fate/extra melt blossom   作:もっこもこの埃

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暗闇を進む

 

 

二回戦/決戦当日

 

 

ついに今日が決戦の日だ

これから自分はダンと戦い、どちらかが勝ち、どちらかが死ぬ。

ダンとアーチャーの間には方針の違いがあり、アーチャーは慣れない戦闘スタイルを強いられている。

それでも、やはり実力差は埋まることは無い

油断は許されない、自分に出来る最善を、全力を出さなければ確実に敗ける

 

「なにシケた顔してるのよ。

ああでも、そんな顔もいいわね、素敵よ。

だけど、何も心配ないわ。勝つのは私達、それは絶対に変わらないもの」

 

ああ、分かってる

不敵な笑みを浮かべるメルトリリスにそう答える

できる事を最大限やる、今はそれだけを考えて。

その結果や後のことはその時考えればいい

 

 

[アーチャー:ロビンフッド]

シャーウッドの森に住む義賊、中世イングランドの伝説上の人物。と言ってもオリジナルのロビンフッドという訳ではなくあくまで、ロビンフッドと呼ばれた者の一人である

森を犯す者を排除し続けた青年…彼はいつからか人々に称えられ、英雄となった

 

 

マイルームでダンとアーチャーについての情報を整理した後、決戦の時を告げる端末に従って決戦場へと向かう

 

 

★★★★

 

 

古い塔の頂、そこでダンとアーチャー、二人と対峙する

 

「あら、ネズミの分際で逃げずに出て来たのね。無様を晒す覚悟はいい?」

 

「そっちこそ、逃げるなら今だぜ。恥晒したくねぇだろ?」

 

前から思っていたが、この二人はどうも相性が良くない。

と言うよりメルトリリスがやけにアーチャーを毛嫌いしている、余程彼の戦い方が気に入らないのだろうか

 

「いよいよ決戦の日となった。良き戦いとなるようお互い死力を尽くすとしよう」

 

ダンは真っ直ぐにこちらを見据えてゆっくりとそう告げる

 

ゆっくりと深呼吸をする

 

「行こう、メルト」

 

 

 

Sword, or Death

with what in your hand…?

Flame dancing, Earth splitting, Ocean withering,

 

 

決戦の火蓋が落とされる

 

 

「カートリッジセット…先手必勝ってな!!」

 

アーチャーの弓から無数の矢が連続して放たれる

…なんだあれ、弓ってあんなこと出来るのか

 

「っ…なによそれっ!?冗談じゃないわ、弓じゃなくてマシンガンか何かの間違いでしょ」

 

「はっは、俺のは特別製でね。色々と便利にしてるのさ」

 

嘆きながらメルトリリスは滑走しながら飛んでくる矢を躱す

あれじゃ近づくことが出来ない、

それに…

 

<メルト、止まれ!!>

 

その言葉に答えるようにメルトリリスは片足を地面へ突き刺し急停止すると同時に刺した足を軸に回転し飛びかかる矢を斬り払ってみせる

そんなメルトリリスの真横を銃弾が掠める

 

「はっ、上出来でしょ?」

 

「ふむ、躱されたか」

 

ダンによる援護射撃、狙撃銃を用いたコードキャストによる戦闘支援。

慎二のものとは違う、発動するまで効果が分からないコードキャストとは違い明確にどうやって効果を発揮するかが分かっている。

あれなら…

 

「そら、爆発するぜ」

 

投擲されたグレネードはメルトリリスの放った斬撃によって空中で爆発する

爆煙に紛れ放たれた矢がメルトリリスへと刺さる

 

「っ!…また、毒?懲りない事ねっ」

 

「メルトっ」

 

「問題ないわ、それより」

 

アーチャーの姿がない、

顔のない王で姿を消したのか…

いや、大丈夫…考えろ、アーチャーは…自分なら…

どうする?

 

<…右だ!突っ込めメルト!!>

 

何もない空間へと斬り込むメルトリリス、

振るった刃は放たれた矢を斬り払い、

姿を現し後方へと飛び退くアーチャーへと向けられる

 

「見事なものだ。さて、腕の見せ所だなアーチャー?」

 

「やるもんだ、だが十分すぎるぜ…祈りの弓(イー・バウ)

 

「ッ!?…ごふっ!!」

 

メルトリリスが大量の血を吐き出す

矢は防いだはず、毒?

