SEED DESTINYに00要素を混ぜ込んでみたら、より一層gdgdになった件について   作:種再燃祭

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復帰後最長、そしておそらく過去最長格のエピソードです。
そして、ミーアの続くもう一つの別れ……おそらく、大きな区切りであると同時にこの章、プロローグのエンド・エピソードになります。

作中の三人が揃うシーンはあっても、決して原作では描かれないだろうエピソードを盛り込んでみましたw






第30話 居酒屋にて ~かつて少年少女だった三人へ~ 【挿絵入り】

 

 

 

 こうして、ミーア・キャンベルは故郷(プラント)へと帰っていった。

 そして、順番は回ってくるのだ……

 時の流れは無情だ。人間の都合などお構いなしに過去から未来へと流れてゆく。

 

 

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「そうだよね。アスランも帰っちゃうんだね……」

 

 ここはオーブが誇る軌道エレベーター”アメノミハシラ”、その静止衛星軌道高度にある大規模宇宙港、展望機能があるその特別室だった。

 

「キラ、そんな顔をするなよ。帰り辛くなるだろ?」

 

(やれやれ。情が深いのは相変わらずか……まあ、それもキラの美徳なんだがな)

 

 言うまでもなく、キラ・ヤマトとアスラン・ザラは幼馴染で親友だ。

 元々のキラが依存心が強めなところも影響しているが……基本的にキラは寂しがり屋で、人肌は恋しくなるタイプだ。

 それを言い方を変えれが情が深いということになる。

 あながち間違いでもないのは、元婚約者のラクスや元同僚のニコルは見送りに顔すら出していないあたりだろう。

 

 ラクスの場合、執着する範囲が狭いというか……アスランが漢、いや性別上の男である以上はまあ、この塩対応も頷ける。

 というか、オーブという国家の最重要人物の一角であるラクスやカガリがわざわざ見送りにきたら、それはそれで面倒が予想される。

 何しろ見るからに目立つ2人だ。

 そういう意味では『戦場でのウルトラエースパイロットの一人だが、モビルスーツ開発分野ではもしかしたらそれ以上のエース』であるキラも不味いのだが、幸い彼はカガリやラクスに比べれば露出は少なく、軍も情報を出していないので一般市民でキラを知る人は少ないだろう。

 まあ、間違いなく人知れず護衛は付いているだろうが。

 

 ニコルに関しては、メイド三人を(全裸率高めで)侍らせた「アスランのハーレム御殿」での私生活(捕虜生活か? アレは)の爛れっぷりを目の当たりにしてウンザリしていたようなので無理もないと言えば無理もない。

 ああ見えて、ニコルは女性関係に割と潔癖で愛妻家だ。

 まあ、あんだけ美人の姉さん女房を娶った本人にしてみれば、複数同時攻略やら複数プレイやらは考えも付かないのだろう。

 嫌悪する訳ではないが、仕事の忙しさや交際やら結婚やらで、何となくニコルはアスランと距離をとってたっぽい。

 

 

 

 さて、アスランの出国は秘密裏にアメノミハシラの宇宙港ステーションの特別室から秘匿されたチャーター船で直接”ボアズ”へと向かうらしい。

 現在のボアズは、オーブが一時的に占領(所有管理)していたそれを、オーブの出先公共機関が入ってる区画を除き”ターミナル”のフロント企業とザラ家が出資して買い戻した形となっている。

 まあ、アスランを取り巻く政治的状況や立ち位置から考えてプラント本国へ戻すのが危険すぎると判断された為の苦肉の策だった。

 今後、ボアズはアスランと同行する三人のメイドの愛の巣……もとい。居住区画以外は、フロント企業を隠れ蓑に”ターミナル”や”ファクトリー”が運用する予定であるらしい。

 

「これで今生の別れという訳でもあるまいし、キラ、次に会う時まで元気でな」

 

 気を利かせたのかアスランお付きの前述のメイドトリオ、

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”アンジェリカ・アンデルセン”

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”ブリジット・ベルリネッタ”

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”チェルシー・チェスター”の三人は荷物共々既にチャーター船に乗船しており、今はキラとアスラン、二人だけの別離の逢瀬となっていた。

 

「アスランこそボアズ(むこう)でも元気で。あんまり羽目を外したらダメだよ?」

 

「言ってくれるな? 既に女房と二人の子持ちに言われたくはないんだが」

 

