お母様、お父様、お二人は焼き鳥はお好きだったでしょうか。
手羽先という翼の先端部分になるのですが、もしご希望があればいくらかお送りいたしますが。
いえごめんなさい嘘です撤回させてください。
流石に自分の翼を人に食べさせる趣味はありません。ちょっとフレンドリーファイア(物理)を食らって感覚がなくなってしまったからといってカニバリズムをお勧めするわけには行きません。
避けたつもりだったのです。思いっきり身を屈めて、地面にピタッと張り付くぐらいに伏せて完璧に火炎放射器の炎を躱したと思ったんですが、頭隠して尻隠さずと言いますか、頭隠して翼隠さずと言いますか、思いっきり翼の先端部分を
まあそれでも翼なんてものは無視して戦えばいいので構わず両のショットガンを操って戦うわけですが。
「クソッなんだこいつらは! こんな強さの部隊、情報になかったぞ!」
人数は向こうの方が倍ぐらいいるのですが、手榴弾や火炎放射器などのおかげで面制圧ができるおかげか現状は優位に戦況を進められております。
とはいえお相手は軍人のような見た目の通りと言いますか、やはり生半可な訓練を受けてきた訳ではいないようでして、個々人が正義実現委員会の平委員よりもずっと火力も耐久も高いです。それ故に着実にこちらの戦力も削られておりまして、一人、また一人と倒れる姿が見えております。
私はと言いますとツルギさんよりご教授頂いたいくつかの戦闘技術を実践しておりまして、以前より被弾を格段に減らして立ち回ることができるようになりました。全自動致命傷回避センサーの危険度細分化と武器の特殊性を生かした相手の銃弾の受け流し技術を組み合わせた私の新しい戦闘スタイルですが、今のところ上手く機能しているようです。
多対一の状況でどうなるか試したことがなかったので若干の不安があったのですが、問題なく動けているみたいです。ちなみに後ろからの炎に対して全自動致命傷回避センサーは危険度最大を示しておりました。おっかないですね。
「こうなったら一点突破だ! 包囲網を抜け――」
ダンッと相手のリーダーさんが言葉を紡いでいる最中にその側頭部が打ち抜かれました。
対物ライフルの子かと思えば未だ彼女はリロード中のようで、あのリーダーさんを撃てたようには思えません。
一体どこからだろうと目を配っていれば、分派の子たちがいる方向のずっと奥、つまりプエラ分派の寮の方から青い光がちらっとだけ見えました。
私がそれに気付くと同時に入電。
『後でお説教だから』
「味方の援護射撃です! 続いてください!」
少しばかり動揺していた皆さんを引き締めるように声を張り上げます。
なぜ私の部屋に置いてあったはずのスナイパーライフルを彼女が持ち出しているのかはあまり触れないでおきましょう。ブラックマーケットの一件のときしかり、最初に彼女の荷物を運びこんでいたときしかり、リツカさんは私の部屋に忍び込む手段を持っているのは明らかですので。
入れ替わっているからと言って別に合鍵を渡しているわけではないんですがね。私はリツカさんの部屋に入ったことはありませんし。
あ、火炎放射器を持っていた子がやられてしまいました。流石に厄介だから集中砲火を食らってしまったみたいです。十分に仕事は果たしてくれましたので、後でちゃんと労っておきましょう。
「次はお前からだ!」
自陣を引っ掻き回されるのに嫌気が差したのでしょう。一番前で撃ち合うメンバー以外の銃口が私に向きます。乱戦の経験は豊富なようであまり同士討ちをせず、連携してこちらを落とそうとしてくるのでなかなか厄介な人たちです。
さて、私の戦闘面での課題は大きく分けて二つありました。防御力の無さと攻撃力の不足です。
防御力については先述の回避行動によってかなりの改善がなされました。しかし攻撃力に関してはお母様の言っていたオーラ、ツルギさんが言うには才能で決まってしまうということで、どうしようもない部分が大きいです。
ですから私、考えました。ダメージがなくとも気絶さえすればよいのではないか、と。
人体には身体構造上避けられない弱点があります。局部であったり、心臓であったり、頭であったり。物理的なダメージでそこを突破することは私にはできません。ですが、私の米粒のような攻撃力でも、衝撃を与えることは可能です。
「ガッ!?」
顎に向けて下から銃を向けて二、三連射、少しでも体が揺らいだら軸足に撃ち込んで体勢を崩しまして、こめかみに向けて何発か撃ち込みます。
私の技術だとまだまだツルギさんを昏倒までは持っていけませんが、少なくともアリウスの生徒さんぐらいでしたら処理は可能なようです。
