミニディ、ディール両侯爵からの個人的な支援にとどまっている
アリティアは一度統治機構を完全に喪失しており、現在はマルスの代理としてエリスを置き、モロドフを中心とした国家体制の構築
そして国内の治安回復にあたっている
のだが、民衆の中にはやはりマルスやエリス達を好ましく思っていない者も決して少なくはなかった
国家と象徴たる王族
そして、その手足となる騎士団や官吏。これ等はただ在るだけでは信を得られない
民の生活を守るからこそ、民の支持を集められるのだから
特に国内ではアリティアの主力をいつまでもアカネイアの為に動かしているマルスに対する不満が少しずつ、だが確実に高まっていた
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アカネイア王国
大陸の中心的国家であり、アカネイアの歴史がそのままこの大陸の歴史
そう言っても過言ではない
そのアカネイアが一度滅び、オレルアンのハーディンやアリティアのマルス等の尽力あって再興した
が、大国であるアカネイア
であるからこそ、その体制の再建には並大抵の労力では到底足らない
アカネイアの多くの者が望むのはアカネイアの再建
しかし、そのアカネイアはドルーアに敗北する以前のアカネイア
つまり、ドルーアに負け滅んだ事など省みるつもりはない。そういうことだ
当然だが、そんな国力がある筈もない。その上アカネイアの有力者達はアカネイアの新体制に何とかして自身を捩じ込むべく工作を繰り広げている
国軍の再建とて、パレス防衛戦により頓挫
その上、グルニア遠征により遠征軍は全滅した
それでも尚、アカネイアの国威を守るべく形ばかりの軍を再建
マケドニア攻略の功績を以てアカネイアの影響力を元に戻そうとした
それにより、どれだけの犠牲が出たとしても
それを必要な犠牲
そう断じられるだけの
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グルニア王国
嘗ては大陸一とも評された騎士団を持つ王国
が、今のグルニアにはその様なものは一切なくアカネイアに従属する事を強いられていた
グルニアの誇りたる騎士カミュは卑劣極まるマケドニアとドルーアにより失われ、精鋭無比と言われた黒騎士団もまた過去のものとなった
現在グルニア最後の盾たるロレンスがグルニアにて国王の側にいるが、ロレンスの率いる部隊とて人員の大半は新兵という有り様
そして、その国王もまた心労の為か体調を崩しがち
グルニアの民は完全に分断された
未だカミュを信望する者
カミュやグルニア騎士を憎悪する者の二種類に
前者は比較的生活が安定している者。後者は農民などの生産者が多い
不平不満の高まりの中に投下されたカミュの話
それは枯れ葉の山に火種を放り込むが如き速さで燃え上がったのだ
そして、民衆の中で恐ろしい事が起きる
私刑の横行
であった
後にグルニア軍に従軍したことのある兵士や騎士の家族などに凶刃が及ぶ事となってしまう
これは戦前に比べあろうことかアカネイアの影響力が増してしまった事に対する民衆の不満によるものだ
様々なものを失い、その果てにあったのがアカネイアへの完全な屈服
となれば、大衆からすれば何の為の戦いであったのか?
との疑問が噴出するのは自明の理であろう
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マケドニア王国
その特異な地理的要因からドルーアにつかぬ選択すら許されなかった国家
仮にアカネイアへの義理を果たしたとして、ドルーアがマケドニアにその凶刃を振り下ろすのとアカネイアからの援軍
どちらが早いのか?
それを考えて若き王はドルーアに与した
民は若き王を支持した
ドルーアはマケドニアに対して無体な扱いをしなかった事もあっただろうが、常に
マケドニアはアカネイアを滅ぼす片棒を担ぐ事でドルーアに対して身の証を立てたといえる
⋅⋅⋅⋅ところが、である
本来根絶やしにした筈のアカネイアの王族が生きており、あまつさえその逃亡に一部のマケドニア騎士が関与した
その様な疑いが出てしまった
ドルーアとしては、曲がりなりにもアカネイアパレスを陥落させた実績のあるマケドニア。それをいきなり裏切りの咎で滅ぼすのは危険とした
⋅⋅⋅⋅正確には皇帝メディウスは役立たずなれば滅ぼすべきと考えたのだが、ガーネフがそれを押し留めた形
しかし、無罪放免ではメディウスの不興を買うため、マケドニアの王女マリアを一先ずの措置としてディール要塞へと軟禁した
マケドニア王ミシェイルにとっては、妹であるマリアを人質とするのは心の痛む話である
が、王族とは国を守る為に身を張らねばならぬ時もあるとして、それを受け入れた
要塞指揮官に対して、決して無体に扱わぬ様にミシェイルは直々に圧力をかけてまで
だがそれは要塞陥落による無駄となる
更に面倒な事に前線にて活躍する事を選んだもう一人の妹、ミネルバ。彼女は事もあろうにアリティアに降りドルーアへと槍を向けたのだ
マケドニアの主力たる竜騎士、天馬騎士
共に空を駆ける為、戦場において目立つ。これが騎馬に跨がるソシアルナイトなどであればその存在を確認するは困難だっただろう
更にアリティアによるパレス解放後、アカネイアはその事を喧伝した
その結果、マケドニアの基幹産業たる傭兵業に支障が出たばかりかドルーアからの
正確にはドルーア皇帝メディウスからの更なる不信を買う事となり、マケドニアに配慮したガーネフの立場を著しく悪化させたのだ
信用を失ったとて、直ぐにその影響が出るとは限らない
人とは賢くも愚かな生き物だ
人は弱った者と相対した時、その本性が顔を出す
