なんだかとっても、長くなってしまった。
体育祭。それは運動が苦手な人にとっては地獄のような行事。しかし、小さな頃から鈍臭くて、運動がてんでダメだった久遠は体育祭が結構好きだった。
みんなで協力して何かに取り組み努力する、という行為が久遠にとっては何よりも楽しかったのだ。
だから久遠は体育祭実行委員に立候補した。運動はクラスの中でもビリを争えるほどに出来ない。しかし、体育祭への熱意は誰にも負けない!何にでも一生懸命!それが斉木久遠という少女である。
放課後。今日はこれから1回目の体育祭実行委員の集まりがある。体育祭実行委員は各クラスに男女1人ずつ。久遠と同じクラスのもう1人の実行委員は
「
久遠は両腕で拳を握りながら堅井を見上げてそう笑った。
「うむ!共に頑張ろう!最高の体育祭にするぞ!」
「おー!」
2人の身長差は約40センチ。横幅も全然異なり、おまけに童顔と老け顔という、遠くから見たら大人と子供のようなペアであった。
PK学園の体育祭は組ごとに競い合う。
集合場所は3年
「遅くなりすみません!!1年
「同じく斉木 久遠です!よろしくお願いします!」
2人が教室に入って挨拶すると、既に来ていた先輩4人は快く迎えてくれた。
「大丈夫!まだ集合時間5分前だからね。僕たちが早く来すぎてしまったんだ」
そう優しい物腰で話しかけてきてくれたのは以前、楠雄とドッジボールで同チームだった赤髪の男だった。
(あ、くーちゃんと同じクラスの人だ。半ケツの……)
「僕は2年
ハキハキと大きな声でそう自己紹介した灰呂を始めに、改めて6人で自己紹介をする。
「斉木久遠です!運動は苦手なのですが体育祭への思いは負けません!どうぞよろしくお願いします!」
最後に久遠が自己紹介すると灰呂が尋ねた。
「斉木?もしかして君には兄弟がいたりするかい?僕のクラスにも斉木君という熱い男がいるんだ!」
「はい!灰呂先輩と同じクラスに兄がいますよ!」
(くーちゃんが熱い男………??)
「そうか!斉木くんにはいつもお世話になってるよ!改めてよろしく!!」
そう言ってキラキラした笑顔を向けてきた灰呂に久遠はとびっきりの笑顔で「こちらこそ!」と答えた。
(くーちゃんにこんな優しそうなお友達がいたなんて!帰ったらパパとママに教えてあげなくちゃ!)
「じゃあ
3年巛組の女子生徒がそう言ったのを皮切りに、次々と体育祭スローガンが提案される。
「巛組!燃えて灰となれ!なんてどうですか?」
灰になってはダメなのでは?
「ウルトラスーパーファイアー巛組!参上!!とかかっこいいと思います!」
スローガンっていうか名前である。そしてダサっ。
「皆で仲良く頑張ろう!なんて無難過ぎるかな…?」
捻りの<ひ>の字もない。小学生でももう少し良いのを思いつきそうだ。
「
まるで某三刀流剣豪の技名みたいだ。意味もよく分からないしアウト!
なかなか良いスローガンが決まらない。皆でうーんとうなっていると灰呂がガタリと立ち上がって言った。
「
自信満々に言った灰呂のスローガンはなかなかみんなに好評だった。
「ネバギバかぁ、語呂が良くて良いかもねぇ、」
「おー!いいですね!ネバギバ!」
「賛成です!」
(なんだか納豆みたい…!)