いや、だが…

 

 

[祈りの弓]

体内の毒を火薬、矢を信管として対象を内部から爆発させる対人宝具。例え剣で弾こうが盾で防ごうが接触したと判定され起爆する

 

 

それでもメルトリリスは止まらない

そのままアーチャーへと距離を詰めて、白兵戦へと持ち込む

 

「っ…てめぇ、人間ならきちっと死んどけよっ!?」

 

「言ったでしょうっ…効かないってっ!!」

 

これで、こちらの土俵に引き込んだ

如何にメルトリリスのレベルが低下していても近接戦闘であればこちらに分がある、それでも…

ダンの射線を避けながらの戦闘では決定打を打つことが出来ない…その上今の一撃でメルトリリスはかなり消耗している

そう長くはかけられない。

もう一手…

 

銃声が響く

 

今だ

 

★★★★

 

 

★★★★

 

 

宝具が防がれた…

いや、正確には致命傷に届かないレベルにまで威力を下げられた。

何らかの解毒手段を持っている、と考えるべきか。

それに…先程からアーチャーの動きが読まれている、その上でこちらの射線を上手く切るように動いている

このままでは押し負けるやもしれん。

一度仕切り直す必要が…

少年がこちらへ走って来ている

 

「なるほど、こちらの射線を物理的に塞ぎにきたか。

妥当な判断だな、しかし…それを対策していないと思うかね」

 

こちらへと向いていた少年の目が、自身の足元へと移る。

何も無いはずの地面…しかし、そこにはなにかが確かに在り

少年の周囲に障壁が展開され閉じ込める

 

決戦の最中に罠を仕掛けるのは困難と言える。

だが、生憎とこちらのサーヴァントはそういった手段を最も得意としていて、

誰にも気付かれずに、容易に罠を仕掛ける方法を有している

 

簡単な事だ。

事前に用意した罠を顔のない王の切れ端で包み、ただ置いておいただけの事

 

さて、起点は潰した。

あとは…ただ、

 

「さて、意地の見せ所か」

 

敵サーヴァントは宝具を受け既にかなり消耗している。

コードキャストを用いて回復しても全快とはいかないだろう。

そして、アーチャーも白兵戦に持ち込まれ一気に消耗している。

どちらの体力が先に尽きるか…

それにしても、

本当によく動くものだ。

如何にアーチャーが白兵戦を得意としていないとしても、ここまで追い上げられるとは。

まだ、未熟と思っていたが…

ここまでの才覚を持っているとは、

末恐ろしいものだな。

 

 

互いにギリギリの駆け引きの中、

メルトリリスが体勢を崩す

ダメージを削減したとはいえ、宝具を受けた上に毒による蓄積ダメージ…

メルトリリスの体力は限界を迎えて…

 

「さすがに限界らしいな。ったく、ようやくかよ。

ホント、よくやったよ…おたく」

 

「…はっ…はぁ…」

 

膝をつき息を切らすメルトリリスへと、

弓が向けられる

 

「そんじゃ、死にな」

 

慣れない白兵戦…

メルトリリスの狂気にも近しい執念は、

着実にアーチャーの精神を削っており、

そんな中ようやく見せた限界。

アーチャーの気が緩む

 

「イー…」

 

<待て、アーチャー>

 

「…っ!?」

 

膝をついていたメルトリリスは、

思い切り足を振り上げアーチャーの弓を弾き、

流れる様に体を捻り起き上がり続けてニ撃目を放つ

 

「馬鹿ね!死んだフリは狩りの常套手段でしょう?」

 

「てめぇ…」

 

ダンの放った銃弾がメルトリリスを弾き飛ばす

 

 

<アーチャー、焦るな。そのまま距離を置いて…>

 

<…いや、すまねぇ旦那。体が動かねぇ…こりゃ、毒か>

 

 

毒、このタイミングで…

妨害を…いや、再装填(クールタイム)が終わらなければ

まずい、少年を留めていた障壁が崩れる

 

これは…

 

「詰みか…」

 

 

★★★★

 

 

★★★★

 

 

赤い障壁が決戦場を分断する

勝敗は決した

 

老騎士が膝をつく

 

「…思えば愚かなものだ。

亡き妻を生き返らせる、そんな願いを抱いて戦場へ赴くとは。

万能の杯などそも信じていなかったのだ。女王の命がなければ見向きもしなかったはず…だからただ、わしは軍人として戦うべきだった、しかし…どうしても、最後に一人の男として…数いる兵士の一人でなく…ダン・ブラックモアとして戦いたいと願ってしまった。

