プーサーなオリ主とコナン君   作:ラムセス_

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帰宅

 

 30分ほどの惰眠を貪った私は、朝イチで聖剣奪還の知らせを皆へ伝えたのだが。

 無論、上を下への約束されし大騒動になった。

 

 それからの慌ただしさは筆舌に尽くし難い。

 ルパンに壊された館内の処置は終わっているそうなので、開演時間までに警備計画を練り直して2日目の聖剣展示は予定通り行われた。

 割られたガラスケースの再設置から警備員配置、記者対応まで仕事はより取り見取り。

 

 ただ、そうなるとチケット返金は初日の午後3時から閉館の時間までの客が対象となる。

 実はチケットにはスムーズな入場のために入館時間が決まっているのだが、一部ルパン騒ぎがあった時間の人たちへの補填をしなければならない。

 

 仮の措置として対象時刻のチケットを持つ人は別日のどの時間帯でも入れるように手配することになった。

 それでも入館が難しいお客さんに対して返金処理をする予定だ。

 

 もし聖剣が盗まれたまま全日返金処理をせねばならないとなった時の損失を考えれば、被害は最小に抑えられたと言って良いだろう。

 館長などは涙目で私の手を握ってお礼を言っていたぐらいだ。

 

 まぁ、私はルパンが勝手に返してきただけと大嘘をついたのだが、それでも館長の涙は収まらず。

 ルパンも王の威光に触れて自分のしたことが怖くなったのだろうとかなんとか、私を賛辞する言葉を述べていた。

 ルパンはそんなタマじゃないだろと思いつつもまあ、傷ついた館長さんの心の拠り所になれたのなら幸いである。

 

 ちなみに、聖剣は巡回中の警官が不審な小屋を発見して、その中から発見したということで処理された。

 もちろん、引き上げたルパン三世のアジト跡地だ。

 そのまま早朝のうちに記者会見を開き、アーサー王、つまり私への返還式が急遽執り行われた。

 

 これは警察の功績を世間に示すとともに下がり切ったスコットランドヤードへの信頼を取り戻すための儀式みたいなものだ。

 私はそこで鷹揚に「大義であった」的な感じで聖剣を受け取るだけの簡単なお仕事をこなした。

 これでどこまで効果があるのかは分からないが、警察への突き上げが和らぐと良いのだが。

 

 大英博物館へのバッシングも大きくなってきたので、2日目の途中からは多少のテコ入れもした。

 「アーサー王は大英博物館を信頼している」というポーズのために、聖剣に追加してマルミアドワーズを追加展示したのだ。

 このマルミアドワーズに関しては常設展示にするつもりで長期貸出契約を結んでいて、見逃した人たちも後日いつでも見に来ることができる展示にしてある。

 

 その間マルミアドワーズが使えなくなるが、正直ずっと非実体のまま使わなかったからこうして役に立った方が世間のためだろう。

 

 これはすぐに大きなニュースになって、下がり切った大英博物館の株が戻るきっかけにもなったようだった。

 

 こうして、盛大にケチがついた大英博物館のアーサー王特別展は、一週間の特設展示期間を終え、私も帰宅の途についたのであった。

 

 

 

 

 午前6時。東都の工藤邸にて。

 

 「ただいま」と工藤邸の玄関ドアを開けると、コナン君がちょうどフォウ君を頭に乗せてうつらうつらしながら歯ブラシを咥えていた。

 私の大荷物を見て、パチパチと瞬きを繰り返す。

 

「あ、帰ってきたんだ。ニュース見たよ、お疲れ様」

「ありがとうコナン君。お土産買ってきたよ、ホームズのラバーダック」

「ありがとう???」

 

 ホームズの格好をした安物のアヒルのゴム製人形を差し出されて、コナン君は凄まじく訝しげな顔をした。

 ネタ枠土産にみえるけど、これも一応結構人気なお土産である。そして地味に可愛い。

 

 私は笑ってフォウ君の頬をくすぐった。

 フォウ君は迷惑そうな顔をしている。この子私には割と塩対応なんだよなぁ……。

 

「冗談冗談。博物館の館長に良くしてもらってね、ストランド・マガジンの1891年7月号を譲ってもらえたんだ」

「!!『ボヘミアの醜聞』が初めて発表されたやつだね!!」

 

 ラバーダックで曇っていたコナン君の顔に瞬時に光が戻る。

 というか、雑誌名と年号だけですぐタイトルが出てくるの怖いんよ。

 

 陽の光に当たったり端が折れ曲がったりしないよう厳重に梱包された箱を渡せば、コナン君は生唾を飲んだようだった。

 震えながら紅潮する頬でうけとり、急いで梱包を開けてから恍惚のため息をつく。

 その後慎重に箱に戻して、箱越しにうっとりと頬ずりした。

 

 めっっっちゃくそ嬉しそうというか初めて見たわそんな嬉しそうな顔。

 

「僕にはそこまで価値はわからないんだけど、優作さんならそのくらい持ってそうなものじゃないかな」

「父さんのは父さんのでしかないじゃん!俺のホームズ本であることが重要なの!!」

 

 さよか……私には古びた英字雑誌にしか見えへんのやで。

 聖剣を見せた時もおお!ぐらいの反応だったくせにジェラシーやで。

 

 絶対に離さんといわんばかりに大事に抱きしめると、コナン君は屋敷の奥へと走って行った。

 残されたフォウ君が「ふぉーう…」と悲しそうだ。

 

「あ、キャスパリーグにもお土産あるよ。クッキー。ピスタチオ&クロテッドクリームのやつ。試食したけど美味しかったから買ってきた」

「!フォフォーウ!!」

 

 お、フォウ君も盛り上がってきた。

 私の方に飛び乗ってクッキー開封を今か今かと待ち侘びている。

 玄関で靴を脱ぎ、居間に入りがてら袋を破って一枚取り出せば、フォウ君はもぎ取るようにそれを頬張った。

 

 「ふぉもごもふぉ」と食べながら何ごとか喋っている。どうやら満足したらしい。

 ここで住んでいるうちに随分とグルメ猫になってしまったからな、フォウ君……。

 コナン君が工藤家の財力でいいもんばっか与えるから…。

 

 なんにせよ。

 あとは少年探偵団の皆の分も彼らが来次第渡すとして。

 

 ようやっと、わたしは大事件のあったロンドンの旅を終え、帰宅してゆっくり一息をつくのであった。

 




次回からアニメスペシャル「史上最悪の二日間」に触れていきたい所存。
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