ジョジョなNPC(?)の黄金/漆黒伝説   作:鐘楼卿(ベル卿)ベルフェスティフ

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狩猟/遭遇 猫は特定の条件下において液体である

孤児院から逃げ走って十数分。町の外に出て俺はミストの一言のせいで遅れた初戦闘を体験していた。

 

「よっと!」

 

初戦闘。とはいっても、これでも一度は武闘派貴族の下で育ったのだ。狩猟は初ではないし、実戦経験もないことはない。

 

「これで終わりかな?」

 

俺がつぶやくと同時に背後からポリゴン体が崩壊する音が聞こえる。

 

〘まわ終わってないよ。気を抜かないように〙

 

「ああ、一匹残ってたのか…っぱあそこで才能無いって言われただけのことはあるねぇ、俺」

 

〘ま、君に正面からの戦闘はハッキリ言って向いてないだろうね。できないこともないけど上手くもない。もう少し霧の能力を活かしてみたらどうかな?〙

 

ミストは自慢げに霧を両手から出してそう言う。

 

「あー、暗殺的な?」

 

〘そうだね〙

 

暗殺かぁー…まぁそっちの方が勝てそうだしいいか!

 

「了解。んじゃ、試してみるか!」

 

そして俺はちょうど近くにいたヴォーパルバニーに向けて霧を出す。

 

霧の濃度はホワイトアウト級。一寸先は白であり、自分の手足すら見えないレベル。

 

霧にまかれたヴォーパルバニーは異様な状況に気付き、首を伸ばして辺りを見渡す。

 

(じゃ、隠密行動スタートだ!)

 

(視界は共有でいいね?目の位置は同じになるようあわせておくし、意のままに動くが、可動域が普段より広い。霧は無視できるが、混乱するなよ?)

 

(わかってるって!)

 

そうして俺は霧の向こうを見通す。

 

広がった視界の端にヴォーパルバニーを見つけ、早速こっそりと近づく。

 

「やっ!と、あれ?」

 

確実に当たる軌道だった片手剣をヴォーパルバニーは避ける。

 

「は?なんで避けれんだよ?」

 

もう一度返しの刃をさらに早く振れば当たりはするが、それでも少しかするだけ。。

 

「だぁぁー!何が起こってやがるんだ!」

 

〘…君に剣の才能がないんじゃないのか?〙

 

「地味に酷いことをしれっと言うんじゃないよ!」

 

ヴォーパルバニーが逃げていくのを尻目に俺たちは走って離れて口論する。

 

「と言うかよ、なんで明らかに見えてない状態から避けてくんだよ!おかしいだろ!」

 

そう叫ぶとすぐに近くの地面が黒ずんでいくのが目に入る。

 

「地面が…!」

 

その地面の中から黒スーツがぬるりと出てくる。

 

「それは殺意…相手を殺さんとする意思である」

 

「…アンタ、年食ってそうなのにいい動きするじゃねぇか。どこから出てきやがった??」

 

黒スーツの顔部分から立派な白いフワフワが見えることから俺は老体と予想してそう問いかける。

 

「儂は暗殺ギルドの総帥だ…此度は、お主に見どころがあると感じて勧誘を行いに来たのだが…」

 

「ギルドの総帥…ねぇ?じゃあそんなあんたに質問いいか?」

 

殺意ってなんだ?たかが人が作ったゲームがそのレベルの感情感知を行えるのか?

 

「ああ…話は最後まで聞け。勧誘しに来たが…やめだ」

 

そう言って黒スーツは帽子を外す。

 

その下にあったのは、フワフワな白いファーを首に巻いた男だった。

 

「ファーと髭の見分けもつかないレベルだ…その目が無くなっても惜しくなかろう?」

 

「え?ああ、まぁそうだな」

 

そう俺が答えると、しばしの気まずい沈黙が流れる。

 

「えっ?は?え、おま、目だぞ⁉︎」

 

「うん。だから無くなっても大丈夫なんだって」

 

逆になぜか焦り出す黒スーツ。

 

そこでミストが後ろに飛び出す。

 

〘全く…ジョウリ、普通はそうじゃないんだ。やめておきな〙

 

草を踏み締める音が聞こえる。

 

どうやら霧を固めで擬似的な実態を生み出しているようだ。

 

言っても水なので触られれば一瞬で崩れるだろうが、それでも話すために作ったのだろう。

 

「ッ!何者だ!」

 

「まぁまぁ落ち着け…こいつがいるから別に俺は目が無くなっても生活できるんだ…わかるか?」

 

「わかってたまるか!」

 

なんだか異様にキレ始めた黒スーツ。なんでやろなぁ(すっとぼけ)

 

「で、目をとるんだろ?やっていいよ」

 

俺は顔を黒スーツに近づける。

 

「さぁ、取れよ」

 

「ヒィッ!」

 

男は後ずさりしていくが、俺もその分加速してどんどん近づいていく。

 

「男に二言はねぇだろうが!覚悟決めろやぁ!」

 

「すすす、すいませんでしたぁぁぁぁ!!」

 

壁まで追いつめてそう叫ぶと、男はぽふっと音を立てて小さな猫に姿を変えた。

 

〘「…猫?」〙

 

その場を、静寂が包んだ

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