 キラは”夜のハイマット・フルバースト”も得意だし。

 

「でもね、アスラン……僕のお相手は、マリューさん一人だけだよ?」

 

 別れ際正論パンチを繰り出すキラだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、当然のように大きな波乱もなくアスランとお付き(&お手付済み)のメイドトリオを乗せたチャーター船は出航し、一路ボアズへ向けて旅立った。

 そして軌道エレベーターの麓、人工島でもクニノミハシラ島で待っていたのは……

 

「キラ、別れはちゃんと済ませたか?」

 

 太陽光発電公社”ソレスタルビーイング”の社用のリムジンに乗っていたのは、カガリであった。

 

「うん。”姉さん”」

 

 車に乗り込み、周囲に余人がいないのでプライベートな呼び方に変えるキラ。

 この二人の絆は、原作よりずっと強いのだろう。少なくともカガリの同性の恋人であるラクスが、キラに高強度のシスコン疑惑を持ち警戒する程度には。

 

「随分と浮かない顔をしてるな?」

 

「まあ、そりゃね」

 

「仕方のない奴だ」

 

(ラクスもミーアがいなくなって空元気状態だしな)

 

 実際にミーアロス・シンドロームのプチダウナー状態らしい。

 まあ、いつかこうなることを分かっていても、やはり手塩をかけて育てた”愛弟子”との別離は、やっぱり寂しい物なのだろう。

 出会いと別れの経験が少ない若いうちは特にだ。

 

「ラクスも誘って飲みにいくか? おごってやる」

 

 現在日本の法律なら完全にアウトだが、オーブでは16歳から成人扱いなので問題ないだろう。おまけにカガリ、キラ、ラクス三人そろって社会人だし。

 そもそも国民総医療用(メディカル)ナノマシン・インプラント処理が義務付けられているオーブで、いかに未熟な体でも急性アル中、ましてや(致死性毒物とナノマシンに判断されれば最優先で強制分解が始まるので)重篤化して死亡ってのはほぼ有り得ない。

 旧宗旨国(にっぽん)の国費を食い潰した医療費の高騰を抑止する切り札であるだけに、そのあたりの技術は信用してよい。

 

 

「いいの?」

 

「たまには、こういう憂さ晴らしもいいだろうさ。帰りも送ってやるが、マリューに遅くなるって連絡入れておけよ?」

 

 なんのかんの双子の弟に甘いカガリであった。

 キラが奥方に連絡を入れている間にカガリはカガリで、

 

「ああ、カガリだ。急で悪いが、今から(飲める場所の)個室がとれるか? 『ちょっとお高めの割烹居酒屋』なら個室ではなく貸切が可能? ああっ、あそこか……そこでいい。というか、あそこは別に高くはないだろう? 相場だ相場。それにラクスやキラの歳ならまだ物珍しいだろう。リラックスして愚痴を吐き出すなら、逆にそういう場所の方がいいかもしれん」

 

 流石に脳量子波通信ではなく携帯端末で連絡を入れたようだ。どうでも良いが何やらカガリは行きなれてる雰囲気がある。

 まあ、社会人歴は歳の割には長いし。

 

 そして場所が決まったところでラクスにも連絡を入れ、自分とキラは直行。ラクスとは現地合流と相成った。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 その居酒屋、落ち着いた店構えの屋号は、”(のぶ)”。

 なんか異世界にも客層やら常連やらを広げてそうな名前だが、別にそんな事はない。

 ただし、今よりもっと店がこじんまりしていた時代、据え膳し過ぎた当時の看板娘に警戒心の薄めの大将が食事処らしく見事に喰われ、でき婚した末に彼女は看板娘からジョブチェンジして今は女将さんに収まってるらしい……なんてオーブではありがちなエピソードがある。

 何故か心のどこかで、「ああ、あの元家出娘は本懐を遂げたのか……」と思ってしまう。

 

 それはさておき……どこか”都会の隠れ家”的というか、良い雰囲気を演出する為に良い感じに適度に照明が落とされたその店内の一角に、

 

 

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「カガリ、お待ちしておりましたわ♡」

 

 上品に、だけどどこかコケティッシュにちょこんと座って待っていたのはラクスだった。

 店の雰囲気に合わせて和装っぽいが、これを和装と呼ぶには足を出し過ぎな気もする。

 もっとも赤道すぐそば(原作より領土拡大を続けてソロモン諸島やビスマルク諸島、それに加えてニューギニア島東部)の立地で、年がら年中ビーチで海水浴ができる年間平均気温25℃超えのオーブでは、ミニスカ&足出しは少なくても20代まではデフォという文化圏なので、和装も順当な変化と言われればそれまでだ。

