岸辺露伴は靡かない   作:KS00002358

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初めてなので暖かい目で見てくださると幸いです


一等地

一等地

ズズ

(そういえば最近、自分で珈琲を煎れてないな。)

晴れ晴れとした空の下で露伴はコーヒーを楽しんでいた。

 

「露伴せんせぇ~なんとか取材許可取り付けましたよぉ!」

 

「あぁ…お疲れ」

 

露伴は泉京香と打ち合わせをしていた。

 

「いやぁそれにしても大変でしたよぉなんかとても気難しそうな人というかぁ…

露伴せんせぇのファンじゃなかったら絶対無理でしたよぉ!」

 

「ふ~ん。」

 

「………」

 

泉京香はそんな露伴の態度に少しイラッとした。

 

「……とにかく!露伴先生!次の読み切り作品の

ネタ、頼みましたよ。」

 

「分かってるよ。」

 

───

 

今日はとある小さな町に取材に来ている、

北海道のP市の山の麓に位置している場所だ。

そこは静かで、毎日、シマエナガの囀りが聞こえ、夜になると満天の星空が眺められる。

老人にとってこれほどまでに心やすげる場所はないと言いきれるほどにうっとりする場所でひときわ豪華な屋敷に住んでいるのは意外にも20才の美大生である。

 

彼の名前は 石章辰彦(いしあきたつひこ)

主に油絵をメインに活動している。

彼の油絵はかなり高い評価を得ており、

まるで1つの風景を切り取ったかのような絵を描く。

 

その秘訣は何と言っても彼の題材への異様なこだわりである。

彼は絵を描くとき自分が求めた景色になるまで何日も待つことがあり、北海道の冬であろうとも五日の時点で食料が尽きたにもかかわらずそこから2日、合計で一週間も待った。

 

そして2日後、求めた景色になるとかじかんでいた手を必死に抑え、絵を書き切った。

その油絵は約5000万ほどで売れたようだ。

そんな彼の作品に対する姿勢に興味が湧いた露伴は石章の邸宅へ取材に行くことになった。

(かなり古いな、シンメトリー様式の家か。)

 

コンコン

 

ギィィ ガチャ

不快な金属音と共にドアが開いた

「ようこそおいでくださいました、私、石章辰彦と申します、どうぞこちらへ。」

露伴の石章辰彦への第1印象は少し堅物に見えた

(わざわざスーツを着て客を迎え入れるとは、

コイツならあの屋敷の試験にも余裕で合格出来そうだな…)

 

「お邪魔します。」

 

玄関に入った瞬間、露伴の目にあるものが映る

 

「これ…本物かい?」

 

露伴の目に入った物は3メートルはありそうな

ヒグマの剥製だった。

 

「あぁ、これは私の祖父の石章繁治が趣味で仕留めたものです。なんでこんなすぐ人の目に入るとこに置くのか…ま、自慢したかったんでしょうね…

さ、こちらへ、長旅で疲れているでしょう?泊まって頂く部屋にご案内します」

 

露伴は案内されながら家の装飾などを見ていた

(かなり広いな、よくよく見てみるとかなり壁とか傷んでいるな、特にさっきの玄関のドア、油とか刺した方が良いレベルだったぞ。)

 

「にしても、本物の露伴先生に会えるだなんて、

感無量です」

 

「それは…ありがとう。」

 

「露伴先生が書かれている作品全てをコレクションするほどファンでして、あのリアリティ溢れる作品は他の漫画家にはなかなか見られないですよ!」

 

「そういうキミこそ凄い風景画を描いてるじゃないか。」

 

「そんなとんでもない、私はただ満足いくまで書き直しているだけですよ」

 

その″満足いくまで″が異常なんじゃあないのか?

