悪食のヴェスタリヌ ~ヒーロー公安委員長と始めるヒロアカ生活~   作:積み木紫苑

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リリア五歳、燈矢八歳

公安に保護されてから、一年が経った。ちなみに先日、嚙みつき防止用マスクを外しても人を襲わないだろう、と許可が出ました! 上須田ちゃんおめでとう、ありがとう! だから最近は、ホカホカの固形物を食べています。その代わりなんか、脳波を常に監視されているらしい。ひええ、ディストピア~。

 

私の今の個性は、こんな感じ。

☆怪力

☆俊足

☆炎

☆水鉄砲

 

☆瞳色変化……虹彩の色を変えることができる。つまり、日光が眩しいときは虹彩を暗くすればいい。サングラス要らず! カラコンを使わずにオシャレもできます。

 

☆旋風……風を操ることができる。

 

☆発火物質……火を一瞬でつけられる数ミリぐらいの固体を手のひらから出すことができる。旋風と一緒に使って、炎の遠隔攻撃もできるようになった。

 

☆鎖……肌から鎖が出せる。

 

☆空気壁……空気を固めることができる。なんでもこれは、女子中学生を集めてデスゲームさせてた奴の個性なんだとか。

 

☆気配感知……半径五百メートル以内の人の気配を察知することができる。サーチとは違って、個性や弱点や、気配の持ち主はわからない。

 

 

 いやあ、増えたね。一年で習得した数にしては、少ないかもしれないけど。まあ重ねて言うが、人肉の調達そもそもが大変だろうし、個性伸ばしや体術などを仕込まれている時間もあるし。あと、私に食べさせる個性を公安側は吟味しているだろうし、そんなにパクパク人肉を食べられるわけじゃないのだ。

え、正常な食欲を保っているのすごくね? 初期の私は、人肉を食べてから一週間開けると、異常な食欲が出る感じだった。だけど今は、「コツ」を掴んだのでギリギリまで衝動を我慢することができるようになったのだ。これも公安での訓練の賜物ですが。

 

まあ、私から人を襲いそうな脳波が観測されたら、やべえ電気ショックを浴びせられて気絶寸前まで逝った感じの訓練でしたが。身体に「人を食べるために襲ってはいけません」と教え込んだのだ。

 「コツ」というのは、意識を衝動ではなく呼吸や手の先に向ける。言うなればマインドフルネスってやつ。あとは、衝動を減らす投薬なども行われた。

 

つまり、私は神からの障害をほぼ克服したと言っていい。えっへん、ざまあ。

 

そんな私は昼に訓練所ではなく、ヒーロー公安委員会の会長室に呼ばれていた。公安の最上階にある部屋だ。委員長は高そうな黒い椅子に腰かけ、デカい机の上で手を組んでいた。私の後ろには、黒いスーツを着た二人の公安職員がいる。

 

「委員長、今日の午後は訓練しなくていいの?」

「ああ。ちょっと大事な話があるからね」

「大事な話?」

「うん。君には……」

 

 なんだろう。とうとう、転生者の個性を狙うであろうAFOを釣るための囮として私が使われる時が来たのか。そう思っていたのだけれど。

 

「轟家に行ってもらう」

「……はい?」

 

 ……轟家? あの、今の時期は焦凍くんが生まれたばかりで、燈矢くんが加害しようとした結果、今すごく空気が冷えている轟家?

 

「なんで???」

「なんでも何も、インターンだよ」

 

 あっ、インターン。つまり短期的なもので、養子に出されるわけじゃないのね。急な話でビビっていることには変わりないけど。

 

「君、炎系統の個性使えるでしょ?」

「一応ね」

「だから、エンデヴァーさんのところに行って火力のあげ方を学んできなさい」

「ええー……こんなことある?」

 

 

「……ということで、明日からテディ・リリアはエンデヴァー邸で暮らすことになる」

 

 孤児院の夜の集会にて、先生に前に来るように言われた私は、視線を一身に集めていた。

もしかして、マスク外しても人を襲わない訓練をしたのって、このため……?! いやあだってさ、いきなり公安に「子供を預かれ」と命令されるだけでもきな臭いのに、その子が噛みつき防止用マスクしていたら、さらにきな臭いじゃん? そのためのアレソレだったのか……。

