SEED DESTINYに00要素を混ぜ込んでみたら、より一層gdgdになった件について   作:種再燃祭

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今回も00系新キャラの気配が……
今回はわりかし政治・外交ネタです。







第16話 事件?事故?まあ、悲劇と言えば悲劇 【挿絵入り】

 

 

 

 C.E.72年12月、オーブ国民がもうすぐやってくるクリスマスに正月に心躍らせる頃……

 世界を驚かす大事件、いや大事故があったのだ。

 それもユーラシア連邦と東アジア共和国で、だ。

 

 事の発端は、2ヶ月ほど前の事だ。

 地球連合は連名でオーブにある要求をしてきたのだ。

 虚飾を全て排して言うなら先の大戦で試験的に投入された次世代機関、”太陽炉”のサンプルを渡せと。

 

 もし、これがユーラシア連邦と東アジア共和国だけからの要求ならオーブはにべもなく断った事だろう。

 しかし、大西洋連邦コープランド大統領からホットラインで直々に、『緊張緩和(デタント)の為に頼む』と言われれば、オーブ代表首長ウナト・エマ・セイランも無碍にするわけにはいかない。

 

 ただし、代表首長とはいえウナトの一存で、供出できるような代物ではない。

 何しろオリジナルGNドライブだろうが疑似太陽炉(GN-T)だろうが、それは表向きはソレスタルビーイングの独占・独自技術ということになっているが……ウナトとて、ソレスタルビーイングの裏側に誰が居るのかくらいは心得ている。

 

 ソレスタルビーイングには一人を除いてメンバーが非公開の”理事会”、その唯一公開されている存在こそが理事長”リボンズ・アルマーク”

 言うまでもなく、リボンズはイノベイドの首魁で、そしてリボンズと”ヴェーダ”はセットだ。当然、非公開の理事会は金ぴか大使などは存在せず全員がイノベイド、しかも「肉体に思考を縛られる」のを嫌い受肉せずに”ヴェーダ”に引きこもってる者も理事にはいる。

 厳密に言えば、ウナトレベルでも、オーブ建国に大いに力を貸した、あるいはその歴史の裏側に潜む黒幕とも言える”刻を超える存在である先導者(イノベイド)”や”ヴェーダ”の存在は知っていても、その詳細、例えば”ヴェーダ”が本当は何処にあるかなどは知らない。

 どこの国にもある”禁忌”の部分、オーブにとってはそれがイノベイドにまつわることなのだった。

 

 その要求を聞いた時、ソレスタルビーイングの表看板(だいひょう)、つまりは”理事会(イノベイド)の窓口”であるカガリ・ユラ・アスハはさして面白くもなさそうな表情で、

 

 

【挿絵表示】

「ふ~ん……まあ、用法と約束を守ってくれるのなら、吝かではないさ」

 

 と呟いたあと、うっすらと笑みを浮かべたという。

 

 

 

 

 

 

 

⌚⌚⌚

 

 

 

 

 

 

 

 そして、地球連合の全権大使としてやってきたのは……

 

 

【挿絵表示】

「お初にお目にかかります、カガリ・ユラ・アスハ代表。王 留美(ワン・リューミン)と申します。お目通りいただき光栄ですわ」

 

 東アジア共和国屈指の資本家であり投資家である王家、その若き党首として名を知られた女性であった。

 神童、麒麟児、才媛……まあ世間的な彼女の評価はそんなところだろう。

 だが、物が物だけに交渉を一任されたカガリの第一印象は、

 

(女狐と呼ぶには獣臭が足りんな。いや、未熟と言うべきか? どうにも中途半端な印象だ)

 

 なんせリボンズを筆頭に曲者たちに慣れてるカガリにしてみれば、王留美を通して「小娘相手だ。似た年頃の娘を押し付ければ、付け入る隙もできるだろう」というこの役目を命じた国家上層の意思が透けて見えるあたり、まだまだというところだ。

 

(もっとも、この娘は自分で売り込んだ臭いがな。一体、いくら袖の下に握らせたんだか……)

 

 そう思いながら貴賓室に飲茶を運ばせるカガリ。

 

「初めまして王特使。中華圏の礼儀作法には生憎と詳しくなくてな。茶でも飲みながら、先ずは親睦を深めようか?」

 

 好みか好みじゃないかで言えば、カガリの好みでは無かった。そもそもカガリは女ならば胸が薄い方が好みだ。

 いやそれ以前に政治的動物と対峙するなら、もっと獣臭さがある方がいい。よりスリリングな高揚を覚えるからだ。

 無害なら無害で愛でようはある。

 この王留美という少女、カガリの見立てだとそれなりに頭は切れるし腹も黒いのかもしれないが、どうにも底が見えて仕方が無い。

 

