fate/extra melt blossom   作:もっこもこの埃

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melt

 

 自らの身体を、魂を構成する霊子が溶けていく。

 酷い感覚、自分が自分じゃなくなっていく。

 これまで自らが他者に対して当然のように行っていた行為。皮肉なことに今や自分が全く同じ事を味わっている。

 

「最悪ね、この感覚……ホント、笑えないわ……」

 

 溢れた声は誰にも届かない。

 後悔も反省も、もはや意味のないことだ。やり直すチャンスは、幾度となくあったのかもしれないが……

 

「あ〜あ、こんなことなら大人しく触れておくんだったわね」

 

 敗北が決した時、自らの恋が打ち砕かれた時、無様に伸ばした手をボロボロのプライドで押さえ付けた。

 心の奥底にあった願い、ずっと押し殺していた本心をさらけ出す最後の機会だったのに……

 それでもメルトリリス(怪物)は自分であることを選んだ。

 

「結局、私は私でしかないのよ……」

 

 他者を溶かし食らう毒の怪物、それがメルトリリス。

 その事実だけは変えようがない。

 そう……もし、彼に触れたとしても私の手には何も伝わらない。この手は、この体は、他者の温もりを存在を感じることができない。他者を傷つける事でしか孤独を満たすことの出来ない怪物。私はそういうものとして作られたのだから。

 

「でも、それでも……もし私が手を伸ばしたなら、あなたはきっと……きっと手を差し伸べてくれるのでしょうね」

 

 たとえ怪物であろうと、たとえその身が傷つくとしても構わず手を差し出すどうしようもなく馬鹿な人……それが岸波白野という人間なのだから。

 

「けれど……その先に待つ結末は決まってる」

 

 怪物と人間の恋は叶わない。

 相容れぬ物を合わせれば破滅は免れない。共倒れか、どちらかの死か……

 いずれにしても決してハッピーエンドとは言えない。

 この世界はそういう風に作られている。

 

「だから今回はこれでいいの……きっと彼は進み続けるもの」

 

 あの女が何を企んでいようと、どんなに最悪な状況になろうと、岸波白野は必ず前に進み続ける。

 

それが、それこそが……私が、私たちが恋した人間なのだから

 

「ああ、でも……」

 

 意識が薄れていく。

 

「もし、もう一度会えるなら」

 

たとえそれが間違いだとしても

 

「その時は……きっと貴方の役に立ってみせるわ」

 

たとえこの身が砕けようと

 

「必ず……私の全てを貴方に捧げるわ」

 

完全世界は貴方の為に

 

 

 

 

 ★★★★★

 

 

 

 熾天の檻、全てを見通す神の目。

 ある災厄によって穢れをもたらされ、同時に1つの願いが注がれた。無数の可能性が交錯する運命の樹枝の中で新たな可能性が産まれようとしている。

 

 

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