ダメージによる気絶ではなく、衝撃と振動による昏倒での制圧。それがツルギさんが太鼓判を押す戦闘センスを生かした私の新たな戦い方になります。無論これは生徒さん向けのもので、オートマタや機械兵さんとの戦い方は現在ツルギさんと協議中です。
「そいつの狙いは頭だ! そこさえ注意すれば問題なく対処できる!」
おや、注目が集まったことで種が割れてしまいましたか。
ですが問題はありません。私は常日頃からツルギさんを相手にしているのです。私が頭狙いをしてくると理解しているツルギさん相手に、です。
狙いが見透かされているのにしつこく下顎なんて狙ってたら全部避けられるなんてのは当たり前の話です。そこを警戒して食わらないようにする相手には、別のアプローチが必要になります。
本命の行動を通すために小技があるんだよ、とは首長室で格闘ゲームに巻き込まれたときのリツカさんの言葉です。当時はあまり意図が掴めなかったのですが、ツルギさんと訓練するようになってからその言葉の意味を実感するようになりました。
私の第二の矛は、第一の矛を防がれたとしても肉薄しているからこそできること。ツルギさんが言うには、こっちの方が脅威なのだとか。
「うおっ何だこの怪力! ってしまっ――」
銃身を掴まれて銃口を逸らされていたショットガンを力任せに振り抜きまして、それに引っ張られて体勢を崩したところに眉間へ数発お見舞いします。
進化した全自動致命傷回避センサーと受け流し技術で肉薄し、膂力による組み付きと重心への連撃によって体勢を崩し、頭への衝撃と振動を叩きこむ。
ちなみに膂力についてはツルギさんがよくやっている壁抜け(物理)などを試して見た結果、直接攻撃よりも組み付きなどで相手を崩す方に使うことになりました。壁抜け(物理)自体はやってみたら意外とできてしまったのですが、キヴォトス人ボディと私のへなちょこボディがぶつかるとそれなりにダメージは入るものの反動も馬鹿にならず、諸刃の剣になることが判明したため自重することになりました。
「その受け流し、点はできても面は無理だろ!?」
私の弱点を的確に言い当てたその方を見れば、手榴弾のピンを外して振りかぶっているのが見えました。恐らく味方ごと巻き込むつもりで投げるつもりだったのでしょう。
過去形なのは、その手が撃ち抜かれて手榴弾が零れ落ちたから。
私と距離があったその方のすぐ横で起爆された手榴弾は、彼の味方を巻き込むだけで私には何ら被害を及ぼしませんでした。
「ありがとうございます」
『ま、このぐらいはやるよ』
先の遊園地での一件もそうでしたが、リツカさんはもう分派内では敬語モードをやめたようで、このように通信上でも砕けた口調でやり取りを行うようになりました。その声が私をからかっていた明るい物ではなく少し疲れた風に聞こえるぶっきらぼうなそれであるのが若干気になってはいるのですが、最近話す時間が取れずに聞けず
リツカさんの狙撃精度はかなり高く、先程から一射一殺で着実に相手の数を減らしています。
すべて一撃で昏倒しているのはどちらかというと銃の効果な気がしますが、それでも当て続けているのは彼女の腕前があってこそ。私とは場数が違いますからね。
先の手榴弾が砂埃をばら撒いておりますので、視界が悪くなることをいいことにそこへ飛び込んでわらしべ長者&情の壁作戦を決行します。この人たちは元より中々鍛えられておりますので、盾としての性能はヘルメット団とは一線を画します。
こういうマシンガンは久々に撃つと気持ちいいですよね。それなりに良い武器を使っているのか私が撃ってもそこそこのダメージを与えられたように思います。弾切れになったタイミングで手榴弾の煙も晴れてきましたので、皆さんのところに一旦戻ることに致します。
「被害状況は」
「第一班、第五班は全滅です。残っているのは半分、と言ったところでしょうか」
リツカさんのサポートもあって何とか五分以上の有利を保ったまま戦況を維持できているつもりでしたが、数の有利と場数の差もあってか思っていたよりジリ貧になってしまっていたようです。
私もそれなりに暴れたつもりですが、このままだと少々厳しい気もしますね。
戦闘指揮という柄ではないですが、突然始まった戦いではありますが思い思いに暴れさせるよりはちゃんとした作戦を立てた方が良い気がします。
リツカさんに頼るか、それとも私がやるか。
しかし最近リツカさんの話をちゃんと聞くようになりまして、別に彼女も作戦立案のプロフェッショナルではないということが分かってきました。それはそうですよね。彼女はティーパーティーでの立ち位置としてはスナイパーだったわけですし、裏方ではなくどちらかというと実力でナギサ様の隣に並んでいたタイプです。
