とある五条の無下限呪術   作:助5103

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教えて!五条くん!

Q.呪術師って何人いるの?

A.僕を取り囲む構成員は呪術師としての資格があるから五条家を含むと20人くらいはいると思うよ!


第六話「黒子さんと五条くん」

 

 

「おっはよーございまーす!…って、あれ?」

 

 

次の日、一七七支部の一室に佐天涙子が入室する。彼女は和菓子の詰め合わせセットが入っている袋を右手に持っている。お土産として持ってきたのかいつもより機嫌の良い

しかし、入った途端に感じたのは残業真っ只中のサラリーマンが放つような重々しい空気が広がっていた。そしてその中心にいるのは“風紀委員”の白井黒子が疲れ果てた顔つきで突っ伏して寝ていた。

 

 

「あーーー…」

 

今、彼女は極めて疲労困憊な状況にある。

 

 

「し、白井さん…なんかあったの?」

 

 

どんよりとした空気を放つ彼女に近づけず遠回りをするようにその向かいにいた初春に恐る恐る問いかける。ここまでゾンビ状態になった彼女は今まで見た事がなかった

 

「日に日に拡大する“幻霊夜行”がどうも対処のしようがなくて…その結果、この通り…」

 

 

五条と邂逅を果たした後も何件もの発生事例が学区ごとで発生し、その多発量はそれぞれ各支部が総力を尽くして捜査に当たっているものの、被害者の対応と現場の処理に精一杯な状況

であり白井もその業務に追われている一人だった。瞬間的に移動が出来る彼女は他の支部からの要請もあった為一日中酷使する事が連日続き今やキャパオーバー状態にまで陥ってしまった。今や何を話しかけてもうめき声で返されるばかりで今は半ば放置状態でああなっている。

 

 

 

「そんなに忙しいの?」

 

 

「それが…多発する場所に規則性がないんですよ」

 

「見てください」

 

と、初春は使用しているパソコンから表示された学園都市のマップを佐天に見せる。

 

「この丸で印したのが発生場所なんですけど」

 

 

「こんな風にそれぞれ時刻や発生場所がランダムで…これじゃあ予測のしようがないので、行き詰まってるんです」

 

 

「私も、調べた限りでは“幻霊夜行”ついての手掛かりがあまりなくて…」

 

 

バンクに“幻霊夜行”関連の情報を一日中調べ漁っていたのだが、これといった情報も得られずといった状況だった。初春はお土産の和菓子を有難く頂戴し束の間の糖分補給タイムに移行する

 

 

「ふむ、捜査は難航状態にある…と」

 

「ですが、そんな事で折れている訳にはいきませんわ」

 

 

「わっ、生き返ってる」

 

 

振り向けばいつもの凛々しい表情をする白井が立ち上がってそう言い放った。先程までのゾンビ状態からの急速な回復はもうそういう能力でもあるんじゃないのかと疑う。そんな佐天を横目に黒子はせっせっと外に出かける支度をする。あくまで彼女は諦める事など毛頭ない…どんな困難にぶつかっても彼女は幾度となくそれを乗り越えてきた。原因不明の事件など初めてではない。

 

 

「私は被害者の方々の知り合いに聞けるだけの事を尋ねて来ます」

 

「私ももうちょっと調べてみます」

 

「頼みますわ」

 

白井と初春はよりいっそう気合いを入れて捜査に注力する。それは、いつも見ている光景であり彼女達のめげない努力によってどんな難事件も解決に導いたのだ。それを何度も目の当たりにした佐天にとってこの“幻霊夜行”とかいう不気味な事件だって、きっと____________

 

「なーんか今回は私じゃ足手纏いになりそーだねー」

 

「そんな事ないですよっ…」

 

 

ドサ、とソファーに座る佐天は不意に辺りを見渡した。何か違和感を感じる、とそこには一つ空席が目立っていた。初春は白井の他に、もう一人“風紀委員”として活動を共にする者がいた

 

 

「あれ…?」

 

 

「固法先輩、最近来てないけれど…どうしたの?」

 

「こないだ風邪ひいちゃったみたいで、それからずっと来れてないみたいなんです」

 

こないだ、というのは事件発生から2日経った後の事。それからというものの、高熱が続いており暫くこの部屋に訪れる事がなくなったという。先輩として非常に頼りになる反面、不在である今はずっとパソコンに向かいっぱなしな初春にとって強い寂しさを感じていた。

 

 

