fate/extra melt blossom 作:もっこもこの埃
二回戦/五日目
今日がラニの言っていた星を見るのに適した日だ。
ラニを探してみるとしよう
図書館の前、廊下の窓際に彼女は佇んでいた。
「ごきげんよう。
それでは約束通りダン・ブラックモアの星を詠むとしましょう」
そう言ってラニは自分が渡した品を手に目を閉じ空を仰ぐ
「星々のの語りに耳を傾ければ様々な事が分かるのです。
…これは、とても…暗い色。
…汚名を被り闇の中で積み上げた功績への苦々しい思い。
緑の衣装で森に潜み、影から敵を射殺し続けた人生」
森へと潜む…それが姿を消す宝具の由来なのだろうか。
しかし…影から射殺すとなるとやはりあのサーヴァントとダンは
「正反対だ、騎士としての誇りを重視するダンと、あくまでも現実的に勝利を目指すアーチャー。
どうして彼はダンと契約したんだろうか?」
「正反対、だからこそ…かもしれません。
この聖杯戦争ではサーヴァント側に召喚を拒否する権利があります、召喚に応じた以上何らかの思いがあるのでしょう。しかし、これは…私の探す者ではないかもしれません」
ふと口に出た疑問にラニが答えてくれる
正反対だからこそ…
もしかしたらあのサーヴァントは暗い闇の中ではなく、輝かしい光の中に在ろうとするダンに憧れがあるのだろうか
「はっきりとは分かりませんが、
憧憬、それ故の亀裂それは人間の在り方の一つだと師は言っていました。
もし、気になるのでしたら直接問いてみるのもいいのではないでしょうか」
「それから、もう一つ…ダン・ブラックモアは英国で名を馳せた英雄だと聞きます。しかし、彼が魔術師として活動していたという話は聞いたことがありません。
恐らくではありますが彼は魔術師としての経験はそう多くないのかもしれません、ですのでもしかすると思いもよらない弱点があるかもしれません」
そう言うとラニは
ありがとうございました、と言って頭を下げ、
窓の外に広がる空へと目を移し口を閉ざしてしまった
人の在り方、
人々がそうあろうとする理想、信念とも言えるもの
それはこの戦いに参加した誰もが持っているもので、
きっと自分も何かしらの形を持っていたのだろう。
そして、それは当然過去に生きた英霊であっても同じで、だからこそダンとアーチャーのような食い違いが起こることもある。
だとしたら、自分は…自分のサーヴァントであるメルトリリスはいったいどうなのだろうか。
自分は彼女にふさわしい人間だったのだろうか…
彼女はいったい、自分に何を期待するのだろうか
★★★★
ラニと別れた後、立ち寄った教会は普段とは違い言峰の姿は無く、ショーケースには布が掛けられていて[本日臨時休業]そう書かれた紙が貼られている
そして…
静まり返った教会の中で老騎士が一人佇んでいた
「…うん?あぁ、君か。
先日は済まなかった、あの傷が命に関わらずに済んでよかった。ところで君も教会に何か用かね?それともあの不信心極まった店に用かな、だとしたら残念だったな今日は休みのようだ」
こちらに気付き話しかけてくるダン。
そう、先日のアーチャーによる奇襲…
彼はそれを良しとせずあろうことか令呪を使ってまでアーチャーの行為を咎めたのだ
人の在り方…ダンは「騎士の誇り」そう口にしていた。
彼にとってそれはいったいどれ程の…
「どうして、令呪を使ったんです?
方針の差はあってもそこまでする必要が?」
せっかくの機会なので疑問をぶつけてみるとする
ラニに言われたように直接聞いてみるのも一つの手だろう
「…そうだな、正直なところ自分自身どうかしていると思ってはいる。戦術としてアーチャーのやり方は間違っていない、自分の得意とする方法で確実に勝利を得る、軍人としてのわしならそれを良しとしただろう。
だが、今回のこの戦いは…元は女王からの直々の頼みではあった「万能の盃を持ち帰れ」と、しかし同時に聖杯へと自らの願いを掛けることも許された。
だからいわばこの戦いはわし自身の個人的な戦いでもあるのだ。思えばそんな戦いは初めてでな、故に頭をよぎってしまったのだ…今はもう顔も声も思い出すことの出来ない妻の事が、彼女はそんなわしを喜ぶのかと」
後悔にも近い思いが込められた言葉、
…もしかすると彼はあの緑衣のアーチャー同様、自身の過去に悔いがあるからこそ騎士の誇りという栄光に必死に手を伸ばしているのかもしれない
「…少し話しすぎたな、歳をとるとつい話が長くなってしまう。では、わしはそろそろ失礼する。
君との戦いが意義あるものになることを願っているよ」
そう言って教会を去っていくダン。
言峰の売店が閉まっているのならここに用はない、自分も立ち去ろうと思った時、ふと売店の隅に何かチラシのような紙が置かれていることに気づく
誰でも歓迎
簡単なお仕事です
※報酬は要相談
アルバイト、そんなものまで募集し始めたのか
聖杯戦争の最中に誰が応募するというのだろうか
そもそもいったいをさせるつもりなのだろう、店番など誰もやる暇はないと思うのだが
そんなことを考えていると教会の扉が開き、
そのアルバイトを募集している言峰綺礼が姿をみせる
「おや、わざわざ足を運んでもらって悪いが今日は見ての通り臨時休業だ、店を開いている場合ではなくなったのでね」
「?…何かあったのか?」
そもそも普段は店を開いてられるくらいに暇なのだろうか、仮にも聖杯戦争の監督役だというのに?
