斉木久遠の要Ψ   作:弁慶の泣き所

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主人公を可愛い設定にしたので鳥束に狙われるのは最早避けられないですね。
恋愛メインにするつもりはないのですが主人公のことを好きになってしまう原作キャラはいるかもです、、(鳥束では無い)
恋愛要素は原作と同じくらいにしたい。


第4X 守護霊を視てくだΨ

 

 

 

ある日の夜、夕飯前の時間のこと。斉木家のインターホンがピンポーンと客の訪問を知らせた。母親は夕飯の準備をしており、兄は2階の自室にいたため久遠が出る。

 

「はーい、どちら様ですか?」

 

久遠が玄関を開けるとそこに居たのは同い年くらいの男の子。下駄を履いていて手首と首には数珠のようなものをつけている。紫色の髪に白いバンダナをつけた作務衣(さむえ)姿の人だった。

 

(うひょー、めっちゃ可愛い子が出てきた!しかもなかなかのスタイル…。ぐへ、ラッキー)

 

「オレ、鳥束 零太!君の名前は?」

 

「え、わ、私は斉木久遠です。あの、なんの御用でしょうか?」

 

前のめりになって名前を聞いて来る鳥束に思わずたじろぐ久遠。

 

「へー、久遠ちゃん!今日は斉木楠雄くんに用があったんスけど…」

 

(正直もうどうでもいいや、とりあえずこの子と仲良くなりてぇー)

 

なんともゲスな考えをする鳥束に、目の前の久遠は何も疑わず目を輝かせた。

 

「えー!くーちゃんに会いに来たんですか!今すぐ呼んできますね!」

 

鳥束は急に嬉しそうに楠雄を呼びにいこうとする久遠を引き止め、楠雄の部屋への案内をお願いする。

 

「おじゃましまーす」

 

「零太さんはくーちゃ…兄のお友達なんですか?」

 

「え?ま、まぁそんな感じかな…」

 

(まだ会ったこともないけど…。っていうか「零太さん」ってなんかいいな。久遠ちゃんまじで可愛い。なんかすごい好意的に接してくれてるし、これワンチャンあるかも!)

 

2人はゆっくり階段を上り楠雄の部屋の前までくる。久遠が扉をノックすると扉はすぐに開いた。

 

「くーちゃん、お友達が来てくれたよ!今お茶持ってくるね、」

 

久遠はそう言って鳥束を残し、パタパタと1階に降りていく。

 

「妹さん、めっちゃ可愛いっスね!っていうか以外と普通の家なんスね〜。あっ、すいません、自己紹介します!はじめまして、師匠!オレの名は鳥束零太です!えーと年齢は16で…あっ、つーかテレパシーで分かるっスよね!いやー噂はかねがね聞いてますよ〜、あ!幽霊から聞いた噂ですけどね」

 

そう自己紹介した鳥束に楠雄はなるほど、と思った。霊能力者ならば楠雄の超能力を知っているのも納得だ。

 

 

◇◇◇

 

久遠は2つの麦茶の入ったコップと、先日スーパーで買ったチョコのお菓子をお盆に乗せて楠雄の部屋へ向かった。

 

階段を上がっているとほんのりとだが声が聞こえてくる。

 

「--マスターして--見たり、予知で---り、やりたい放題--っス」

 

久遠がコンコンとノックすると部屋の中の声が一旦止んだので扉を開けて中に入る。

 

「お話中ごめんなさい、お茶とお菓子持ってきたよ!」

 

『あぁ、助かる、そこに置いといてくれ』

 

「わぁ!久遠ちゃんありがとう!ところで久遠ちゃんって彼氏とかい『おい』っ!」

 

楠雄の睨みに鳥束はビクっとして立ち止まる。

 

「え?なんですか?零太さん」

 

『なんでもないから早く戻れ。今は大事な話をしている』

 

「え、ごめん。じゃあ零太さん、ゆっくりしていってください」

 

久遠は軽く一礼して部屋を出る。鳥束はそんな久遠に手をヒラヒラ振ってから再び楠雄に向き直って会話を再開した。

 

 

 

 

鳥束が楠雄の部屋から出てきたのはそれから僅か数分後だった。

 

「あれ?早いですね、もうお話は終わったんですか?」

 

玄関付近で久遠に話しかけられて鳥束はパァっと顔を輝かせる。

 

「久遠ちゃん!ねぇねぇ、君のメアド教えてよ!」

 

「メアドですか?いいですよ!」

 

