アキの死体は残らない   作:アーチマン

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 レゼ編を見て、レゼロス
 一番くじを巡る。
 飾り付けニヤニヤ
 二次創作の存在意義を問い、
 とりあえず書くッ‼︎



迸れ激情!!

 

 

 

 3年前。

 

 

「ふぅ……」

「すごいですね」

 

 悪魔の血で濡れた髪が艶かしい姫野は息を吐いて緊張を解く。今日は新しいバディとの初めての任務だった。早川アキ。なんでも()()()()()()()()()()()()の逸材だという。

 

 自分から見るとただのちょっとかっこいい青年というだけの男だった。頭のネジがちゃんと締められた常識の中の人。きっとコイツもすぐに死ぬ。そんな6人目のバディ。

 

「早川君も良い動きだったね。新人とは思えない動きだったよ」

「ありがとうございます」

「…やっぱり、あのマキマから推薦を貰っての公安入りは今までのと違うな。死なないように必死に生きてね」

「…そうします」

 

 物静かな青年。それが第一印象。ちょっとイケメンで落ち着きがあるから好印象。そしてガムの一件からか、どうも態度が緩んでしまう。

 だがどうしても想像してしまう。いずれ彼は死に絶え、その骸の前で自分が佇む姿を。

 

 過度な肩入れは身がもたない。もう壊れそうな心がもたないのだ。きっと自分よりも早く死んでしまうバディだ。いや、もうバディとすら思わない方が良いのかもしれない。きっと、6人目の早川アキが死んだら私の心はどうしようもなく壊れて、自分の何もかもを失うのだろう。

 

 でも、それでも良いなと思ってしまうのは、この暗い将来に何の期待もしていないが故なのだろうか。

 

 

 

「そろそろ慣れてきたね」

「そうですね」

 

 あれから一ヶ月。早川アキは生きていた。公安デビルハンターで一ヶ月生きていられたなら新人卒業と言っても良いのではないだろうか。どうやら早川アキの推薦話は本当らしい。

 

「本部から連絡が来てたよ。契約悪魔の適正を測るんだってさ。京都の『狐』は面食いだから、アキ君なら頭を使わせてもらえそうだよ」

「俺は悪魔と契約はしません」

「行け」

「いや…俺は」

「行け」

「……」

 

 さりげなく姫野は悪魔との契約話を告げた。しかし当の本人は乗り気では無い。姫野とアキは度々悪魔契約の話で意見が衝突していた。

 そして悪魔と契約しないなどと抜かす早川アキに対して、姫野は苛立っていた。

 

 人は、悪魔と契約しないと何の力もない。非力で悪魔など到底倒すことはできないのだ。偶に単独で悪魔を倒せるバグのような者が現れるが、悪魔に頼らなければいつかはそうした者もより上位の悪魔とぶつかって死ぬ。

 

 姫野という女は、感情的で俗物的で、享楽にふけるしお調子者な快楽主義者だが、デビルハンターの中では常識人だった。一般と同じくらいには人に気を使うし、遺族のことは気にするし、毎日バディの墓参りはするし、結構きっちり酒タバコなんかは未成年に与えないという理解がある。

 

 悪魔は契約で人の身体を持っていく。初めはそのことを嫌がる新人もいるが、生存率に直結する話である。姫野は引きずってでもアキを京都に連れて行こうと決めた。

 

 

 

「なるほど…なるほど、随分と、良い男じゃないか」

「…」

「決めた…決めたぞ。早川アキ。お前には『頭』だ。頭を使わせてやろう。目に良い顔をしているからね…ふふふ」

「俺はアンタとは契約しない。帰って良いか?」

 

 

 

「ちょっと! なんで契約を断ったの!? あんなに良い条件で『狐の悪魔』と契約できるなんて奇跡なんだよ!?」

「姫野先輩すいません。でもこれは俺が貫かなきゃならない、大事なことなんです」

 

 早川アキは目に力を込めてそう言った。姫野はその澄んだ蒼の瞳を見て何も言えなかった。

 きっといつか彼は死に、自分は後悔するのだろうと頭では分かっている。分かってはいるが、どうしてか自分はアキのその大切なものを蔑ろにしてはいけないような気がしたのだ。