「お見舞いに行きたいんですけど、この事件の調査で時間が出来なくて…」

 

何も好きではないから見舞いに行かないわけではない。日々増加する被害者を食い止める為にら1分一秒惜しい今外に出かける余裕など一切ない。涙目な初春を前に、佐天は拳を握りしめてある事を決める

 

「ふーん!じゃあ、私行ってくるよ!」

 

「え?」

 

固法先輩の看病をしてくる!と佐天は強い眼差しで初春に告げた。

 

「何もできなくとも、やれる事があるならどんあと来い!だよっ。」

 

「…じゃあ、お願いしてもいいですか?」

 

「勿論!代わりに固法先輩の分のお土産買う為のお金をちょっと頂戴!」

 

「…いいですけど」

 

 

頼りにもなるがこういう言いづらい事を正直に言えるのも、彼女のいい所なのだろう。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

固法宅に向かう佐天は名産品である極甘マスクメロンというフルーツを購入する。マスクメロンには、血圧を下げると言われるGABA(ギャバ)が多く含まれており、体内の塩分を調節してくれる効果がある。見舞いとして持って来られる中で一番喜ばれる品物なのだ。

 

そんな美味しい果物が入った袋を片手にやや早歩きで彼女の元へと急いでいた。そんな中でふと佐天はとある事を考えた

 

「そういえば…」

 

「最近御坂さんとも会わなくなっちゃったなー」

 

「白井さんに初春も、やる事いっぱいで中々一緒には居られないし…」

 

「よーし、この私が全力の看病で先輩をいち早く治してあげなきゃね!」

 

ここ最近皆と遊ぶ機会が減ってしまった佐天は事件解決を信じ、そう己の決意を固めた。そんな彼女はマンションの扉の前に立ち。インターホンを鳴らして挨拶をする。家に訪問するのは中々ない為フレンドリーな佐天でもある程度緊張はしてしまう。

 

「おはようございまーす、佐天ですけども固法先輩はいらっしゃいますかー?」

 

「…あれ?」

 

そんな言葉をかけた数秒後それに対しての返答が全くない。中々の重症なのかずっとベッドに寝っぱなしなのだろうか、と不安がよぎる中迷いをかき消すように彼女の返答を待つ事なく中へと入っていった。

 

 

「あれ?」

 

「電気つけっぱ…」

 

几帳面な彼女が電気をつけっぱなしにするのは違和感がある。綺麗に整頓されている部屋を渡り歩く佐天は声をかけながらも彼女がいるであろう寝室を探した。

 

「先輩って確かルームシェアしてるんじゃなかったっけ…?」

 

「あ…」

 

偶然にも扉を開けたその部屋は寝室であり、そこには固法が寝ている事を確かめた。やっぱり酷い状態なんだ、と急いで駆けつける

 

「だ…大丈夫ですか…?」

 

「んん…」

 

「さ、佐天…さん?」

 

 

彼女に気がついた固法はいつもの気さくな態度からは考えられないようなか細い声で佐天の名を口にした。まさか、と青ざめる佐天は額に手を当てる。

 

「す、凄い熱…!!なんでこんなに…!」

 

目を丸くし驚いた佐天は正確な温度を測ろうと体温計を持ってくる。表示された温度は40度を届きそうな数値でありとても風邪とは思えない病態であった。

 

「ご、ごめんなさい…」

「薬も飲んで安静にしてた筈なのに…」

 

 

自分が思っている以上に、固法はその風邪に悩まされていた。そんな彼女から不意に放ったある一言を耳にする

 

「お、重たい…」

 

 

「…え?」

 

 

「重たいの…身体が凄く」

 

「お、重たい…?」

 

 

被害者は“何かにのしかかれたような感覚”が続いたという。“幻霊夜行”に遭った被害者の微かな証言を、佐天は記憶していた。そう…正に今、固法はそれと全く同じ感覚に今陥っていたのだ。

 

「ま、まさか…」

 

「こ、固法先輩が…?」

 

“幻霊夜行”の被害範囲は既に“風紀委員”の所まで及んでいたのだ

 

 

「だ、大丈夫ですか…?」

 

「んん…まだ…苦しい…ッ」

 

とにかく佐天は周りにある物を使って彼女の熱を下げようとした。“幻霊夜行”の呪いに取り憑かれた人間達はその症状に今も悩まされていると聞いていたがそんな事は関係ない。ここで力を尽くさねば何だというのだ。