ぐいぐい行く鳥束に久遠はニコニコ笑顔で了承した。久遠にとって、楠雄の友達というだけで好印象なのだ。まぁ久遠は楠雄の友達ではなくとも笑顔で愛想良く接するが。

 

そんな久遠に驚いたのは鳥束の方である。普段女の子には冷たいゴミを見るような目で見られている鳥束にとって、嬉しそうに優しく接してくれる久遠は珍しかった。

 

(え!まじか!キターー!!おっぱい大きいし可愛いし、これほんとにワンチャンあるかも!!ぐへへ)

 

内心歓喜する鳥束は何とかそれを顔に出さずに携帯を取り出そうとした。が、

 

『おい、早く帰れ!』

 

突如鳥束の脳内にだけ楠雄のテレパシーが響き、鳥束はたじろいだ。

 

楠雄は基本的に、久遠の人間関係などにはあまり干渉しないようにしている。なんでも楠雄頼りにしてしまえば、久遠が大人になって自立した時のためにならないと思うからだ。

 

「与える」とは同時に「奪う」ことでもある、という考えを持つ楠雄は、本当に困った時以外はあまり久遠を助けすぎないように気をつけているし、久遠が誰と関わろうが干渉しないようにしているのだ。

 

しかし、自宅の1階で妹が連絡先を聞かれている。それも下心満載のクズに。それなら話は別だろう。むしろ少し話すくらいなら、と先程までは目を瞑ってやっていたのだ。

 

今連絡先を交換させてしまえば確実に、後日久遠に連絡するだろう。そして久遠は誰かを適当にあしらったり無視したりすることをしない。そう、押しに弱いのだ。

 

そんな押しに弱く鈍感な久遠と、下心満載でぐいぐい行くクズではどうなるかなんて簡単に予想がつく。

 

まぁつまり、楠雄は鳥束と久遠を関わらせたくなかったのだ。

 

楠雄のテレパシーに何か悪寒がした鳥束の行動は早かった。

 

「わ、わかりましたって師匠!今日はもう帰るっス!久遠ちゃんまたね!おじゃましました〜!」

 

急に逃げるように出ていった鳥束に、目をぱちくりさせた久遠は1人首を傾げた。

 

(師匠ってくーちゃんのことなのかな?)

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

家にくーちゃんのお友達が訪れた次の日のこと。いつものように4人でお昼を食べていると情報通のやっちゃんが言い出した。

 

「今日2年生に男の転校生が来てるんだって!しかもなんか守護霊?視れるらしいよ、ほんとかは怪しいけどね〜。後で見に行こうよ!」

 

守護霊…。くーちゃんみたいな超能力者がいるんだもん。本当に視えるのかも!

 

私は少しワクワクする。みはりんも「何それ面白そー!」とノリ気だ。しかしあねさんはあまりノリ気ではないみたい。

 

「守護霊って幽霊よね?わたし幽霊とかあまり得意ではないのだけれど。まぁ皆が行くならいこうかしら。」

 

そんな訳でお昼を済ませ、4人で2年生の教室に向かう。噂の転校生はすぐに見つかった。廊下に人だかりができていたからだ。どうやら守護霊が視えるという噂を聞きつけた人達が面白がって見に来ているようだ。

 

人が多くて噂の転校生の姿がなかなか見えない。

 

「他に視てもらってない女の子いるー?」

 

そんな声が聞こえると、私の隣にいたみはりんが右手をあげて「はいはーい」と返事をする。周りにいる女の子たちはどうやら既に視てもらった人達らしい。

 

みはりんの返事に転校生は人をかき分けてこちらに向かってくる。出てきたのはなんと昨日くーちゃんに会いに来た人、零太さんだった。

 

「あれ?久遠ちゃん!久遠ちゃんもこの学校なの?!まじ?嬉しー!」

 

零太さんは私を見つけると笑顔で手を振ってくれた。

 

「零太さん!昨日ぶりですね!」

 

「えー、こんこんこの人と知り合いなのー?」

 

「うん!お兄ちゃんのお友達なの!私も昨日初めてあったんだけど…」

 

まさか昨日あった零太さんがPK学園に転校してくるなんて驚きだ。

 

「あの、私たち守護霊視てもらいに来たんですけど」

 

やっちゃんのその言葉にそうだったと思い出す。守護霊。せっかくだから視てもらいたい!

