DATE・A・LIVE~再成~   作:Kyontyu

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こんにちは。Kyontyuです。
ついに、始まってしまいましたね。一未達の最後の戦いを最後まで見届けてくれれば幸いです。


天ノ幕
PART1


DATE・A・LIVE~再成~ 

 

 

『天ノ幕』

 

 

『作戦、第二段階(セカンドフェイズ)突入』

 

『第一宇宙速度維持、第二ブースター、点火。燃焼開始』

 

 黒い宇宙に赤い炎が映る。

 

『ブースター燃焼終了、分離』

 

 黒い宇宙船のような物から両端のブースターが分離する。

 

『月の裏側(ダークサイド・ムーン)を抜けた。外殻分離』

 

 そして卵が割れるように外殻が外れ、30メートルはある巨大な人型の人形が姿を現す。

 

『ティーターン一号機、降下開始』

 

 背中のスラスターを吹かしながら月面に降りていく。目の前には、青と、灰色の大地が広がる地球が見える。

 

『目標地点まで、残り、三、二、一』

 

 黒い機械の巨人(ティーターン)が着地した。それと同時に月の砂が舞い上がる。

 ティーターンの中、円球型のコックピットの中に黒いトレーススーツを着た人物がいた。顔はヘルメットに隠れて見えない。

「着地を確認、操作系統をマニュアルに変更。第三段階(サードフェイズ)に入る」

 ティーターンの目が赤く発光する。そしてパイロットと同じ動きで月面を歩き始めた。一歩踏みしめるごとに砂煙が舞う。

 ついに目標地点に到着した。そこには月面を大きく抉るようにクレーターが存在していた。

 その中心には黒い巨大な十字架が立っていた。パイロットはそこを拡大して目標物を確認した。

「目標を確認した。これより回収作業に入る。〈イェーガーシステム〉起動」

 その文言を口にすると、ティーターンの装甲がスライドして紅い内部が露わになった。そしてクレーターを覆うようにして存在する結界――自動随意領域(オート・テリトリー)をすり抜ける。

 ティーターンは十字架の前に立ち止まる。十字架のちょうどティーターンの頭部の辺りには〈クリフォト〉のマーク――大きな樹を逆さまにした絵――が描かれている。

「また会ったな。『士道』」

 パイロット――立花一未が呟くと、レーダーに何かの反応が映った。

「シグナルパターン緑……天使か!」

 レーダーの下に赤い文字で『精霊反応No.7』と表示される。反応の位置を拡大させると細長い正八面体のような結晶が三つ、こちらに接近してきていた。

「まさか、あれが鈴木達を……ッ!? 本部、何故気付かなかった!」

 画面の右上に「SOUND ONLY」の表示が現れる。

『お、恐らく周りのデブリに紛れていたと思われます!』

「ちっ……イザヤ、エレミヤ、回路接続! 重力中和、慣性制御システム起動!」

―――キィィィィィィィャャャャャッッッ!

 放出される霊波が鼓膜を震わせ、奇妙な不協和音を響かせる。

 ティーターンが飛ぶと方向を天使は変え、こちらに向かってきた。一未は右手を高周波振動させ、一つに突き刺した。そして手を広げると、天使は血を吹き出しながらバラバラに四散した。噴出した血糊がベタリと黒いボディに付着する。

 しかし、残り二つがしつこくこちらを追い掛けて来る。一未は出力速度ギリギリでティーターンを操る。触れかけるところを間一髪で避ける。二つの天使は行動パターンを変え、コンビネーションするように攻め立てる。

「くっ……厄介な……」

 気づくと、前と後ろを天使に取られていた。二つの天使はきりもみ回転しながらこちらに向かってくる。それを一未は激突の寸前で上方向に上がる。二つの天使が激突した。

「鈴木と蒼副艦長の仇ィィィッ!」

 ティーターンの両腕を天使に向け、腕部に搭載された大口径機関銃を発射する。放たれた対天使弾は二つの天使を貫いた。そして爆発して何も残らず消え去った。

「……よし」

 慣性を制御して再び月面に降りた。そして十字架を引き抜いた。

「目標を確保。これより第四段階(フォースフェイズ)に入る」

 頭上には灰色と青の地球が見えた。

 

 

                             ◆◇◆◇◆

 

 

 士道は暗い意識の中で漂っていた。

 

 俺は一体……何者なんだ……?

