プーサーなオリ主とコナン君   作:ラムセス_

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ベイカー街の亡霊②

 

 そんなわけでやって参りました、パーティ会場。

 

 物々しい警備は原作の数十倍厳重で、等間隔に並んだ警官たちが見張る入り口はTVメディアすら事前に届け出た人間しか入れないようになっている。

 そんな中、黒のリムジンから降りた私を出迎えたのは万雷の喝采にも似たシャッター音の嵐であった。

 

 一緒の車に乗ってきたコナン君がやや眩しそうにする中、私たちは会場へと入っていく。

 

 ちなみに、フォウ君は猫用カゴに入れてコナン君が抱えている。

 フォウ君を悪意渦巻くパーティ会場に連れてくるのは心臓が飛び出そうなほど緊張したが、置いていったら帰ってきた時ゴジラになってそうだったからな…。

 ままならないものである。

 

 厳重な持ち物検査が終われば、そこは高級な酒と食事が振る舞われる豪華絢爛な会場が広がっている。

 

 入った瞬間、まず舞台上へ案内され「古の騎士王、アーサー王より一言いただけますか?」と司会者に笑顔でマイクを渡されるイベントが発生。

 適当に祝辞を述べたが、まったくもって忙しくていけない。

 

 ちなみに、その後は政界財界問わず、開催前に私とつなぎを作ろうとした有力者たちがめっちゃ話しかけてきて凄まじい政治戦が繰り広げられた。

 

 「是非とも一度お話を伺えれば…」「我が社の開発チームでは神秘の研究を行っており…」エトセトラ。

 xx銀行頭取の江頭さん、xx財閥会長の鈴村さん、えーっとこっちは前に見たことがあるぞ。NPO法人で活動されている…えーっと…。

 

 などと一斉に話しかけられて顔と名前を一致させるので精一杯の有様だ。

 次回会った時に誰かわからないでは大問題だからな。

 後で赤井さんに顔と名前とプロフィールの一覧を作ってもらおう。

 

 と、そこで見知らぬ子供たちが会場内でサッカーをしだして……おっと。こっちにボールが飛んできた。

 いいシュートだ。軽くキャッチして子供に「会場内ではサッカーは禁止だよ。人に当たると危ないからね」と軽く注意する。

 

「チッ、誰だよあんた。俺を誰だと思って──」

「こっこれは失礼しました!愚息が失礼な真似を!!」

 

 おっと、速攻で親が飛んできて有無を言わさず子供を押さえつけて退場していく!

 あの人も見覚えがある。警視副総監さんだ。この間、コナン君の保護施設の建設・警備計画作成のため白馬警視総監と一緒に話を伺ったのを覚えている。

 

 跳ねっ返りの息子らしく、口を押さえられながら「むぐむごーっ!?」と喚いている。

 これは裏でめちゃくちゃ怒られるやつ。

 まぁ、お偉いさんの集まるパーティ会場でサッカーなんてクソガキムーヴをしたんだ。

 しっかり怒られてこい若人よ。

 

「大丈夫でしたかアーサーさん!僕たちもさっき絡まれて…」

「感じ悪ぃやつらだぜ!」

「でも楽しみだよね、コクーン!どんなゲームなんだろ」

 

 と、口々に話し出すのは寄ってきた少年探偵団の子供達だ。灰原さんも微妙に詰まらなさそうに後についてきている。

 コナン君の友達ということで特別に呼ばれているのだが、やはりこのメンツが揃うといつもの感じがして安心するよね。

 

 「おめーら!」とコナン君が近寄って「おい、随分眠そうだな灰原…」と呆れた声を出す。

 

「研究がいいとこまで行ったのよ。もう少ししたら人体実験もいいかもしれないわね」

「!元に戻れるのか!?」

「それは当分先よ。今は3時間戻れればって程度かしら」

「うーん、すまないけれど実験は少し待ってほしい」

 

 つい口を出したのは、私にも少し懸念があったからだ。

 

「……どういうこと?別に命の危険はないわよ」

「コナン君が薬によって『成長しない』事こそが重要な意味を持つかもしれないんだ。万が一があったら困る」

「?」

 

 事情を知らない灰原さんは首を傾げただけだったが、コナン君の表情が凍りついた。

 