 21世紀現在のリアル日本でさえもミニ浴衣とか普通にファッション・アイテムとして存在してるし。

 

「僕もいるんだけどなぁ」

 

 と少し不満げなキラに、

 

「あら? ちゃんと見えてますわよ?」

 

 クスッと笑ってラクスは返した。

 

 

 

 さて、予想通り飲み会はキラの寂しさを吐露する愚痴から始まった。

 まあ、カガリ的にはそれがそもそもの目的なので計画通りと言えば計画通りだ。

 

 

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「そりゃあ僕だってこんな日が、いつかアスランが帰る日が来るってのは知ってたし、納得もしてたけどさぁ……でも、わざわざプラントに帰る理由ってなんなんだよぉ。ザフトなんてのを生み出したプラントなんて、絶対にロクな場所じゃないのにさぁ」

 

 上着を脱いでリラックスモード。ほろ酔い気分で、ある意味、絶好調に愚痴を吐き出すキラ。

 ちなみにオーブに限らず地球上では、”(少なくとも旧ザラ派は)ザフトは地球人類滅亡を目論んだ邪悪な宇宙テロ組織”という認識で安定していた。

 まあ、この認識も地域によってかなり温度差があるのだが……

 

 

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「それが政治ってもんだ。まあ、今は飲め。飲んで全てを吐き出しちまえ」

 

 一応、致死性などの人体に明確な悪影響がでない限り、メディカルナノマシンのブースト体内アルコール強制分解は発動しないので、酔うこと自体はできる。

 何というか……飲兵衛たちの流した血と汗と涙と酒精がうかがい知れる。

 ちなみにナノマシンの処理限界を超えて飲もうとすると、ファイルセーフ機能の一種として意識の強制シャットダウンが起き、体内ナノマシンから自動でエマージェンシーシグナルが出るとか出ないとか。

 体内ナノマシンは常時モニタリングなので、あながち噓ではないのかもしれない。(なので一定以上の血中アルコールが検出されると、体内ナノマシン連動生体キーが義務付けられてるオーブの自動車は動かすことができないらしい)

 

 

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「キラぁ、湿っぽいですわよぉ~。大体、なんでアスランにそんなにこだわるんですのぉ?」

 

 どうやらこっちもほろ酔い加減らしいラクス。どうやら酔うと更に陽気になるタイプらしい。

 ラクスのくせに何だか少し色っぽいぞ。

 

「だって友達だし。幼馴染だし」

 

「にゃはっ♪ さしずめ”(キラ)は友達が少ない”ですわねぇ~」

 

 酔ってるようで割と的確にキラのメンタル的急所を刺してくるラクス。

 実際、同じ性別に限ってもニコルとは職場で顔を合わせることの多い友人だし、シンは可愛がってる弟分。

 オルガ、クロト、シャニの『カガリの舎弟トリオ』も友人枠で良いと思う(何しろ彼らがオーブ滞在中は、ニコルも加えて休暇に一緒に遊びに行ったりバーベキューしたりしてるし)が、異性ならピーリスも友人かもしれないが……大体は仕事絡みだ。

 そう考えると別に少ないとは思わないが、まあ世間一般でいう『普通の友人』とやらはアスランくらいかもしれない。

 いや、むしろ思い出を共有できる幼馴染としての方が比重が大きいか?

 ちなみにラクスは絶対に人のことは言えない。

 

「うっさいよ。というかラクスは逆にどうしてそんなにスッパリしてるのさぁ……元とはいえ婚約者だよね?」

 

「いわゆる『親の決めた許嫁』ってやつですもの。わたくしの初恋は間違いなくカガリですわぁ♡ だって一目惚れですもの♡」

 

 一説によると原作では、ラクスには(かなり眉唾物の技術だが)『ペアであるオルフェ・ラム・タオと惹かれ合うように遺伝子レベルプリセット』されていて、同じく原作でキラに一目惚れしたのは、キラとオルフェが似ていたために誤動作した(バグった)かららしい。

 確かに遺伝子の「子供ができやすい相性」で婚姻統制するようなコーディネイターだから、こんな仕込みをしててもおかしくはないが……

 