 

 まどろんだ意識の中で、人々の絶望した顔がフラッシュバックされる。

 

 何を、してたんだっけ……?

 

 地面が、割れる。海が、無くなる。空が裂け、雷鳴がとどろく。

 

 いや、嘘だ。俺は、救う為にやったんだ……

 

『全部、嘘だ』

 

 士道は自分の意識にヴェールをかぶせた。

 

 

                             ◆◇◆◇◆

 

 

 

 士道が目を覚ますと、窓ガラス越しに何か人らしき物と、機械が駆動する音が聞こえた。頭を振って意識を覚醒させると、自分が縛られている事に気づく。

 白い簡易服に、首、両手首には時折赤い光を放つ黒い輪っかのような物が着いている。

 士道は息を呑んで前を向いた。

「ここは……どこですか?」

 窓ガラスの向こうには黒いジャケットを羽織った右目に眼帯を付けた女性と、白衣を纏った女性、そして壁には黒い軍服のような物を着た男性が寄りかかっていた。

 黒いジャケットを羽織った女性が白衣の女性に訊ねる。

「この子は、五河士道、なんですよね?」

「ああ、その筈だ。検査結果は、彼の物だと断定できる」

「そう、分かった」と、黒いジャケットを羽織った女性は頷く。

「あのぉ、俺は、一体……? それに、コレ、外して下さいよ」

 手首の輪を外そうとするが、外れる気配はない。

「五河、士道君。私の名は、ユミ・ケベック。〈クリフォト〉実行部隊総司令官であり、この艦、〈リヴァイアサン〉の艦長」

「〈クリフォト〉……? 〈リヴァイアサン〉……?」

 聞きなれない単語に士道は困惑するばかりだ。

「そう。精霊を殲滅を目的とする組織」

「ッ! まさか、あの黒男はッ!?」

 士道は立ちあがろうとしたが、拘束具のせいで立ちあがれない。

「俺だ」

 壁に寄りかかっていた男性が答え、窓ガラスの前に立った。その姿に士道は目を丸くした。

「まさか……一未?」

 目の前にいた男性は、まさしく立花一未だった。前回会った時より成長しているが、基本的な特徴はそのままだ。

「でも、なんか……変わって……」

 士道は一未を見た。背も、雰囲気も、まるで違う。

「そうだ。お前と最後に会ったときから、十年が経過した」

「じゅ、十年……」

 時の重圧が士道を押しつぶす。

「お、俺は、一体……?」

「力を暴走させた君は封印され、月面に保管されていた」

 白衣の女性が言った。

「力……暴走……」

 その言葉をゆっくりと反芻するように吐きだす。

「その結果、世界のバランスは崩壊し、人口が半分以上消し飛んだ」

 ユミが淡々と言葉を紡ぐ。

「そ、そんなのって……」

 士道はがっくりと項垂れる。

「そして、その首と両手首につけられた輪は、君の罪の象徴だ」

 士道は黒い輪を見た。不気味な赤い光を放っている。

「面会終了」

 ユミが言うと、ガラスは白くなって外が見えなくなった。

「待って下さいよぉ……」

 士道はガラスに手をついた。

 

 一未は面会室を出た。ドアのすぐ横に、一未と同じ制服を着た真那が腕を組んで壁に寄りかかっていた。あれから十年、中学生程度の年齢だった彼女も、今はもう立派な大人だ。

「会わなくて良かったのか」

「ええ、あんなバカ兄様、会う価値もねぇっす」

「そうか。後悔がなければいいのだがな」

 一未は歩きだした。

「そういうアンタこそ、後悔はねぇーんですか」

 一未は立ち止まる。

「ああ、無いな」

 そして再び歩き出した。

 

「世界を、滅ぼした……俺が?」

 バカな、と鼻で笑う。だが、ユミという女性が言った言葉には真剣さが籠っていた。それでいて、士道に対してに恨みを抱いているかのようでもあった。

 部屋を見回す。あるのは、簡易ベッドと、便器のみ。殺風景な部屋だった。それに天井の四隅には監視カメラが設置されていた。

 士道は頭を抱える。

「十香……どうすればいい?」

 士道が頭を抱えていると、横の壁が吹き飛んだ。強い風が吹き込んでくる。士道は思わず顔を腕で覆う。

 穴の空いた壁を見る。

 