結局わしは、これまでの自分の在り方を受け入れきれていなかったのだ」

 

老騎士の言葉はまるで懺悔のようで。

後悔…自らの人生に残った悔い

軍人として国に人生を捧げたダン。

自分の意思でなく命令をただ忠実に遂行する兵士。

その在り方に…そう在ろうとした男は、

結局、自分でありたいと願い、かつてしまい込んだ騎士の誇りを持ち出してしまった

それがダンの敗因、

きっと彼が軍人として戦っていれば自分は勝てなかった。

いや、そもそも勝負にすらならなかったはず

 

「あぁ…それにしても、驚いたな。

君はこの戦いの中、少しの迷いもなかった。

自分の全てをもって、ただひたすらに自らにできる最善へとてを伸ばしていた。

まだ、若く未熟だと思っていたのだが。

君はなにか、戦いに意味を持っているのかね?

戦う理由、目的ではなくなぜ戦いに身を置いているのか。

その意味を」

 

意味…

自分が戦う理由、それは…

死の淵にいた自分を救ってくれた、

空っぽの自分を信じて自身の命を託してくれるメルトリリス

彼女の信頼を裏切りたくない、

彼女の期待に応えたい

だから、自分は…

 

「ああ。

俺にとっては何よりも大切なことだ」

 

「そうか。

それは大事なことだ、見失ってはいけない。

それがなければ我々はただ人を殺す機械に成り下がってしまう。

そして、出来るならこれから経験する多くの戦いの結果を、そしてその中で生まれる迷いや悔いを…受け入れてほしい。

全てを受け入れて、前に進む糧としてほしい。

どれだけ後悔しようとも過去が変わることは無いだから、それらを背負い進み続けなければならない。

それが勝者の、生き残った者の責任なのだ」

 

ダンの顔は今までのものとは違う、

とても温かい表情になっていて、

先程口にした後悔も感じられない

 

「そして、アーチャーよ。

すまなかった、老いぼれの我儘に付き合わせてしまって」

 

「いや…俺の方こそすまねぇ。

契約したのが俺じゃなけりゃ、旦那はもっと上に行けたはずなのに」

 

「本当に無理をさせたな。

お前には騎士の誇りなど意味の無い重荷でしかなかっただろうに」

 

「ええ、ホントっ…余計なウェイトでしたよ。

やりずらいったらありゃしないし、挙句令呪まで使っちまうわ。ホント意味わかんねぇっての。

…でもまぁ?たまにはこういうのも悪く無いっつうか、俺なんかが騎士の誇りを背負うなんて後にも先にもこれっきりだろうし。

ああ…正直、俺も…格好つけてみたかったんですよ。

でも、やっぱり俺には重すぎますわ。

ホント、俺にはすぎたマスターでしたよ、旦那は」

 

そう言ってアーチャーは、

呆れた様でどこか満足した様な笑みを浮かべ消えていった。

 

そして、その主もまた…

 

「ああ、ようやくか。

ようやく、会いに行けるよ。アンヌ…」

 

そう口にしたダンの顔には、

欠片ほどの未練もなく、なにかを懐かしむような…

穏やかな表情を浮かべ消え去った。

 

 

決戦場には自分とメルトリリスだけが残された。

また、生き残ることが出来た

未だ戻らない記憶、

空っぽの自分、

そこに新しく生まれたもの、

自分が戦う意味

彼女の期待に応えたい、 そう思い必死に進もうとして…

けれど、進み続けた先にいったい…

自分は何を願うのだろうか

その願いは本当に…

自分は本当に、彼女の信頼にたる人物なのだろうか

 

自分が何者か分からない

自身の過去が分からない

自分には何も無い、空っぽの記憶

唯一残ったのは、予選ですごした偽りの日々

変わりばえのない毎日、なんてことない平凡な日常

友人だった者との記録

間桐慎二…

かつて自分の友人だった男、

自分が一回戦で殺した男

 

なんのために?

それは…

彼女のために…

期待に応える、

自分が誰なのかも分からないのに?

もし、このまま記憶が戻らなかったら?

何も無い、何者でもない自分は

本当に彼女の期待にそえるのだろうか

 

進む理由はある、

けれど、自分には目的がない

自身が進む道の先に何があるのか分からない

 

自分の戦いは、

彼女にとって意味のあるものなのだろうか

ex/recordの追加ルートはなんだと思います?

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