問題児たちが異世界から来るそうですよ?~天下最強高校生~ 作:炉斗
上空4000mから落下した四人と一匹は、落下地点に用意してあった緩衝材のような薄い水膜を幾重も通って湖に投げ出される。
ボチャン、と着水。水膜で勢いが衰えていたため四人は無傷ですんだ。
一人は一緒にいた三毛猫を水面から引っ張り出してゆっくりと岸に上がる
朧と他の二人は素早く陸地に上がり、それぞれが罵詈雑言を吐き捨てていた。
「し、信じられないわ!まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句、空に放り出すなんて!」
「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」
「いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」
「俺は問題ない」
「そう。身勝手ね。」
二人の男女はフン、と互いに鼻を鳴らして服の端を絞る。
遅れて岸に上がった女子は同じように服を絞る、隣で三毛猫が全身を震わせて水をはじく。
三毛猫を抱き抱えている女子は服を絞りながら、「此処…どこだろう?」と呟いた。
「さあな。まあ、世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねえか?」
金髪で身体中から「俺問題児!」というようなオーラを出している男子が応えた。
何にせよ彼らが知らない場所であることは確かだった。
適当に服を絞り終えた問題児(仮)が軽く曲がったくせっぱねの髪を掻きあげ、
「まず間違いないだろうけど、一応確認しておくぞもしかしてお前達にも変な手紙が?」
「そうだけど、まずその“オマエ”って呼び方を訂正して。私は
「
「
「そう。よろしく春日部さん。朧くん。最後に、野蛮で凶暴そうな貴方は?」
「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な
「そう。説明書をくれたら考えといてあげるわ、十六夜君」
「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」
心からケラケラと笑う逆廻十六夜。
傲慢そうに顔を背ける久遠飛鳥。
我関せずと無関心を装う春日部耀。
興味がなさそうにごろごろくつろぐ麟月朧。
そんな彼らを物陰から見ていた黒ウサギは思う。
(うわぁ……なんか問題児ばっかりみたいですねぇ……)
召喚しておいてアレだが……彼らが協力する姿は、客観的に想像できそうにない。
黒ウサギは陰欝そうに重い溜め息を吐くのだった。
十六夜は苛立たしげに言う。
「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねぇんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねぇのか?」
「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」
「……この状況に対して落ち着き過ぎてるのもどうかと思うけど。」
「いやお前もな?」
(あなたもです…)
黒ウサギは、自分を棚に上げて春日部につっこみをいれた朧につっこむ。
(まあ、悩んでいても仕方がないデス。これ以上不満が噴出する前にお腹を括りますk
「仕方がねえな。取りあえず、そこに隠れている奴にでも話を聞くか?」
物陰に隠れていた黒ウサギは心臓を掴まれたように飛び跳ねた。
三人の視線が黒ウサギに集まる。
「なんだ、貴方もきづいていたの?」
「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?お前らも気づいてたんだろ?」
「風上に立たれたら嫌でもわかる」
「………へぇ?面白いなお前」
「え~俺、全然みえなーい。えぇ?なに君たち?気づいたか…とか…厨二病?」
「……わざと見えてないふりしてるのが白々しいわね…」
「ヤハハ、おもしれぇこと言うなぁ。…喧嘩売ってんなら買うぜ?」
軽薄そうに笑う十六夜の目は笑っていない。
四人は理不尽な招集を受けた腹いせに殺気の籠った冷ややかな視線を黒ウサギに向ける。
「や、やだなあ皆さん。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」
「断る」
「却下」
「お断りします」
「OK。把握。」
「あっは、取りつくシマもないですね♪」
バンザーイ、と降参のポーズをとる黒ウサギ
しかしその眼は冷静に四人を値踏みしていた。
(肝っ玉は及第点。この状況でNOと言える勝ち気は買いです。……と言うか一人さらっと肯定しませんでした?)
黒ウサギは唯一、この中で一人だけYESと言った朧の方を見た。
(…あれ?)
朧がいないと思い辺りを見回すと、
「おらぁ!」
「フギャ!」
後ろに黒ウサギのウサ耳を根っこから鷲掴み、引っ張った。
「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますか、まさか初対面で問答無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?しかも貴方さっき肯定してたじゃないですか!!」
「知らんな。」
「自由にも程があります!」
「!ズルい。私も。」
今度は春日部が右から掴んで引っ張る。
「じゃあ俺も。」
「ちょ、ちょっと待―――」
今度は十六夜が左から。
「じゃあ次、私ね。」
左右に力いっぱい引っ張られた黒ウサギは、言葉にならない悲鳴を上げ、その絶叫は近隣に木霊した。