ミシェイルはマケドニアが決定力に弱体化すれば、どの様な事になるのか
それを想像して身震いした
元よりミシェイルは王という立場に固執していた訳ではない
仮に固執していたならば、妹達を早々に有力者の伴侶として押し付けただろう
マリアはともかくとして、ミネルバは婚約していたとしてもおかしくない年齢なのだ
ミシェイルが王となったのは、彼の父である前王ではどうにもならぬと思ったまでの事
そして、彼は自身の役目を果たし
戦場の露と消える事を選んだ
それが未来の為になると信じて
が、そうはならないだろう
彼はあまりにも聡明に過ぎた
誰しもが、そうではない事を彼は知らなすぎた
ルーメル、リュッケの両将軍はミシェイルの跡を継ぐのがよりにもよって
しかし、何としても部下や民に納得させねばならなかった
それが
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この大陸に戦乱を引き起こしたドルーア帝国
皇帝メディウスはあくまでも象徴的な意味合いが強く、実務はガーネフが行なってきた
と言えば聞こえは良いが、メディウスにとっての
ドルーア帝国には二種類の指揮系統が存在する
メディウス直属のマムクートの部隊と、ガーネフが統括していたアカネイアによる大陸の支配体制に反発した者達。それら異なる種族、思想を持つ者達による連合体
それがドルーア帝国であった
メディウスにとって、アカネイアは勿論だがアリティアやアカネイアに従う国家もまた滅ぼすべきものと見ていた
にも関わらす、マケドニアやグルニア。果てはグラと結んだのはガーネフの進言をメディウスが良しとしたからである
メディウスにとっては些かならずとも、不愉快な話であったが、先ずはアカネイアを滅ぼす事を最優先とした
メディウスからすれば歯痒くもあったが、少なくともガーネフは己の封印を解き放った人物であり、ある人物の手がかりを持つ者でもある
所詮は児戯にも等しきこと
その頃のメディウスはガーネフよりアカネイアの腐敗を聞いており、最早アカネイアは再生不可能であると思えてしまう
仮にも嘗て己に対し、諦めることなく挑んできた者達の末裔とはとても思えない程に
無様だった
挙げ句、意地の1つも通すことの出来ぬ人間に対しメディウスは価値を認めない
それでもマムクートを動かさなかったのはガーネフというストッパーがいたからだ
しかし、そのガーネフもまた闇のオーブからの影響を一時ははね除けていたのだが、精神が磨耗
その為、意思が徐々に薄れつつあった
アレと同じにはなりたくない
ガーネフの最期の意地とも言えるものを見たメディウスは、己の手でせめて殺してやるのが慈悲であると考える
何せ、アレと同一視される以上の屈辱などメディウスは知らない
力はあっただろう
知恵もそれなりにあったのだろう
が、アレはいつまでも独りであった
理解を求めぬと嘯きながら、組織を作り
己の影響力を知ってか知らずか好き勝手に世界を掻き乱した
己のした事に対して責を負うのは何も人だけではない
ナーガは人と竜の世界の為に
ナーガの従者はナーガの娘を思い
人との共存を選ばぬも、牙を突き立てる事を良しとせぬ者達はナーガの墓標を守り
己もまた、人との共存などという絵空事を望んだ責を果たさんとしている
人としての
それをガーネフに認めたからこそ、彼をメディウスは介錯する事を選ぶ
そしてガーネフ最期の願いを聞き、メディウスは思う
まだヒトの中にも
ならば、メディウスのすべき事はひとつ
大陸の覇権をかけて殺し合おうではないか
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マケドニア王ミシェイルの元にソレが届けられたのはグルニア軍に痛撃を与えた後の事
曰く
「これまでの褒美」
との事だった
ミシェイルはドルーアの正気を疑ったが、この際それはどうでも良い事だろうと思い直す
これならば、マケドニアの未来を繋げる可能性が出てきたのだから
たとえ己が討たれたとしても、マケドニアが降伏の意思を示したとしても
アカネイアがそれを受け入れねば意味はない
となると甚だ不愉快ではあるが、アカネイアに利する
つまりドルーアに対して何らかの手。しかも、他勢力では到底なし得ない大功を以てアカネイアを納得させねばならなかった
これは絶対条件
ドルーア打破の為には皇帝メディウスを打倒せねばならないだろう
しかし、暗黒竜とも呼ばれるかの者を討ち果たすには必要なものがある
そしてそれは開戦初期にグラのジオルにより奪われ、事もあろうにドルーアの手中に収まった
話が真実ならば、コレは間違いなくドルーア
ひいてはメディウス打倒の為に必要となろう
現在のアリティアではマムクートの打倒は叶ったとしても、メディウス相手では勝てるとは思えない
それは己とて同じだろうし、大陸全土を見渡したとしてもさして変わるまい
であればこそ、コレの存在を無視する事は出来ないだろう
⋅⋅⋅⋅アカネイアのみなれば、それでも揉み消すだろうが
話に聞くアリティアのマルスとやらの人柄を考えれば、その様な不実を良しとするまい
(この期に及んで他者の善意頼り、か
情けない事この上ないな)
しかし、ミシェイルはマケドニアの王
己の矜持ひとつで国の未来が買えるならば、何故それを選ばないというのか?
後世から何と非難されようと
肉親から憎まれようと
この道を往く
そうあの時に決めたのだから
考えが纏まらない時はどれだけやっても筆が進まない
良くあること
ゆっくりいきます
別キャラルート ヒロイン
-
パオラ
-
エリス
-
ミネルバ
-
シーマ
-
ニーナ
-
ミディア
-
マリア
-
クライネ
-
カタリナ
-
その他