 

「いいっスよ!んー、君は…鎧を着た騎士の霊っスね!凄い強そうっス」

 

零太さんはやっちゃんの方を見てそう答える。

 

「そっちの子は舞子さん…かな?凄い綺麗な人ッスよ」

 

今度はあねさんの方を見てそう言った。

 

「君は…男の貴族ッスかね。西洋の方の。なんか凄いハンサムっスよ」

 

みはりんにそう言った零太さんは、最後にと私の方を見る。

 

「久遠ちゃんは……!子供の霊ッスね。まだ6歳くらいの女の子かな?守護霊が子供なのは珍しいっスね!」

 

どうやら私の後ろには小さい女の子がいるらしい!

 

もう少し詳しく聞きたかったのだが、チャイムが鳴ってしまったため私たちは教室に戻った。

 

 

◇◇◇

 

 

夕日により空がオレンジ色に染まった放課後。

 

「紹介します。コレがオレの守護霊っス」

 

死んだ魚のような目をしてそう言った鳥束。鳥束は楠雄に自分の守護霊をサイコメトリーで視せ、なぜ燃堂を幽霊と勘違いしたのか説明する。そう、鳥束の守護霊と燃堂は瓜二つだったのだ。

 

『お前、本当に大変だな…』

 

楠雄は珍しく同情的な視線を向けた。生まれ持った能力に振り回される大変さを身をもって知っているからである。

 

「あぁ!そういえば斉木さん!昨日は斉木さんのせいで久遠ちゃんとメアド交換出来なかったじゃないっスか!」

 

今思い出した!とばかりに鳥束は楠雄に突っかかった。

 

(く〜!斉木さんが邪魔さえしなけりゃ今頃久遠ちゃんとメアド交換出来てたのに!しくったな、昼休み交換しとけばよかった、)

 

『お前、実の兄によくそんなド直球に言えるな』

 

楠雄は若干引き気味につっこむ。正直、楠雄もあまり久遠の人間関係には手を出したくない。ないのだが、如何せん、こいつはどうにも下心満載過ぎて心配だ。今も兄を目の前にして妹に対しゲスなことばかり考えているのである。

 

(久遠ちゃんマジどタイプだったなぁ〜。顔可愛いしおっぱい大きいし!純粋そうで頼んだら断らなそーだし〜)

 

そしてこいつは本当に顔と胸しか見ていない。楠雄はさっきまで感じていた同情心も吹っ飛んでしまった。

 

『おい、お前は久遠にあまり近づくなよ、久遠が穢れる。』

 

「ちょ、穢れるって…言い過ぎっス!まるでオレがバイ菌みたいじゃないっスか?!」

 

『みたい、じゃないだろ?』

 

「酷いっ!だいたいオレが久遠ちゃんと仲良くなったってあんたには関係ないでしょ!オレはただ久遠ちゃんとお近付きになりたいだけっスよ、ぐへへ」

 

大変気持ち悪い。楠雄はあからさまに舌打ちして顔を顰めた。こいつは一度調子に乗せたらダメなタイプだと何となく察した楠雄は少し強めに圧をかけて警告した。

 

『次久遠にちょっかい出したらお前を海の藻屑にしてやろう』

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

零太さんが転校してきた次の日のこと。2時間目が終わった後の10分休みに、私の教室に零太さんがやってきた。

 

「あ、久遠ちゃん!ちょっとちょっと!」

 

教室のドアからひそひそ声で手招きをしてくる零太さん。一体なんの用だろうと向かうと「こっち来て」と右手をとられて早歩きで人気の少ない階段の踊り場に連れていかれる。

 

「どうしたんですか?」

 

何故か止まっても手を離してくれない。離し忘れているのかな。まぁいっか。

 

私が尋ねると零太さんは少し周囲を伺ってから声を控えめに言ってきた。

 

「メアド交換してくれない?」

 

「え?あ!そうでした、先日は交換出来なかったですもんね!もちろんです!」

 

どうやら零太さんは私とメアドを交換したかったらしい。それならこんなわざわざ教室から離れずに廊下ですれば良かったのに。そしてさっきから一体何を警戒しているのだろう。

 

ポケットから携帯を取り出しメアドを交換する。前を見ると零太さんが私の腕を掴んだままもう片方の手で思いっきりガッツポーズをしていた。

 

「ありがとう久遠ちゃん!君は天使だ!またメールするっス!」

 

何かメールで伝えたい要件でもあるのだろうか?

 

「はい!ぜひ!」

 

もしかしたらくーちゃんのことかもしれないし、しっかりメール確認するようにしよう。

 

 

 

 

 

翌日、何故か私の携帯から零太さんのメアドが消えていた。なんでだろう。バグかな?

 

 

 

 






ここの楠雄は久遠の将来をしっかり考えて手を貸しすぎないよう気をつけてます。ちゃんとお兄ちゃんしてますね!
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