プーサーなオリ主とコナン君   作:ラムセス_

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報道

 

 日本時間、午前十時。

 

 米国報道官は、まず一言目に「我々の発表は、研究によって信憑性に疑いようもない事実と判断された」と口にした。

 

 警備員で厳重に固められた報道の場で、そこにガラガラと台車によって持ち込まれたのはガラン・グウィズノの壺だ。

 当然、記者達の目を引いたが、そこにあるのは見た感じ何の変哲もなさそうな枝を編んだ籠である。

 

 しかも、謳い文句は「内部時間を停止させることで食料の保存を行うセイヨウシロヤナギ製の籠」だ。

 

 もちろん現場には質問が飛び交った。

 「時間停止などと荒唐無稽な話、本気で言ってるのか?」だとか「新しいハリウッドSF映画の作品の話ですか」だとか。

 場は失笑の嵐だ。

 

 その反応も当然だ。

 なにせ事はファンタジーや。SFの領域なのだ。

 そう簡単に信じられるはずもない。

 

 しかし、多くの資料、調査結果に触れるにつれてその質問は鳴りを潜めていく。

 

 黄金のリンゴ、毒見の酒器、姿を消す外套、音を撃ち出し破壊と成す弓。

 そのどれも限定的ではあるが資料が公開され、スライドで紹介されたとあらば空気は変わってくる。

 ざわついた会場は困惑の色が強いが、それでも。

 「まさか本当に?」と、静かな波のような疑念が波紋を揺らしていた。

 

 そこに至って記者達の反応は大きく分けて二つ。

 誰か報道担当でもとち狂ったのか?

 または。

 もし本当なら時代の大転換となる新技術の宝庫だが。

 

 そしてその宝物達を米国に提供したのは「さる貴人」らしい、とだけ明かされる事となった。

 もちろん名前や所属の開示が求められたが、それに報道官が答える事はなかった。

 だが憶測は数えきれないほどある。

 なにせ、リークサイトでその人物が東京の謎の発光現象と関わりがあるとされているのだ。

 

 質問時間を含めて約1時間半の会見はそうして終わった。

 まるでとち狂ったとしか思えない、しかしエイプリルフールにしては真面目すぎる内容は、全世界を賑わすこととなる。

 

 

 これについて日本でもワイドショーなどで既に取り上げられている。

 というより、TVは今やこの話題一色と言っていい。

 

"みなさんどう思われますか?"

"いやー、うそだろ?というのが偽らざる正直なところだよね"

"夢はありますけどね、でもやっぱ本当に?と疑う気持ちが拭いきれないっていうか"

"私はツボをもっとよく見たいですね。時間が止まってるって想像つかないですけど、入れたラーメンが冷めないし伸びないって考えたらすごいなと"

 

(笑い声)

 

"そうですね、出前の救世主じゃないですか?どんな所にもできたてとか需要ありますよ!"

"それよりも保存食とかにいいんじゃないかと。災害大国じゃないですか、日本って。だから保存用の水とか食料とか、この壺の中に入れとけばもう何年かごとの入れ替えも気にしなくても良くなりますよ"

"でもどうなんでしょうね。大丈夫ってわかってても60年前のカレーとか食べられます?××さん。こう、気分的に"

 

 などなど、コナンの前ではTVの昼のワイドショーが芸人達を交えてトークを垂れ流している。

 

 番組を変えても変えてもこればかり。

 そろそろコナンも飽きてきて、違う番組を見たいのだがそうもいかないのが悲しいところ。

 カップ麺は食べてしまって空だ。

 今日は蘭が部活で昼から居ないので、コナンは一人で昼を食べているところなのだ。

 

 大人しく番組を元のチャンネルに戻すと、先ほどの芸人がスライドを見ながら盃についてコメントしているところであった。

 

"こっちの盃はアレルギーの子のための誤食防止に使えるんじゃないかとおもうんですよね"

"ああ、あとこれ、最近毒キノコを誤って採っちゃう事件あったじゃないですか。それにも使えますよね"

"熟練の方でも間違えてしまうことがあるって話ですよね"

"そうそう。そこで採ったきのこはこれで確認ってすれば間違いないです"

"夏場の食中毒防止にもよさそうですね。怪しいなーって思ったらこの器を使うとか"

"酒器ですけどね"

"なんか本来の用途と全然違いそうですよね"

(笑い声)

 

 コナンとしても、これで毒物検出が早くて楽になるなら願ったりだ、とぼんやり思った。

 凝った毒を使われると病死か毒殺か判断がつきかねる場合が時々あるから、そういう意味では便利な推理道具になるだろう。

 

 割り箸を置いてぱったりと床に転がり、コナンは午後は阿笠博士の家に行こうか、なんて予定の算段を立てた。

 

 実は現在、日本警察は昨日の謎の発光現象の重要参考人───つまりは今回の発光現象の犯人、アーサー王その人だ───に聞き取り調査をしようとしているのだが。

 どうも、いろいろな権力から足止めを喰らっているのだということをコナンも高木刑事経由で知っていた。

 外事課からストップが掛かったし、警察上層部にも政府からお達しがあったらしい。

 

 それに対してメディアでは政府関係筋の話として、公明正大な人物だと情報が渡っているようで、どうにも錯綜している様子。

 恐らくはこの重要参考人は米国のいう所の「英国のさる貴人」だと思われるが…情報が足りないのが正直な所である。

 

 まあ、コナンはそれがアーサー王であることを一足飛びどころかピンポイントで知っていたが。

 

 今のところ、該当人物は警視庁では「米国政府と関係の深い人物か…」と噂されているらしかった。

 そこでひょい、と3階の居間にいたはずの毛利小五郎が顔を出した。

 

「おい坊主、また高木が来てるぞ。あの探偵坊主のことで聞きたいことがあるってよ」

「はーい」

 

 どうやらまた謎の発光現象についてコナンに聞き取り調査にきたらしい。

 ポアロで働いていた謎の人物「アーサー」について、知人であるコナンの話を聞きに来たのだろう。

 まぁ、話せることなんてたかが知れているし、FBIからも正式に口止めされているのでは答えられないのだが……。

 

 安室さん、怒ってるだろうなぁ、なんて。

 

 そんなどうでもいいことを考えながらコナンは二階の探偵事務所まで軽い足取りで降りてゆく。

 

 最近コナンが肌身離さず肩からかけるようになったポーチが階段に合わせて揺れている。

 その中身にしてアーサー王からの口止め料「身につけたものを透明にするマント」がポーチの端から新緑の布地を大気にさらしていた。

 




・透明マント
コナン君の新たな探偵道具。姿隠しの外套。
こっそり現場に入ったり犯人を追ったりマルチに使えるので重宝している。
ブリテン島十三の宝の一つなので一応扱いには気をつけている模様。

・降谷さん
アメリカ野郎が日本国内で好き勝手働きすぎだが???(憤怒)
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