こうして巛組のスローガンは[
「それから、当日来校するPTAの方々のおもてなし係を1人決めなきゃいけないのですが、誰かやってくれる人はいますか?」
その言葉に誰も手を挙げなかったので久遠は手を挙げた。
「私やります!」
「ありがとう斉木さん!よろしくね、」
久遠は皆がやりたがらない係などは率先してやるタイプなのだ。しかし久遠には誰かをおもてなしするに当たってひとつ疑問を持っていた。
「あの、誰かをおもてなしするのなんて初めてなのですが、[うら]はあるのでしょうか?」
そんな久遠の言葉に一瞬シン、となる教室。一体何を言ってるのだろう?と各々の頭にハテナが浮かぶ
「えっと、[うら]ってなんのことかな?」
「え?あの、
(((いや、言葉遊びじゃないんだから…)))
みんなは一瞬ボケたのかと思ったが久遠の顔は至って真剣である。本気で疑問に思っているのだ。
ここで普段からド天然かましてる久遠を知るクラスメイト堅井が久遠に教えてあげる。
「あー、斉木さん、おもてなしはもうそういう名前だから基本うらはないんだ。でも一説によると[裏があるからおもてなし]っていうらしい。あくまで一説だが」
「あ、そうなんですね!ありがとう堅井君!堅井くんは物知りですね!」
この子はこれまでの人生、どうやって生きてきたのだろう。そう思う一同であった。
(斉木くんの妹、斉木久遠…。体育祭に
◇◇◇
今日は体育祭当日。今日まで沢山頑張ってきたのだ。優勝目指して頑張ろう!!
私は少しの緊張とワクワクを胸に辺りを見回す。
すぐ近くでは2年巛組が灰呂先輩の掛け声に続いて気合を入れていた。その後方にはくーちゃんもいる。
「いいかみんな!目標はただ1つ!優勝するぞぉぉー!」
「「「「おおおおぉぉぉ!!」」」」
「ネバギバ!巛組!!」
「「「「おおおぉぉぉ!!」」」」
どうやらくーちゃんのクラスはやる気満々のようだ。うちのクラスでも後で掛け声をした方がいいだろうか。きっと堅井君なら大きな声でみんなを鼓舞してくれるに違いない。
そういえばくーちゃんは本当は体育祭を休もうとしていた。しかし、
「だめよ!ちゃんと行かなきゃ」
「そのためにビデオカメラだって買ってきたんだから!」
というパパとママの引き止めにより、今朝はちゃんと学校に向かっていた。私もくーちゃんが体育祭に参加してくれてうれしい。実行委員として今日まで頑張ってきたのだから皆で切磋琢磨したいのだ。
パパがせっかく新しいビデオカメラを買ったらしいので、ちゃんといい所を撮ってもらわなくては!
◇◇◇
「最初のプログラムは、男子100メートル走です」
アナウンスが入り、私は校庭に注目する。100メートル走にはくーちゃんが出るのだ!
保護者席を見ると最前列でカメラを構えているパパとママが見えた。大声で応援している。私も応援しなくては!!
「いけー!くーちゃん!!頑張れー!」
「誰か知り合いが出ているのか?」
くーちゃんを全力で応援していると隣にいた堅井君が声をかけてきた。
「うん!私のお兄ちゃんが出てるんだ!ほら、あそこ!」
そう言ってくーちゃんを指さす。
「あぁ、灰呂先輩が言っていた熱い男か!!」
くーちゃんって熱い…かなぁ?もしかしたら学校では意外と熱い男なのかも……。確かに結構負けず嫌いだしなぁ、
小さな頃からもう1人の兄をこてんぱんに負かしていたのを思い出して苦笑いする。
くーちゃんの方を見るとちょうどこれから走る所だった。ピストルが鳴り響いてスタートを知らせる。
「位置について、よーい」 パァン!
いっせいに走り出した人達は皆足が早くてびっくりしてしまう。すごいなぁ。私は足が遅いので憧れるなぁ。
くーちゃんは初めは2位だったのだが途中で3位になりそのままゴール!すごい!昔は上手く走る速さを調整出来てなかったのに今ではもう完璧だ!
今では走るだけじゃなくてボールを投げるコントロールもできるようになったと言っていた。そういえば小さい頃だが、一時期夜外に出てはボールを投げる練習をしてたっけ。くーちゃんが言うには毎日白球を300球投げ込んでいたらしい。
それにしても今くーちゃんと一緒に走った人は皆凄く早かったなぁ。
「続いてのプログラムは、男女ペアによる二人三脚です」
二人三脚には確かやっちゃんが出るはずだ。放課後にペアの鈴村君とたくさん練習していたのを覚えている。
頑張れ!やっちゃん!!鈴村君!
結果は見事2位!出だしで少し遅れてしまったけれど、途中で追い上げて見事2位を獲得した。お疲れさま!やっちゃん!
