fate/extra melt blossom 作:もっこもこの埃
第二回戦 三日目
ある噂を耳にした
手を組むマスターが出てきている、と…
この聖杯戦闘において最終的な勝者はただ一人、
自分以外の全員がいつ対戦相手として敵になるか分からない状況で手を組んだとしてそう意味があるとは思えないが…
まぁ…それこそ一人では太刀打ちできないほど強力な誰かを事前に複数で潰しておく、というのはそれぞれにとって利になるのだろう。
もしくは…何か、共闘するしかないようなそんなありえない状況に…
そんな事を考えながら歩いていると、
ふと、誰かに声をかけられる
「ごきげんよう、
あなたも一回戦を突破できたようでなによりです」
眼鏡をかけた褐色肌の少女、
彼女は…見覚えがあるような気もするが、よく思い出せない
「ああ…すみません、
こうして話をするのは初めてでしたね。
私はラニ、あなたと同じ聖杯を求める魔術師の一人です」
そうなのか、
と言ってもこの場にいる以上は聖杯戦争の運営AI、NPCかそれを求める魔術師しか居ないのだが
「これまであなたを照らす星を見ていました、
他のマスターたちも同様に詠んでいたのですが、
あなただけはどうしてもはっきりと見ることが出来ないのです」
星…
いわゆる占星術と言うやつだろうか…
しかし自分の事が見れないというのは一体、
「我が師が言った者…
人形である私に命を入れる者がいるかどうか、
私は見定めなければ。
そのために多くの星を詠まなければならない、
ですので改めて質問を。
あなたはいったい何なのです?」
自分が何か…
それは自分自身未だ思い出すことが出来ない
自分はいったい…
彼女の言うことはよく分からない、けれど
少なくとも、目の前の少女に敵意が有るようには思えない、だからせめて…
「…月海原学園2年、岸波白野。
ごめん…それしか分からないんだ」
自分が分かる精一杯の答え
後ろでメルトリリスのため息が聞こえたような気もするが、ラニと名乗った目の前の少女には敵意も悪意も感じない、ただ純粋に自分へ興味をもったから尋ねているだけ。
なら、わざわざ拒絶することもない
「分からない?それはいったいどういう」
そう首を傾げるラニ、
記憶が無い事を説明する
「なるほど…そうでしたか。
聖杯戦争以前の記憶が戻っていない…
でしたら、ひとつ提案が。
記憶のない状態で戦い続けるのは大変でしょう、
そして私も先程言ったように多くの星を詠まなければならない、
ですのであなたの対戦相手…ダン・ブラックモアの星を私にも見せてください。全て…とは言えませんがある程度の情報をお伝えすることが出来るかと、悪くない取引だと思いますが」
悪くない、どころか破格の条件だ
こちらはほぼ対価なしで対戦相手の情報を得ることが出来るのだ
「それはとてもありがたいよ。
でも、星って言っても俺は何をすればいいんだ?」
占星術の事なんて何も知らないし、
魔術の知識もまるでないのだが…
「ダン・ブラックモア、彼の遺物を見つけたら私のもとに持ってきてください」
遺物…
そう言えばアリーナでいくつかの物を拾っていたが、
これはどうだろうか、
矢尻、折れた矢、風切羽根をラニに差し出す
「はい、これなら問題ありません。
それでは、二日後にまた。
それが星を詠むのに適した時となりますので」
そう言うと、ラニは去っていった
思いもよらない協力者を得ることが出来た
これで少しは情報を得ることが出来るだろう
あとは…
★★★★
少しでも差を埋めるために、
アリーナへと訪れ修練に励む
エネミーを倒しながらアリーナを進む
「はっ、甘いわ」
突然の一閃、メルトリリスがこちらへと放たれた矢を斬り払う
奇襲…どこから、周囲を見渡してもサーヴァントの姿は無い
「コソコソと相変わらず姑息なネズミだこと。
飼い主に言われたことを欠片も理解してないわ…け…っ!?」
メルトリリスが突然崩れ落ちる
見るとメルトリリスの脚に矢が突き刺さっている
メルトリリスは自分へと飛んできた矢を真っ先に斬り払った…自分を守る為に、だから気付かなかったのだ…
メルトリリスへと放たれたもう一本の矢に
「甘いのはそっちだろ。
さて、そんじゃサクッと死んでくれや、っ!…とマジか、動けんのかよ」
メルトリリスが何もない空間に向けて斬撃を放つ
「こんなもの…どうってこと、ないわっ」
なんとか動けるようだが…明らかに無理をしている
今は逃げなければ、
メルトリリスの手をとって走る
とにかく、なんとしてもアリーナから出なければ…
「んじゃま、ウサギ狩りといきますかね」
そんな声と共にとてつもない重圧が背にかかる
追ってきている…自分達にとどめを刺すために
決戦やこれまでの戦いとは違う。
狩る側と狩られる側…明確に分けられた立場の違い、
それがひどい恐怖を生む
すくむ足を必死に動かして出口を目指す
あと…すこし…
「はい、お疲れさん。これで終わり…っ!
