プーサーなオリ主とコナン君   作:ラムセス_

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魔術訓練

 

 本日、工藤邸の手入れされた広い裏庭にて。

 

 目の前には黒く艶やかなカラスが一羽。

 窓に面したベンチには物珍しそうにコナン君と赤井さんが揃って座ってことの成り行きを見守っている。

 

 庭中央に設置された留まり木にとまるカラスは、クルルと喉を鳴らして口を開いた。

 

「まず、貴方の適性について魔法で確認するわ」

「起源と属性、というやつかな」

「古い世界の理は私には分からないわよ。見ることができるのは赤魔女として私にわかることだけ」

「そうだね」

 

 型月とまじっく快斗ではテクスチャが違うんだからそれも当然か。

 そもそも、テクスチャという概念自体が型月の発想だ。

 多少の共通性はあるだろうが、その辺は念頭におかねばならないだろう。

 

 

 

 本日は紅子さんを講師に招き、魔術のお勉強と訓練の時間となっている。

 

 これは私が史上最悪の二日間の一件で力不足を感じたためでもあり、コナン君達の息抜きを兼ねた見せ物でもある。

 

 なお、アーサー王が魔術に手を出した、というのは結構外聞が悪いので、今日のこれもこっそりと開催している。

 別にプーサーだって魔術ぐらい生前から使っているが、キリスト教は魔術を禁じているからな。

 公式で使うのはあくまで「アーサー王が使う風を統べる力」である。

 その辺結構重要なので留意されたし。

 

 設置された水晶玉をカラスが覗き込んだ。

 じろー、と水晶玉を熱心に見た後、私をちらりと見て、もう一度水晶玉を覗き込む。

 ちょっと可愛い、なんて思ったりしたのを見抜かれたのか、キッとカラスに睨まれた。

 すまんて。

 

「貴方の本質は嵐、あるいは竜。貴方は生まれつき望む望まざるに関わらず台風と激動の目となる定めの人よ」

「……なるほど。起源か。にしても、あまり為政者として望ましい起源じゃないな」

 

 王としてはほぼ最悪と言ってもいい部類の起源じゃないか?

 

 王に最も求められるのは「変わらないこと」だ。変わらず長く生き、世継ぎを残すこと。

 それなのに嵐とは、国家の破滅は約束されたようなものだ。

 

 ………。

 なんか霊基がズーンと奥の方で沈んでいる気配がするのでこの話はもうやめよう。

 古傷を抉るだけだ。

 

 カラスが一つ頷き言葉を続ける。

 

「貴方に寄り添う元素は風。取り回しがよく、万能な力よ」

「ふむ。僕の魔術宝具も風を操るものだからね。適当と言えば適当かな」

 

 「ああ、あの古い魔法の鞘ね」と紅子さんが納得したように頷いた。

 

「丁寧に複雑に織り上げられている、美しい反物のような魔法。あれを織り上げたのは余程の魔法使いなのでしょうね」

「マーリンもその賛辞には喜ぶことだろう」

 

 霊基の記憶を辿ると、どうもマーリンが妖精と組んで作ったものらしいことがわかった。

 ど素人でも感覚的に使えるように、魔術補助の力が込められた風の機構だ。

 これだけで宝具と化すほどの力を秘めた、魔術の極地。

 

「ひとまず、その魔法を補助輪にして風の魔法を使ってみてちょうだい。どの程度できるのか私が見るから、話はそれからよ」

「分かった。……ふむ。こう、かな?」

 

 というか、プーサーって魔術回路はどの程度あるんだ?

 心臓が魔力炉心になってて、黄金に燃え、7色に輝くんだっけか。

 とと、雑念雑念。

 

 風王結界を作動させて風をやさしく渦巻かせる。

 舞い上がった草花が植物の匂いを纏わせて鼻をくすぐる。

 わあ!とコナン君が歓声をあげた。

 フォウ君がフンスと息をついてコナン君の膝の上で丸くなる。

 

 私の魔術を見上げていたカラスは、むむむと難しそうに首を捻った。

 

「師がいない状況にしては上出来ね。術式が粗い部分は補助輪が補正しているみたいだけど、結構な負荷がかかっているわ」

「僕の感覚で使っているからね……さもありなんと言ったところか」

「最大限まで負荷を軽くできれば、貴方が魔女の大釜を使って実行した遠見の術。それを大釜の補助なしで実行できるようになるわ」

「!!それは凄い!是非ともご指導願いたい!」

 

 そう言うと、カラスがトコトコと近づいて私の元までやってきてため息をついた。

 

「そもそも、貴方の心臓は竜の心臓。息をするように莫大な魔力を生む無限の釜よ。魔女の大釜なんて本来必要ないのよ」

「な、なるほど…」

「羨ましい限りだわ。人の身ではとても実現できない量の魔力をただ生きているのみで生むなんて」

 

 まあ、魔力量だけならエクスカリバーを延々と連発できる量があるからな。

 王の仕事とは戦場でカリバーをひたすらブッパすることなれば。その辺疲れ知らずなのである。

 

 カラスがじろっと私の目を覗き込んで言う。

 

「貴方が使っていない時の魔力、勿体無いから私に分けてもらえないかしら。今後も継続的に師として教えていくから、その対価として頂ければ嬉しいわ」

「勿論、いいとも。僕としても普段魔力なんて全然使わないからね」

「契約成立よ。勿論緊急時はこちらに回さなくても大丈夫だから、その点は気にしなくても結構よ」

「助かる」

 

 正直今の段階だと宝の持ち腐れだからな。

 紅子さんなら悪用はしないだろうし、こちらとしても万々歳である。

 

 

 とまぁ、その日は風王結界の負担をなるべく減らす形で上手く魔術を扱う理論講座となったのであった。

 

 時々聴講者であるコナン君と昴さんが質問をしたり、「魔術、僕たちも使えたら楽しいのにね」「だな」などの雑談付き。

 ちょっと君らが魔術を使うのはテクスチャ的に無理じゃないかな……と思ったら、案の定。

 「貴方たちに魔法というルールは存在しないわ」というぴしゃりとした言葉に二人はしおっと萎びれてしまった。

 

 名探偵コナンに魔術とかそんなの無いからね…仕方ないね。

 

 そんな感じに、平和な午後は過ぎていったのであった。

 




・プーサー主の魔術適正
起源:嵐、あるいは竜
属性:風
特性:流動、強化に強い適性がある
補足:魔術刻印がないため、魔術師としては成り立たない。
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