プーサーなオリ主とコナン君   作:ラムセス_

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事件の予感

 

 「組織」にとって、アーサー王は極上の研究対象として認知されていたものの、同時にそれを狙うリスクも大きくのしかかっていた。

 

 黒の組織の基本意向は「石橋を叩いて渡る」。

 人外渦巻く裏社会において、組織は安全に安全を重ねて動いてきたからこそ今の権勢がある。

 とするならば世界中の注意を一身に背負うアーサー王を狙うことは、ある種今までのポリシーを犯す危険行為とすら言えるだろう。

 

 不老不死にして死者蘇生を成し遂げた、古の王。輝ける騎士王、アーサー・ペンドラゴンよ。

 

 それは組織の最大目標である不死と不老とを体現するもの。

 今まで科学的アプローチのみ邁進してきた組織には少々不安が残るが……目立つリスクをおしてでも幹部を差し向ける価値はあるだろう。

 

 そのように決定が下されたのが今朝のこと。

 

「無謀ですよ無謀。相手は携帯型指向性エネルギー兵器を振り回してくる超人ですよ?」

「分かってるわよバーボン。あの方も深入り厳禁とのことよ」

「深入りせずに鞘を手に入れられるならそんな嬉しいことはありませんね」

 

 バーボンは毒と共にため息をつき、肩をすくめて首を振った。

 

 大英博物館でアーサー王の持つ宝物の展示が行われるという情報をいち早く手に入れたのはバーボンだ。

 伝承によれば、かの鞘は身につけていると傷を受けない魔法の鞘であるという。

 

 無論、同時進行的に数多の他組織に狙われてるのは想像の通りだ。

 傷を受けない力を軍事で利用できればどれ程の利益となるだろう、と闇の軍事会社や武器商人、あるいは好事家への横流しを考えた強盗団まで。

 狙う組織は星の数ほど。

 

 剣でアーサー王を釣り上げて、取り返しに来た王を捕らえて鞘の在処を吐かせればいいとはいえ……同業他社との熾烈な争いに勝ち残るには、些か以上に黒の組織には体力が足りなかった。

 

「情報収集だけでも構わない、とあの方は仰っていたわ。最悪あの鞘を手に入れた組織があれば、そこに薬学部門を売り込むとのことだったわ」

「なるほど。身売りも辞さないということですか。確かに、薬学に関してだけは魔法レベルですからね。ここは。なにせ貴女だって───冗談ですよ」

 

 チャキ、と銃口を突きつけられる音にバーボンは両手を上げた。

 それ以上喋れば殺す、との鋭い殺気をせせら笑い、バーボンはそっと溜飲を下げた。

 

 こんな仕事、適度にストレス発散をしなければやっていられない。

 

 あとはあの王が何を考えてこんな大イベントの開催を許したのかだ。

 バーボンは食えない笑顔の裏で思考を巡らせる。

 

 まだ不透明だが、界隈ではルパンが動いている、との情報がまことしやかに囁かれている。

 もしそうなれば聖剣の入手は絶望的だ。

 少し賭けになるが、峰不二子との契約をするのが吉か。

 

 こちらには例の薬…アポトキシン4869がある。それだけでも峰不二子を契約の壇上に上げるには十分なはずだ。

 どうせ、峰不二子は契約を御破算にした挙句契約した組織をルパンと一緒に壊滅させるのだ。

 ならば精々蛇のように立ち回り、この組織も盛大に破壊してもらうまでだ。

 

 バーボンは陰鬱に微笑んで「少しばかり案があるのですが」と口を開いた。

 

 奇しくも、そのアーサー王自身に黒の組織への認知と興味が十分以上にあったことなど、組織側には知る由もないことであった。

 

 

 

 

 

 夜。

 とあるアジトにて、ソファに寝転がるルパンはジタバタと足を動かした。

 

「しっかし不二子ちゃんが聖剣に興味があるとは思わなかったぜ」

 

 そう言って振り返った先には、布面積の少ない艶かしいドレス姿の姿の不二子が、足を組んでワイングラスを傾けていた。

 

「あら、私は美しい物に選り好みしないわよ?」

「おいルパン…どう考えてもいつものアレのパターンだぞ」

「だいじょーぶダイジョーブ!むふ!」

「拙者はかの剣に興味はあるが、いささか以上に不安でもある……」

 

 いつものパターンにゲンナリした次元に、渋い顔をした五エ門。

 全くもっていつも通りのアジトの内部に突っ込むものは誰一人いない。

 ルパンはむしろ「騙すならどんと来い!」というタイプなのでそれすら楽しみにしている節がないでもないのだが、次元達はたまったものではない。

 

 とはいえ、五エ門の方は今回ばかりはそわそわと聖剣の資料を眺めては己の剣の手入れをするなど落ち着かない様子だ。

 

 次元が帽子をやや上げて問いかけた。

 

「なんだ五エ門、聖剣が気になるのか?」

「興味がないと言えば嘘になる。あの古の王の剣技も素晴らしかった。また相見えたいと願う心は否定できん」

「おいおい、俺はゴメンだぜ。鉄柵を溶かすようなビームを出す野郎なんざ」

「そう言うなって次元よぉ。だって聖剣だぜ?聖なる剣。こう、ロマンが詰まってるじゃんか」

「それがどうした。俺はパスだ」

 

 わいわい騒ぐルパン一味を黙って見つめながら、峰不二子は上機嫌に年代物のワインに舌鼓を打って内心微笑んだ。

 

 あの坊や…バーボンの思惑もまだまだ青いけれど。

 アポトキシンという極上の手土産に免じて、慈善活動がてら乗ってやるのも悪くない、と。

 




・バーボン&峰不二子
組んだ。
本性は激しそうなのによく我慢してるわねー、生きづらそう…などと峰不二子は同情している。

・プーサー
下手に色々盗まれるとあちこちで妖精の呪いが炸裂して大惨事になるので、基本は全力で守る構え。
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