と露伴は思った。

 

「さて、ここが今日泊まって頂くお部屋となります、ではあと二時間ほどで料理が出来上がりますのでそれまでごゆるりとおくつろぎください」

 

ガチャ

 

(掃除はされているように見えるが…ところどころ埃がたまっているようだ…まあここまで家が広いと掃除が行き届かないのは当たり前か…)

荷物を部屋の隅に置き窓際にあったアンティークショップに売っているような椅子に座りクタクタになった足を疲れを抜くようにもたれ掛けた。

部屋を見渡してみると恐らく彼の祖父が狩った動物の剥製と恐らく辰彦が書いたであろう絵が飾られていた。

 

「にしても凄い絵だなこの絵も数百万はするんじゃあないの?」

 

 

 

─二時間後─

 

「食事のご用意が出来ました」

 

「あぁ、今行く。」

 

露伴は手に持っていたスケッチブックを机に置き部屋を出た。

「今夜は前菜に無農薬栽培でとれたトマトと、搾りたての牛乳で作ったモッツァレラチーズを使用したカプレーゼ、スープには天然物のホタテとこちらも無農薬栽培で作られたジャガイモのポタージュ、そしてメインが露伴さんがジビエを食べてみたいとの事だったのでエゾシカのステーキのチェリーソース掛け、こちらのチェリーも無農薬栽培の物を用意させて頂きました。」

 

露伴は長ったらしい料理の説明を上の空で聞きながら出されたカプレーゼに目を向けた。

 

「…頂きます。」

 

まず口に煎れる前に匂いを確認する

カプレーゼの上に撒かれたバジルの匂いが心地良く鼻を抜けていく、次に口の中に入れる

露伴は驚いた

 

(このトマト…とてつもなく甘い、まるでマンゴーを丸かじりしたようなッ!次にモッツァレラチーズだが…驚くほど濃いッ!このトマトに負けないようにしかし、トマトの風味を邪魔しないように絶妙な塩梅に出来ているッ!)

 

露伴は味わうことを忘れすぐ口に入れ飲み込み喉に詰め込みものの2分で平らげた

次に露伴は運ばれたスープに目を通した

運ばれた瞬間にホタテの旨味が詰まった匂いとジャガイモとクリームの芳醇な香りが漂ってくる。

口に入れるとまず感じるのはジャガイモの濃い甘さ、そしてそのジャガイモの濃厚な甘さの中にホタテの旨味が芯を通しているかのような旨味が口いっぱいに広がる。

 

(おいおいおい…これだけのためにこの家に来たと言っても過言ではないぞ…。)

 

ポタージュも一瞬でなくなっていき、次がラスト、鹿肉のステーキだ。

 

「こちら、本日のメイン、鹿肉のステーキ、こちらのチェリーソース、10年間寝かしておいたサクランボ酒を使用しております、存分にお楽しみください」

 

露伴はどんどん期待が膨らんでいった

エゾシカ、北海道に分布している偶蹄目、世界では高級ジビエとして知られており、ノーベル賞受賞者の晩餐会のメインディッシュとしても使われている。

(さて、ジビエは独特な臭みがあると言うが…

まずはソースなしで)

口に入れたときまず感じるのは鹿肉の野性味、しかしその中には一切の臭みがない、噛めば噛むほど味が出て、まさに″味に溺れる″とはこのことだと露伴はおもった。

(さて、次はソースをかけてみるか。)

サクランボのソースは見事なまでに美しい真紅の色をしていた

口に入れた瞬間露伴が感じたのはソースの表現しきれないほどの芳醇な香りと先程までの鹿肉の野性味あふれる力強さとは考えられない程の新たな味へと変貌した。

 

────

ひとしきり食べ終わった後で露伴は辰彦に質問をした。

 

「ところで、これ程までの食材をどうやって入手したんだい?」

 

「特になにもしてませんよ。」

 

「オイオイ、こんな料理、銀座だとかの気取ったレストランよりも何倍も美味く感じるんだが。」

 

「…強いて言うならこれらの食材はこの土地で育てられたものですよ。」

 

「″土地″?」

 

「えぇ土地ですよ。この土地は代々、我々石章一族が管理してきた場所でして祖父の祖父である石章玄樹朗がその昔、1803年に開拓者としてこの土地に渡り住んだことから始まりました、玄樹朗はこの不毛だった土地をたちまち緑で溢れさせたのです。最初は全くと言っていいほど植物が育ちませんでした、

なかなかうまくいかなく自殺を考える程だったそうです。しかしある日、落石事故が起こったのですがその落石現場からあるものが発見されたんです。」

 

「あるもの?」

 

