大日本帝国が連合軍に対し和平に縺れ込む   作:風吹かば小説家など無名たる

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誤字脱字・超絶不定期投稿・駄文の三拍子そろってますがぜひご覧に。
≪風吹かば 小説家など 無名たる≫のですから。


第五話 新しき英国に吹く風


 

ザザーン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ニューブリテン島西部

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マーカス岬

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アラウェ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウェ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラウェ……

 

 

 

 

 


 

 

 キュウンキュウンン

 鳥の鳴き声がする。この時期であるなら南下してきたツバメであろうか。

 

 

 

 

 

 そうここはニューブリテン島西部 マーカス岬 アラウェだ。

 

 無限に続くような海岸には延々と波が打ち寄せる。()()ならいいリゾート地になるだろう。景色はいいかもしれないが、そこに広がるニオイは火薬特有のもの、血なまぐさいものと最悪だ。連合軍がずっと偵察とちょっかいをかけてくるのだ。そのたんびに小規模な戦闘が起きる。そして先ほど「景色はいいかもしれないが」と記したがあちこちにある硝煙と米軍の艦砲射撃により露出したトーチカと黒こげの木々に目をつぶればの話だ。が、ずっと続く水平線と波と海はほんとにきれいなところだ。隣に添えてあるものに気を割かなければだが。

 

 指揮官は今村均陸軍大将と辻政信陸軍大佐*1こと辻参謀の二人で執っていた。多忙なる仕事のせいだ。そして1か月前に辻参謀が逃げるように本土へ帰っていったのだ。不思議なことに帰る途中に攻撃はされなかった。こんな感じのあらすじである。

 

 本題に入るが、連合軍がどこから攻めてくるかわからないのだ。だからこそニューブリテン島をやたらめったら要塞化しているが間に合いそうにない。そもそもニューギニア島の方を攻めてくるのでは、という疑惑もある。定点防衛ができればいいのだがこれがなかなか難しい。支那に印度、東南アジア、オセアニアと戦線を広げすぎた弊害だ。

 

 しかしながら絶望的といったわけではない。重要基地ラバウルを今村大将の尽力のおかげで完全に要塞化できているからだ。すくなくとも上陸されても連合軍らに出血を強いることができるだろう。だからラバウルは上陸されない、もしくは上陸しても返り討ちにできる───そういう状況だから安泰だ。1944年1月下旬の今では少なくともそう。

 

 

 

 

 

 

 

 白昼堂々と日の丸のつけた小発動艇が海原を駆ける。連合軍の裏をついた作戦だ。最近はどうやら夜襲が増えているが逆に以前より日中の勢いが体感で減っている。もちろん体感だから信憑性はないに等しい。

 

 小発動艇、であることから推測がつくが、物資の輸送ではない。そのことは船上を注目すればわかる。

 そこにいたのは数人の武装した将兵と

 

 松本少将だ。

 

 遡ると昨日の輸送自体は成功するも、人間が上陸するには暗い中、いつ機銃掃射にさらされるかわからないまま接岸することができない*2ため荒波のなか数百メートルを泳ぎ切るというなかなかハードなものだったのだ。一応渡れないことはないが万が一を思い重要人員の移動は最小限にすましたのだ。これもすべて天候が急変し、波が荒くなったせいだ。数時間前まで穏やかだったのに………許さぬ。出てこい天照。

 

 

 

 幸いなことに4、5隻の小発動艇は射線の通らないところをできるだけ通るルートを使用したことや、途中から出発したから移動距離が短いほか、波がおさまってすぐ出発したため多くの移動時間が早朝だったことも相まって無事に島に上陸することができた。もっと言うならこれは一種の()()だったのだが。

 

 世の中結果が多くをしめる。どんなにギャンブルだとしても、今回の場合、目の前にあるのは「成功した」という結果と現実だけだ。顕微鏡を見るとき、バカほど視界を絞るやつみたいな感じで視界を目の前にのみ絞っていたらという場合のみ該当するが。

 

 

 

「上陸ぅぅ」

 

 小発動艇が接岸する。ぱたっと前の蓋が取れる。もう海はこりごりだ。死にかけたこともあるし。予定通り海岸から100mほど奥にフロートのつけていない、カモフラージュの施されたカミ車*3が走ってくる。

 

 友軍だ。

「こちらに!」

 なかから数人の兵が出てくる。

「いやはや、小発動艇で上陸とは驚きましたよ」

 その中でも偉そうな将校が一人、松本少将に話しかける。

「小発動艇ではないです。特種発動艇です」

 そう実は、

 

 先程は賭けとも称したけれども心もとないが、松本少将の乗ってきた小発動艇は防弾鋼板が全面に張られ防御力の高められた特種発動艇だったのだ。まぁ見た目に変化はないため気付けないのが普通だ。

