プーサーなオリ主とコナン君   作:ラムセス_

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時計仕掛けの摩天楼③

 

 目眩にも似た霊基の怒りに、私はうっと頭を抱えて首を振った。

 

 一瞬完全に飲まれていた…!

 プーサーは王として律してはいるものの、根本的には結構荒々しい性格なのだろう。

 竜の本気の怒りに意識がチカチカと瞬く。

 霊基的にもコクーンの一件に始まり、この頃の凶悪事件続きに堪忍袋の緒が切れたか。

 

 あのままだと聖剣持って森谷邸にブリテン式カチコミをかけてしまうところだった。

 そんなのあらゆる意味で問題にしかならないし、流石に私の意識が保って良かったと言わざるを得ない。

 

 しかし、これからどう動くべきか。

 

 帰宅した工藤邸は真っ暗で、今は赤井さんも新居爆破の後始末に追われて工藤邸にはいないようだ。

 入り口のSPさんに挨拶をしてから入れば、静謐な空気が私を出迎えた。

 

 私達の新居もメディアバレしてしまったし、今後は工藤邸へと逆戻りの生活となる。

 

 何となく億劫で暗闇のまま電気もつけずにTVを点灯させると、火薬庫から何者かがオクトーゲン(プラスチック爆弾用の爆薬)を盗んだニュースをやっていた。

 これも森谷の仕業だろう。

 暗い室内にざわざわとニュースキャスターの声と現地取材の喧騒が満たされてゆく。

 

 明後日、五月三日には今回の犯人森谷帝二は再び犯行を企てるだろう。

 子供達におもちゃに仕掛けた爆弾を渡し、捨て猫を拾う心優しき人を狙う外道行為も働くのだ。

 

 ぎりり、と気付けば歯軋りしていた。

 

 炉心が呼吸に合わせてごうごうと燃えている。

 暗闇で目を開けば、どこか夜目が利くような不思議な感覚に囚われる。

 

 と、その時。

 私のスマホに着信があった。ぴろりろと間の抜けたデフォルトメロディが鳴り響く。

 

 ぴっと画面をタップして電話に出れば、相手はコナン君のようだった。

 

「あっ、アーサーさん!?さっき言い忘れたんだけど、ちょっと相談したいことがあって!」

「コナン君かい?どうかしたのかな」

「……アーサーさん、何かあった?」

 

 一気にコナン君の声のトーンが慎重そうな雰囲気を出した。

 まるで角を曲がった拍子に黒の組織に出会ってしまったみたいな反応だ。

 うん?なにかあったって、なにが?

 

「特に何もないけど…?」

「でも声が……ううん。何でもない。えーっと、相談したいことなんだけど。五月三日の夜、その。出来ればでいいんだけど、出かけたくって」

 

 コナン君の照れまくった様子に私はピンと来た。

 これ、間違いなく蘭ちゃんとのデートだ!

 オールナイトで映画を見て、プレゼントを渡してもらうとかいうすごく甘酸っぱいイベントをこなすんだったか。

 

 私なんてもうここ最近陰謀の香りしかしないハニトラばかり相手にしていたものだから、こういう青春話を聞くと羨ましくて仕方がない。

 いーなー幼馴染と映画デートいーなー!!!

 

 とはいえ。

 彼には我慢を強いてばかりだし、なんとか叶えてあげたいところだ。

 

 SPは優作氏の手配したものに変えてうまく口裏を合わせて貰えば、ひとまず工藤新一=江戸川コナンを各国上層部へ暴露する必要は無くなるか。

 この辺は優作氏に急ぎ電話をするとして。

 

 あとは工藤新一が戻るにあたり、フォウ君への影響を調査せねばなるまい。

 ま、それこそ今回の解毒剤服用で実地調査すればいい。

 万が一がないように紅子さんとも相談して、ビーストⅣ用の魔術もかけて貰えばいい。

 対価は……私の捻出できるものならできる限り揃えよう。

 

「勿論いいとも。各種調整は僕に任せてくれていいから、君は楽しんで来るといい」

「!!ほ、ホントに!?ホントにいいの!?」

「蘭ちゃんと誕生日デートだろう?いいじゃないか。青春の時間は大切にしないと」

「ばっ、バーロー、んなんじゃねぇよ!!」

 

 もはや私に隠す気があるのか無いのか、コナン君は工藤新一全開で照れまくった。

 このこのー!照れちゃって!!相思相愛なことぐらい私は知ってんだからな!

 

 と、その後は一言二言会話して電話を切った。

 

 こうなったら、なんとしてでも変な憂いを残さず、五月三日までに森谷をひっ捕えてみせようぞ!

 

 私はキッチンへ行って手近にあった黒いお盆に水を張り、風王結界を操作した。

 紅子さんに教えてもらった、風王結界の触覚を映像にアウトプットする魔術だ。

 これで森谷が爆弾を隠し持っているところを警視庁に見せて、警察に踏み込んでもらうのだ。

 

 ───そんなまだるっこしい手を使う必要はない。王がそう決め、断罪の刃の正当性はここにあるゆえに。

 

 竜の息遣いが耳元で聞こえるようだ。ごうごう、ごうごうと轟くように熱を伝える。

 私はゆるゆると首を振った。

 

 それは、何よりもコナン君が悲しむ選択だ。

 私には出来ようはずもない。

 

 ───………。

 

 息遣いが遠くなっていく。

 どこか納得したような、安心したような、矛を収めるような穏やかさを伴って。

 

 というか、突然ブリテン蛮族仕草を全開にしてくるのは反則やろ。

 あんなクソ外道でも直で首チョンパしたらダメに決まってるでしょもっと文明開化して。

 

 などと小さく憤りながら、私はお盆の水に映る森谷邸の中をくまなく探索するのだった。

 




・円卓
ランスロット「100点」
ガヴェイン「100点」
トリスタン「100点」
アグラヴェイン「65点。王の立て方が足りない」
ケイ「40点。あのバカにはもっと強く言って良かった」
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