 

 自分が大切にしてる最後の一線と同じように、早川アキは悪魔と契約しないことが大切であるに違いなかった。

 

 だが…と、姫野は思い直す。信念も感情も生きてこその産物である。結局のところ、命が大切なのだ。それより優先される物はない。

 

「……それって、命より大切なことなの?」

「はい」

「銃の悪魔を殺すよりも?」

「………俺は、そう思いたいです」

「……」

 

 正気じゃない。きっと早川アキという人間は正気じゃないのだ。デビルハンターよりも狂っていなくて、一般人より頭がおかしい。何かの気持ち悪さを感じて悪寒を覚える。

 

 「頭のネジが緩む」とはこういうことなのかもしれない。彼女の師匠、岸辺に劣らないほど緩やかに曲がった感性。ある時岸辺は言った。「頭のネジが緩んでる奴ほどデビルハンターに向いている」と。

 

 もしかすると早川アキはそういった類いなのかもしれなかった。

 

「良い? アキ君。デビルハンターは過酷な職業だよ。悪魔とうまく契約しなきゃゴミみたいに死んで……」

「大丈夫です。俺は死なないので」

 

 だが愚かだ。と姫野は思った。姫野は未だかつて、自分は死なないと確信を持ってデビルハンターをやっている人を見たことがなかった。そう言ったことを言う人がいないほどそれは自明であったからだ。

 

 軽々しく言ってのけたその言葉がどれだけ無謀で、無責任であるかなんてきっと彼は知らないのだろう。どれだけの人間が公安で死んでいくのかなんて、気にもしていないのだろう。だからそんなことが言えるんだ。

 

 姫野の内で黒い感情が込み上げてくる。彼女にとって早川アキの決断は、生きるための努力を放棄しているように見えた。先に逝かれる苦しみも知らないでそのようなことを言われるのは腹が立つ。

 

 どうせアキ君も死ぬくせに。

 

 なんて、あってはならないようなことも考えてしまう。だがその考えは無意識的なところで諦観している未来だ。きっと、訪れる未来だと。

 

 ……。

 

 嫌だ。

 嫌だ嫌だ。

 

「それだけは嫌だ」

 

 

 

 一ヶ月後、早川アキは一人で悪魔を倒せるようになっていた。

 

「ふぅ…ふぅ……やっと…」

「………まじか」

 

 姫野は少し驚いていた。新人が悪魔の力を使わずに悪魔を殺した。早川アキが殺した悪魔は『捻挫の悪魔』。かなり強力な悪魔だった。狐の悪魔と契約していれば一撃で済むような悪魔ではあるが、人が生身で勝てるような相手とは思えなかった。

 

 早川アキは倒したとは言っても辛勝だった。両腕の全ての関節が捻じ曲がっていたのだ。よくこれで勝てたと感嘆すらした。

 

 だがこの経験は姫野の意識に強烈な危機感を抱かせた。本当にこのままいけば早川アキは死んでしまう。彼女からして早川アキは死に急いでいるようにしか見えなかったのだ。

 

 『捻挫の悪魔』に対して、奇襲を受け手足を曲げられた姫野は何もできなかった。何年もデビルハンターをやっていても、生き残ったのは運が良かったからに他ならなかった。

 そして、まさしくその経験が姫野の危機感を煽っていた。

 

 

 

 ある日、新人が一人死んだ。まあそういうこともあるよねなんて、飲みの席でアキ君に語ろうと思っていたとき、アキ君が一人泣いているところを見た。

 

 一瞬、なんでアキ君が泣いているのか理解できなかった。だって、新人とアキ君は精々1週間程度の付き合いしかなかったはずなのだ。愛着も、友情も、思い出も無いのだ。

 

 極論、どうでも良かったはずの人間だ。その人が死んでも動く心など無い。だって疲れるから。それがこのデビルハンター界の普通だ。

 