(胡散臭くあろうとするなら、もっと道化に徹するべきだな。そうすれば、それも一つの仮面として成立する)

 

 つまり陰謀にも悪徳にも染まり切っていない。

 

 そして、しばし様子見のとりとめのない会話が続き……

 

「では、”太陽炉”を都合していただけるのですね?」

 

「ええ。()()()()にそれぞれユニット化したサンプルを1()()()()贈りましょう。無論、無償という訳には参りませんが」

 

 王留美は、果たしてカガリが地球連合という言葉ではなくあえて”三大国家”、大西洋連邦とユーラシア連邦、東アジア共和国を示す言葉を使ったか理解しているだろうか?

 

「ただし守って頂きたい事柄がある。ああ、技術書は後でお渡しするので、貴殿の成果とするが良いでしょう。これから告げることの詳細は、そちらで確認してください」

 

 とカガリは軽く会話の主導権(マウント)を取ってから、

 

「この新型機関の骨子は電気の力でGN粒子と陽電子を同時生成するという物。そして、GN粒子の本質は変異光子、言わば重量子の一種と考えてもいい。王特使は癌治療などに使われる量子線照射治療や粒子線照射治療はご存知か?」

 

 王留美は頷くと、

 

「名前ぐらいでしたら。浅学非才な身の上ゆえ、詳しくはないのですが」

 

「細かい理屈は省きますが、GN粒子は本来、その延長線上にある毒性、再生医療を受け付けないレベルのテロメアを破壊したり細胞異常を引き起こす強い毒性があるんですよ」

 

「……えっ?」

 

 絶句する彼女に、

 

「無論、そんな危険な物をばらまきながら物を動かすことはできない。なので、オーブでは無毒化する技術を開発しています。ただし問題なのはそこでしてね」

 

 カガリは声を潜め……

 

「GN粒子の無毒化装置、言わば浄化装置と呼ぶべきものは制御装置とユニット化されたブラックボックスとなっています。お国に帰ったら、お仲間が変な色気を出さぬよう釘を刺しておいてください。リバースエンジニアリングしようなどと思い迂闊に開けると……まあ、そういうことです」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 まあ、当然のことながら、カガリが渡そうとしているのはオリジナルGNドライブではなく量産がそれなりに効く電気作動の疑似太陽炉(GN-T)の方だ。

 そして、それの引き渡し準備交渉がひと段落つくと……

 

「アスハ代表、公務はここまでとし、少々私的な……いえ、王家頭目としてお話ししたいのですが、どうでしょうか?」

 

「構わんよ。それと私の事はアスハ代表ではなく、カガリ代表と呼んでくれ。名字で呼ばれるのは、父と被るのであまり好きではないんだ」

 

 まあ、ウズミは今では()代表首長だが、政界からの全面撤退は退路を塞がれ成功しなかったので、アスハ代表と呼ぶと未だにウズミの事だとオーブでは認識されるようだ。

 

「では、私も留美と」

 

 そうすかさず距離を詰めてくる王留美。

 とはいえ、その程度で動じる精神性を生憎とカガリは持ち合わせていないが。

 

「わかった。それで話とは?」

 

「端的に申し上げて……資本家の王家として、是非ともソレスタルビーイングの投資に参加させて頂きたいのです」

 

(まあ、そんなところだろうな。王家を通じて、ソレスタルビーイングに影響力を持っておきたいというところか?)

 

「先に聞いておくが、歴史的背景からソレスタルビーイングがユーラシア連邦と東アジア共和国系資本からの投資を受け付けていないのはご存知か?」

 

「もちろんですわ。しかし、王家はワールドワイドに幅広い投資活動を展開する国際資本ですわよ?」

 

「そういう問題でもないんだが……まあ、要望としては聞いておこう」

 

 ”前向きに検討して”云々言われないだけ、まだ脈があると見て良いんだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、前作より楽しんで頂いている皆様には、もう冒頭の事件・事故のオチは見えたのではないだろうか?