「落石現場から地蔵のような何かが出てきたのですその地蔵が現れた次の日から植物が急に生い茂りはじめ次の月には実を点け始めたのです。

その日以来、田畑は一気に成長し家畜も驚くほど健康になり我々の一族はその地蔵を豊穣の神様として祭りあげるようになったんです。」

 

「ふーん…」

 

「この土地で作られた物は他の土地で作られた物よりも別格な物となるんですよ、まあそんな多い量を育てて居るわけではないので全てこの町で消費して外に出回ることはないんですがね、ちなみに私が使っている絵の具もこの土地で育った植物を材料として使っているんです、最近売れた風景画にも落札者から

『貴方の腕もそうですがこの絵の具がまるで吸い込まれるかのような美しさ。届くのが待ちきれないよ。』

と評された程です。」

 

「………なるほどねぇ…」

 

「おや、もうこんな時間だ。明日は早いのでそろそろ寝ましょう明日は8時から出発します。」

 

「あぁ、お休み。」

 

露伴は明日に備えて寝ることにした

 

 

 

 

 

─数時間後─

ギイ… ギイ… ガタッ

「?」

露伴は妙な物音で目が覚める。

「なんだ…一体…」

グサッ

「ック!?」

何かに刺されたような痛みで目が覚める

「…ッなんだこれはッ!」

なんと烏が露伴の腕の肉をえぐりとろうとしていた

「ヘブンズドアッ」

烏にヘブンズドアを喰らわせる。

「なんだこのカラス…どこから入って来たんだ…

窓も開いている様子はない…」

 

ドサ…ギギィ……ドサ…ギギィ……

「ッ?」

廊下からさらに大きな音が聞こえてくる

露伴は音の正体が気になりドアを開ける

 

 

 

 

すると

『グオァァァ!』

ザシュ

「ック!?」

露伴は暗闇の中にあった鋭い眼光を向けられた瞬間、何かに引っ掻かれた。

露伴は咄嗟に利き手とは逆の手で守った

「ッ…はぁッ…はぁッ…」

幸いにも傷は浅かった

「なんなんだ一体…」

さらにその黒い何かが襲いかかってくる

露伴は咄嗟に自分のスタンドを繰り出した。

「ヘブンズドアーッ!」

 

ドスン

 

黒い何かは倒れ込み露伴は自分の呼吸を整え

ゆっくりと起き上がり部屋の明かりを点けた

 

「オイオイオイオイ!なんなんだコレはッ!

何で家の中に烏やヒグマが出てくるんだッ!…

鍵はかけていなかったのかッ!?」

 

「クッソッ……だが…利き手じゃないだけマシだったかもな…………」

あまりの出来事に取り乱しかけたが落ち着いて深呼吸をし、ヒグマのページをのぞき込んだ

「さて、どうやってコイツは入ってきたのか読ませて貰おうか。」

 

次の瞬間、露伴は驚愕する

 

「…ッ?どういうことだ?何故ページが真っ白なんだッ!?ページが真っ白になるのは死んだ動物だけのはず。」

 

露伴はあるものを見つけた

 

「こッ!…コレはッ…なんなんだコレはッ!」

露伴がヒグマのページの中から見つけたものは

 

「カッ…カビている…どういうことだ?」

カビの中にさらにページを見つけた

 

「ッ!…………コイツは一種の寄生虫かなにかだ…死んだ動物を苗床に寄生し自分の意のままに操ることに進化した寄生虫、

…問題はこの寄生された熊がどこから来てなお且つどこから侵入したのかだ。

………読んでみるか…」

 

ガチャ

 

「露伴先生、どうかなさいました………

ろ…ろ……露伴先生ッ!?な…何で…く…熊がいるんですかッ!?」

 

「…辰彦クン…キミねぇ、ちゃんと鍵掛けていたんだろうねぇ?何で家の中に熊が現れるんだい?」

「ばっ…馬鹿なこと言わないで下さいッ!北海道に住んでいる人間で鍵を開けたままにする馬鹿はいません

第一、そもそも入ってきたとするならドアの音ですぐわかr…………」

「…如何した?」

「…この熊…家の玄関に置いてある剥製です…」

「……は?」

 

ボコボコ

 

熊の体が膨張し始めた

「ッ!?」

 

ボシュー……

 

熊の体から黒い煙が一気に立ち籠める

 

