fate/extra melt blossom   作:もっこもこの埃

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少女の夢

 

 

三回戦 六日目 朝

 

 

購買で買い物をして空き教室へ向かう

 

多くのお菓子やジュースを抱えて廊下を歩く、

若干まわりの視線が痛いが、まぁ仕方ない

 

「はぁ…あなたのお人好しっぷりにも困りものね。

こんなことをしても過去は変わらないわ、不幸な死は覆らない。そもそもあのサーヴァントが応じるかしら、今日で準備期間は終わり明日になれば直接戦うことになるわけで、それは避けたいんでしょ?あの黒いのは」

 

そんなメルトリリスの言葉

過去は変わらない、アリスもそう言っていた

それはそうなのだろう、聖杯を使えばあるいは…

けれどありすにはその可能性さえ許されない

 

彼女には死と言う結末にしか辿り着けない

だからアリスは必死にそれを先延ばしにしようとして

ありすを戦いに導いている

 

大切な友達を死なせないために…その気持ちはよく分かる

だけど、偽りの幸福に囚われたありすを可哀想だと思う気持ちもある。

レオの言うように一思いに幕を下ろしてしまう方がいいのかもしれない

 

なにが正しいのか、

それは分からない、けれどきっと…

 

「分かってるよ。だけど俺はこうしたいと思ったんだ。

それが正しいことなのかは分からない、でもきっとこれは…何も無い空っぽの自分の中で生まれた思い、これが俺なんだと思う。だから何も変わらないとしても、俺は俺で在りたい意味が無くてもせめて自分らしく在りたいんだ」

 

「っ…そう」

 

メルトリリスは少し困ったような表情を浮かべて小さく呟く

 

呆れられたのだろうか…

自分でも馬鹿げてるとは思う、

自分には確固たる信念も、絶対的な誇りもない

ただ、何となくそうするべきだと思っただけ…

でも、だからこそ進み続けなければ

 

「さて、これでいいかな。

あとは…探して、応じてくれるといいけど」

 

「ま、断られたら後始末くらいは付き合ってあげるわ」

 

 

教室を後にし、ありすを探しに向かう

 

 

「自分らしく、ね…」

 

 

 

少し校舎を回り、廊下の端で白い少女を見つける

 

「やっと、見つけた。ありす!」

 

「?…あ!お兄ちゃん、どうかしたの?あたしに何か用?」

 

声をかけるとありすはこちらに振り向き

首を傾げる

 

「良かったら、一緒にお茶会でもしないか?

前にご馳走になったからそのお返しに、いや…そう言ってもあんなに豪華なものじゃないんだけど」

 

ありすが用意したような、物語に出てくるような豪華なものじゃなく本当に学生のちょっとしたパーティ程度のもの

それでも頑張った方だとは思う…

 

「どうかな?」

 

少しの不安を隅に尋ねる

けれど、そんな不安はすぐに消えていった

ありすの浮かべた花のような笑顔のおかげで

 

「もちろん!!行くわ!

今から?それとも少し遊んでからにする?

あ、でも疲れちゃったら楽しめないわ。ね!お兄ちゃん、どうするの?」

 

「そうだね、今から行こう。案内するよ、実はお腹すいててさ」

 

準備に手間取って朝から何も食べてないのだ

この状態で遊ぶのはちょっと勘弁して欲しい

 

「そうなのね、じゃあ行きましょ!

えへへ、あたしこんな風に誰かに誘われるなんて初めてだこらすっごく嬉しいし楽しみ!」

 

「そう言ってくれるとありがたいよ、だけど本当にあまり期待しないでね?…頑張ったつもりだけど…やっぱりどうしてもありすみたいには…」

 

少しでも喜んで貰えたら、と思ってはいたがここまで反応されると逆に不安になる

がっかりされないといいけど…

 

 

校舎の隅、使われていない空き教室の扉を開ける

 

いくつかの机を合わせてその上にお菓子や飲み物、購買で売っているものをありったけ並べた

ただそれだけ…

改めて見ると差が…

 

「わぁっ!いっぱいあるわ!」

 

「自分で作ろうにも、やっぱりありすみたいには出来そうになくて…」

 

「ううん、とっても素敵よ!あたしすごく嬉しいわ、お兄ちゃんがあたしのために用意してくれただけで十分よ。

ホントに夢見たい!」

 

本当に嬉しそうに椅子に座るありす

その横にいつの間にか姿を現していたアリスが座る

 

あの時と同じで、少し違う

今度はちゃんと答えを出せる

最後の一日、今日が終われば自分とありすは戦いを強いられるだから、せめて今はただ友達として…

 

「美味しい!ね、あたしコレとっても美味しいよ」

 

「そうね、あたし。とても美味しいわ」

 

「お兄ちゃんも、はい!」

 

そう言ってありすが差し出してきたのは、

プレミアムロールケーキ、そういえば購買で買った時に普段は買い占めていく人がいるから買えたのは運が良かった、なんて言っていたっけ

 

「ん、ありがとう。ありす、こっちも美味しいよ?」

 

お返しに焼きそばパンを差し出す

 

「貴方…ホントよく飽きないわね」

 

ふとメルトリリスの言葉が止まる

ありすは焼きそばパンを頬ばろうとしたまま停止している

 

ああ…これは

前と同じ…

 

「どういうつもりかしら、お兄さん?