 

「へぇ、何か違いが?」

 

「装甲が違います」

 互いに十分言葉を交わしたら、黙り込みカミ車に乗り込む。狭い。

 

 

 エンジン音を鳴らして道を進むカミ車。道は恐ろしいほど狭く、ゴツゴツとしている。蒸し暑い中、狭い車に乗り移動するのはちときつい。まだ30代だが限界が来ただろうか。我儘だができればラジエーターが欲しい。冷却が足りなさすぎるんだ。こんなのでは中の人員を焼き殺してしまう。

 

ごとんごとんと進む中、風景をみてみる。狭いのぞき窓から見るのは見苦しいが仕方ない。比較的低速なのもあって風景をみる余裕はそれなりにあった。大きな南方の木に、南方の生物。これぐらいは見たことはあるが、ニューブリテンだとまた違うのだ。とはいえ見て面白いものはほとんどなくただの暇潰しである。が、その暇潰しが遠い風景をみることによって後述の酔いを改善する一助となっていたのだ。

 

途中では2、3回はなってはならないような音がした。木とかにぶつかる音だろうか。それに揺れも半端ではなく、私は車酔いなどないはずなのに酔ってしまった。とても。ここらへんは大問題だと思った。道路整備は至急である。

 

 

 

 

 

 ごん、と大きな音を立てて、車が停止する。かれこれ30分以上は走ったのである。偉そうな将校から出るよう急かされたので、言う通り出ると、そこには辺鄙な基地? があった。いや、基地だろう。

 

「ここが私の働く場所になるのか?」

 眉間に皺を寄せた偉そうな将校が返す。

「不服でしたか?」

 

「いや望むところだ。生来、前で戦っとるやつがいるのに内地で働くのは好かん性分なのだ」

 

 ざっと見渡すとあたり一面から悲鳴ともとれる声が聞こえてくる。とはいっても「ぎゃあ」とかではなく、「ひぃ」みたいな感じである。重い荷物を運び、報告や次の場所へ移動するために走り回る一兵卒らの声だ。前線が大変なときは必ずといっていいほどこうなっているものだ。

 ……人柱となる諸君らに感謝を。

 

まずはどこから視察しようかと考えた。地図の類は与えられていないのだ。まぁ複雑ではなさそうなので胸を撫でおろすと、一歩踏み出す。

 

「少将どの」

 ! 

 突如として声が響き渡る。近くから放たれたその8文字の発音に身体が3センチほど仰け反る。少し驚いてしまった。

 歩いて少しのところ、山少佐と前野大佐が話しかけてきた。どうやら2人はそこで指揮を執っていたようだ。普段は命令を下す側だから感覚が麻痺するが少佐も大佐も偉いことは間違いない。わかりやすく言うとノンキャリアでは准尉が限界である。つまりこれ以上は士官学校やらを卒業しないといけないエリートというわけだ。だから佐官である時点でとてもすごいというわけだ。尉官でもすごい。それ以外はまぁ普通といった感じで。曹長も軍曹も時間をかけたらだいたいなれると思う。

 

「無事でしたか?」

 

「ああ」

 

「にしてもここらは物資不足でしてね。特に食料が」

 

「やはりか。運んだトラックは役に立っているか?」

 

「いえ、まだ運用するには時間がかかります」

 情報交換と社交辞令を済ませるとすぐに各々の仕事に戻る。もっとも少将はまだ、仕事がなにをするか具体的にはわかっていないのだが。引き継ぎに大幅な問題があるせいでもある。前任者は本当によくやってくれた……辻政信ェ! 

 

「ここか」

 司令部にたどり着く。声がしーんと響く。物静かな場所のようだ。将兵もここにはあまり寄っていない。

心なしか貧相な基地と打って変わって、小綺麗には見えた。しかし節々から限界を感じる。例えば今まであったはずのいらなくてもいいけど、あったほうがいいよねといったものがほぼないのだ。整備が行き届いていないのだろうか。まぁ今から整備してやるという気持ちも執務室の扉を開けると同時に消え失せる。

 

 少将が顔を歪ませるほどおぞましいことに山積みの紙がある。書類だ。とりあえずこれを終わらせなくては。帽子をとって椅子に座り込み、目の前の使命感に駆られペンを取り出す──

 

追記 比喩ではなくて本当に、山積みだったのだ。その書類は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あと少しとなった頃には日が暮れていた。暗すぎて一寸先もよくわからない。

 

外を見ると、まだ作業は落ち着いてはいなかった。暗いのになぜそう判断できたかと言うと悲鳴が聞こえてきたからだ。徹夜になりそうだと男泣きにむせび泣きそうになる。

 

