プーサーなオリ主とコナン君   作:ラムセス_

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ベイカー街の亡霊⑥

 

 制作者・工藤優作氏の意向でコナン君のお母さんそっくりのアイリーン・アドラーと邂逅した後は、かなりの早さで原作が展開して行った。

 

 私は爆破があった瞬間に全力でアイリーンさんを抱き抱え、子供達と一緒に劇場の外へと逃げ延びた。

 魔力放出無しだと人一人抱えて走るのがこんなに疲れるとは、とつくづく己の非力にため息が出そうになる。

 もっと筋トレをすべきだろうか…。

 

 実際、劇場に爆弾が仕掛けてあるのは知っていたからそれを先に排除する手もあったが、そうするとジャック・ザ・リッパーの動きが読めなくなる。

 やはりここは原作通りことを進めて、ジャック・ザ・リッパーを仕留めるのがよかろうよ。

 

 劇場を飛び出してくるところを、道から駆け寄ってきた見知らぬ男に短いナイフで襲撃される。

 彼こそがジャック・ザ・リッパー。

 ロンドンの伝説的連続殺人鬼である。

 

 私は舞台セット用の鉄パイプでナイフを鋭くカチ上げて、男の体を横薙ぎにぶん殴る。

 男がよろめいたうちに壁に追い詰めるように位置取りを調整した。

 これで逃げられることもあるまい。

 

「あまり抵抗しないでもらえると嬉しいな」

「チッ……」

 

 ここで一思いに殺しておくのも手なのだが、こうも直接的に殺してしまうとクリア扱いにしてくれるのかが少々疑問だ。

 だが、もし捕縛に失敗してチャリングクロス駅に逃げ込まれれば厄介だ。

 

 火事を見て駆けつけてきた警官たちに「ジャックザリッパーだ!」と叫ぶことで警戒を促す。

 子供達は突っ込むことなく遠巻きに事態を見守ってくれている。

 下手に人質に取られても取れる選択肢が狭まるのでな。

 

 すると、その時。

 壁の脇からどう考えもさっきまで何もなかったのに人質としてちょうどいい少女が突如POPした。

それをいい具合に捕まえたジャックザリッパーが、「それ以上近づくとこのガキを殺す!」と言って周囲を威圧し始めたではないか!

 

 いや今の絶対おかしいだろ!どう考えてもそこに人はいなかったじゃん!

 

 警官たちの包囲が揺らいだ瞬間を狙って、ジャック・ザ・リッパーは暗闇に走り去って行ってしまった。

 

 「待てッ!」とコナン君と蘭ちゃんが後を追って走ってゆく。

 それに少年探偵団たちも慌てて後に続く。

 

 向かう先はチャリングクロス駅。

 結局こうなる、というより初めからノアズアークはこのラストに持っていく気だったようだ。

 

 列車に飛び乗ることができたのは私、蘭ちゃん、コナン君、諸星君に滝沢君、最後に光彦君というメンツだった。

 全員は流石に飛び乗れなかったというより、走力の足りない子達が間に合わず置いていかれた形だ。

 次の駅で合流しよう、と言い置いて仕方なく別れることとする。

 

 もしかしたら置いていかれた子達はそのまま脱落扱いになるかもしれない。

 まぁ、そこはノアズアークの公平性に期待しておくとしよう。

 ちょっとばかり信用がおけないが…。

 

 汽車内で全滅してもいいように、別働隊として保険をかけておくのも悪くはないしな。

 

 電車の中ではスーパー探偵タイムの始まりだ。

 すっかり定位置と化した頭の上のフォウ君をそのままに、コナン君が推理ショーを展開していく。

 原作通り線の細い男であるジャックザリッパーは、その正体を言い当てられて陰湿そうに目を細めた。

 しかしその顔に笑みはない。横にいる私の姿を睨みつけているあたり、直接対決において私に勝てる見込みがないのは理解しているのだろう。

 

 ゆらり、とジャック・ザ・リッパーが立ち上がった。

 

 持ってきたままの鉄パイプを構えて私も一歩前に詰める。

 奴が懐に煙幕を隠し持っていることは読めている。

 もし使用したとして、煙が広がる前に仕留める自信もあった。

 

 しかしその瞬間、ドン、と列車後部からは爆発音がして、それとともに車体が大きく揺れた。

 嘘だろ!?

