小説初めて書きました!暖かい目でよろしくお願いします
読む人はきっとほぼ居ないだろうけどもしも読んでくれる人がいたら嬉しいなー
私の名前は斉木
◇◇◇
今から15年前。ある平凡な夫婦の間に女の子が生まれた。その女の子は生後10ヶ月という平均的な時期に言葉を発した。とても拙い口調で「ま、んま!」と。
生後15ヶ月にはひとり歩きもできるようになった。よちよちだったが。
6歳ともなると、初めてのおつかいをこなす。近所のコンビニへ食パンを買いに。
これにはさすがの母親も動揺した。それも当然である。なぜなら女の子の上には2人、普通では無い兄がいたからだ。
長男は斉木空助。生後1ヶ月にして「把握した」と初めて言葉を発し、簡単な文字の読み書き、計算などは2歳でマスター。そして知能テストの結果はIQ218など、早い話が天才だったのだ。
そして次男の斉木楠雄。生後わずか14日目にしてテレパシーで言葉を発し、生後1ヶ月では歩くことが出来た。それも空中を。1歳ともなると瞬間移動ではじめてのおつかいをこなすなど、早い話が超能力者だったのだ。
そんな兄2人に比べ、その女の子は驚く程に平均的な成長を遂げた。
そして現在。女の子---つまり私も今や高校生である。
◇◇◇
「いってきまーす!」
久遠は朝からラブラブしている両親を尻目に、慌てて食パンを咥え、玄関を飛び出した。一体どこの少女漫画なのか。ベタすぎてもはや突っ込みづらい。
亜麻色の髪を左右で三つ編みにして肩に垂らした女の子はふと空を見上げ思いつく。
(あ!あの雲の形、くーちゃんのアンテナみたい!)
少しかけ足で向かうは私立PK学園。家の近所であり、1つ上の兄が通っているという理由で選んだ学校。勉強が苦手な久遠には正直ギリギリで入れた学校である。
久遠のクラスは1年
何とかギリギリセーフで滑り込み自分の席に座るとクラスメイトの女の子が話しかけてきた。
「おはよー、久遠」
「おはよう!やっちゃん」
彼女の名前は
「今日3時間目抜き打ちテストらしいよ」
矢乃子がコソッと久遠の耳元で教えてくれる。一体どこで仕入れた情報なのか疑問ではあるが、久遠はそれを聞いて顔を青くさせた。久遠は昔からあまり頭が良くない。むしろどちらかと言えば馬鹿な方である。授業にはしっかり勉強してなんとかついていけるレベル。そんな久遠にとっては抜き打ちテストなんて大事件なのだ。
結局なんとかならなかった3時間目の小テスト。しかしもう過ぎたことはしょうがない。気を取り直して4時間目。国語の先生の話にウトウトしては頭を振り、またウトウトしては、を繰り返していた久遠はシャーペンで左手の甲をぶっ刺し、なんとか意識を保っていた。強く刺しすぎて赤い跡ができてしまっている…。ふとなんとなく窓の外を見ると、校庭では2年生男子がドッジボールをしているではないか。
コートにいるのは遠くからでもよく分かるピンク色の髪の男子生徒。久遠の兄、斉木楠雄である。
今はちょうど赤髪のいかにも熱そうな男子生徒が楠雄に当たったボールを命懸けでキャッチしたところだった。それも半ケツになりながら。
そしてなんと、赤髪の男は怪我で退場し楠雄は最後の一人になってしまった。
(わぁ、くーちゃんが最後の一人になっちゃった!相手チームにはなんか強そうな人いるし…、いけ!くーちゃん!頑張れ!)
久遠は先程までの眠気も忘れてドッジボールに熱中した。7-1だった試合も、楠雄の活躍で今は5-1になっている。手に汗握る展開の中、ついに楠雄にボールが当たってしまった……が!なんと!ここでさっきの赤髪が復活!なぜか半ケツで楠雄に当たったボールをキャッチしたのだ!
(うわぁ!赤髪さんすごー!!そのままやっちゃえ!くーちゃん!)