「ック!!」

露伴はすぐ口を塞いだが辰彦は間に合わずモロに煙を吸い込んでしまった。

「ッゴホッゴホッッ」

「おいッ大丈夫か?」

 

「……………」

 

 

「…辰彦君?」

 

 

「……………グルルルルッ…」

辰彦の目は充血し、口からは泡が出ていた、そして体の至る所から黒い斑点が現れ始めた。

「ッオイオイオイ…何の冗談だ?何でそんな

B級映画に出てきそうなゾンビみたいな顔をしているんだッ!?」

 

「ブrrラッシャアッ!!」

辰彦はまるで本当のゾンビになったかのように露伴に襲いかかった。

 

「ウッ…ウォォォッ!ヘブンズドアーッ!!」

 

ドスンッ

 

「はァ…はァ…」

露伴は触れるまであと5cmにも満たない距離でヘブンズドアを喰らわせた。

「クッソ…なんなんだ一体………………………

取りあえず読んでみるか。」

露伴は黒い部分に触れないよう手袋をはめてページをめくる。

「オイオイオイオイ…何の冗談だ?」

 

そこに書かれていたものは。

 

 

 

 

 

 

 

 

「″付喪神″だと?オイオイ何の冗談だ?」

 

ペラ

 

「コッ……コイツはッ…」

11××年、平安時代、この山に住んでいた人間は飢饉や大地震、台風など大災害の真っ只中だった。

そんな中、度重なる地震や台風で落石が起こり洞窟が出現した、

その洞窟の中からは常に黒い煙が常に立ち籠めていた、

その黒い煙の近くで育った植物は異常発達し

食べるものがなかった村人はその植物を口にし始めた。すると痩せこけていた体が瞬く間に回復していった。

村人は「これは神の救いだ」と考え洞窟の前に小さな社を建て祀った。

しかし異変が起こり始めた。

その植物を口にした動物が徐々に凶暴化していったのだ。

牛や馬が凶暴化していき遂には死骸までも動き始めた

村人は徐々に理性を失い始め、殺し合いに発展していったのだ。まるでお互いがバケモノに見えるかのように。

何とか理性を保っていた村人の一人が苦しみながらもこれ以上、被害を広めまいと洞窟を塞ぎ命を絶った。

「コイツはウイルス、植物に寄生しそれを口にした生物の体の中で増殖し幻覚を見せ自分の手足として操り感染を拡大させようとしていたわけか。そして熊の剥製にはずっと前から寄生していて体内に体を動かす骨組みのような物を形成しボクを襲い僕のことをs新たに宿主にし、増殖しようとしていたのか…。

どうする…ウイルスだと?僕のヘブンズドアでもどうしようもないぞ。

だが…今気になるのはそこじゃあない。何故、今になって急にウイルスが姿を現し始めたんだ…彼の話だと200年前にはもうすでに穴が空いていたと聞いたが。」

 

 

「………準備が出来たからだよ」

「ッ!??」

露伴は驚愕した、気絶していたはずの辰彦が話始めたのだ。しかし今話しているのは明らかに辰彦ではなかった。

「俺はよぉ…1000年くらい前によぉあとちょっと

あとちょっとで神になれたのによぉ、人間に邪魔されちまってよぉ…」

「オ…オマエは一体。」

「あ?だから″神″つってんだろうがよぉ…

俺はよぉ、ただ全ての生物の頂点に立ちたかっただけなのによぉ人間のくだらねぇ″正義感″っつうのに邪魔されてよぉ俺はただ生き物をもてあそんで楽しみてぇだけなのによぉ…

だが…この辰彦っつう餓鬼が俺をばら撒いてくれたんだよオレを絵の具に使って色んな場所に運んでくれたお陰でなぁ」

「ッ!!…」

露伴は全て理解した

(コイツ、また穴を塞がれるのを恐れチャンスが来るのを待っていたのかッ?まるでハシビロコウが何時間も動かず獲物を狙うように。)

 

「もうそろそろコイツが書いた絵が本州に着いてる頃だ俺は今やこの日本、いや世界中の人間を奴隷にしたのも同じ、お前もおれの奴隷になって貰うぜぇッ!」

 

「……

 

 

 

 

 

オイオイオイオイオイオイオイオイッ!