 そうか。アキ君は違うのか。アキ君が公安デビルハンターという人でなしの職業に就いて早三ヶ月。私は気づいた。ようやく気づいた。

 

 きっと彼は普通なんだ。

 

 それは実感だった。鮮明に想像できる。アキ君が幸せに生きている光景がありありと。きっと銃の悪魔がいなければアキ君はその幸せを掴んでいたんだろう。

 

 壊れた未来でなお、その精神は変わらず平凡なものだった。ただ憎悪に駆り出されるようにデビルハンターを選んでしまっただけの善人。それが早川アキだ。

 

 あまりにもデビルハンターに向いていない。一年持つかも不安だ。その不安は凡庸で快楽主義で酒に逃げているような女にはあまりにも辛いものである。

 

 そうしてまた、姫野という女はバディに情を移してしまうのだ。

 

 

 

 早川アキが公安デビルハンターになってから二年が経った。

 

「ふぅ…」

「……はは」

 

 早川アキはもう、一人で悪魔を容易に殺せるようになっていた。姫野は何もしなかった。それはもはやそういう習慣ですらあった。

 

 一体いつからだろうか。アキ君が私を頼らなくなったのは。一体いつからだろうか。私が守られる側になっていたのは。

 

 時折見せる苦痛の顔を隠されるようになったのは何故だろうか。悪魔と戦う時、一緒に作戦を立てなくなったのはいつからだろうか。任務後の疲労を悟られないようにされるのは何故だろうか。

 

 それはきっと……

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「私はね、いつかこういう日が来るんじゃないかって思ってた」

 

 きつく目を閉じた姫野は目元を拭ってそう言う。辺りは沈黙に包まれていた。今この瞬間、デンジもパワーも、震えていたコベニに至るまでが今までのことを忘れてアキと姫野の二人を見ていた。

 

「な…何するんですか」

 

 アキは狼狽えたように頬を押さえて姫野を見上げる。冷静を装っているが声に力がない。あまりに突然の出来事、のように思っている早川アキは今の状況に対処できないでいた。

 

 姫野はグッと拳を握る。抑え切れない何かが込み上げて涙となって決壊した。それには悲しみがある。侮蔑もある。だがそれ以上に怒りがあった。

 

「けど言えなかった。言えなかったよそりゃあ! 気づいてたんだもんとっくに! 私たち…バディにすらなれてないってことに!!」

「え…な、何言ってるんですか」

「アキ君は何も言えないくらい強かった。どんな悪魔も殺して見せたし、怪我なんてめったに負わなかった。すごかったよ。けど、こんなことないよ!」

 

 吐露。吐き出すことを許されなかった今までの思いが溢れて止まらない。きっと悪かったのは姫野だ。それは自分自身が一番良く分かっていた。

 

 現状を否定できずズルズルと引っ張ってしまった責任が姫野にはある。だが同時に、早々に()()を手放した早川アキにも当然に責任があった。

 

 そして、未だに何も理解していない早川アキは抵抗などできるはずがない。

 

「そんなに死にそうな顔をしていても、まだ私を頼ってくれないんだね…」

「!!」

「私はアキ君のバディなんだよこのヤローッ!!」

 

 拳一発。先の一撃よりもはるかに弱い拳が肩に当たる。

 

「なんなら私先輩だし!!」

 

 拳一発。さらに弱い一撃が胸を叩く。

 

「たくさん悪魔も殺してきた!」

 

 縋るような手が早川アキの胸に当てられる。

 

「私は守られる側じゃないの!」

 

 きっとそれは姫野の心の叫びだった。早川アキを一番近くで見ているのは公安内では姫野だ。そんな彼女だからこそ分かることがある。

 

 最強のデビルハンターとして名が馳せている早川アキは、悪魔と戦う前、必ず震えた息を吐くこと。

 

 悪魔と戦い終えたあと、いつも微熱を出していること。

 

 仕事がない日には亡くなった人の墓にお参りをすること。

 

 そんなに平凡なのに、弱音は一切吐かないこと。

 

