プーサーなオリ主とコナン君   作:ラムセス_

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史上最悪の二日間①

 

 銭湯へ行こう!とコナン君が言い出したのは昨日のこと。

 

 というのも、私が各出張先でさまざまなホテルのVIPルームを堪能しているのを聞いて、ちょっと広いお風呂に入りたくなったらしい。

 近場の銭湯でいいというので、徒歩で行けるところにある小規模の銭湯へ行こうということになったのだ。

 

 一応、出入り口にシークレットサービス二人が張り付き行き帰りは黒塗りの車で送迎付きの予定だが、それ以外は自由。

 なお、わたしは残念ながら仕事で一緒には行けない悲しみである。

 同行するメンツはたまたま時間が空いていた蘭ちゃん、阿笠邸の風呂が壊れて入れない哀ちゃんの三人らしい。

 

 ちょっと奇妙な顔ぶれだが、蘭ちゃんと会えるということでコナン君が非常に嬉しそうなのが印象的。

 

 フォウ君は勿論お留守番である。

 2回目のお留守番ということで私もドキドキだが、特にフォウ君自身気にしていないあたりこの程度の距離感ならば問題ないらしい。

 

 そうして。

 行ってらっしゃい、と笑顔で送り出したのが30分前のことである。

 

 

 

 まったりとした平穏は、血相を変えたシークレットサービスの班長が駆け込んでくることで破られることになったのだ。

 

「たっ、大変です!!江戸川コナンが何者かに誘拐されました!!」

「ブッ……、!?!?!?」

 

 なんで銭湯行くだけで誘拐されんねん!!

 ばっとフォウ君の方を振り向けば、机の上でまったりと食べていたクッキーのかけらをポロッと落として呆然としていた。

 そして絶叫。

 

「ふぉ、どっふぉーーーーーう!?!?!?」

「しっ至急各国窓口に連絡ッ!米国と日本警察にもだ!」

 

 私はフォウ君の焦りを見て冷や汗を垂らしながらシークレットサービスに指示を出した。

 

 こここ殺されることはないだろうがやややばばばば。

 私は恐怖に震え上がり、フォウ君を抱きしめた。

 フォウ君もかちんこちんに固まってしまって、いつになく大人しくされるがまま私に抱きしめられている。

 

 もしこのままコナン君をロストした場合、最悪ビーストⅣ顕現につき他ビースト連鎖顕現確定、私が単独討伐せねば人類滅亡とかいうクソゲーになる。

 劇場版、風呂に入っただけなのに、今春公開。最悪かな?

 

 15分はばたついていたと思う。関係各所への連絡だけで時間はすぐに溶けてしまった。

 事情はすぐさま米国に伝わり、すぐに鬼電の勢いで折り返しの電話が大統領からかかってきた。

 「かの御子が誘拐されたというのは本当かね!?!?」と迫真の第一声が来るあたり米国も事の重大さをよく理解している。

 

「詳細は不明だけれど、同行した女性二名と番台の証言からその可能性が非常に高いみたいだよ」

『由々しき事態だ……獣の方はまだ無事か!』

「一応はまだ成長の兆しはない。おそらく、コナン君もまだ生きているんだろう。だが遠くへ行きすぎたり殺されたりすれば、状況は最悪に傾く」

『なんてことだ!おお、神よ!』

 

 電話口で大きく大統領がか細い悲鳴をあげた。

 一応シークレットサービスに関しては米国が用意した守りだからな。

 完全な米国の手落ちとなってしまった。

 

 と、そのタイミングでチャイムがなって、日本警察の代表者、すなわち白馬警視総監がやってきたのだ。

 白馬警視総監は顔色が悪く今にも倒れ込みそうな様子だ。

 

 あまり下には知らせていない情報だが、コナン君の身の安全のために警察上層部にはビーストⅣとコナン君のことは伝えてある。

 

 最悪、獣が成長していけば米国は獣を止めるため東都に向かって核兵器を投下しかねないと日本政府だって理解している。

 無論のこと核でどの程度完全体のビーストⅣにダメージを与えられるかは疑問が残るが…それはそれ。

 

 どうせ、東都で全力の聖剣をぶっ放せば核兵器を落としたのと大差ない大惨事になるのだ。

 東都が真エーテルに汚染されるか放射性物質に汚染されるかの違いでしかない。

 

「只今、付近の監視カメラを当たり捜査をつづけております。どうやら犯人は気絶したコナンくんを介抱するふりをして攫ったようでして」

「入り口にはシークレットサービスが見張っていたはずだ」

「どうやら大きなバッグを持った男が出入り口を通ったようで、おそらくその中に詰める形で攫ったのだと思われます」

 

 バッグの中に詰めて子供を攫う、となんとも古典的だ。

 だが気を失った子供ならばそれが一番手っ取り早いのも事実。

 

「……グラズノ・アイジンの大釜を使ってみようと思う。あれはドルイドに謳われる奇跡の大釜だ。使い方によってはもしかしたら居場所を探すのに役立つかもしれない」

「かのブリテン十三の秘宝ですか!」

 

 駆けつけた米国の担当官がバタバタと後ろを走り回っている。

 どうも各国から問い合わせが殺到しているようだ。その対応で大忙しらしい。

 

 私は頷いて眉を顰めた。

 

「うまく使えるかはわからない。僕はドルイドじゃないし、今までこの釜を使ったことがないからね」

「私どもも彼を見つけ出せるよう全力を尽くします。ですが、もし情報が何か少しでもあるのであれば!」

「ああ。勿論」

 

 大釜を部屋の中央に実体化させれば、でん!と人の背の高さほどもある巨大な釜が顕になった。

 

 どうやって使うんだこれ。どうやら巨大な魔力炉心のようだが……中には純粋な魔力がもうもうと立ち込めている。

 複雑な機構があるものの、専門的すぎて使い方がまるでわからない。

 私ではFGOの聖杯と同じで魔力リソースとして使うしかなさそうだ。

 

 こういうときマーリンがいれば万事解決なんだが、などとないものねだりをしつつ。

 

 私は中の莫大なリソースを使い、風王結界の領域をこの東都全体に薄く塗り広げるように展開した。

 風が部屋の中を充満し、ひとりでに扉が開いて窓が開き、爽やかな花の香りを纏った風が吹き抜けていく。

 警視総監を含めたその場の人員がわずかに慄いたようだった。

 

 コナン君の痕跡を探せば、それはすぐに見つかった。

 どうやら車の中にいるようだ。

 車は南南東に向かって真っ直ぐに移動しているように見える。

 

「銭湯から南南東。車で移動中のようだ。コナン君は裸で後部座席に乗せられている。前の席には男が二人。腕に入れ墨をしている男と、野球帽を被った男だ」

「っ!至急検問を設けます!」

「頼んだ。僕は引き続き監視を続けるよ」

 

 しかしさっきから思っていたのだが、この絵面どっかで見た覚えが……。

 ぽん、とそこでようやく私はその既視感の正体に気がついた。

 

 

 これ、コナンアニメスペシャル、史上最悪の二日間だ。

 

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