だからッ!

オイオイオイオイオイオイオイオイッ!

この岸辺露伴を舐めるんじゃあないぞッ!」

 

「あぁ?なに言ってんだテメェ?自分がピンチということも分からねぇのか?頭ん中にクソでも詰まってんのかぁ?このドグソ野郎が、それとも頭がスッカラカンなのかぁ?人間が神に勝てるわけねぇだろうがよぉッ!!このビチグソ野郎がぁッ!!」

 

「神だと?お前の方こそ頭が空っぽなんじゃあないのか?糞でも詰めた方が少しはマシになるんじゃあないの?」

 

「こんッのッ!だがッッ結局オマエもすでにオレがマーキングしてんだよさっきオマエが食った食いもんは全部″オレ″が居たんだからな、どのみちそっちのオレがオマエの体を乗っ取るだろうさ。その時はオマエを1番苦しめながら乗っ取ってやるよ。」

 

「ふーん…」

 

「ッ!?なんなんだよその勝ち誇った顔はよぉッ!

オマエはもう負けてんだぞッ!

なのに…何でそんなムカつく顔をしてんだよぉッ!」

 

半狂乱の顔をしながら露伴に言う。

 

「オマエがぺらぺらと喋らずさっさとボクを乗っ取るか殺していればキミは神とやらになれたのに残念だなぁと思っただけさ。」

 

「何だと?」

 

「ちなみに今キミがぺちゃくちゃ喋っている間に僕の黒い部分にこう書かせて貰ったのさ

『自分自身と仲間割れ』と。」

 

「…あ?」

 

次の瞬間

 

1「グハッ…なんだこれはッ…オイッオレなにしてんだよ」

 

2「わかんねぇッッ!ただ…オレを殺さないとってそんな考えになっちまうんだよぉッ!」

 

「僕のヘブンズドアは意思を持った生物にしか命令を書き込めない、君が静かに僕が乗っ取られるのを待っていればボクは君がウイルスと勘違いしたままボクは死んでキミは勝っていただろうに」

 

「そんなッ…オレの…オレの夢があぁッ…

ウォォォッッッ!!!!岸辺露伴ンーッッ!!!!」

 

 

 

 

体中にあった黒い斑点が消え始めていた

 

「しかし、もしアイツが一言も喋らずあのまま正体に気付かないままだったと考えると…」

 

露伴は背中がゾッとした。

 

「ま、良いネタは手に入れることが出来たから

良しとするか…」

 

露伴はゆっくりと椅子に腰掛けまた辰彦が書いた絵をもう一度目を向ける

 

「良い絵だが、せいぜい20万くらいだろうな…」

 

─数日後─

 

「えっ?露伴先生もう帰ってきちゃったんですかぁっ?」

 

電話越しから甲高いこえが響いてくる

 

「あぁ充分ネタは集められたからね」

 

「エェッ!?もったいなぁい!せっかく一週間分の取材許可を貰ったのにぃ!」

 

「悪かったね君の努力を無駄にしてしまって」

 

「もおっ!………まあでも早めに帰ってきてよかったかもですね。なんか辰彦さんの絵、急に価値が下がっちゃったみたいで。ネットニュースでも滅茶苦茶出てますよ″天才画家没落する″って。」

 

「……………まあでもボクは彼がまた活躍するとは思うけどね…」

 

「えぇ?露伴先生、2日もせず帰ってきたのは期待外れだったからじゃないんですか?」

 

「君…僕のこと何だと思ってるんだい?」

 

「ん~自分を完璧人間だ思ってる自信過剰人間。」

 

「君ねぇ…………」

 

露伴は呆れながら珈琲に口を付ける

 

「あ、それとは別に新しいネタを見つけましたよ」

 

「どんな?」

 

「なんか永久凍土の氷の中から新種のウイルスが

発見されたんですって、なんか今まで人類が体験してきたウイルスとは全く違うらしくてワクチンが開発出来るかどうかなんですって。

なんかそういうパニック映画的なお話とかどうです?」

 

「パスで」

 

「え?」

 

「そのネタはパスだ。」

 

「えぇッ!?何でですか?」

 

「さあね。」

(しばらく風邪はこりごりだ…)

 

─終─




読んで頂きありがとうございました。
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