 きっと、早川アキは悪魔と戦うことを恐れている。いつも何かに悩んでる。けどそれをいつも姫野には共有することはなかった。

 

 理由は単純。アキにとって姫野は保護対象であり、()()()()()()()()だという認識が疎かになっていたからだ。

 

 アキの戦いはいつも孤独だ。彼の死は残ることはなく、その軌跡は誰にも掴むことができない。だから孤独だ。

 一人の方が楽なのだ。他者は変数に過ぎず、トライアンドエラーの邪魔でしかない。因果の権能は独りよがりのものだった。だからアキは他人に頼ることはない。

 

 しかし、でも。と声を荒げる者がいた。

 

「一人で倒せない悪魔なら私が一緒に倒してあげる。二人で無理なら4課のみんなで倒せば良い! 頼って、信じて! そしたらアキ君でも手が届かないことができるでしょ?」

「でも…ッ!」

「でもじゃない! この甘え下手ッ! 頼るべきところで頼らないでどうするの!? 私たち仲間でしょ!!」

「ッ!」

 

 その時、アキの頭の中には公安に勤め始めてまだ間もない頃のことが思い浮かんだ。

 

 バディである姫野と初めて共同で悪魔を討伐したとき、アキは感動したことを覚えている。何故なら初めて一度も死なずに悪魔を倒せたからだ。お互い息も絶え絶えだったが、達成感でアキは確かに喜びに満ちていた。

 

 そうだ。初めの頃はバディとして悪魔を討伐していた。アキが攻めて姫野がゴーストでサポートしていたのだ。それが思いの外上手くいって、安定した成果を挙げていたはずなのだ。

 

 そんなアキが一人で戦うようになったのは一度姫野が死んでからだ。強力な能力を扱う悪魔との戦闘で姫野は関節という関節を折られて死んだ。狐の悪魔でもいれば楽に終わるはずだった悪魔だ。

 

 だが公安でも珍しく狐を使わないアキ達のバディでは相性が悪かった。姫野が目の前で捩じ切られて、残酷に殺されて、そしてアキは姫野が戦闘をしなくても良いように一人で戦い始めたのだ。

 

 だがその末路がこのザマだ。一人だけの犠牲に頼り過ぎて他人の犠牲に敏感になった。デビルハンターの常識を身に付けずにここまで来てしまった。

 

 あまりにも不相応だ。

 

 

「なぁ、俺にはよくわかんねー話だけどよ。これって悪魔殺せば済む話なんじゃねーの?」

 

 唐突にデンジがそう言った。それに荒井が噛み付く。

 

「馬鹿が。今先輩方はそういう話をしてるんじゃない」

「んじゃどうゆう話してんだよ」

「それは…人として大事な…感じの話だ!」

「ふーん」

 

 デンジは心底どうでも良さそうに頷く。だが今度はパワーが食い付く。

 

「おいチョンマゲ! 何をウダウダしておるのじゃ! ワシはハラが減った。さっさと悪魔を倒せ! それかデンジを差し出せ!」

「えェ〜…」

「この魔人が! 早川先輩になんて口きくんだ!」

「あぁ〜? なんじゃウヌは? ワシのノーベルがかかっておるのじゃ! 使えんやつめ!」

 

 パワーはデンジの肩に顎を乗せたままデンジをポコポコ殴る。それを見たアキは無意識に口を開く。

 

「さっきも言ったが、悪魔と魔人は契約できない。お前が無事に出られる保証はないぞ。パワー」

「…分かっておるわ!」

「…」

 

 荒井とパワーの小競り合いが妙に頭に残った。

 思えば、随分と長くデビルハンターをやってきたとアキは思う。民間時代も含めると、早川アキの戦闘経験は6年に及ぶ。それこそ最近にもなると死ぬことなく倒せる悪魔も増えてきたくらいだ。

 

 特異1課の岸辺さん曰く、頭のネジが緩んでる奴ほどデビルハンターに向いているらしい。そして当時、公安に入った際に早川アキは岸辺にこう言われている。お前はデビルハンターに向いていないと。そしてそれは正しかった。

 