そして……

 

「ほーん、リリアちゃんがエンデヴァーのお家にね」

 

ホークスくんからの視線が、痛い……!! 睨んではいないけど、めっちゃ見てる、目がガンギマっている……!! 私は冷や汗をかきながら、ホークスくんの辺りからフイッと視線を逸らした。

 

 すると、泣きそうな顔のアオイちゃんと目が合った。

 

「ぐすっ、元気でね……!!」

「いやいや、私ここに帰ってくるから」

 

 

 翌朝、大きい和風の門の前に、私は下ろされた。片手には子供用スーツケースがある。

 公安職員がインターフォンを鳴らしてしばらくすると、着物姿のエンデヴァーが門から出てきた。出迎えぐらい使用人に任せてもいいと思うが、おそらく私の面倒を見ることがヒーロー公安委員会直々の命令だからだろう。この人の中では、これも立派な仕事なのだ。

 

「エンデヴァー、例の子供です」

「ああ」

 

ギロリ、とこちらを見下ろす。エンデヴァーさん、怖っ!!

 

「では、私はこれで」

 

 公安職員は、さっさと車に乗り込んだ。やがて車は小さくなり、見えなくなった。ああ、置いてイカナイデ……。

 

「お前がテディ・リリアか」

 

 私は、ぎぎぎ、とエンデヴァーの方を見る。

その仁王立ち腕組ポーズ、威圧感しか与えていないから、子供相手にはやめといた方がいいよ! なんて、間近で見るエンデヴァーのヴィラン面がすごくて口が裂けても言えない。

 

 ……でも、この人性根は悪くないんだよな。奥さんや子供に手をあげるような、善人とは言えないタイプの人だけど。

 うん、怖がるのは可哀そう。普通にしてあげよう。

 

「リリアって呼んでください……テディっての、恥ずかしいので……」

「そうか。中に入れ」

 

エンデヴァーは、私が門の内側に入るのを見届けると、後ろの門を閉めた。

あー、でもさ。私がいるのにも関わらず、轟家の修羅場っぷりを見せつけられたらどうしよう。

燈矢くんに怒鳴るエンデヴァーさん。産後で育児も大変な時期の冷さんに手をあげるエンデヴァーさん。そして委縮する冬美ちゃんと夏雄くん。うわあ、想像だけで嫌になるな。どうか、私の前では取り繕ってくれますように。

 

……。

……もしかして委員長、私に轟家救済をさせようとしています??

 あはは、まさかね。この家に対して他人の幼女ができることなんて、たかが知れてるよ。

 

 

轟家は、というかエンデヴァーさんは、流石に客人の幼女の前で修羅場らないみたいだった。冷さんは幸薄そうだけど微笑んで、優しく相手をしてくれるし。冬美ちゃんと夏雄くんも普通に歓迎してくれるし。焦凍(ベイビーバージョン)くんはめちゃくちゃ可愛いし。安心した。ってか、この様子だと燈矢くん赤ちゃん加害未遂事件はまだ起こっていないのかな?

 

「リリアちゃん、嫌いなものはない?」

「全部おいひーです!」

 

冷さんの作るご飯は美味しいし。

 

「火力をさらにあげるには、肌と衝動に意識を向けろ」

「こうですか?」

「もっとだ」

 

エンデヴァーの訓練は未来の焦凍くんのときとは違って、冷静でマトモだし(きっと、「オールマイトを超えさせるための稽古をつける」というこだわりが無いからだろう)。

 

「すぴー……」

 

客室のお布団はフカフカだし。

 

なーんだ、地獄の轟家って、そんな私に敵意は無いみたいだ!