 そこには、霊装を纏った『十香』が立っていた。

 

「十香……!?」

 

 白いスモークガラスの外で、ユミと白衣の女性――天話は、話していた。部屋のモニターには、現在の士道の様子が映し出されている。

「本当に良かったのか? 彼を連れて来て。奴らが来るぞ」

「分かってる。だからこそよ。こんどこそあいつら全員叩きのめすためにね」

 天話は肩をすくめる。

「変わったな。君は」

「違うわ。変わったのは、この世界よ」

 その時、左横にあった壁が吹き飛んだ。その衝撃でユミと天話は右方向にに飛ばされた。

 ユミは右耳にかけたハンズフリーヘッドセットの通話スイッチを押す。

「何事!?」

『こちら、ブリッジ! 面会室の近くの第一、第二、第三装甲板が全部貫かれてます! こんなのって……』

「落ち着いて! 予想される敵は!?」

『『精霊』、です』

「沙耶!」

『ああ! 分かってるッ!』

 通話対象が変わり、少女の声が聞こえた。

 ユミは右側空いている穴を見た。そこには、十香が立っていた。

「あなたはッ! 死んだはずでしょ……ッ!」

 そして再び衝撃波。面会室を隔てるガラスが粉々に割れた。

 十香が口を開く。

「こっちに来い。士道」

 十香に向かって歩き出した士道をユミは拳銃を構えて制す。

「行ってはダメだ! 士道君。黙ってこっちに歩いて来て」

「何でだよ! 十香は、いるじゃないか!」

「違う! そいつは十香じゃない……ッ!」

 憎しみのこもった左目の目線が士道に食い込む。

 士道も睨み返した。

 

 〈リヴァイアサン〉の外に出た金と黒で彩られたCR-スーツ、〈イェーガー極〉を着装した沙耶は精霊を目視で確認する事が出来た。大きく広げられた白い翼。言われなくても『精霊』だと分かる。

 沙耶は両肩の大袖にマウントされた三対の刀を装備した副腕を展開する。

「うおぉぉぉぉ! 覚悟ォォォォッ!」

 雄たけびを上げながら両手に刀を持ち、十香に突き刺そうとする。

 しかし、カキィィィィンという甲高い音と共に五メートルほど手前で防がれてしまう。

 そして中心部にエネルギーが凝縮され、沙耶は弾かれた。沙耶は刀を装甲板に突き刺して無理矢理静止させる。装甲板に長い爪痕のような傷が生まれた。

「くっ……」

 その時、沙耶の上を超高速で何かが通り抜けて行った。衝撃波が沙耶を襲う。

『あとは私に任せろッ!』

「日下部さん!」

 沙耶は叫んだ。今のは〈ソニック・ハーピィー〉を纏った日下部遼子だった。後ろには送電用のケーブルが繋がっている。

「右腕の借り、返させてもらうわよォォッ!」

 遼子は両手で握った大きな両刃の剣を突き刺す。しかし、先ほどと同じように甲高い音と共に防がれる。

「負ッッッッけるかァァァァァァ!」

 スラスターの出力をさらに上げる。額に汗が浮かぶ。遼子は歯を噛み締めた。

 

「俺は、行きますよ!」

 士道はユミを見た。

「行って、真実は確かめます!」

「いや、ダメだ! 君は、彼女と一緒にいてはいけないッ!」

「この……分からず屋ッ!」

 士道は言い放つと十香に実をゆだねた。十香は士道を守るように翼を閉じ、〈リヴァイアサン〉から離れて行った。

 

 十香が翼を閉じたと思うと、遼子を阻んでいた不可視の壁が突然消えた。

「なッ……」

 そして更に大きく翼を広げ、十香は大空に投げ出される。

「逃がすか!」

 再びスラスターを始動させると、ユミから通信が入った。

『追撃は不要。修理班は装甲板の応急処置を。その他のクルーは索敵を続けて』

「ちっ……」

 遼子は唇を噛んだ。

 眼下には、灰色に染められた大地が広がっていた。

 

 

                     ◇◆◇To be continued……◇◆◇

 

 




そういえば、なんでASTって女性だらけなんでしょう?
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