佐天は常温のおしぼりを額に当て、室内も23°に設定したりと様々な手を尽くした。それでも尚彼女の容態がよくなる事はなかった

 

「ど…どうしよう、全然良くならない…」

 

 

 

「一体どうすれば…」

 

 

 

「ちょっと失礼」

 

「え…」

 

突如として後ろから低い声が室内に響いた。振り向い先には身長の高い白髪の男が立っていた。佐天が驚いたのはそこではなく、その男はつい最近顔見知りの人間だった。

 

「五条さん…!?」

 

「な、なんでここに!?」

 

 

「いやー、なんか嫌な気配を感じててねー。辿っていったらここに着いた訳なんだけども」

 

チラ、とその美しい碧眼をサングラス越しに輝かせる。どうやら、悪気を感じた五条は辿る内にこの部屋へと到着していたようだった。息を荒くする固法を見て、五条はとある“何か”を観測した。そこにいるのは異形の姿をした不気味な怪物…彼だけにしか見えない“幻霊夜行”の正体だった。

 

 

「ふむ…」

 

 

「呪力量的には“3級程”の雑魚呪霊だけども…祓う手段もないこの街じゃ対処法なんかない訳だよねぇ」

 

「よっ」

 

蚊を叩くように、手を振りほどいた五条はその僅かな動作で“幻霊夜行”をあっという間に撃滅させる。佐天からすれば急な行動にあっけらかんとしていたが次に固法の方へと視線を移動させるとみるみる内に荒い呼吸が鎮まり初めていた。

 

 

「…これで良くなると思うよ」

 

「い、今何を…?」

 

「そんな大した事はしてないよ、こんなのハエをはたき落とすぐらいのモンさ」

 

「…せ、先輩は…!」

 

「体温を平熱に戻ってる筈だから、大丈夫だよ」

 

 

グッ、とサムズアップする五条は固法に棲みつく“ソレ”祓った事を報告する。

 

「よ…よかった…」

 

安否を確認した彼女は肩に力が抜けていったが、それと同時にある疑問が浮かんできた。それは、五条が来た事によって何故か固法の容態が急速に良くなった事だった。そもそも何故、佐天の元に現れたのか…立ち去ろうとする五条に「あの!」と急いで呼び止める

 

 

「貴方って…一体何者なんですか?」

 

 

「この“幻霊夜行”ってのは“呪い”という概念が関わってる」

 

 

「僕はね、それに対処が出来る」

 

 

「そ、そうなんですか…?」

 

 

佐天は驚愕する。多くの“風紀委員”達を悩ませるこの“幻霊夜行”と呼ばれた事件ね現れた助け舟が、まさかの知り合いだった事に…。「あ、そうだ」と何か思いついたのか佐天の方へと近づく

 

「ごめん。申し訳ないんだけど、また君にあるお願いがしたいんだけど…」

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

それから午後を過ぎたある時、一通り調べ終えた白井は支部の方へと一度戻っていた。常に稼働していてはこっちの身が持たない…数十分程の休憩を行う為なら少し羽を伸ばしていたが、バタン!と勢いよく扉開ける音が鳴り響いた

 

「やっほー!元気ー?」

 

薄気味悪くニヤけながら現れたのは先日白井を悩ませた問題児の五条だった。

 

「げぇ」

 

この世ものとは思いない何かを目撃したような声が思わず出てしまう。できれば会いたくなかったのだが…と心の中で思っていたのだがまさかこんな早く再開してしまうとは…。ある意味その瞬間白井の疲労は一瞬の内に飛んでいった

 

「何?この超絶美男子五条が来たっていうのに、「げぇ」って。それはなんじゃないのぉ?」

 

「…もうお帰り下さいまし、私今時間に余裕がないので」

 

 

どうせからかいにきたのだろうと、野良猫を退けるような手振りで彼を退去させようとする。

五条の後ろには、回復した固法と佐天がいた。二人は五条に対し小さな声で話し合う。

 

「ねぇ、佐天さん」

 

「はい?」

 

「ちょっと思っていた人とは違うんだけれども…大丈夫なのよね」

 

原因不明の病状を最も簡単に治したのだから、どんな凄い人間かと想像したのだが立ち会ってみると少し変人気質のある人間だった事にすこし困惑していた。本当にこんな男が事件解決の糸口になるのだろうか…?