そう安心していた。

……だが、ただ一人を除く。なんて注釈はつくけど。

 

「おい、ブス」

 

 あー、聞こえなーい。面倒くさい。

 私は今、エンデヴァーさんとの稽古が終わって廊下を歩いていたところだ。ずっと稽古中、物陰から視線は感じていたけどね。無視無視。

 私はそのまま、縁側を歩く。ここからは池つきの庭が望めた。

後ろから声がかかるも、振り返らずにスタスタと歩く。

 

「無視するんじゃねえよ」

「だって、応えたって私にメリットないもーん」

「応えてるじゃねえかよ」

「だって、あまりにも煩いんだもん。燈矢くん」

 

 轟燈矢。

轟家長男。

将来の荼毘。

 

 私はここにきてから、彼に嫌がらせを受け続けていた。

 

食前の配膳を燈矢くんがすると、なぜか私の分だけ箸が無かったり。トイレ中、鍵のしまった御手洗場所の扉を急にガチャガチャとさせられたり。客室の枕の羽が毟られて、無惨なことになっていたり(幸い押し入れにあった、予備の枕を使って事なきを得た。逆に無惨な状態の枕は、押し入れの中に隠蔽している)。

このことは、エンデヴァーさんには言っていない。だって私がきっかけでエンデヴァーさんと燈矢くんの溝を深めたくないし。

 

 ま、彼が私をいじめる理由に心当たりはある。自分は稽古をつけてもらえないのに、ぽっと出の他人が父から稽古を受けられているのが気に喰わないのだろう。そりゃ、いじめられる。

 

……そのとき、完全に油断していた。

 

「ッ、ウゼエ!!!」

 

 大声で叫んだ燈矢くんに、タックルを受ける。

 

 ドンッ!!

 

 燈矢くんは、身体の年齢で言うと私より三歳上だ。

 私の軽い身体は、コロコロと転がっていき。

 ぼちゃ。

 

庭の池に、私は落ちた。うへえ、生臭い……。

あ、錦鯉が泳いでる。綺麗だなあ。

 

「燈矢兄、何今の?!」

 

 騒ぎ(燈矢くんの絶叫)を聞きつけて、冬美ちゃんが飛んでくる。そして池に落ちた私と、裸足で庭に立つ燈矢くんを見て、状況を察知したようで、絶句していた。

 

「お、俺は悪くないから!」

 

そう言い残して家の奥へと、すたこらさっさと逃げる燈矢くん。

 

「カッコ悪いぞー!!」

 

 私は池の水で濡れたグーを突き出して、燈矢くんの背中にそう言葉を投げかけた。

 

 

 公安の人気の無い第五資料室にて。男は、携帯電話を耳元に当てていた。

 

「はい……会長には実の娘がいるようです。いえ、明言はしていないのですが……その可能性が高いかと。訳ありなのでしょう、公安直営の孤児院にて匿っています。その娘が、今外出中で……エンデヴァー邸にいるとのことです。……はい、失礼します」

 

 電話を切ると、カツカツとこちらに歩いてくる音に気付いた。男の背筋に汗が流れる。

 

(扉は開いていない……まさか! 最初からいたのか?!)

 

「……聞かせてもらったわよ。まさか貴方が内通者だなんて」

「ふ、」

 

 そこにはブロンドヘアの女が立っていた。

 

「副会長!!」

 

その後、しばらく混乱していたようだが、冬美ちゃんが冷さんを呼んできてくれた。どうしたどうした、といった様子で、四歳児の夏雄くんもやってくる。

 

とにかく、ずぶ濡れの私はシャワーを浴びることにした。さっぱりした私は、冷さんが用意してくれた服に着替えた。そのあと、冷さんは申し訳なさそうに、後ろに座ってタオルで私の髪を優しく拭いてくれる。

 

「本当にごめんなさいね、燈矢ったら……あの子、最近少し荒れていて……」

「いやいや、私が油断してただけですから!」

 

「そういえば」と夏雄くんが、何の悪気もなさそうに言葉を紡ぐ。

 

「燈矢兄、リリアちゃんの悪口ばっかり言ってたよ! 最近、毎晩寝る前にやってきて、おやすみの邪魔するんだ」

「そ、そうなんだ……夏雄くん、人の悪口を伝言するの良くないよ。トラブルのもとだから……」

 

 いやあ、そうなのかなァとは思っていたけどね。

 

「燈矢兄、駄目だよね、こんなことしちゃ……」

 

 さくらんぼ柄のワンピースを着た冬美ちゃんが、下げた両手を固く握りしめながら言った。私のために怒ってくれているのだ。暇な時間は一緒におままごと等をして遊んでいたので、仲は良い。

 

「わ、私。お父さんに言いつけてくる!」

 

 そして何かを決意したかのように、冬美ちゃんは顔をあげた。その瞳は、勇気に溢れていた。ふ、冬美ちゃん……そんなに私のことを想って……!!