 因果の権能の下駄を履いて、ぬるま湯の現実で死に続けていただけのアキはデビルハンター適正ゼロの落第だろう。

 

「そりゃあ、そうだもんな」

 

 ただ…もしそんなアキに戦う動機があるのだとしたら、それはきっと仲間のために他ならない。

 

 目の前の姫野を見る。どうにも昔の、それこそ狼の悪魔を殺したあの日のことを思い出した。

 

 銃の悪魔を殺すためには多くの仲間がいる。銃の悪魔との戦いでは損害は免れないだろう。人もたくさん死ぬ。仲間もたくさん死ぬ。その時に自分は動けないままなのか? いつから俺はこんなに弱くなったんだ?

 

 胸に渦巻く思いが延々と巡る。その中にただ一つ明白なことがあった。

 

 それは信念だ。答えがまだ無いこの問いに、敢えて答えを付けるのなら、それは確かに前向きなものでありたいと願う心だ。そして果てにあるのは始まりの契約だ。

 

 その誓いを果たすためにがむしゃらに走ってきたのが早川アキという者の全て。捨てきれないものを拾うためのものが因果の悪魔の力。力が無いからと言ってもう片方も無いものにするのは違うだろう。

 

 なんてことはない。ただ悪魔を殺せば良いだけなのだ。それが貫いてきた全て。早川アキの全ての内、これだけは他の追随を許さないほどに貫いた。貫いて貫いて貫いて、イカれるほどに貫いたのだ。

 

 これだけなら、早川アキは狂える。デビルハンターの土台に立てる。本気の死ぬ気だ。今までの数万の死を合わせても足りないほどの本物の死ぬ気。

 

 ウダウダしていたのが馬鹿みたいに思える。今まで積み上げてきた「自分」がすでに出していた答えを遠ざけても意味がない。頼れるものは全て頼る。ダインロットと契約したときのそのマインドすら忘れていた。まあ、頼った結果それで誰か死んだら死んだ時に考えよう。

 

 みんな本物の死ぬ気を持っている。だからこうして本気で意見をぶつけ合っている。パワーですらそうだ。姫野は言うまでもないだろう。

 

 あぁそうか。と、アキは姫野が言いたいことがようやく分かった気がした。そうなると姫野先輩には悪いことをしたなとアキは内心思う。

 

「姫野先輩すいませんでした。先輩のバディとして、とても酷いことをしたと気づきました。……正直あれも間違いではないような気がしますが誤りがあったことは分かります。俺はあまりにも疎かにしたものが多すぎました」

「……頑固だなぁ」

「本当はもっとちゃんと話し合うべきなんですけど……それはここから出た飲みの席でしましょう」

「…! 良いねぇ。そういう言葉はポイント高いよ」

「何のですか」

 

 そう言って、早川アキは改めて姫野の方を向いた。

 

「その、改めてお願いします。俺に手を貸してください」

「堅苦しいぜアキ君。私らってバディなんだからもっと軽く「おねがーい姫野ちゃん?」で良いんだよ?」

「キャラじゃないので」

「もー照れちゃって」

 

 やいやいと戯れ合う二人を見て、仲直りした雰囲気を察知した周りの仲間たち。その中で一番早く声をあげたのは手に包丁を握りしめた東山コベニだった。

 

「あ…あの……あの! 早川先輩戻ったなら、悪魔…悪魔倒してくれるんですよね! わた、私、死にたくありませぇん!」

 

 コベニは涙を流して震えていた。そしてそれはあと数分もすればデンジを自分勝手に殺して心臓を悪魔に捧げてしまいそうな雰囲気を放っていた。

 

 そんなコベニを真っ直ぐに見据えて早川アキは言った。

 

「安心しろ、悪魔は殺す。そして…そのためにはお前らにも働いてもらうぞ」

 

 アキは途中でデンジとパワーに目を向けた。二人は大人しく頷いた。そんな二人を見て、早川アキは号令をかける。

 

「公安対魔特異4課。行動開始」

 

 早川アキにとって初めての『命をかけた戦い』が始まろうとしていた。

 

 

 

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