次は借り物競争。私が出る競技だ。比較的運動のできない私は少しでも運動音痴をカバー出来る競技を選んだのだ。
今日のために1ヶ月間毎日走り込んだ。パパとママだって見てるしカメラも構えている。くーちゃんだって見てくれている。クラスの皆にも貢献したい!
いざ、努力の成果を見せる時!!
「位置について、よーい」 パァン!
ピストルが鳴ると同時に走り出す。重心は少し前気味に。大きく手足を振って視線は少し先の地面。……いける!!
しかし現実はそう上手くいかない。一緒に走っていた人達の背中がどんどん遠ざかる。
分かっていた。昔から自分は努力しても人並みに届かない。それでも、やっぱり少しは悔しい。
その時、右足が左足に絡まって顔から思いっきり転んでしまった。
「ぶへっ!」
痛い。鼻も手のひらも膝も、全部痛い。前の人はもうお題の紙を持って動き出してるのに。涙が出そうだ。
その時私の脳内に声が響いた。
『まだ勝負は終わってないぞ。諦めたらそこで試合終了だ』
どこかで聞いたことのあるセリフ。それが今の私にはよく響いた。
そうだよね、私は昔から何をやってもダメダメで、くーちゃん達みたいにいっつもできなくて。でも努力と粘り強さだけは人並み以上なんだ。
まだ諦めるな!これは借り物競争なんだから紙を手に入れてからが勝負。ありがとう、くーちゃん!
私は1番遅くに地面に置かれた紙を手に取った。紙を開くとお題が書いてある。その書いているものを持ってゴールすればいいのだ。が…
[赤い包帯]
………赤い包帯!?そ、そんなピンポイントで学校にあるかなぁ、、。
私は少し困った顔をして辺りを見回した。普通の包帯ならあると思うけど、赤い包帯…。
血で染まった包帯ということなのかな。それとも白い包帯を赤く色付けたもの?もしくは元々赤い包帯があるのかもしれない。
うーん、よし。困った時はくーちゃんだ!くーちゃんに赤い包帯を出してもらうつもりは無いけれど、場所のヒントを貰うくらいなら良いだろう。
私は自分の中の全力疾走で2年巛組の場所へ向かう。擦りむいた手と膝が痛むし、鼻がジンジンするが気にしない!
「あ!いた!くーちゃん!」
くーちゃんを見つけたので大きく手を振って近寄る。隣には灰呂先輩がいてくーちゃんと話していた。
「本当に大丈夫かい?斉木くん!」
『大丈夫だ。問題ない』
「くーちゃん!どうしたの?何かあった?」
私の問いかけに答えたのは灰呂先輩だった。
「実はさっき、斉木君が倒れてしまってね」
「えぇ!くーちゃん、大丈夫なの?!」
『大丈夫だ。それより今は競技中だろう。お題は…赤い包帯か。それなら丁度あっちにいるぞ』
くーちゃんはそう言って少し離れたところにいる男子生徒を指さした。確かにその人は赤い包帯を両腕に巻きつけている。なんて偶然なのだろう!
しかし腕に巻いているということは怪我をしているということ。怪我人から包帯を貰うのはいかがなものか。予備とか持っているといいのだが。
くーちゃんのことは正直心配だが、くーちゃんが大丈夫というならきっとそうなのだろう。私はダメ元で赤い包帯を巻いている男子生徒の元に向かった。
「あの、すみません。借り物競争のお題で[赤い包帯]を借りたくて…。もし可能なら貸して貰えませんか?あの、予備とか持ってたらでいいんですけど。」
「フッ、この包帯は右手に宿りし忌わしい力を封印しているのだ。貸してやりたいのはやまやまだが、こんな所でこの力を解放するわけにはいかない。あいにく予備もなくてな。悪いが他をあたってくれ。」
包帯の人は右手で顔を覆いながらそう言った。
………はっ!もしかしてこの人も超能力?!じゃあこの赤い包帯はくーちゃんの制御装置みたいなものだろうか。それなら借りることは難しいだろう
「それは危険ですね、、。すみません、ありがとうございました!」
私はお辞儀をしてその場を去ろうとしたのだがそこに待ったをかける男がいた。灰呂先輩だ。
「海籐くん。巛組みのためにも、どうか少しの間だけ貸してくれないかな。」
「いや、しかしこの包帯を外す訳には……」
「大丈夫です!灰呂先輩!包帯を外してしまって何かあっても大変ですし、他を当たってみます!」
私はもう一度お辞儀をしてその場を駆け足で去った。もしも無理して包帯を外して力が暴走してしまっては大変だ。しかしどうしよう。赤い包帯は見つかりそうにない。もう既に2人ほどゴールしてしまっているし、巛組のみんなには申し訳ないが、もう諦めるしか……じゃない!諦めたらそこで試合終了!さっき最期まで諦めずに頑張るって決めたじゃないか!