 

「いやいや、そんなこと言わなくて大丈夫だって。気にしてないからさ!」

 

 でも、私が轟家の不和の原因になるのは避けたい。

私は冬美ちゃんを止めようと手を伸ばしたけど、彼女はそのまま勢いよくピューッと走り出してしまった。や、ヤバイことになったぞ……?!

私は素早く立ち上がり、冬美ちゃんの後を追った。

 

「おっ、お父さん! 燈矢兄がリリアちゃんいじめてた! それにいっつも夏くんにリリアちゃんの悪口も吹き込んでいるんだって!」

 

 プルプル震えながらも、チクる冬美ちゃん。ああっ……。

 

「……何?」

「さっきなんて、池に落とされていたの! どうにかしてあげて!」

「燈矢……!!」

 

 あちゃー。エンデヴァーさん、ヒーロー的精神ゆえにいじめは見過ごせないだろうし、そもそも公安から私の面倒を見るように命令されているから……燈矢くん、バチクソ怒られることになるぞー。

 ドスドス、と荒く廊下を歩くエンデヴァーさんに、私は慌てながらついて行く。

 

 エンデヴァーさんが立ち止った場所は、燈矢くんの自室だった。ノックもせず、勢いよく扉を開ける。

 

「燈矢!!」

「!……な、なんだよ」

 

 ほんの一瞬だったが、燈矢くんは父に対して期待を込めた目を向けていた。もしかして、ようやく自分を見てくれる日が来たのではないかと。……悲しいね。しかし、エンデヴァーさんの気迫がいつもと違うことを察したのだろう。次第に警戒するような表情になった。

 

「リリアをいじめたらしいな」

「……それが、なんだよ」

「お前は人間としていけないことをした。反省しろ。二度とするな」

「……っ」

 

 燈矢くんは、口を暫くはくはく、と開閉させていた。そして。

 

「そいつのどこが偉いんだよ!!!」

 

 叫んだ。

 

「そこのブスはヒーロー公安委員会?っていう偉いところの娘なんだろ! 権威主義へのゴマすりかよ、気持ち悪い!!」

「燈矢!!」

「そいつに……この家じゃない他人に、何がわかるんだよ!! 他人のくせに、お父さんに見てもらえて、仕事だってなぜか休んで……」

 

 確かに、私がこの家に来てからエンデヴァーさんはあまり外に行かない。事務所の業務はサイドキックらに任せて、私の面倒を見ることに注力しているのだろう。

 

「俺は……俺は何のために……」

 

 そう、消えそうな声で言う。それから、燈矢くんは私の方に走ってきた。え、何々?! もしかして、焦凍くんへの加害行為のイベントが私に被さってきた?!

 そんな混乱をしていると、燈矢くんは私に

 

「ぎゃっ」

 

強くぶつかっただけで、廊下へと走り去っていった。

 

「燈……矢……」

 

傍らのエンデヴァーさんを見上げると、眉を下げ、瞳がうるうるしていた。

……あー、もう!! ノータッチで行きたかったけど、この家族、放っておけない!!!