 

「え、えぇ。きっと…実際に先輩の容態をササっと治していたので…信用は出来ると思いますっ」

 

 

「(あの時も助けてくれたし…大丈夫)」

 

 

この男は変でも悪い人間ではない。それは初めて会った時からなんとなく分かっている。ただ、御坂の件で彼は人を振り回す性格でもある。それが少々不安な要素だが、少なくとも嘘をついている訳でもない筈

 

 

「そ、そう」

 

 

「そんな事言わないでよー!ま、冷やかしに来た訳じゃないからさ」

 

「はぁぁん?」

 

 

彼が佐天に要求したのはたった一つ。

 

“僕の証人になってくれないかな?”

 

それを耳にした時、最初はよく分からなかったが五条の周りに対する信頼度のなさは正に折り紙付き。それは先程までの黒子の態度が物語っている。故に、五条ただ一人では今から協力志願をするのは心許なかった。

 

佐天が代わって、先程の件を含め五条の協力の事について黒子に話し合う

 

「______と、いう訳でこの人なら事件を収められるんじゃないかという話になったんですけれど」

 

「…先輩のご容態は?」

 

「私はこの通り…」

 

今日まで高熱が止まらなかった固法もこの通りで、いつもの調子に戻っていた。ペコリ、とその事に関して五条に感謝を述べながらお辞儀をする。

 

「どうも、ありがとうございます」

 

 

「それ程でもー」と、口にした直後に黒子には不適な笑みを浮かべる。それに苛ついた黒子は仕方なくその事実甘んじて受け止めた

 

「そうですか…」

 

 

「白井さん、今だけでも良いんです。正直まだ原理とか理屈とかはよく分からないんですけど、この事件だけ協力して頂ければ…!」

 

「…それにしても、“呪い”なんて…今しがた信じられない物が存在するなんて…」

 

「やっぱり、信じられませんわ」

 

 

まことしやかに囁かれる噂話は、科学の最先端である学園都市故にナンセンスとされている。 

大半は根も葉もないものから事実に近いもの、下手をすれば学園都市の謎や核心に迫るものまであったりとただの噂話ではおさまらない所もあるとその限りではない……

しかし、“呪い”とかいういかにも存在しえないような物が五条の言うように実在しているのなら……

 

「まぁね、オカルトと言われれば否定は出来ないよ」

 

 

「貴方が何者かは今はあえて言及しませんわ」

 

「(データバンクを介しての個人情報の調べは事件が収束した後でも言いわけですし…)」

 

事件に何かしらのの進展を起こせるのであれば、彼が何者でどういう意図で協力に意を示したのかは後回しでも良い。

 

 

「…それで、解決方法はお有りで?」

 

「勿論」

「まず、呪いについての説明は後でって事で…」

 

 

「えーと、なんだっけ…AIM拡散、なんとかだっけ?」

 

「“AIM拡散力場”でしょうか?」

 

黒子がそう述べると五条が「それ!」と指をさす

 

「その噂になってる“幻影夜行”はね、原理までは分からないけれどその力に引き寄せられて発症してしまうって訳」

 

「はぁ…でも、何故それが分かったのです?」

 

「フッフッフッ、僕は何も面白く半分で君と現場に行った訳じゃないさ」

 

「あの現場には、強くはないけれど“幻影夜行”の残穢があちらこちらにあったのよ」

 

「残穢?それはどういう…」

 

「人間でいう血痕みたいなものだよ。僕の目はちょっと特別でね…そういう不思議な物を視覚的に捉える事が出来るんだ」

 

五条はサングラスを少し降ろして自身の目を見せる。

 

「僕の見た限りでは、あの部屋はそこまでの危険性はない…けれど」

 

「残穢から彼女のように容態を悪くしてしまう事もある…君も実際には入った瞬間にニ、三体取り憑かれていたからね」

 

黒子が五条と上条を連れて現地に行った際に、既に三級呪霊が何体も彼女の身体に取り憑いていたのを視認していた。

 

「わ、私がですか…?」

 

「ま、僕にかかればちょちょいのチョイさ。直ぐに追っ払ったから問題はナシ」

 

「いやー、良かったね。僕がいなかったら今頃君もやばかったかもねー」

 

 

言葉に出てないが「感謝しろ」という遠回しな発言に複雑な表情を浮かべる。こういう地味に面倒くさい面が非常にストレスである。

 

 

「……い、一応感謝しますけども…私はまだ貴方を信用した訳ではございませんので!」

 

 

「うむ、よろしい」

 