 原作にはそんな描写、というよりそんな爆発物を仕掛ける余裕なんてなかっただろうに!

 

 バランスを崩したところをジャック・ザ・リッパーが突っ込んできた。

 ナイフを突き出し、私を串刺しにせんと迫り来る。

 だが残念、この程度でやられるほどプーサーの霊基の実戦経験は乏しくない。

 

 バランスを崩したまま片手だけで迎撃。

 そのまま床に手をついて一回転。壁を蹴って方向転換、そのまま脇腹を薙ぎ払って──。

 

 不意に、ボコボコにされたはずのジャック・ザ・リッパーが笑った。

 どう考えても現実ならもう動けないような怪我なのに、ジャックザリッパーは邪悪に笑って私の顎をナイフの柄で押し上げる。

 

 瞬間、ビリリと。スタンガンを押し当てられたかのように動けなくなる。

 どうもシステム的に動きを止められているようだ。

 

 煙幕が撒かれ、車内に煙が充満していく。

 「アーサーさん!」と叫ぶコナン君の声。

 

 煙が晴れた時には、すでに視界は列車の上だった。

 

 コナン君と諸星君、そして蘭ちゃんが遠くから追ってくるのが見えた。

 光彦君と滝沢君もいるはずだが、もしかしたら手分けして車内を探しているのかもしれない。

 

 私はたまらずノアズアークに苦言を呈した。

 

「これは流石にずるくないかな、ノアズアーク」

「子供向けのゲームに大人が入ったんだ。ハンディがあるのは仕方ないことだとは思わないかい?」

「だとしてもだ。少しばかり強引すぎる」

 

 私の非難にジャック・ザ・リッパーの口を借りたノアズアークは答えなかった。

 

 蘭ちゃんとジャックザリッパーの一対一は白熱の一戦だった。

 一進一退。善戦したものの、陸橋を潜るさいに罠に嵌められてKO、倒れ込んだ蘭ちゃんは体を虹色に輝かせて消えていった。

 悲痛なコナン君の叫びが耳を穿つ。

 

 残るはコナン君と諸星君、念入りに縛られ、ジャック・ザ・リッパーと繋がれた私のみ。

 

 これは本格的に私がジャックザリッパーを巻き添えに落下するしかないようだ。

 もしコナン君がダメで全滅してしまったら、私は脳を守るため全力で魔力放出で防御しよう。

 

 そんな姑息なことを考えながらうまくバランスをとって立ち上がる。

 

「コナン君。敵との相打ちは騎士にはよくあることでね。つまりは……後は頼んだ」

「っ、まさか!待ってアーサーさ、」

 

 コナン君が叫んだその次には。

 

 列車の外へ大ジャンプ。

 体勢が崩れたところを狙ったので、無事ジャック・ザ・リッパーも巻き添えにすることができた。

 風がびゅうびゅうと肌寒い。落ちていく落ちていく。

 

 体が虹色に輝き、消えていく。

 

 私は消えかかったからだを抱え、想いに浸る。

 

 あーー、でもやっぱ買いだわこのゲーム。

 次はソロモンの秘宝やりたい。こんなん絶対楽しいに決まってるやんけ。

 

 など、煩悩に微笑んでいたのだった。

 




・プーサー主の評価(外界目線)
あ゛ぁ゛ぁぁあ王゛よ゛!!!(号泣)
しかし…子供達のために身を張って命まで捧げる美しい御心etc

・コナン君(外界目線)
智慧と機転に富んだ小さな賢人。
危機的状況にありながらこれほどに動ける物が、大人でもどれほどいることか!
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