「なに、大したことでは無い。
マスター同士のいざこざだ、どうやったのかは知らんが一回戦で敗北したマスターがムーンセルの処理を逃れていたようでな。他のマスターを襲い、サーヴァントを奪い再び戦いに戻ろうとしたのだ…その際一部の運営NPCとAIが消息を絶っていてなその事後処理に追われているというわけだ」
敗北したマスターが死を逃れて他のマスターを襲う…
「もし、負けても決戦場から逃れてサーヴァントを奪ったら聖杯戦争に戻れるのか?」
「いや、原則それは認められていない。
一度敗北したマスターはそれで終わりだ、例え令呪があり、サーヴァントを連れていたとしても敗者は敗者だ。
復帰は認められない、だが自身のデータを偽装し他人になりすますことが出来るのならそのまま戦い続けることも可能だろう。
そもそも、他者からサーヴァントを奪うなど出来ると思うのか?たった一人で。
人がサーヴァントを力ずくで従わせられるとでも?もしくは自ら一度敗北した者の元へ付くとでも?いずれにせよ余程の馬鹿しかそんな真似はしないだろう」
そう言い放つ言峰はどこか愉しそうに歪んだ笑みを浮かべている
「なんにせよ、ルールはルールだ。
守ってもらわねば困る、特に今回の様な面倒を起こされてはな…対処するこちらの身にもなって欲しいものだ」
「…なんで俺を見て言うんだ。
言われなくてもそんな事する力は俺には無いよ」
「そうか…そうである事を願っている」
★★★★
アリーナを少し進んだ先、
開けた場所にダンとアーチャーがいた。
まるで、こちらを待っていたかのように
「わざわざ待っているだなんて殊勝なこと。
ようやく大人しく殺される覚悟ができたわけ?」
「はっ、よく言うぜ。殺されそうになってたのはどっちだっての、相変わらずペラペラと口だけは達者だな、おたく」
開口一番相手を煽り出すメルトリリスにアーチャーは同じように煽り返す
しかし、わざわざ待っていたということはやはり…
「しかし旦那、本当にやるんです?
こういうの俺向いてないと思うんですけど」
「なんだ、怖気付いたかアーチャー。
貴君の功績は全て
「いや、それを言われると困るんですが。
どーもこういうのには慣れないもんで」
ラニの話によれば彼は森に潜み敵を狩る、
奇襲を得意としていたらしい。
そうするとアーチャーにとってこの戦いは常にハンデを背負っている形になる、ダンの求める誇り、普段とは違う戦い方、それがこちらにとって勝利への糸口になるのかもしれない
「あら、よく分かってるじゃない。
貴方の言う通り慣れないことはするものじゃないわ。
コソコソと影に隠れるしか能が無いのだから、ネズミはネズミらしくドブの中で僅かな悦に浸っていればいいわ」
酷く歪んだ笑みを浮かべてメルトリリスは言い放つ
そんな侮蔑に満ちた言葉にアーチャーの顔が引き攣る
「…言うじゃねぇか、自分のマスターすら守れないクセに。ペラペラと偉ぶるのはいいが身の程知らずもたいがいにしねぇと痛い目見るぜ」
「アーチャー、安い挑発に乗るな。
貴君の力はよく知っている、それこそ背筋が凍るほどにな。それを知らしめるがいい」
「任せな、旦那。あの無駄に積み上げたプライドをへし折ってやるとするか」
アーチャーが前へ出て構える
それに合わせメルトリリスも前へと出る
「好きに喚きなさい。どうせ、ネズミはネズミ、すぐに身の程を知ることになるわ」
「そうかよっ!んじゃ、さよならだ!」
<メルト!突っ込め!>
メルトリリスが駆け出すとほぼ同時にメルトリリスが立っていた地面が爆ぜる
「ちぃッ…勘のいい野郎だ」
「ふむ、読まれたか。アーチャー」
「分かってますよ。っ!!」
ギリギリで爆発を避け、アーチャーへと距離を詰めたメルトリリスが一気に攻め立てる
やはり、白兵戦ならこちらに分がある
距離さえ詰めてしまえばメルトリリスのペースに持ち込める、あとは…
「…っ!?銃?」
ダンが構えたそれは、紛れもない…
実際に見るのは初めてだが、あれは所謂狙撃銃と言われる物
「メルトっ!」
放たれた弾丸がメルトリリスの脚を弾く
その衝撃に体ごと吹き飛ばされる
「…っ!」
「助かるぜ、ダンナぁ!」
アーチャーが弓を構える
まずい、距離を取られた
メルトリリスは体勢を崩したままだ、あれは避けられない
「そこまでだ、退くぞアーチャー」
アーチャーが矢を放つ寸前、ダンがそれを制する
まだ、時間はあるはずだが…
「はいよ。良かったな、命拾いできて」