 

「それで、話は戻すけど。その拡散力場って奴がより強く現れれば引き寄せられる“幻影夜行”は増えるって事」

 

「つまり…強い能力者の方が危険性が高い、という事ですの…?」

 

 

「ま、待ってください」

 

と、ここで黙って話を聞いていた初春がそう割りに入る。

 

「それってつまり…」

 

同じくして、初春が予測していた事にいち早く理解する黒子はカッと目を見開いて声を荒げた。

 

「お、お姉様…!」

 

「お姉…?」

 

 

首を傾げる五条に佐天が「この間横にいた人です」と返答する。どうやら、あのおっかない子はこの子らと知り合いのようだった。妙の縁を感じる五条はそれが分かった途端に色々と察する。彼女は確か佐天が言う“レベル5”の超能力者だ。

 

「あー…そういう事ね…」

 

ただし、五条自身はそこまでの不安がある訳でもない

 

「まぁ、大丈夫なんじゃない?あの娘、強いし」

 

 

「なんですのその根拠は!?」

 

「んー、彼女って常に微弱な電磁波を発生させているから“幻影夜行”はあんまり近づけにくいんじゃないかな」

 

 

検証した訳ではないものの、“呪い”というは集積した質量の塊。“視認”は出来なくとも電撃による迎撃ならある程度は可能出来るのかもしれない彼は踏んだ。まぁ、微弱であれば3級程なら楽勝かもしれない。

 

 

「とはいえど跳ね除けたとしても奴らは他の能力者に取り憑こうとするから、それはそれで問題だよね」

 

「無意識とはいえど強い磁波で吸い寄せてしまうから、次の事件が彼女の所在地周辺に発生する確率は高いですね」

 

「そこを逆算して“幻影夜行”の主な出現地点を割り出せば…!」

 

すぐさまパソコンに面と向かった初春はカタカタと手早いさばきで御坂の現在位置を洗いざらい調べ上げる。というか、機器一つで個人情報を特定出来てしまうのはどういう事なのか…

 

「えーと…あ、見つけました!」

 

「すご、あっという間だね…」

 

「これくらいならお茶の子さいさいですの」

 

パソコンの画面を見ると、そこには学園都市のMAPにばつ印が表示それてある。恐らく彼女はその地点にいるのだろう。

 

 

「成程ね」

 

黒子にとある質問を投げかける

 

「第十学区…確かあそこって墓地とか廃墟とかあるよね」

 

「そうですが…その場所が現れやすいというのですか?」

 

「呪いの源泉は感情が入り乱っている施設とかが多いんだ。例えば…“学校”や“病院”…“廃墟”とか」

 

「感情…といいますと、具体的などーゆーものなのですか?」

 

「負の感情。妬み、怒り、恐怖とか…そーゆーのが集まって出来たのが“幻影夜行”ってワケ」

 

 

 

「…初耳だらけな事が沢山ありますが、兎に角その場所に行けば分かるという事ですわね。」

 

 

「…そうだね」

 

「それじゃ、行こうか。君は確か“空間移動”って能力なんでしょ?」

 

 

「ここからはそこまで遠くないよね?奴らが他の能力者に取り憑く前に早めに対処しなければならないからね」

 

と、事を進める五条にむっとした表情で黒子が問い詰める。仮にも無関係な人間が首を突っ込んでしまう訳だが、彼の身勝手な行動を無視する事は許されない。

 

「ちょっと、勝手に仕切らないで下さいませ!されど貴方は“風紀委員”ではありませんから勝手な指示をする権限なんて______」

 

 

「はいはい、いつまでも堅苦しい事言わないの。急いては事を仕損じるって言うけれど今急ぐが重要だよ?」

 

やはりこの男、身勝手で軽薄だ。何を考えているのかよくわからないが、恐らくこれも自分の為なのだろうとイラつきを抑えないでいた。そんな強引に連れて行かされた二人は瞬く間に姿を消した

 

 

 

「…と、なりますと私達は何をすればいいんでしょうね?」

 

「万が一にも未然に防げるとは限らないわ。私達もさんのいる地点に向かって被害処理の準備をしちゃいましょう」

「……それに、御坂さんにもこの事伝えた方がよさそうだし」

 

「!分かりました!私も頑張っちゃいますよぉ!」

 




五条の六眼は呪力を視認する以外に本来なら見えない微弱なエネルギーも原子レベルで観測できる為AIMも探知可能。
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