「頑張るしかないか…」

そう呟くと残りの書類を終わらせんと筆圧を強める。彼方にある宵月に目を配らせながら…

 

 

 

 


 

翌日 早朝 アラウェ基地

 

「輜重兵が足りないぞ!」

 

「事故だ!衛生兵!」

 

「くそ!この木は頑丈すぎる!」

 

「丸太は持ったか?行くぞ!」

 

「上─官……休─憩を……」

 

阿鼻叫喚の陸軍軍人の声で目覚める朝。起床ラッパは鳴らない。

 

午前5時。軍は早起きである。

 

…そもそも寝ていないというのはまぁ…置いといて

 

早速、松本少将は部下に命令を出していた。要塞化だ。米軍を中心とした連合軍は近いうちに上陸してくると思われるのでギルバート諸島におけるタラワ島も驚きの陣地を形成し迎撃するのだ。構想としては沿岸に機雷をばらまき、海岸に障害物を横に並べ、島中に土竜みたく穴を掘りまくり、トーチカを大量に設置し、砲や戦車を巧みに配置して、上手く森の中に拠点を隠す。成功すれば数週間は連合軍を遅延させることができるだろう。なにせタラワは10日*4も猛攻から耐え抜いたのだから。

 

 

 

 

 

「食料か。畑は…」

面積が問題だな。使えるところは10ヘクタールもないんじゃないだろうか。整備も全然進んでないし。

 

怒号の響く中、思考を張り巡らせる松本少将…

 

まさに地獄である。

とはいえ少将も部下の負担を考えていないわけではない。むしろ根性論の蔓延る中では十分に考えているのだ。間に合わないのが一番まずいのだから、先にやっておこうという魂胆なのである。だが流石に死者が出るかもしれないというレベルの話であるので解決もしくは改善しないといけない。食料を迅速に調理できるトラックが何台もいてもそもそも食料がないのである。わかっていなかったわけではないが、少々楽観的なところがあったのは事実だろう。急ぎ調子だったのも相まって。

 

まぁ考えていても仕方のないことは実際問題ある。整備が先決である。工夫を凝らして頑張るのだ。

足らぬ足らぬは工夫が足らぬぅ!

 

食べ物は当分お粥にしてしのぐ。たんぱく質は魚と獣からとる。ビタミン類はそこらへんの野草から。塩分は持ってきた備蓄があるはずだ。

ほかにも現地の海軍の物資をぶんどったりとかはある。

 

 

飛行場も要塞も早めに完成させるため頑張らなければと感ず。いやはやまったくもって驚愕だ。南方の最前線がこんなに状況がまずいとは。特にまずいのは衛生的な面だ。蚊の病、特にマラリアとかが蔓延り、トイレは満員で、汚い水を飲む。精神的にもまずい。悪いが私は少々(?)潔癖症だ。ここに来てから水は3リットルも飲んでない。我ながら海水を飲んだ方が衛生的だと、本気に思ってしまった。コレを言うと海水は飲むと喉が乾くと言われ、指摘されるが喉が乾いたらもっと飲んで循環させたらいいと思うのだがな*5

あーもう、と弱音を吐いてしまいそうになった。

 

 

地獄のブリテンに吹く風はこんなものか…と途方にくれる。蒸し暑い熱風を仰ぎながら。

 

ああ、ブリテンともうちょっと快適だと思っていたんだがなぁ。だってブリテンは北大西洋海流と偏西風の影響で高緯度の割に比較的温暖らしいじゃあないか。なのにこのバカ暑さ。前乗った、屠龍の、航空機のエンジンがぶっ壊れそうだ。具体的にはたぶん、シャフトとかぽんって取れて。

 

 

そんなこんなで一日目及び二日目は喜々として終わらなかった。

 

 

報告書なし

*1
作戦の神様、軍の神様と讃えられた陸軍軍人。平等主義に徹し正義感が強かったとされる。戦後は責任転嫁や自決の強要、逃亡などが注目され批判された。

*2
制海権の取られた状況での輸送の多くの場合では駆逐艦が使われたが、当の駆逐艦は接岸することができないうえ、効率も著しく悪かった。そのため、戦争後期では鼠輸送に特化した松型駆逐艦や一等輸送艦、二等輸送艦が作られた。

*3
特二式内火艇。カミ車と呼称された。フロートを装着することで水上を航行することごできる。また、意外なことに生産台数は諸説あるが数十両から数百両と少ない。

*4
史実では4日間続いた。組織抵抗は3日間続いた。

*5
残念ながら海水を飲んで出して、循環させてもOK!とはならない。なぜなら水分は増えても身体の中の体液は増えないからだ。ここらへんは○○○について調べるとわかりやすい。




Island New britain is happy!

今更ですがこの世界では戦線が一、二か月ほど遅れております。
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