 それを言うなら、キラよりもルックスならカガリの方がよっぽどオルフェに似ている。

 劇場版公開当時はよく言われたネタではあるが、「オルフェを女体化すればほぼカガリ(逆もまた言える)」、まあカガリはナチュラルなので、あるいは女性なのでという部分があるかもしれない。

 

 ちなみにこの世界線のラクスが「女好き」なのは先天なのか後天なのか不明だが、『オルフェに惹かれる』というDNA地雷トラップが仮にあったとしても、それはきっかけに過ぎない気もする。

 

 断言するが、オルフェたちアコーディオン、もとい。アコードは確かにヒューマンの中ではつよつよな超人で精神感応系超能力かもしれないが、それでも人類の範疇だ。

 だが、そもそもデフォで脳量子波を自在に使えて、情報系でさえコーディネイターを凌駕する……ごめん。一部の情報系は戦闘系も凌駕する”イノベイド”なんかがいる世界でどこまで優位性を言い張れるのか身物ではある。

 もしかして、アウラが妙にイノベイドを嫌ってるような気配がするのは、まさか……

 

 それはともかく、カガリはどちらかと言えば『人類という枠組みの淵につま先立ち』してるような存在だ。

 本人曰く情報型イノベイドに近いナノマシン調整(成長に合わせて段階的に致死量ギリギリのナノマシン投与)をしているが、”演算リソースを戦闘力に転換できる”タイプで、ぶっちゃけモビルスーツ戦でも肉弾戦でも標準的な()()()イノベイドに普通に勝てる。

 そもそも、その並列処理される膨大な演算処理能力をフィードバックできるフィジカルが人外領域のような気もするが……

 少なくとも『フィジカルお化け』枠だが成長途上のシンも、何やらハイスペックなのに残念臭がするオルフェも現状では相手にもならない。

 

 名状し難いが……漢とか女とか些細なことで、ラクスは鋭敏な”生存本能的嗅覚”でカガリを選び抜いたような気がしてならない。

 

(なんか二人そろって妙に酒に弱いな)

 

「ラクスは大丈夫か?」

 

 と一方、酒豪というかザルな印象があるカガリ。

 酒量がそれほどではないが、顔色一つ変えないのは流石だ。

 

「ミーアさんのことですの? まあ、世の中どうにもならないことがあるくらい、しってましゅわよ?」

 

 ちょっと言動が節々で怪しいが、さすがはカガリの嫁を自称するだけあり、頭がアルコールで多少回ってなくとも、カガリが言わんとすることはキッチリ読み取っていた。

 

「それにそのうち、ミーアさんの活動にきゃんしてプラントにいかなきゃなりましぇんかもね~」

 

 

 まあ、無礼講の飲みの席でこれ以上の分析も無粋なものだ。

 今は、かつて少年少女だった三人の、今は「否応なく大人になってしまった」三人を暖かく見守ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳で素面一名&軽度の酔っ払い×2のエピソードでした。
まあ、カガリはザルっぽいですが、キラもラクスも虹色リバースするまでは飲まないでしょう。
というか、そうなる前に二人とも酔いつぶれて寝そうですw

アスランとの別れっていうのは、原作本編に続く大きな区切りであると同時に、原作と大きな乖離を引き起こす要素でもあったりw

それにちょっとずつ伏線入れてたり……
酔っぱらったラクスが意外とお気に入りですw
まあ原作ではまずキャラクター的に描かれないでしょうし、キラは酔うと普段は口に出さない溜め込んだものを吐き出すタイプで、カガリは姉心を発揮して定期的にガス抜きさせるタイプかな~と。
作中にもありましたが、キラが割と分かりやすいシスコン気味なので、カガリはキラにどこか甘い。
本当に可愛い弟なのでしょう。

カガリ:「女房子供二人持ちの男に可愛いというのはどうかと思うが……まあ、男は歳をくってもいつまでも子供というしな」

ラクス:「やっぱりカガリはキラを甘やかしすぎだと思いますわ! だからいつまでも姉離れできないんじゃないですの?」

カガリ:「まあ、キラだしな」

この世界線のキラ、絶対にダウナー燃え尽き症候群にならんだろうなぁ~。

まあ、チャプターエンドが綺麗に終わり過ぎるのもこのシリーズらしくないですしw

次回より新章、原作開始は作中時間で半年先とまだまだ先ですが、何やら大きく動き出しそうな予感ガガガ……

次回もどうかよろしくお願いします。
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