思わずガッツポーズをする久遠。そんなだから、すぐ隣に来ている先生には気づかない。
「ーーん!--ぇ、斉木久遠さん!!」
「うひゃわっ!」
いきなり近くで名前を呼ばれ、肩にガシッと手を置かれたので変な声を上げて勢いよく立ち上がってしまった。静かな教室にガタンっと椅子の音が響いた。
何事だと横を見ると、そこには笑顔の国語教師がいた。
「斉木さん。校庭が気になるのは分かるけど授業はちゃんと聞いてね?」
「え、あ、すみません……」
皆に注目され恥ずかしくなってしまう。顔に熱が集まってプシュ〜っと湯気が出そうな勢いだ。周りの人にも笑わて散々である。もちろん悪いのは授業を聞かずドッジボールに熱中していた久遠だが。
もう見ないようにしよう!と、最後にチラッと校庭を見ると楠雄も久遠の方をじっとみていてびっくりする。楠雄は半径200メートルに入った他人の思考を読み取れる能力を持っている。ドッジボールは校庭の端の方でやっていたし、久遠はここから楠雄の位置まで200メートル以上はあると踏んでいたが、もしかしてテレパシー範囲内だったのだろうか。もしそうだとしたらさっきまでの応援も全て聞こえていたかもしれない。
楠雄はすぐにふいっと視線を逸らし、久遠も授業に戻った。
◇◇◇
「今日の夕飯はカレーよ!」
そんな母の言葉にヤッター!と大はしゃぎする父。久遠も一緒になってバンザイする。そんな久遠たちに呆れた視線を向けながら楠雄は席に着いた。
「あ、くーちゃん!そういえば今日ドッジボールしてたでしょ?あそこってテレパシー範囲内だった?私ずっとくーちゃんのこと応援してたんだ!」
久遠がご飯粒をほっぺにつけながら楠雄に尋ねた。横では母が久遠のご飯粒を取っている。それを見た父もわざとほっぺにご飯粒をつけてママにアピールしていた。
『いや、教室はギリギリ範囲内じゃない。校庭を見るのもいいが授業はしっかり聞け』
そんな楠雄の言葉[テレパシーだが]に久遠はぐぬぬと唸る。前回のテストは兄に教えて貰ったりもして、久遠にしてはなかなか良い成績を取れた。それでも186人中112位だったが……。
「大丈夫だもん!またくーちゃんが、勉強教えてくれるでしょ?」
久遠は期待した目で楠雄を見つめた。そんな久遠に対し楠雄はふいっと視線を逸らしてご飯を口に運ぶ。
「んなっ!」
そんな楠雄を見て久遠は大きく口を開けてショックを受けた。ガーン、と音が聞こえてきそうである。楠雄はわざわざ言葉で伝えず、態度で示すきらいがある。長年の経験から今のは久遠に勉強を教えるのを拒否したのだと分かる。
久遠にとって兄という存在は最強だ。なんでも出来てしまうし、結局最後に頼るのはいつも兄である。実際本当に最強なのだが。
頼んだらなんでも叶えてくれる訳では無いし、猫可愛がりのように甘やかされている訳では無い。しかし何か困ったことがあれば解決してくれるのが兄である。そんな兄に普段から頼りまくりな久遠にはまさに青天の霹靂!
「く、くすえもーん?お願いだよ、コーヒーゼリーあげるから!」
久遠は上目遣いで楠雄を見つめる。じーっと見てくるのがなんとも鬱陶しい。くすえもん呼びもコーヒーゼリーを対価に出すのも、父親を真似てしまっているのだろう。楠雄は久遠の心が読めるのでわかってしまう。久遠は決して楠雄を便利だと思ったり、媚びたり、しめしめ、と考えている訳では無く、ただ普通に妹として兄に甘えているだけだと。しかしその兄がなんでも出来てしまうが故に少し頼りすぎてしまうだけなのだと。そして楠雄に頼ってばかりではなく自分でちゃんと努力することができると。
楠雄ははぁ、とため息をついてこくりと頷いた。了承の動作である。そんな楠雄を見て久遠は目をキラキラさせてありがとう!と大喜びした。
「くーちゃんありがとー!良かったわねぇ、おんちゃん」
「楠雄も立派なお兄ちゃんだなぁ」
隣で話を聞いていた両親もなぜか嬉しそうだ。楠雄は心が読めるからこそ、そんな光景が少しむず痒い。この場にいる全員が本当に喜んでいると分かるから。
(そろそろ兄離れさせようと思ったんだがな…)
楠雄は人知れずため息をついた。
久遠の性格は母親ベースです。(私の好みも入ってますが)
母親は楠雄に対して息子として接してるけど、もし兄とかがいたら結構甘え上手な気がします。
実際パパ(楠雄の父)に凄い甘えん坊ですしねー。
この時空では久遠がいるのでアニメ第1Xのような長期の夫婦喧嘩は起きません。きっと久遠が仲裁してくれます。