無駄だと言ったはずだわ、それとも…戦う気がないのかしら?」

 

アリスがジッとこちらを見つめながら尋ねてくる

なんの為にこんな事をするのか

ありすは既に終わった物語で、

何も変えることは出来ない

なのに何故…

 

その答えは

 

「悪いけど負ける気は無い」

 

「なら、どうして」

 

「君の言う通り過去は変わらないし、俺たちの結末は決まっている。だから…これは俺の自己満足だ。

自分の信じることを、自分の誇りのために、進み続けたい。

…それに、たとえ覚めて消えるとしてもどうせ夢を見るなら幸せな夢の方がいいだろ?」

 

「っ…そう、

そうね…その通りよ、夢は幸せじゃないと…」

 

アリスはそう言って目を逸らす

止まっていた世界が再び動き始める

 

 

「ん!ホント、美味しいわ!お兄ちゃん!」

 

「…それは良かった」

 

にっこりと笑顔を向けるありすに

同じように微笑んで返す

 

「ソースが付いてるわ、あたし」

 

「ん…」

 

アリスは変わった素振りもなくありすと接し続けていて

彼女がどう思ったのか、

それは分からない、だけどきっと…

 

「ねぇ、白野。ソレ取ってくれる?」

 

「これ?はい」

 

目の前のパンをメルトリリスに差し出すと、

受け取らずにそのまま食べ始める

 

「あ〜…まぁ、いいや」

 

「…ねぇ、お兄ちゃんはどんなことをお願いするの?」

 

唐突にありすがそんなことを聞いてくる

お願い、聖杯のことだろうか

 

「俺は…ドールショップを作りたいんだ、世界一大きいやつをね」

 

「ドールショップ?お兄ちゃん、お人形が好きなの?」

 

予想外だったのか、ありすは目を丸くして首を傾げる

 

「いや、俺じゃないんだ。だけどとても大事な約束なんだ、彼女の…俺の、大切な人の夢だから」

 

「そうなのね。とっても素敵だわ」

 

「ありすは何を願うんだ?」

 

彼女は何を望むのだろうか…

友達?それとも、もう一度…

 

「あたしは…よく分からないの。

ここに来た時、なんでも夢が叶えられるってあたしに言われて色んなことが浮かんだわ。だけどあたしと出会って、お姉ちゃんとも会って、お兄ちゃんといっぱい遊んでこうしてお茶会にも誘われて。

あたしとっても幸せよ、だから…何を願えばいいかよく分からないわ」

 

少女の答えは、

ほんの少しだけ自分の在り方に意味を与え、

同時に、変えようのない明日を、残酷な現実に向き合う覚悟を揺らがせる

 

「そっか…でも俺も嬉しいよ、素敵な友達が出来て」

 

「…ッ!!ええ!あたしもお兄ちゃんとお友達になれてとっても嬉しいわ!」

 

 

 

そうして、聖杯戦争には似つかわしくない束の間のパーティは終わっていく

 

 

ありす達が去って、

後片付けをしているとふいにメルトリリスが口を開く

 

「にしても、大切な人、ねぇ?」

 

「何かおかしいか?命の恩人だし、たった一人のパートナーだろ?」

 

揶揄うような表情を浮かべるメルトリリスに、答える

 

「べつに?なんでもないわ。

…それより、白野。貴方…」

 

「分かってる」

 

メルトリリスの顔がすぐに真剣な表情に変わる

言いたいことは理解出来る

彼女はいつも自分が何も言わなくてもこちらの考えを見抜いて手を差し伸べてくれる

だから、きっとありすと戦う覚悟がほんの少し揺らいだのにも気付いたのだろう

 

「大丈夫、やれるよ。やりたい事はやったから、あとはすべき事をするさ」

 

「そ、ならいいわ」

 

 

 

最後のモラトリアムが終わる

聖杯戦争に参加した者は戦うか死を選ぶ他に選択肢は無い

たとえ望んで参加したのではないにしても、

後戻りは出来ない

だから…

せめて、後悔することのないように

 

自分に嘘をつかないように

 

俺は前を向いて先へ進みたい

ex/recordの追加ルートはなんだと思います?

  • レオルート
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