 

 ”王留美特使の成功”と目される交渉の甲斐あって、事前に各国への資料提供と取扱レクチャー11月後半に大西洋連邦、ユーラシア連邦、東アジア共和国にそれぞれ1基ずつ電源部やGNコンデンサと一体化された”疑似太陽炉サンプル・ユニット”が有償供与された。

 

 そして研究所に搬送された12月早々……ユーラシア連邦と東アジア共和国で立て続けに大爆発が起きたのだ。

 案の定、原因はサンプル・ユニットをリバースエンジニアリング目的で分解しようとしたから。

 

 ブラックボックスをこじ開けたその途端、疑似太陽炉は暴走。過剰動作からの炉心融解……つまり、()()()()G()N()-()T()()()()()()()を起こし、通常の3倍以上の「毒性が一切無効化されないままのGN粒子」を撒き散らしながら自壊、そして一体化されていた電源部とはバックラーだけでなくGN粒子と同時生成される陽電子を用いた対消滅炉も含まれており……ポジトロニック・チェンバーからGN粒子だけでなく無指向性の陽電子も解放されたのだ。

 解放された陽電子は周囲の電子と対消滅を起こし、そして陽電子と電子による対消滅のエネルギーはガンマ線として放出される……オーブは電源部の詳細もGN-Tに付随するブラックボックスの一部として詳細情報は明かしていなかった。

 

 つまりは……この世界線では大幅に被害が縮小されたはずの”プルトーネの悲劇”が両国で再現されたのだ。それも原作のそれを遥かに上回る被害規模で。

 その被害は甚大であり、研究所に当時詰めていた研究者……だけでなくその周辺の人員全てが犠牲となったのだった。

 一般的な意味での放射線であるガンマ線はともかく、特異な高エネルギー粒子であるGN粒子の対処法など両国の研究者が知るはずもなく、だからこその結果だった。

 

 研究者や科学者を中心に大量の死者を出したこの大事故で、ユーラシア連邦と東アジア共和国はオーブに猛然と抗議した。

 無論、謝罪と賠償要求も合わせてだ。

 だが、

 

 

【挿絵表示】

「わざわざ小難しい理屈並べて危険だって警告までした上で開けるなって釘刺してんのに、勝手に開ける方がどう考えても悪いだろうが。むしろ、こっちが謝罪と賠償を要求する方だと思うが?」

 

 何食わぬ顔をしてるウナトの言葉から分かるようにオーブは一切、取り合わなかった。

 大西洋連邦はお行儀よく、普通に研究だけしていることと対照的な結果となったのだ。

 

 自業自得と言うことが体質的に認められないユーラシア連邦と東アジア共和国は、報復措置として『全ての太陽炉の自国への持ち込み禁止。それが破られた場合はオーブよりの宣戦布告とみなす』とすることを発表した。

 それが将来、どのような意味を持つか分からないままに……

 

 

 

 

 

 とりあえず、オーブとユーラシア連邦と東アジア共和国の関係は再び温度を下げ、

 

 

【挿絵表示】

「あの馬鹿ども……!!」

 

 オーブからの対抗措置として、公民を問わずユーラシア連邦と東アジア共和国に対する全ての交渉の無期限凍結が発表された結果、そのあおりで王留美の投資参入は見事に立ち消えとなったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳で、原作に負けず劣らずに金持ちなのに貧乏くじを引きやすい(?)ポジションの、この世界線では東アジア共和国人の”王留美”、華麗に登場です。
しかも初登場なのにイラスト×2付w
ただし、何度試してもシニヨンがなんか上手くいかなかった(AIパイセン、苦手なのかな?)のでツインテ仕様となっております。

いや、記念すべき初の東アジア共和国系00キャラ、王留美はきちんと成果は出したんですよ?
交渉で「オーブから太陽炉を有償とはいえ供与させる」事に成功したんですから。
彼女の手腕は高く評価されるべきでしょう。
その裏にどんなオーブの思惑があったとしてもw

やらかしたのは、欲かいてリバエンしようと分解を命じたユーラシア連邦と東アジア共和国の国家上層部ですしw

オーブはウナトの言う通り、「技術書まで交えて警告した」ので無問題です。
実際、勝手に分解せずに仕様書通りの取り扱いしてる大西洋連邦には問題発生してませんしw

しかし、それでも「(勝手に分解したことは棚上げし)不良品を寄越したオーブが悪い。謝罪と賠償!」と言いだすのがユーラシア連邦と東アジア共和国クオリティー。
いや~、中心となった旧国家の体質がしっかり継承されてますなぁ~w

そして、とばっちりで当分ソレスタルビーイングに関われなくなった留美ちゃんでした。
とりあえず、種と00を作品の垣根を超えた絡みは書いてて楽しいw

さて、次回は12月っぽいネタでも入れてみようかな~と。

どうか応援よろしくお願いいたします。




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