 

「瀬古社岳!!」

「…は?」

「瀬古社岳に、燈矢くんはいると思います! いいですか? ここが分岐点ですからね!!エンデヴァーさん、後で絶対に来てくださいね!!」

 

 私はそう言い残して玄関までダッシュして、靴を履いて外に出た。

 

 

 昼とはいえ、生い茂った木々が日光を遮っていて、辺りは暗い。

 私の目当ての彼はというと、石に腰かけて、長袖で涙をぬぐっていた。

 

「燈矢くん!!!」

 

 彼は顔をあげる。そして、私を見た途端、すごく嫌そうな顔をした。だが、私はひかない。

 

「んだよ。……慰めにきたのか? 薄っぺらくてキショいからやめろよ」

「しよう! 殴り合い!」

「……は?」

「今まで君の悪口、まともに聞いてなくてごめんね」

「別に、」

「だからね、君の気持ちってずっと抑圧されたままなんだと思うんだ。ね、悪感情、拳に乗っけて全部私にぶつけてよ」

 

 ズバリ、河川敷で殴り合いしていたら、互いに出すもの出し切ってなんかめでたしめでたしになっているよね作戦!!

 

「何言って、」

「私、燈矢くんに対して手加減しないからさ」

「それ、お前が俺に対して報復したいだけじゃん」

「そうだよ、私ずっと、貴方にムカついていたけど我慢してた!」

「おい」

「だからさ、これっていい機会だと思うんだよね」

「……」 ジト目で見てくるけど、気にしない。

「よしっ、じゃあいくよー!!」

 

 困惑している燈矢くんに対して、私はポキポキと拳を鳴らし、

 

「ちょ、おい!」

 

殴りかかった。

 バァン! 目の前が真っ赤になる。炎だ。彼は、拳に炎を宿して応戦したのだ。

 だが私は個性:炎によりヤケドしない体質なので、怪我などはしていない。

 

「ぶっぶー! ちょっと、個性の使用は禁止ね! 私も使わないから!」

 

 私は両手で大きなバツを作った。

 すると負けず嫌いに火が付いたのか、

 

「本当に、お前なんなんだよ!」

 

助走をつけて殴りかかってくる。

しかし、その直前に彼の脚に私の脚を蹴り入れた。

 

「あっ?!」

「体幹がなっていない! 燈矢くん、火力だけじゃなくて身体も鍛えたら?」

 

  そのまま、転んだ燈矢くんの上に馬乗りになった

 私はグーを彼の首筋に当てた。彼は、ごくりと唾を飲んだ。それから、口角をあげて言葉を紡いだ。

 

「なあ、お前ってさ。ぽっと出の他人のくせに、お父さんに見てもらえて、稽古までつけてもらえて……なんだんだよ……。ヒーロー公安委員会の娘はいいよな、ヒーローになるのも確約されているんだろ」

 

「それは……どうだろう。意外と普通の公務員になるかもよ? 燈矢くんはヒーローになりたいんだ」

 

「無理って哂うのか? そりゃ、お前みたいなチビに負けたし……」

「そんなつもりはないよ。燈矢くんはお父さんと普通に話したいんだよね。それで、そうなるためにはヒーローになる必要があるって思い込んでいる。違う?」

 

 声のトーンを落ち着かせて、私は問う。

 

「……知ったかぶるなよ。俺は……普通に……」

 

 

 燈矢くんの両目から、透明の水が流れる。……泣き出してしまった。

 

「燈矢くんは、家族みんなで笑い合いたいんだよね」

「笑い合うとか、そんなんじゃない。……エンデヴァーの息子として、認めてほしいんだ」

「エンデヴァーの息子として?」

「……お父さんに、優しく『よくできたな』って頭を、撫でてほしい……」

「そっか。……今言葉に出したものをエンデヴァーさんに伝えるべきなんじゃないのかなあ」

「つた……える……?」

「そう、真正面から行くの。プライドとかが邪魔するかもしれないけど、自分の気持ちを伝えるって大切だからね。……そろそろ、エンデヴァーさん来る頃だね」

 

 先ほど念押しして、エンデヴァーさんに来るように言ったのだ。

 私の個性:気配察知も、こちらに一人向かってきているのを伝えている。

 

「ほら、」

 

 足音が近づいてきた。靴音から察するに、大人の背丈の高い男性だ。

 パチパチパチ。

 その主は、拍手をしていた。

 

「いやあ、素晴らしい友情だ」

 

 その人を見て、私はハッと息をのんだ。

 白髪の、スーツを着た男。

 

「AFO……!!?」

 

 

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