だからこういうのは適材適所。
「ミタカちゃん、聞こえていますか。見えていますか?」
『はい、もちろんです!』
「良かったです。作戦指揮をお任せしてもいいですか?」
分派内の共有回線でそれを伝えたために、ほんの一瞬皆さんに動揺が奔りました。それを想定して手榴弾を投げ込んでおいたため戦線は瓦解せず、膠着状態を維持します。
あのブラックマーケットの騒動の起点になったお店を訪れたとき、ミタカちゃんは最初から並んでいる銃がブランド銃の巧妙な偽物であると気付いていたみたいです。私を止めなかったのは私に考えがあると思っての事だったと聞きましたが、そういう思い込みによる判断ミスがあることを除けば彼女は優秀で、よく物事が見えています。提案書の件がいい例ですね。
お店に戻ったのは単純に正義実現委員会へ提出する証拠として写真を取りに戻っただけで、私の大暴れがなければ恐らくそれであの店を通報することはできたと思います。私がおとなしく捕まっておけばというと変ですが、私があの店に行くのが一日でも遅ければミタカちゃんが酷い目に遭う必要もなく安全に事を運ぶことができたはずなのです。そうなるとミライさんの安否が変わってしまうのでそれはそれで問題ではあるのですが。
まあともかく、要はここではミタカちゃんの方が私やリツカさんより適任だということ。
『私なんかがやっていいのですか?』
「ええ、お願いします」
ちなみにミライさんを選ばなかったのは彼女が早く寝る人間だと知っていたからです。この時間にまず彼女は起きておりません。本人の口からそう聞いたのですから、間違いありません。
別にミライさんが二年生でミタカちゃんが一年生だからとかは関係なく、コソコソ皆さんが話されているような後進を育成するためなんていう理由はないんです。本当に誤解なさらぬよう。
さて、ミタカちゃんの指示を受けまして、私はまた相手陣地へ飛び込みます。
今度は一人サブマシンガン持ちの子を連れて、その子を私が守るような形で戦います。するとどうでしょう、私の無駄に凝った戦い方などせずとも火力が担保された状態で制圧が可能ではありませんか。
背中にほぼぴったりとついて来ているおかげで致命傷センサーがほぼ同じ位置で発動しますし、首長補佐を弾避けだなんて、と恐縮しながらついて来ていた一年の子もその戦いやすさに驚いていらっしゃいます。
個人回線に、リツカさんから通信が入ります。
『こりゃあ将来も安泰だね、ここの分派は』
「ええ、まだ粗削りな部分はありますが、彼女は良い首長補佐になるはずです」
そういう意味で言ったんじゃないんだけどな、とリツカさんは拗ねたような声を上げます。
恐らくは自分の役割を取られたことに対して
そんなことを言いながらもミタカちゃんの指示通りの人を的確に一人ずつ倒している辺り、リツカさんもそれに従う方が良いと理解してはいるのでしょう。彼女の腹の内は知りませんが、この分派に来て私にスナイパーライフルを託した以上、何かスナイパーとしての立ち位置に不満があったのかもしれませんね。
ミタカちゃんの指揮によって勢いを盛り返した我々は、ついに相手部隊の残り人数をこちらと同じところまで減らすことができました。お相手は隊長さんクラスばかり残っているでしょうし油断できませんが、私と後ろについて来てくれていたことでスナイパーを処理しましたのでそこに立っている九名だけのはずです。
こちらも多少減らされてリツカさんと私含めて残り十人、あとひと踏ん張りです。
でもなぜでしょう。先程からすごく嫌な気配を感じるのですが。
以下、主人公のゲーム内性能妄想。
カタネの攻撃属性は振動属性。防御属性は通常装甲(紙装甲のため何食らっても一緒理論)。
タンクより肉薄するFRONTアタッカー。射程がほぼ0なので基本的にボスにめり込みます。合同火力演習の防御演習とかは前に前に行くので画面外に消えることも。
範囲回復には基本入ってくれないので注意。
パッシブスキルでリロード0秒(固有武器2で開放)、回避UPが付いています。
EXは性能変化系。通常攻撃にスタンが乗るようになって、効果期間中にEXが来るとスナイパーライフルによる確定会心攻撃になる。性能変化のコストは2、スナイパーライフルでの攻撃は5ぐらいのイメージ。
ノーマルスキルはまだ秘密、サブスキルはあまり考えてないですけどモモミドみたいにリツカ編成で攻撃UPとかあってもいいかも。