「…っ!なんのつもり?」
「此度はあくまで、互いの実力を見極める為にまみえただけだ。君たちとの決着は来るべき時、決戦場で着ける。今はこれで十分だ」
そう言ってダンとアーチャーはこの場を去っていく
あくまでダンはルールに則って戦うつもりでいるようだ
しかし、おかけでこちらも謎だったダンの戦闘スタイルを知ることが出来た…とはいえ
「…ッ!!ふざけたマネしてくれるじゃない」
あの状況ではメルトリリスにとっては完全な屈辱と言える、ある意味この勝負はこちらの負けということか
「メルト、とりあえずあっちのやり方は分かったし、決戦まで精一杯準備しよう。全てはその時に、ね」
「…ええ。そうね、そうしましょう。
最後に勝つのは私達、その時は必ずあの鼻につく面を徹底的に踏み躙ってやるわ」
その後、アリーナに配置されたエネミーにメルトリリスの鬱憤をひたすらぶつけて周り、何とかメルトリリスが落ち着いた頃マイルームへと帰還した
★★★★
二回戦/六日目
ケルト、北欧においてシャーウッドの森のイチイから弓を作る行為は森と一体化する儀式とされている
図書室で手に入れた情報を調べる
あの緑衣のアーチャーの正体もおおよそ知ることが出来た
あとは…昨日の戦いで浮かんだ疑問、
なぜ、ダンはわざわざ狙撃銃を使ったのだろうか?
自分のように自らコードキャストを発動できないのか、それとも何か別の理由があるのだろうか
図書室を出ようと扉へと向かうと、ちょうど扉が開き誰かが入ってくる
「…おや。岸波さんも図書室に用が?
ここは様々な情報が保管してありますから情報収集にはうってつけですからね」
こちらに気付き爽やかな笑顔で話す人物
相変わらずの雰囲気、他の誰とも違う暖かくこちらを包む陽の光の様な声
「レオ…まあ、そんなところだ」
「その様子では二回戦も順調に進んでいるようですね」
順調…と言えばそうなのだろう、
向こうの事情とはいえかなりのアドバンテージを得ることが出来ている
…彼に聞いてみるのもいいかもしれない
「ところでレオ、色々聞いてばかりで悪いんだけど。
魔術師がわざわざ銃を使ってコードキャストを発動する理由があったりするのか?」
「うん?…銃ですか。ない、とも言えませんね。
我々
ですから、そういった物理的な道具を用いて魔術を行使するのを得意とする
あとは、元々魔術師ではなく銃を用いる職、例えば軍人だったりと言った方が新たに魔術師を目指す際に扱い慣れた銃を用いることで魔術の習得を早めるといったこともあるかもしれませんね」
そうなのか、ウィザードとメイガスというのがどういう違いなのかは分からないが要するにそれぞれの得意分野を再現することで戦闘効率をあげているわけか
「しかし、銃ですか。
もし、貴方の対戦相手がかのダン・ブラックモアであるのでしたら、今回の戦いは厳しいものになるでしょう。
彼は魔術師としての噂こそありませんが、軍人…特に狙撃手としての功績は目を見張るものがありますから。
たとえ、魔術師としての経験が浅くとも彼は戦闘のプロです、楽な相手とはいかないでしょうね」
「…そうだな。ありがとうレオ」
「ええ、健闘を祈ります」
レオに礼を告げ、図書室を離れる
そう、どんな理由があれダン・ブラックモア、彼は本物の軍人でありその実力はこちらを遥かに凌ぐものだ
油断は出来ない、
全てのアドバンテージを活かして、その上で全力を尽くす
いよいよ決戦は明日
もう一度アリーナへ向かい修練に励むとしよう
この二回戦、原作ではアーチャーが校舎内で戦闘を行ったとしてペナルティを受けステータス低下状態で戦うことになるのですが、
アーチャーが実際に攻撃を仕掛けたのはアリーナでありこれが許されないのならユリウスを直接殴りに行ったヒロインズが許されるのは何故なのだろう。
ムーンセルの判定はよく分からない
ex/recordの追加ルートはなんだと思います?
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レオルート
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自鯖エルキドゥ
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ccc関連
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その他新規ルート