「…そうだな。悪ぃ灰原、しばらく実験は待ってくれ」

「まぁ、実験だけなら私だってできるから良いけど」

 

 カゴの中でフォウ君がゴソゴソと動きながら「フォーウ…」と沈んだ声を出した。

 なんだこの誰も幸せになれない空間は。プーリンでもマーリンでも早く見つけてなんとかできないか相談せねば。

 

 ……そういえばここでゲーム開発者の樫村さんが殺害される事件が起こるはずなのだが。

 こちらに知らされてないだけか実行が後回しになったのか、何事もなく私たちはコクーンに乗り込む時間がやってきた。

 

 なんともいえない丸みを帯びたコクーンに乗り込み、私はヘッドギアを装着した。

 本物のフルダイブVRMMOだ。

 デスゲームとはいえ、ワクワクしないと言ったら嘘になる。

 

 原作通りに円形状の空間に降り立ち、真っ白いそこで軽く説明を受ける。

 無論、それが命をかけたデスゲームだということもだ。

 

 子供たちが不安そうに周囲を見渡すと、どうも原作通り蘭ちゃんもいるようで、「蘭姉ちゃん!?」とコナン君が驚いた声をあげているのが聞こえてきた。

 

 どうやらコナン君とひさびさに話せたようで、両者笑顔を見せている。

 それだけでもこのコクーンの会場にやってきて良かったと思える。

 

 子供達の中に私の姿は背が高くなんとなく場違いな心地がした。

 私の周囲を固めた少年探偵団が決めポーズをして「アーサーの兄ちゃんには俺らがついてるからな!」「この少年探偵団に任せてください!」と元太君と光彦君が胸を張っている。

 可愛い子達だ。

 

 ゲームは五つ。

 主にインディージョーンズ系冒険アクションアドベンチャー。

 コロセウムを舞台にした勝ち抜き格闘ゲーム。

 マシンを駆使して勝ち抜くカーレースゲーム。

 ヴァイキングとなって海へ繰り出すRPG。

 そして謎解きホラーサスペンス、オールド・タイム・ロンドンだ。

 

 当然勝ちに行くならコロセウム……とぐっと己の手を握った時点で、私は己の決定的なミスに気がついた。

 

 そっとコナン君に近寄って囁く。

 

「コナン君、僕もオールドタイムロンドンに行くよ」

「え、コロセウムじゃなくて!?だってアーサーさん」

 

 声を潜めて、しかし外……画面で見ている警察関係者たちには聞こえるように声を落とす。

 

「力の放出が使えない。このアバターはあくまで人間として作られているみたいでね。人型の竜である僕とは規格が違うみたいなんだ」

「!?じゃあ」

「一応は戦えるけどね。コロセウムに挑戦するよりは、謎解きに付随するアクション要員として動いた方が勝率は高いだろう」

 

 つまり、アバターは魔力放出なんぞ使えるようにはできてねぇってことだ。

 あと基礎スペックにも制限がかかっている模様。

 全くもってひでぇ弱体化である。

 

 というかこれ、コクーンに入る前に気づいて然るべき仕様だったね……再走レベルの特大のガバだコレ。

 実質メガトンコイン。終わりだよもう。

 

 地味にFXで有金全部溶かした人の顔をしながら、私は内心がっくりと肩を落とした。

 

 そりゃ流石に蘭ちゃんぐらいには負けないけども。

 多分まだ育ちきっていない15歳という肉体の筋力量の関係で、京極さん相手だと良い勝負にはなっちゃいそうだ。

 

 いや子供向けのゲームでそれだけあれば十分だけどさ。

 子供達の命がかかった状況でこれはなんとも、片手落ちというやつであった。

 

「ひとまずコナン君たちは僕が守るよ。生き延びてクリアすることだけを第一に進めていこう」

「うん、そうだね」

 

 コナン君は神妙な顔で頷いた。

 あとここゲーム空間内なんだけどどうしてコナン君の腕の中にフォウ君がいるの?

 

 あ、単独顕現ですかそうですか、はい…。

 




・メガトンコイン
宝具使用不可。魔力放出不可。基礎ステータス大幅ダウン。
技能はそのままのため、それだけでも京極さんと渡り合える。

・ジャックザリッパー
際どい格好の幼女ではない。
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