汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
それでも
しかし、そんな者達を誰もが諸手を挙げて歓迎する事はない
きっかけは些細なこと
アリティアで復興作業に従事していたグラ王国の兵士
彼等は比較的高い報酬を貰えると聞き、アリティアの復興に力を発揮していた
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グラ王国はアリティアやアカネイアの様に国土全てが混乱に陥った訳ではない
勿論、混乱は起きていたがアリティアやアカネイアと比べたならば、まだマシな状態だった
ドルーアによるグラ侵攻。これにより、確かにグラ王国は危機的状況に陥ったと言える
が、ドルーアの指揮官は余計な労力をかけ、結果グラ侵攻の予定が狂う事を是としなかった
加えて、先行していたマムクートが何をしでかすかも分からなかった事からグラ城下に最速で向かう事を選んでいる
その軍勢はグラ王国軍に撃退された
⋅⋅⋅⋅と諸国は思っているだろう
女王シーマは約定に従い、可能な限りはあの戦闘の詳細を他国は言うまでもなく、自国民にすら秘す事を選んだ
その代償として、グラ城下は少なからず被害を被る事となる。加えて城下の至る所にドルーア軍兵士の死体が転がっていたのだが
グラの民や兵士達はそれらを片付け、復興の道を歩み始める
とは言っても、前王ジオルによる凶行はグラの信用を著しく低下させる事となり、アカネイアは勿論、アリティアに対してもグラは心を砕かねばならなかった
信用を得る為には膨大な時間を費やさねばならないが、失うのはほんの一瞬ですむのだから
グラの女王シーマはアカネイアに対して、食糧提供を
アリティアに対しては復興支援や恋人であるサムソンを派遣。これ等の政策はグラの復興を遅らせるものであり、国内からも疑問や批判の声が相次いだ
それでも国際的に孤立する危険は何としても避けねばならないとして、彼女はこれを押し通す
アリティアへの復興支援として、人員の派遣を決めたのはアリティアに対していつまでも支援を継続するのは困難である、との判断からだった
如何に王政であろうとも、民衆から支持されない王ほどに滑稽なものはない
そう彼女は思っているのだから
前王ジオルの非道
しかし、国王として考えると今の彼女はそれを否定出来なかった
少なくとも、あの時点ではドルーアにマケドニア、グルニア。そしてカダインまでもが従っていたのだ
アリティアがドルーアを倒すべく兵を挙げたが、それはアリティア本国の守りを手薄としてしまう事でもある
ガーネフの意を受けたカダインやグルニアが大挙して侵攻した場合、アリティアの残存兵力のみでどうにかなっただろうか?
当時のグラの軍勢を加えたとして、それで勝利出来ただろうか?
国王として最も重視すべきは自国の民を守る事
あの人物の様な隔絶した武力があるならばいざ知らず、そうでないのならば時に非情な選択も取らねばならないのではないか?
そう思えてならなかった
だからといって、アリティアに対する裏切りを正当化するつもりは毛頭ないが
今のアカネイアに盲従する様なアリティアに若干複雑な思いを抱えている
そんな彼女の元に
「···アリティアで?」
凶報が舞い込む事となる
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きっかけはほんの些細な事
アリティアの民とグラから来た者達が少しだけ険悪になった
何処から手をつけるか?
その程度の話
民家の再建をする事となったのだが、その順番で揉めたのだ
本来、アリティア城下の再建である為にアリティア軍が動くべき話だった
しかし、再建途上のアリティア軍はアリティア各地の賊徒討伐に動員されており、その数は少ない
騎士アランも発見された中規模の盗賊団の討伐任務に就いていた
少ないアリティア軍の者は城下再建に伴い頻発している揉め事の仲裁に動いており、不幸にもその場に居なかったのだ
アリティア住民からすれば、家の再建は出来る限り早めに行なって貰いたいところ
が、グラの者達はアリティア軍から言われていた計画通りにすべき
そう対立してしまう
アリティアの住民からキツイ言い方をされても、グラの者達は堪えた。気持ちは理解できなくもないのだから
だが、ものには限度がある
しかし激昂した住民は止まらない
「何でお前達が楽な生活を送れているんだ!」
と口にしてしまう
出して、しまった
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アリティアに来ている者達とて、本音を言えば祖国の再建にこそ己の力を発揮したかった
が、誰かが行かねばならない。そう言われたからこそ、アリティアにまで来た
再建事業に従事しているのに、アリティアの住民からは常に白い目で見られ、揉め事を起こさない為に必要最低限しか外出を許されなかった
その様な扱いをされて不満を持つな、という方が難しい
本来、この辺りの調整はアリティア軍ではなく文官などが行なわねばならない
しかし、モロドフにせよマクリルにせよ、アランにせよ
軍の動かし方は理解できても、国家間の調整も絡む今回の再建事業
それだけの難事をこなせる者は未だアリティアにはいなかった
しかも、アランは治安回復の為にアリティア全土を駆け巡り
モロドフはエリスの補佐や山賊などの動きを把握など
マクリルは未熟な兵士達の調練と賊の討伐
エリスは
それぞれ手一杯だったのである
結果、アリティア城下の再建については他の者達に任せていた
勿論、グラの者達に対する気遣いを忘れない様に伝えていたのだが
グラ側の責任者はシーマより権限を与えられていた
仮に
⋅⋅⋅⋅もし仮に、アリティアと揉め事を起こしそうになった場合、帰国をして構わない
と
その為、グラ側の責任者は躊躇うことなくグラへの帰国を命じ、シーマに対して急使を送った
アリティアとの関係修復は必要だが、その為に今の体制を傾け、グラの民を失う道理はない。そう判断したのだから
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人とは面倒な性分を持つ生き物
メンツ、プライド
それらが先行してしまい、問題が起きたとしてもすぐに動かない
或いは相手が悪いのだから、自分は全て正しい
そう主張するものは悲しいことだが、良くいるものだ
アリティアはマルス達の手により、その統治能力を回復した