そう思っていた時だった。ふと前を見ると右手に赤い包帯を持った女子生徒が突っ立っていた。こんな丁度よく赤い包帯を持っている人が目の前にいるなんて、ものすごい偶然だ。今日は運がいいのかもしれない。
「あの!借り物競走で赤い包帯を借りたいのですが、その包帯を少しだけ貸して貰えないでしょうか?」
「え?あぁ、どうぞ。なんか気づいたら手に持ってて…。丁度どうしようかと思ってたの。返さなくていいよ」
そう言って渡された赤い包帯を両手で受け取る。
「ありがとうございます!!」
本当になんてラッキーなのだろう。きっと今日はハッピーデイなのだ。私は満面の笑みでお礼を言って深々とお辞儀をしてから全力疾走でゴールまで走った。結果は4位。もう1人はお題の物が見つけられなくて最下位になってしまったようだ。ちなみにその人のお題は[気になる異性]。確かに一番ハードルの高い、何とも借りづらいお題だ。
お昼休憩の時間にはなんとあの話題のマジシャン、蝶野雨緑さんのマジックショーがあるらしい。
すごい!服の中から白い鳩が飛び出してきた!あれは超能力とかじゃないんだよね?凄いなぁ!全然仕掛けがわからない。もしかして本当にくーちゃんみたいな超能力者だったりして…。さっきも赤い包帯で力を封印してる能力者がいたし。零太さんも幽霊が見えるし。案外能力者は結構いるのかもしれない。もう1人の兄も頭が良すぎて、私からみたらもはや超能力者みたいなものだし。
以前本人にそう言ったら苦虫を潰したような顔で「僕は所詮凡人だ」と言っていたっけ。
お昼ご飯はママが作ってくれたお弁当!蓋を開けるとそこには私を再現したと思われるおにぎりが!しかも卵焼きには海苔で[おんちゃんファイト!]と書いてあった。
「うわ!こんこんのお弁当すご〜い!」
「えへへ、ママが作ってくれたんだ!」
きっとくーちゃんのお弁当も同じように凝っているのだろう。ちょっと見てみたかったな。
午後の部は団体戦がメイン。一年生は台風の目である。私は棒が足元を通るときにいつも引っかかってしまいみんなに迷惑をかけてしまうのだが、とある作戦を実行してからは引っかからずスムーズに越えれるようになった。その作戦はズバリ、引っ張ってもらう!!
…………人任せの作戦で本当にお恥ずかしい!申し訳ない!
練習の時にいつも引っかかってしまう私を見兼ねて、堅井くんが跳ぶ時に私の腕を上に引っ張ってくれるようになった。堅井君は身長も高くて力も強いので腕を引っ張られると私は簡単に宙に浮いてしまう。そのおかげで私は棒に引っかかることがなくなったのだ!
堅井君!ほんっっとうにありがとう!!!
台風の目の結果は1位!ものすごく嬉しい!
くーちゃん達2年男子は綱引きだった。くーちゃんのクラスはとても強くて相手クラスが綱に引っ張られて宙に舞ってしまうほど。…‥くーちゃんじゃないよね?
