汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
グルニアにおける反乱。
その報せがもたらされたアカネイアの反応は冷淡そのものだった。
そもそも、アカネイアからすれば未だに恭順する姿勢を見せぬグルニアなど最早敵よりも厄介なものである。
潰そうにも
既にラングやディール侯爵などはニーナ王女に『主君足る自覚なし』との評価を定めていた。
故にミディアやジョルジュと言った未だにニーナ王女を中心とする体制を作ろうとする者達。彼女等に対して切り捨てる事すら念頭に置く事となりつつある。
元々グルニアの降伏をラング達は全く好ましく思っていない。
何せ、マケドニアは曲がりなりにも反アカネイアのトップであるミシェイル王が戦死した。その後継者としてミネルバ王女を求めた事についても国内の反発を理解しながら受け入れた。
それに対してグルニアは何一つしていない。
アカネイアから要求すれば、あの気位だけは一流となったグルニアは反発を強めるのは明白。
本来ならば、降伏の証として国王の娘ないしは息子を人質として差し出すなりすべき事。軍の中で影響力の高いロレンスの頸を求めるのは下策。
老い先短いロレンスではなく、これから更に脅威となるであろうカミュなれば受け入れても良かったが。
マケドニア攻略に兵を出したと言っても、所詮グルニア軍を支える者はなく、肉盾以上の意味は持たない。その上兵站もこちら持ちとなれば寧ろ邪魔ですらあろう。
老齢の王が
ロレンスがアカネイアの意により死ねばグルニアの民は怒りの矛先をアカネイアに向けかねない。
ドルーア征伐も重要事項ではあるが、それと同じくらいに問題視せねばならないのが
ドルーア帝国により失墜したアカネイアの権威の復活であった。
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是非はあれど、ドルーアによる大陸全土を巻き込む戦争。それ以前は間違いなくアカネイアこそ大陸の中心であった。
しかし、それは覆された。現代に甦ったドルーア帝国の手によって。
更に忌々しい事は続いた。ドルーアに従ったのはマケドニアとグルニアだったのだ。
偉大なるアカネイアの下にあったこの二国の反逆、そしてあろうことかアカネイアの象徴たるパレスは占拠される。
その鬱屈した感情は二度とアカネイアに刃向かう事のない程に叩き潰す事をアカネイア貴族達に望ませた。
これはラングもディール侯爵もミニディ侯爵とて非難出来ない。
寧ろ、ラングはこの論に乗じてグルニアに対する圧力を強める事とする。
マケドニアもグラも信用ならぬが、グルニアの場合はそれ以下と見なしていたから。
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そこでラングはグルニアの混乱の事実を以て、ハーディン達をアカネイアに戻す決断を下す。
既にニーナは飾りと同義であり、それに異を唱える者に対しては
「なれば、答えて貰おう
貴殿らは今の状況をどう乗り越えようというのか?」
と問いかけ、明確な答えを口に出来ぬ者は容赦なく投獄した。
ドルーアに負けて一度滅んだアカネイア。再興こそ叶ったものの、それはアカネイア騎士団や貴族の尽力によるものではない。他国、しかもドルーアとグラにより滅ぼされたアリティアの生き残りを中心とした者達により為されたのである。
アカネイアという国に誇りを抱いているならば、それこそ自ら死を望む程の痛恨事なのだ。
助けられ、未だアカネイアの再建すら儘ならないのに、役に立たない。立とうともしない小娘に拘泥するならば、せめて明確な方針くらいは持って貰わねば困る。
一応、ニーナ王女に戦後の事を詰めた事もあったが、全くもって話にならない理想論・・・いや、はっきり言えば絵空事しか語らなかった。
今更、グルニアに対しての格別の配慮を口にしたが、最早政治に携わる者の中に耳をかすものはいない。
「今更だ」
ディール侯爵のため息まじりの言葉が全てを物語っていたと言える。
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グルニア最高の騎士にして、唾棄すべき裏切り者である黒騎士カミュ。
本来なれば、カミュの頚は他ならぬグルニア王の命により落とされねばならなかった。
その事実を以てグルニアの民への贖罪を。
アカネイアへの恭順を示す。
そうなれば、カミュの名誉もグルニアの立場もアカネイア側は考慮せねばならなかっただろう。
方法こそ認めがたい事ではあっても、度量を示さねばならなかっただろうから。
まぁそれはアカネイアにとっては杞憂となった。
カミュやその直属の騎士達はその尽くが命を落としたのだろうから。
この判断を後にアカネイアは悔いる事になる。
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グルニアでは内乱の兆しが
アリティアでも不満の高まりが
アカネイアでは反体制運動が水面下で組織化されつつあった。
暗黒戦争
後世ではドルーア帝国再興からの一連の戦乱をそう呼称する事となる。
暗黒とは、ドルーア皇帝『暗黒竜メディウス』から取られただけではない。
人の醜さ等を直視する事となる。
故に暗黒戦争。
さぁ、戦争を始めよう
恥ずかしながら帰ってきました。
またお付き合い下さると幸いです(滝汗)
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