マクリルの様に一度騎士団を離れた者もアリティアの再建に尽力すべく、各地で各々が出来ることをしている
が、その一方でかつてのアカネイアと同じ様に空洞化したアリティアに己の居場所を求めんとする野心溢れる者達は挙ってアリティアへと志願していた
能力はあっても、些か以上に協調性に欠ける者
正しく玉石混淆といった具合となっていた
アリティアにとっての不幸は、それらの者達は取り繕う事はこなせる者であった事
グラと住民の事はすぐに城下の再建を担当していたアリティア軍の担当者の知るところとなった
しかし、住民側は勿論自分達の主張のみしか語らない
元々アリティア全体として反グラの感情が非常に強く、担当者もそう
その為、現場担当者は
「グラの者達が勝手に持ち場を離れ、帰国した」
との報告を上げる事となる
その報告を受けた者はその報告に疑問を覚えた
何せ、当初策定した計画とは全く異なる地区の住民達の主張が報告書に書かれていたのだから
そこでその人物は報告書の内容を精査するべく動くこととした
⋅⋅⋅⋅この問題は国家間の問題となる事を理解せずに
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アリティア城下の再建は人手が必要であり、その人員を出していたグラの離脱
それは当初の再建計画に支障をきたす事となるのは自明であった
しかし、シーマはグラの女王として、自国民の保護を優先せねばならない
従って、アリティアでの危険が確認された以上は如何なる理由があろうとも、アリティアへの再度の派遣は認められる筈もなかった
しかも、本来ならばアリティアの使者こそ真っ先に来なければおかしい話
だが、この異変にエリス達が気付くまでに時間がかかってしまい、兵士達の帰国の報せがシーマの元に早く届いてしまう
こうなると、親アリティアの政策を打ち出していた彼女は孤立しかねない
「⋅⋅⋅⋅マルス王子やエリス王女には申し訳ないとは思うが、今後アリティアに対する支援を凍結せざるをえない、か」
「それが宜しいかと。あくまでもグラの民を守るのが肝要にございましょう
少なくとも、アリティアの民は我等を受け入れぬと言うのに我等がアリティアの為に働く必要はないのでは
その労力を国内の再建に向けるべきかと考えまする」
元々前王ジオルを自らの手で除き、その身柄をアカネイア。そしてアリティアのマルス王子に引き渡す選択をシーマはおこなっている
加えて、グラの勇者サムソンをもアリティア軍に同行させる決断やアリティアに対して人的、物資両面の支援を行なってすらいるのだ
決してグラの状況が良いと言うわけではないにも関わらず
その為、グラの国民の中には彼女に対して不満を持つ者も少なからず存在しており、現体制を支えんとする者達からすれば歯痒いものと見えていた
更にアカネイアにも物資、特に食糧支援を打診されておりグラの政情が安定しているとは言い難い
比較的高い給金をアリティア再建に志願した兵士に約束したのも、そうでなければ志願する者がいない
という事情からの事
それこそ爪に火を灯すが如き財政状況にありながらも、シーマはその茨の道を歩む事を選んだ
事情を知らぬ民はともかくとして、グラの政治に携わる者達はそんな彼女に心を痛めてもいた
そして、今回の一件
アリティアからは正式な使者どころか、非公式の使者すら訪れていない
それがグラの政治や軍事に携わる者達の不満や不信を買うこととなった
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とは言え、エリスやモロドフ達が事情を知って、それでも対応しなかった訳では決してない
彼女達に報告を真っ先に上げるべき者達が、自分達の裁量で片付けられるものである。そう認識したが故の事
何せグラはアリティアに対して不義を働いている
⋅⋅⋅となれば、グラに対して多少なりとも上からものを言っても良いのでは?
との意識が民衆どころか、アリティア軍内部にも醸成されていた
モロドフが異常に気が付いたのは、城下の再建が報告書にあった予定よりも進んでいない事を知ったが為
グラの者達が見えない事で違和感を感じた者は実のところ、それなりには居た
が、彼等はアリティア再建において働き詰めであった事から
彼等も休養しているのだろう
と思っていた
事態を把握したモロドフは直ちにエリスへと報告
エリスはグラへの謝罪の使者と共にマルスへの急使を出した
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「⋅⋅⋅⋅上手くやった様だな」
「勿論でございます
何せ我等にとっても、これは死活問題でしたので」
大陸のあるところ
そこでは、不穏な会話が行われていた
「⋅⋅⋅⋅⋅⋅あの男は余りにも功を挙げすぎた
今は従順であったとしても、何かの拍子に口を出してくる可能性はある
情けない事に、それに同調しかねぬ慮外者もおる」
「我等としても、混乱はある程度長続きして貰わねば困りますからな
⋅⋅⋅⋅あの小娘が余計な事をしたせいで、かの地の解放が早まりました」
その者達は不快そうな表情を隠そうともしない
「大陸が安定すれば貴様達の商売は苦しくなる、か
何とも業の深い事だな」
「そういうものでございますよ」
「⋅⋅⋅⋅まぁ、構わん
こちらも必要なのは確かなのだからな」
未来を切り拓こうとする者達
時計の針を戻そうとする者達
己が欲を満たさんとする者達
様々な思いが絡み合い、それでも時は進む
人の悪意は悲しみや憎しみを煽り
更なる混乱を引き起こす
それもまた人の在り方なのだ
別キャラルート ヒロイン
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パオラ
-
エリス
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ミネルバ
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シーマ
-
ニーナ
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ミディア
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マリア
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クライネ
-
カタリナ
-
その他