ちっ…はいはい、分かりましたよ。
あと少しだってのに…」
そんな言葉とともに重圧が消える
どうやら撤収したらしい、
よかった…なんとか切り抜けられたみたいだ
「はぁっ…どうやら…飼い主に、粗相がバレた…様ね。
ざまぁないわ…っ」
メルトリリスは限界だ、
急いでアリーナを出るとしよう
回復アイテムとコードキャストを使用しつつ外へ繋がるポータルを目指す
★★★★
なんとかアリーナを脱出し、
校舎へと戻ってきたが…
何度もアイテムやコードキャストで回復しているが、一向に毒が消える様子はない。
解毒する手段を自分は持っていない、
マイルームにはある程度の回復機能が備わっているとはいうが…
どうしたものか、
ひとまず保健室にでも向かってみるとするか
そう思い足を進めると、
メルトリリスが足を止める
「メルト?」
「はぁ…はぁっ…ちょっと…どこに行くつもり?」
保健室に向かうつもりだと伝えると、
メルトリリスはこちらの手を振りほどく
「冗談っ…じゃない…わ。
はぁっ…あんなっ…のを頼るなんてっ、
こんなもの…マイルームで…っ、くっ…休めば問題ないっ…わよ」
「だけど…」
明らかに無理をしている、
そう言いかけて口を閉じる
メルトリリスはぐちゃぐちゃな、今にも崩れそうな顔でこちらを見ている
その目はどこか…酷く怯えているような
まるで世界が、何もかもが消えてなくなってしまうような
そんな悲痛な思いが込められているようで…
何も言い返す事が出来なかった
「…わかった。だけど、あまり無理はしないでくれ」
/heal(16)
そう言って再びコードキャストをかける
彼女がどんな思いで苦しみを堪えているのか、
なぜ桜をこうも拒絶するのか、
どうして…そんなにも怯えているのか、
自分には分からない
彼女のことを自分は何も知らない
だけど…
「問題ない」そう言って必死に何かを守ろうとする彼女を否定するべきじゃないと思えた
きっとそれは、彼女にとって命よりも重い…
大切なものなのだろうから
「ええ…わかってるわ…」
★★★★
★★★★
最悪だ
本当に最悪、酷い醜態を晒した
あんなネズミに…
いや、相手はどうだっていい
完全に油断していた
レベルが下がっていること、スキルに制限がかかっていること…
分かっている、理解している…
けれど、
彼の隣に立っている、
敵としてではなく、彼のパートナーとして…
その事実につい舞い上がっていた。
本当に自分でも頭にくる。
つねに冷静であろうとしている、
なのにどうしても私は自分を抑えられない
ヘタをすれば彼が死んでいた。
レベルのせいでもスキルのせいでもなく、
私の弱さのせいで…
そんな事は許されない
絶対にあってはならない
ただでさえ決して救われることのない彼が…
私のせいで死ぬなんて、決して…
ex/recordの追加ルートはなんだと思います?
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