その後は玉入れをしたり、騎馬戦をしたり、大玉転がしをしたり。
そしてついに最後の種目。クラス対抗リレーが始まった。一年生のクラス対抗リレーは一番最初だ。私が走るのは真ん中よりちょっと前くらいの順番。私の前後は足の速い男の子で固めてもらった。………面目ない。
巛組み第一走者はクラスで2番目に足の速い速水君。そして第二走者はなんとみはりんだ。実はみはりんはとても足が速い。この間一緒に走った時にはまるで風のようだった。
私にバトンが回ってきた時、巛組は2位。なかなかいい順位。私はバトンを受け取って一生懸命走った。それでもやはり抜かされてしまって、次の子にバトンを渡した時は4位になってしまっていた。悔しいし、悲しいし、何よりクラスのみんなに申し訳ない。クラスの皆んなは優しいから「おつかれ!」「転ばなくてよかった!」「思ったより早かったよ」と言ってくれるが、私はそれをそのまま受け取れるほど素直じゃない。
しかしここで落ち込んだって何も変わらないのだ。私は息も整っていないまま巛組を応援した。みんなの足を引っ張っている分、誰よりも全力で応援したいのだ。明日声が枯れたって構わない。私は全身全霊、大声で巛組に声援を送った。
最終的な結果は3位。正直嬉しい順位だけれど、やっぱり悔しい。自分がもう少し早く走れれば、と思わないわけでもない。それでも、皆んなで同じ目標を持ち、切磋琢磨して出した結果だ。たくさん練習したし対策も練った。全力で戦った結果である。やっぱり体育祭は凄く楽しいなぁ!!
その後は2年生のクラス対抗リレーだった。走っている人の中に見覚えのある人がチラチラいて、見ていてとてもドキドキハラハラした。
あ!さっきの赤い包帯の人だ。第一走者なんてすごいなぁ。頑張れ!!
あれ?あの少し変わった走り方をしている人は以前ビーチで会ったりきさんじゃない?同じ学校だったんだ!っていうか16歳?!りきさんが走り始めてビリから一気に1位に!足はやっ!!
あ、照橋先輩だ!凄く綺麗な人でうちのクラスでも有名人。みはりんがよく照橋さんの話をしているのが印象に残っている。それにしても可愛いなぁ。
そしてついに残り2人。アンカーはくーちゃんみたい。そしてくーちゃんの前が灰呂先輩だ。今、灰呂先輩にバトンが渡った。その瞬間、灰呂先輩が思いきりこけてしまった。……半ケツを出して。
って、灰呂先輩!!大丈夫ですか?!
灰呂先輩はすぐに立ち上がって走り出す。とても足は速いが、やはり追いつけずに最下位のままくーちゃんにバトンが渡った。
くーちゃんならきっとここから1位になるのなんて簡単にできる。でも、そんなことしたら目立ってしまうし、そんなことくーちゃんは望まない。きっと最下位のままゴールするだろうな。わかっているけど少し悔しい。
しかしそんな私の予想を大きく裏切って、くーちゃんはとてつもないスピードで走り出した。前の人たちを一気に抜いてあっという間に1位になってしまう。
え、くーちゃん?!!
くーちゃんはそのままゴールテープを切ろうとした。しかしその時、くーちゃんはまるで地面に引き寄せられるように前に転倒してしまった。
くーちゃぁぁぁぁぁん?!!!
◇◇◇
体育祭から一夜明けた朝。久遠は家を出ようとする楠雄に声をかけた。
「くーちゃん、その坊主あたま似合ってるよ!」
楠雄はその言葉に少し顔を顰めて家を出た。
体育祭で負けたら全員丸刈り。そんな約束を
楠雄や灰呂、海籐、燃堂の4人は皆んなしっかり丸刈りあたまにしてきたようだ。しかしなんと、教室に入ると、他の男子は丸刈りにしていなかった。
「おはようみんな!‥‥丸刈は?」
灰呂が元気な挨拶と共にこぼした疑問に、クラスメイトの木下が答える。
「あれは+組に負けたらって話だろ?勝ったじゃんおれら。」
そんな木下の言葉に4人は言葉を失った。
「「「「おっふ」」」」]
わざわざ新しく買ったカメラは原作通り体育祭が始まる前に電池が切れてしまい、久遠の活躍も撮れませんでした。
目の前に偶然赤い包帯を持っている人が現れるなんて本当に久遠は幸運の持ち主ですね。その人も気づいたら赤い包帯を持っていたなんて、不思議な出来事もあるもんですねぇ。
楠雄をくーちゃんと呼んで親しそうにしている年下の可愛い女の子(久遠)を見て照橋さんは乱心してそう。
ぜひコメントなど気楽にして下さい!